占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪の自首
占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪の自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~刑事事件例~
神戸市東灘区に住むAさんは近所でキャッシュカードを拾い、このカードを使って現金自動預払機から現金を引き出すことを思いつきました。
Aさんはまず現金を引き出す前提として、どれくらいの残高があるか確かめるため、残高照会をすることとし、キャッシュカードをV銀行の現金自動預払機に差し込みました。
しかしV銀行には紛失届が出されていたので、キャッシュカードはそのまま回収され残高照会をすることはできませんでした。
キャッシュカードが回収されたのを見てAさんは怖くなり兵庫県東灘警察署への自首を考えています。
(フィクションです)
占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪について
Aさんの行動のうち、キャッシュカードを拾って自分のものとしたことが、占有離脱物横領罪にあたります。
また、残高照会をしようとしたことが窃盗未遂罪にあたります。
それぞれを見ていきましょう。
占有離脱物横領罪(刑法第254条)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処する。
窃盗罪(刑法第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
窃盗未遂罪(刑法第243条)
第235条から(略)第241条第3項の罪の未遂は、罰する。
※現金自動預払機において、残高照会行為と現金引出行為(=窃取行為)は一体の行為とされています。
(名古屋高等裁判所判決平成13年9月17日)
残高照会行為に着手していれば、窃盗の実行の着手に該当するとされます。
自首とはどのようなことですか
自首とは、犯人が捜査機関(警察など)に対し、自発的に自分の犯罪事実を申告し、処分を求めることをいいます。
自首についても刑法上に規定がありますので、見ていきましょう。
刑法第42条
1 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
と規定されています。
※おおよその人相、年齢、身長、着衣等がわかっているだけでは「発覚」しているとはいえないとされています。
刑事事件例について
先に述べましたとおり、Aさんには占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪が成立します。
捜査機関が、キャッシュカードを拾ったり、そのキャッシュカードで残高照会をしたのがAさんだと把握していない場合は、自首が成立する可能性が有ります。
弁護活動について
Aさんは自首をしようかと悩んでいます。
自首をするメリットとしては、①逮捕されない可能性が上がる②報道されない可能性が上がる③不起訴の可能性が上がる④執行猶予の可能性が上がる⑤示談の成功率が上がるなどがあります。
さらに自首に弁護士が同行するメリットとしては、①逮捕されない可能性が更に上がる(逃走や証拠隠滅の恐れが低いとみられます)②自首前に取調べへのアドバイスをもらえるなどがあります。
ご自身で警察署など捜査機関に連絡をする前に、ぜひ刑事事件に強い弁護士に一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
占有離脱物横領罪や窃盗未遂罪に詳しい弁護士、自首に同行をした経験がある弁護士も在籍しております。
ご家族やご自身が占有離脱物横領罪や窃盗未遂罪で話を聞かれることになった、逮捕されてお困りの方、自首をしようか悩んでいる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。