無人のゲームセンターで窃盗事件

2019-09-07

無人のゲームセンターで窃盗事件

~ケース~
神戸市須磨区在住の大学生のAさん(20歳)は最寄りの無人のゲームセンターV店に通っていた。
ある日,Aさんはインターネットでゲームセンターに設置されている筐体の一部などが高額で取引されているのを発見した。
そこで,AさんはV店が無人であることに目を付け,友人ら数人とともに店舗内から大型筐体を分解し持ち出した。
その後,Aさんはインターネットオークションにて筐体を部品ごとに販売した。
V店は,筐体がなくなったことに気が付き,兵庫県須磨警察署に相談し,兵庫県須磨警察署は捜査を開始した。
そして後日,Aさんらは店内に設置されていた防犯カメラの映像を基に窃盗罪の疑いで兵庫県須磨警察署に逮捕された。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)

~無人のゲームセンターで窃盗…何罪?~

今回のケースでは,筐体を盗んだAさんらにまず窃盗罪が成立することに疑いはないでしょう。
窃盗罪は刑法235条に定められており,罰則は10年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

加えて,今回は筐体を盗むためにゲームセンターV店に立ち入っています。
今回のケースのように,最初から何らかの犯罪を行う目的で店舗などに立ち入った場合には,建造物侵入罪が成立する可能性が高いです。
その建造物の管理者の意思に反して建造物に入ることで建造物侵入罪が成立すると考えられており,窃盗目的の者を入れることはゲームセンターの管理者の意思に反すると考えられるためです。
建造物侵入罪は刑法130条に定められており,罰則は3年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。

刑事事件を起こしてしまった場合,一つの罪ではなくいくつかの罪を犯してしまうことは珍しくありません。
今回のような,どこかの店舗や家に侵入して物を盗むといった窃盗事件では,Aさんらのように窃盗罪だけでなく建造物侵入罪も成立するケースが多く見られます。
このような,複数の犯罪をした場合に,ある犯罪をするための手段として他の犯罪が行われている場合,これを牽連犯と呼び,刑法では最も重い刑で処断すると定められています(刑法54条)。
今回の例でいえば,窃盗罪(ゲームセンターから筐体を盗む)を犯すための手段として建造物侵入罪(窃盗目的でゲームセンターに侵入する)を犯しているため,牽連犯として処断されます。
牽連犯ではその最も重い刑により処断されますから,窃盗罪と建造物侵入罪のうち,より重い窃盗罪10年以下の懲役または50万円以下の罰金で処断されることになるでしょう。

なお,牽連犯の他の例としては,偽造文書によって詐欺をはたらいた場合,詐欺罪(刑法246条)と偽造文書行使罪(刑法159条)が牽連犯となる例が挙げられます。

~窃盗事件を起こしてしまったら~

窃盗罪の罰則は上述の通り,10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
ただし,2件以上の窃盗事件を起こしていた場合,それらの併合罪となりますので計算上15年以下の懲役となるか,50万円×件数の罰金となります。
1件のみの窃盗事件の場合,前科がなければ起訴されたとしても罰金刑となる可能性が高いですが,複数件起こしている場合には初犯であっても罰金とならずに執行猶予付きの懲役刑であったり,執行猶予の付かない実刑判決が下される可能性もあります。

窃盗罪の場合,初犯で被害弁償をしている場合には検察官は起訴猶予の不起訴とする場合が多くあります。
逆に,被害弁償や示談ができていない場合には,示談等ができている場合に比べて起訴されてしまう可能性が上がってしまうことになります。

今回のケースで,Aさんらはゲームセンターの筐体を盗み出しているのであり,筐体の種類にもよりますが被害額は比較的高額であると考えられます。
したがってAさんが不起訴処分を目指すのであれば,V店と示談を成立させることが必要不可欠といえるでしょう。
被害者が店舗の場合,個人でも弁償を申し出ることで示談に応じて頂ける場合も稀にあります。
しかし,加害者本人からの被害弁償などの申入れは拒絶されることも多いため,まずは専門家である弁護士に相談・依頼するのがベストでしょう。
弁護士が入ることで示談交渉をしてくれるという被害者や被害店舗の方も多くいらっしゃいます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件を起こしてしまった場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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