万引きの再犯で逮捕

2021-01-07

万引き再犯のケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府和泉市に住むBさんは、大阪府和泉警察署から、「ご家族のAさんを万引きの疑いで取り調べしています。夕方には釈放するので、迎えにきてください。」との連絡を受けました。
Aさんは、万引きでつかまった過去があり、1回目は被害品を買い取り、警察で取り調べを受けて終了し、2回目でも被害弁償を行い、検察官の取調べを受けたものの、その後何事もなく終了しています。
Bさんは、Aさんの万引きも今回で3回目となるので、どのような処分となるのか不安でたまりません。
(フィクションです)

法務省が発表した犯罪白書によれば、昨年(令和元年)の捜査機関により検挙された者のうち、刑法犯では窃盗が約半数を占めています。
検挙された窃盗事件のなかでも、手口別にみると、万引きが占める割合は最も大きくなっています。
年齢層別にみると、高齢者では窃盗の割合が高く、なかでも万引きが占める割合は非常に大きくなっています。
また、男女別にみてみると、検挙された女性高齢者の約80パーセントが万引きによるものとなっています。

万引き事件は、窃盗犯のなかでも比較的軽微な犯罪ですが、再犯率も高く、万引きを繰り返してしまった結果、実刑を言い渡されてしまうケースも少なくありません。

今回は、万引きで検挙された場合、特に再犯の場合、どのような処分となり得るのかについて説明していきたいと思います。

初犯の万引き

初犯の万引きであれば、微罪処分となる可能性が高いでしょう。
通常、警察は、犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類・証拠物とともに事件を検察官に送致することになっています。
しかし、検察官が指定した事件については、この限りではありません。
犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されてものについては、送致せずに刑事手続を終了させることができ、この処分を「微罪処分」といいます。
万引き事件であれば、犯行態様が悪質ではなく、被害額も高くなく、被害弁償等により被害が回復されている、示談が成立し被害者の処罰感情がなく、同種の前科前歴がない、常習性がないような場合には、微罪処分となる可能性が高いでしょう。
微罪処分で送致しないとなった事件については、その処理年月日、被疑者の氏名・年齢・職業・住居、罪名、犯罪事実の要旨を報告書に記載し、月ごとに一括して検察官に報告されます。

再犯の万引き

先ほども述べましたが、万引き再犯率は決して低くはありません。
始めて万引きで検挙された場合には、微罪処分で終わることが多いのですが、再犯となれば、微罪処分とはならず、事件は検察官に送致され、検察官が当該事件についての終局処分を決定します。
検察官は、事件について捜査を終えると、起訴するか否かを決めます。
起訴しないとする処分を「不起訴処分」といいます。
被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情況を鑑み起訴を必要としないときに検察官が行う不起訴処分を「起訴猶予処分」といい、容疑を認める場合であって、被疑者が真摯に反省しており、被害者への被害弁償が済んでいる、示談が成立している、再犯可能性が低いと考えられるときになされるものです。
万引きの場合、前歴があり初犯ではなくとも、被害の回復がなされており、再犯防止策が講じられているなど再犯のおそれが低いと判断されるときには、不起訴処分となるでしょう。

上の事例では、Aさんは、1回目の万引き事件は微罪処分、2回目の万引き事件は不起訴処分(起訴猶予)で終了したものと思われます。
今回の万引きは3回目となり、これまで以上に厳しい処分が予想されますが、被害弁償や示談を行い、専門的な治療を受けるなどの再犯防止策を講じるなど、もう一度不起訴処分となるよう活動することが重要でしょう。

ただし、すべての再犯が、不起訴処分で事件が終わるわけではありません。
万引きでの検挙が複数回ともなれば、検察官は公訴を提起します。
起訴といっても、万引きであれば、いきなり公判請求ということはあまりなく、略式起訴であることが多いでしょう。
検察官が略式起訴すると、正式な方法ではなく簡略化された手続(略式手続)がとられます。
略式手続がとれると、公判での公開審理は開かれず、書面のみで審理され、簡易裁判所は略式命令により罰金又は科料を科すことになります。
手続が書面のみで行われ簡略化されているため、手続に割く時間は短く済みますが、有罪判決が言い渡されることには変わりありませんので、前科が付くことになります。
一方、検察官は、略式起訴ではなく、正式に起訴する場合(公判請求)には、公開の法廷で審理されることとなります。
万引き事件で公判請求されるケースであれば、執行猶予が付く可能性が高いでしょう。
しかし、執行猶予期間中の再犯の場合には、実刑となる可能性が高く、執行猶予期間経過直後の再犯の場合も、執行猶予期間が経過しているからといって必ずしも再び執行猶予となるとは限りません。

万引きそれ自体は、犯罪のなかでも比較的軽微な部類とされていても、再犯を繰り返すと、実刑が言い渡されることがありますので、初犯で微罪処分や不起訴処分で事件が終了したからといって何ら再犯防止策を講じないでいることは大変危険です。
刑事事件で検挙されると、刑事処分ばかりに目がいってしまいがちですが、再び罪を犯すことがないよう、周囲と協力して、しっかりと対策を講じることは重要です。

万引きでご家族が逮捕された、万引き再犯で処分について心配なされている方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。
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