窃盗事件で保釈
窃盗事件で保釈が認められる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府岸和田市の工事現場から、電気ケーブルや金属資材などを盗んだとして、大阪府岸和田警察署は、窃盗などの容疑で県外に住むAさんとBさんを逮捕しました。
Aさん及びBさんは容疑を認めていますが、勾留ののち勾留延長となり、Aさんは精神的に参っています。
Aさんの妻は、どうにか釈放される方法はないものかと刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
逮捕された後の身柄解放
あなたが、窃盗事件を起こして逮捕されたとしましょう。
逮捕されると、あなたの身柄は警察署に移され、警察署において取調官から取調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、警察はあなたを釈放し不拘束のまま捜査を続けるか、検察庁にあなたの身柄とともに証拠や関係書類を送致します。
警察から検察庁に身柄が送致されると、今度は検察官から取り調べを受けることになります。
そして、検察官があなたの身柄を受けてから24時間以内に、あなたを釈放するか、それとも、裁判官に対して勾留を請求するかを決めます。
検察官が勾留請求をした場合、あなたの身柄は裁判所に移され、裁判官との面談を行います。
裁判官は、あなたを勾留すべきか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、勾留延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることになります。
逮捕から勾留までの期間は、最大で3日と短く、逮捕後すぐに弁護士に依頼し、勾留を回避するための身柄解放活動に着手してもらう必要があります。
また、勾留が決定した後であっても、勾留決定に対する準抗告が認められれば、先の勾留決定が取り消され、釈放となります。
少額の万引きの窃盗事件であれば、逮捕から勾留までの間に釈放となる可能性はあるでしょう。
しかし、共犯者がいたり、被害額が大きく、余罪が疑われている場合には、勾留に付される可能性は高いでしょう。
勾留を回避することが難しい事件であっても、起訴後に保釈制度を利用して釈放となる可能性があります。
保釈制度について
「保釈」とは、一定額の保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判とその執行のことをいいます。
保釈制度は、起訴され、被告人となった時から利用することができます。
保釈には、次の3つの種類があります。
(1)権利保釈
裁判所は、保釈の請求があったときには、原則として保釈を許さなければなりません。
しかし、例外として、権利保釈の除外事由がある場合には、請求を却下することができます。
除外事由は、以下の6つです。
①被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。
(2)裁量保釈
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときには、職権で保釈を許すことができます。
(3)義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許さなければなりません。
このように、権利保釈の除外事由がある場合でも、職権で保釈を認めてもらえることがありますので、起訴後は保釈制度を利用して釈放されるよう動きます。
Aさんの場合、窃盗で起訴されているとすれば、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められていますので、権利保釈の除外事由①に該当するため権利保釈は認められないでしょう。
もっとも、そのような場合でも、家族などの身元引受人がおり、弁護士を介しての被害弁償や示談が進んでいることや、被告人の身体拘束が長期化することで被る不利益の大きさなどを考慮してもらい、職権での保釈が認められる可能性はあります。
刑事事件における身柄解放活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
身柄解放でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。