自首と出頭の法律的な違い

2022-04-25

自首と出頭の法律的な違い

今回は、自首出頭の法律的な違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、深夜、北海道札幌市中央区内のコインパーキング内で地面に寝ころび、眠っていたVのズボンから財布を窃取してしまいました。
しかし、コインパーキング内には監視カメラが設置されているだろうと考えたAさんは、いずれ事件が発覚し、検挙されてしまうだろうと不安にかられました。
現在Aさんは、北海道札幌方面中央警察署自首をしようと考えていますが、どうすればよいのでしょうか。
(フィクションです)

~窃盗罪について解説~

ケースの事例は、典型的な仮睡盗事件と言えるでしょう。
このような場合は、窃盗罪(刑法第235条)が成立する可能性が極めて高いと考えられます。
窃盗罪につき有罪判決が確定すると、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

~自首・出頭を行うメリット~

刑事事件を起こしてしまった場合、いずれ自身の事件が捜査機関に発覚し、検挙されてしまうのではないかと不安にかられてしまうという方も少なくありません。
このような不安な状況に終止符を打つ手段の1つとして、自首・出頭をすることが挙げられます。

~自首・出頭とは~

まず、自首について説明することにいたします。
自首とは、一言で表現するならば、捜査機関に対し自身の犯罪事実を申告することをいいます。
自首が成立すれば、有罪判決を受ける場合において、刑が減軽されうるというメリットがあります。

また、自発的に犯罪事実を申告したことが評価され、逮捕されずに済む場合もあります(その代わり、在宅で捜査が行われる可能性が高まると考えられます。)。

※刑法
(自首等)
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 省略

自首が成立するためには厳格な要件を満たす必要があり、それらを充足しなければ「自首」は成立せず、「出頭」として取り扱われることになります。

~自首の要件~

自首が成立するためには、
①自発的に自己の犯罪事実を申告すること
②自己の訴追を含む処分を求めること
③捜査機関に対する申告であること
④捜査機関に発覚する前の申告であること
が必要です。
これらを満たさない場合は、「出頭」扱いとなります。

職務質問中や別件の取調べ中にケースの事件を申し出た場合には、①の要件を充足するか否かが問題となります。

他にも、今回のケースのような場合に、「被害者が翌朝、財布がなくなっていることに気づいたと被害申告しているが、自分は被害者の財布を手に取って眺めただけであり窃取していない」など、訴追を免れるための弁解を申告した場合には、②の要件を満たさないことになります。

また、事件が捜査機関に発覚した後に自己の犯罪事実を申告しても、④の要件を満たさないため「出頭」扱いとなります。
「捜査機関に発覚する前」の意義が問題となりますが、この場合の「発覚」とは、「犯罪事実及び犯人の発覚」をいいます。
犯罪事実がまったく発覚していない場合や、犯罪事実は発覚しているものの、犯人が誰であるかが発覚していない場合には、「発覚する前」に該当します。
ただし、犯罪事実も犯人も発覚しているが、単に犯人の所在だけが不明である場合には、「発覚する前」には該当しません(最高裁昭和24年5月14日判決、最高裁昭和29年7月16日判決)。

~自首の前に弁護士と相談~

前述の通り、自首が成立するためには厳格な条件があります。
自首をする前に、刑事事件に詳しい弁護士とあらかじめ相談し、アドバイスを受けておくのがよいでしょう。
自首前に弁護士を依頼しておけば、捜査が始まったあと、スムーズに弁護活動へ着手することができます。

また、身元引受人やその上申書を用意するなどして、逮捕されてしまうリスクをあらかじめ抑えておくことも考えられます。
自首を検討している場合には、まず一度、刑事事件に詳しい弁護士と相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
自首についてお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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