(事例紹介)小学校への侵入窃盗事件~建造物侵入罪・窃盗罪

2023-01-16

(事例紹介)小学校への侵入窃盗事件~建造物侵入罪・窃盗罪

~事例~

24日朝、大阪・松原市にある小学校の校舎の窓ガラスが割られて何者かが侵入したとみられる跡が見つかり、市の教育委員会は警察に被害届を提出しました。
教育委員会によりますと、教室にあった児童のリコーダー19本がなくなっていたということです。

松原市教育委員会によりますと、24日午前7時半すぎ、松原市立恵我小学校の教室の窓ガラスが割られているのを、登校してきた児童がみつけました。
教員が確認したところ、ほかにも、校舎1階の窓ガラスなど、あわせて4枚が割られていて、ガラスが割られた場所からは、何者かが侵入したとみられる跡が見つかりました。
さらに調べたところ、3階と4階の教室にあった児童のリコーダーあわせて19本がなくなっていたということです。
(略)
(※2022年10月24日20:42NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~侵入窃盗事件で成立し得る犯罪②~

前回の記事では、取り上げた報道の事例では、器物損壊罪建造物損壊罪が成立する可能性があり、侵入窃盗事件では態様によってこれらの犯罪が成立し得るということを取り上げました。
今回の記事では、他に侵入窃盗事件で成立し得る犯罪について確認していきます。

前回に引き続き、取り上げた事例の報道を見てみると、この壊された窓ガラスから何者かが小学校へ侵入しているようだとされていますが、この行為は建造物侵入罪(刑法第130条)に当たる行為だといえるでしょう。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第130条では、今回取り上げた報道で侵入された小学校などが対象となる「建造物」への侵入を罰する建造物侵入罪だけでなく、人の住んでいる一軒家やマンション・アパートなどが対象となる「住居」への侵入について罰する住居侵入罪も定められています。
そのため、いわゆる侵入窃盗事件では、侵入された対象の建物がどういった建物だったのかという事情によって、建造物侵入罪住居侵入罪が成立するということになります。

加えて、侵入窃盗事件では、何かが盗まれているということですから、窃盗罪も成立します。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回取り上げた事例では、小学校からリコーダーが盗まれたと報道されていますから、窃盗罪が成立することが予想されるでしょう。
こうしたケースで注意しなければいけないのは、先に取り上げた器物損壊罪建造物損壊罪建造物侵入罪の被害者と、窃盗罪の被害者が異なるということです。
小学校の窓ガラスを破壊したことによる器物損壊罪もしくは建造物損壊罪の被害者は、壊された窓ガラスの管理者=小学校ということになるでしょうし、建造物侵入罪の被害者も、同じく侵入された小学校の管理者となります。
しかし、窃盗罪の被害者は盗まれたリコーダーの持ち主となりますから、1つの侵入窃盗事件であっても被害者が犯罪によって異なる複数人になるということになるのです。

侵入窃盗事件では、複数の犯罪が成立することもあり、事件が複雑な構造となることもあります。
被害弁償や示談交渉を行う場合でも、複数人被害者がいる場合には、当事者だけで活動するには負担が大きくなってしまうことが予想されますから、弁護士を通じて被害者対応を行うことで、その負担の軽減が期待できます。

また、侵入窃盗事件では、その場所に侵入して窃盗行為をするという事件の性質上、犯人が事件現場の場所を知っているということになるため、被害者への接触や事件現場での証拠隠滅行為のおそれを懸念され、逮捕・勾留による身体拘束をした上で捜査が進められることも少なくありません。
早期の釈放を目指したり、身体拘束されている中での取調べ対応を適切に行ったりするためにも、弁護士のサポートを受けることが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、侵入窃盗事件についてもご相談・ご依頼を受け付けています。
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