なりすまし捜査で違法捜査?京都市東山区の車上狙い窃盗事件対応の弁護士

2018-10-01

なりすまし捜査で違法捜査?京都市東山区の車上狙い窃盗事件対応の弁護士

Aさんは,京都市東山区にあるスーパー駐車場に駐車中の無施錠の軽トラックの中から,発泡酒1箱(時価2500円相当)を窃取したとして京都府東山警察署に逮捕され,その後起訴されました。
裁判で,裁判所は,警察の捜査に違法捜査があったと認定し,違法捜査と直接かつ密接に関連する証拠は排除されることから,Aさんの自白を補強する証拠がなく,Aさんを無罪としました。
(平成29年3月24日付鹿児島地方裁判所加治木支部判決を基に作成したフィクションです)

事件の概要

本件の基となった事件は,警察官がスーパーの駐車場に無人かつ無施錠の軽トラックを駐車し,その助手席上に発泡酒1箱,食パン等が放置された状況下で,Aさんがこれに対し車上狙いの実行に出たところを警察官が現行犯逮捕した(以下,本件捜査という)というものでした。

なぜ違法捜査と認定されたのか?

事例の基となった事件において,裁判所は,まず,本件捜査を「なりすまし捜査」と仮称した上で,同捜査を任意捜査の一類型と位置づけました。
そして,なりすまし捜査と判例(平成16年7月12日 最一小決)が定義した「おとり捜査」の違いを指摘しつつも,両者は本来犯罪を抑止すべき立場にある国家が犯罪を誘発しているとの側面があり,その捜査活動により捜査の公正が害される危険を孕んでいるという本質的な性格は共通しているから,判例が指摘したおとり捜査が許容される要件は,なりすまし捜査でも有用であるとしました。

判例が指摘した要件とは,①機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象としていること,②直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において,通常の捜査のみでは当該犯罪の摘発が困難であること,です。
事例の基となった事件で裁判所は,Aさんが①には当たると認めました。
しかし,②に関して,車上狙いは密行性が高い薬物犯罪等とは異なり,証拠の収集や犯人の検挙が困難な犯罪類型ではないこと,本件を具体的にみても,通常の捜査手法ではその捜査を遂げることが困難であると認めるべき事情がなことなどを理由に,なりすまし捜査の必要性はほとんどなく,本件捜査は任意捜査として許容される範囲を逸脱しており違法捜査であると判示しました。
 
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京都府東山警察署 初回接見費用:34,100円

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