窃盗の否認事件
窃盗の否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
京都府宇治警察署の警察官は、警ら中に、付近で警報音が鳴っていることに気付き、現場に駆け付けました。
そこには、釣銭口が壊され、入っていた小銭が盗られている自動販売機がありました。
警察官は、周囲を捜索していたところ、現場から少し離れたところで不審な男を見つけ、職務質問した上で、所持品検査を行ったところ、男が大量の小銭を所持していることがわかり、窃盗の疑いで男を逮捕しました。
男は、「小銭は自分のもので、自動販売機から盗ったものではない。」と窃盗の容疑を否認しています。
(フィクションです)
窃盗事件
上の事例では、自動販売機から小銭が盗まれるという窃盗事件が起きました。
窃盗事件が起きたことは明らかですが、誰が行ったかについては明白ではありません。
窃盗事件の犯人性について、被疑者が物を盗んでいるところを目撃した人がいたり、防犯カメラの映像に被疑者が物を盗んでいるところが映っている場合には、被疑者が窃盗を行ったことを直接証明する証拠となりますが、多くの場合、そのような証拠がなく、被疑者が盗んだであろうことを推測させる証拠しかありません。
その場合、犯人性が争われることになります。
被疑者が盗んだであろうことを推測させる証拠のひとつとして、「近接所持」の法理というものがあります。
近接所持の法理
近接所持の法理とは、窃盗事件が起きた時点と時間的・場所的に近いときに盗品を所持していた者は、その盗品の入手経路について合理的な説明をしない限り犯人と推定できる、というものです。
近接所持の法理により、被害品が所持していた者が、その窃盗犯人であると推認されるのは、
①被害発生の直後であれば、被害品は、未だ窃盗犯人の手中にあることが多いという経験則、
及び、
②その時点であれば、窃取以外の方法で被害品を入手した者は、自己の入手方法について具体的に弁明し、容易にその立証をすることができるはずであるという論理則
を前提とするものです。
しかしながら、一般的にはそのようなことがいえても、その所持していた日時や場所が犯行日時や犯行場所から離れれば離れるほど、その推認力は弱くなりますし、どの程度の時間や距離の幅までが近接所持と言えるのか、また、被害品の流通状況等によっても、被疑者が所持していた物が被害品であると言えるのかが問題となります。
窃盗の否認事件における弁護活動
近接所持の法理により、窃盗の犯人であると推定されている場合、かつ、「自分は犯人ではない!」と犯人性を否定する場合、盗品であると疑われている物の入手経路が合理的に説明できるものであることを証明する必要があります。
入手経路が合理的に説明できるものであるときは、近接所持の法理による推認は働きません。
被疑者・被告人が、盗品と疑われている物を、いつ、どこで、どのように手に入れたのかについて、客観的な証拠に基づいて立証していくことが重要です。
そのような立証は、刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼し、行うのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
窃盗の疑いで捜査を受けておられる方、ご家族が窃盗容疑で逮捕されてお困りの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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