大阪府茨木市で車上荒らし

2020-02-14

大阪府茨木市で車上荒らし

大阪府茨木市で起きた車上荒らし事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】
Aさんは仲間であるBさんとともに大阪府茨木市のショッピングモールの駐車場に行き,駐車してあった自動車に置かれていたバッグを盗みました。
被害者が被害届を出したことから大阪府茨木警察署が窃盗事件として捜査を始めました。
(フィクションです)

【車上荒らし】

車上荒らし車上狙いは,自動車等の車両内から現金や物品を盗むことをいいます。
車両内から現金や物品を盗む行為は窃盗罪に問われます。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

この窃盗罪の条文の中にある「窃取」とは,他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己の占有下に移す行為などをいいます。
特に、持ち主が近くにいない時に財物を持って逃げた場合に、「他人が占有する財物」に当てはまるのかが問題となることがあります。
すなわち、他人の占有下にあった財物を盗んだとして窃盗罪になるのか、他人の占有下にない落とし物を持ち去ったにすぎないとしてより軽い遺失物横領罪にとどまるのか、という点が問題となることがあります。

どのような場合に占有があると認められるかは一概には言えませんが,過去の裁判例では,海中に落した物(最決昭和32・1・24・刑集11巻1号270頁)やバス待合所に一時的に置き忘れたカメラ(最判昭和32・11・8刑集11巻12号3061頁)などで所有者が意識していたり置いた場所をすぐに思い出して取りに戻ったりした場合にはその占有が認められています。

逆に,広大な湖沼に逃げ出した鯉(最決昭和56・2・20刑集35巻1号15頁)や大規模スーパー内の6階で置き忘れたが被害者が思い出して10分後に取りに戻った財布(東京高判平成3・4・1判時1400号128頁)について,その占有を否定した裁判例があります。

以上の裁判例を見ると,裁判所その物が意識して置いてあるように見えることを重視して占有の有無を認定しているといえ,具体的には以下のようなものを基準としているのではないかと考えられます。

①場所
自宅や自己の管理する場所内か,一般に人がその物を意識して置く場所かなど
②物自体の特性
忘れやすい物か,高価な物か,大きいか等

今回のAさんらが盗んだバッグは自動車内にありました。
事件の概要からは明らかではありませんが,たとえ近くに持ち主はいないとしても車両内は車両の持ち主や使用者が管理する場所であり,そこに置かれている物にはその物の所有者や使用者の占有が及んでいると考えられています。
したがって,車両内の物を盗んだAさんは窃盗罪に問われることになる可能性が高いです。

ちなみに,窃盗罪は未遂も処罰されます(刑法第243条)ので,車両内の物を盗む目的で車の窓ガラスを破壊したりドアの鍵を開けようとするなど,車上荒らし行為を始めた時点で窃盗未遂罪が成立する可能性があります。

気になる窃盗罪の量刑(判決の重さ)については,主に計画性や被害額、前科の有無、被害者に謝罪賠償して示談が締結できたか、などが考慮材料となります。

【弁護の方針】

窃盗罪の被疑者が逮捕されていたり勾留中の場合は,まずは早期釈放を目指すことになるでしょう。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると身体拘束が長期化しますので、これらのおそれがないことを検察官裁判官に主張していくことになります。

車上荒らし事件では,被害者との示談も重要です。
示談を成立させることにより,その内容によって不起訴処分執行猶予を得られる可能性を高めることができます。
当事者間で直接行おうとしても難航する場合が多いですが,法律の専門家である弁護士が間に入ることにより円滑に交渉を進められる可能性が高まります。

刑事事件ではスピードが命です。
対応が後手に回れば回るほど不利益な結果を招くことになり,身体拘束期間が長期化したり必要以上に重い処分を受ける可能性すらあります。

また,逮捕されると捜査機関からの連日の取調べで心身ともに疲弊してしまい,事実とは異なることが記載された調書にサインしてしまうことすら少なくありません。
さらに,現在の状況をご家族の方に伝えることもままならず,今後の見通しが全く立たず社会復帰が必要以上に遅れる可能性もあります。

車上荒らしなどで窃盗罪被疑者となってしまった方や,警察署から呼び出され取調べを受けることになってしまった方などは,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.