【事例解説】コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件
コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
Aさんは、コンビニのコーヒーマシンで120円のレギュラーサイズのカップをレジで購入した後に、コーヒーマシンの前に立って250円のラージサイズのカップ用のボタンを押して、レギュラーサイズのカップにラージサイズのカップ用のコーヒーを注ぎました。
この様子を見ていたコンビニ店長のVさんが、Aさんを呼び止めて警察に通報したことで、Aさんは警察で窃盗罪の疑いで捜査を受けることになりました。
Aさんは警察に対して、故意にラージサイズのボタンを押したことを正直に話したため、逮捕されずに在宅での捜査となりました。
自宅に帰ったAさんは、これからVさんと示談をするために、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件
事例のように、コンビニのコーヒーマシンで、レジで購入したレギュラーサイズのカップよりも大きいラージサイズのコーヒーのボタンを故意に押して、ラージサイズのコーヒーをレギュラーサイズのカップに入れる行為については、相手を騙してコーヒーを多く騙し取ったとして刑法246条の詐欺罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、レジでレギュラーサイズのカップを購入する段階からラージサイズのコーヒーのボダンを押してやろうと決意していた場合には、レジで店員の方を騙してラージサイズのコーヒーをだまし取ったとして刑法246条の詐欺罪が成立する可能性が高いと考えられますが、コーヒーマシンでボタンを押すときになって初めてラージサイズのコーヒーのボタンを押そうと思った場合には、レジではあくまでレギュラーサイズのコーヒーボタンを押そうと思ってレギュラーサイズのカップを購入していて人を騙してはいませんので、詐欺罪が成立することは難しいと考えられます。
そのため、コーヒーマシンでボタンを押すときになって初めてラージサイズのコーヒーのボタンを押そうと思った場合には、刑法235条の窃盗罪が成立すると考えられます。
このように、コーヒーマシンで購入したサイズよりも大きいサイズのボタンを押す行為には詐欺罪が成立する場合と窃盗罪が成立する場合が考えられるのですが、実際には、どの時点で大きいサイズのコーヒーボタンを押そうと思ったのかといったことについては明確ではないことから、事例のようなケースでは、詐欺罪ではなく窃盗罪で立件されることが多いようです。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみですが、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
窃盗事件の被害者の方との示談をお考えの方は
事例のAさんは、警察に通報されたものの窃盗罪で逮捕されることはありませんでしたが、だからといってこれで事件が終了したという訳ではなく、今後は在宅捜査という形で捜査が進められることになります。
そのため、窃盗罪について素直に認めて被害者の方と示談をしたいとお考えの方は、まずは弁護士に相談して、被害者の方と示談をするための流れやどんな準備をすればよいかといったことについてアドバイスを貰った上で、弁護士に示談交渉を依頼されることをお勧めします。