窃盗の幇助犯

2020-06-18

窃盗幇助犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、リクルーター役として特殊詐欺に加担したとして、京都府山科警察署窃盗幇助の容疑で逮捕されました。
Aさんは、先輩から「荷物を受け取るだけで稼げるバイトがあるけど、やらないか?」と言われましたが、バイトが忙しかったこともあり断ったところ、「誰か紹介して。」と言われたため、知人のBを先輩に紹介しました。
後日、Bが特殊詐欺の受け子をしたとして逮捕され、Bの供述からAの特殊詐欺への関与が疑われることとなりました。
逮捕の連絡を受けたAの家族は、警察に面会を求めましたが、しばらくは会えないと言われ困っています。
(フィクションです)

幇助犯とは

複数人が共同して犯罪を実現する場合を「共犯」といいます。
共犯は、必要的共犯と任意的共犯とに分類されます。
前者は、刑法各則の規定またはその他の刑罰法規上、複数人の共同の犯行が予定されている犯罪をいいます。
一方、後者は、法律上単独犯が予定されている犯罪を複数人が共同して行う場合を指します。更に、任意的共犯は、共同正犯、教唆犯、幇助犯の3つに分類されます。

今回は、幇助犯について説明することにしましょう。

幇助犯

幇助犯については、刑法第62条において規定されています。

第62条 正犯を幇助した者は、従犯とする。

幇助犯とは、「正犯を幇助した者」をいいます。

幇助犯が成立するためには、
(1)幇助者が正犯を幇助して、
(2)被幇助者が犯罪を実行したこと
が必要となります。

(1)正犯を幇助すること

幇助行為は、実行行為以外の行為によって正犯を補助し、その実行行為を容易にする行為をいいます。
窃盗の場合、実行行為は「窃取」となりますので、窃取以外の行為によって正犯を補助し、その実行行為を容易にする行為が「幇助行為」に当たります。
幇助の方法や手段は、物理的であると精神的であるとを問いません。
また、幇助行為は、幇助の意思に基づいて行われなければ、幇助犯は成立しません。
例えば、店側がナイフを客に販売したところ、その客が販売したナイフを用いて傷害行為を行った場合において、店側は客である正犯に実行行為(傷害行為)を容易にする道具を提供しているわけですが、そもそも店側はその者が犯罪に用いるなどと知らず、実行行為を容易にするつもりでナイフを販売したわけではありませんから、このような場合においては幇助犯は成立しません。

(2)被幇助者の実行行為

幇助者が正犯を手助けする意図で手助けしたとしても、正犯が実行しない場合は幇助犯は成立しません。
このように、幇助行為は行われたが、正犯が実行の着手に至らなかった場合を「幇助の未遂」といい、この場合は不可罰となります。
他方、被幇助者(=正犯)が実行行為に出たものの、その犯罪が未遂に終わった場合を「未遂犯の幇助」といい、この場合は処罰の対象となります。

幇助犯の成立要件として、幇助行為と正犯の実行行為または正犯結果との間に因果関係が必要となります。
そして、実行行為を物理的または心理的に促進または容易にしたと言えば足りるとされます。

幇助犯(=従犯)の刑は、正犯の刑を減軽することが刑法第63条で規定されています。
刑の減軽の方法は、刑法第68条に定められています。

①死刑を減軽する場合
無期の懲役もしくは禁錮、または10年以上の懲役もしくは禁錮とする。
②無期の懲役・禁錮を減軽する場合
7年以上の有期の懲役または禁錮とする。
③有期の懲役・禁錮を減軽する場合
その長期および短期の2分の1を減ずる。
④罰金を減軽する場合
その多額および寡額の2分の1を減ずる。
⑤拘留を減軽する場合
その長期の2分の1を減ずる。
⑥科料を減軽する場合
その多額の2分の1を減ずる。

ただし、拘留または科料にのみ処すべき罪の幇助犯(=従犯)は、特別の規定がなければ処罰されません。

特殊詐欺事件では、単独で実行行為を遂行することはほとんどなく、かけ子、受け子、出し子と呼ばれる役割を組織内外に振り分けて実行行為を行います。
実行行為を行う者(かけ子、受け子、出し子)を組織に紹介する役割(リクルーター)を担った場合、動機、主犯格との関係性、役割の重要性などが考慮され、共同正犯ではなく幇助犯であると判断される可能性があります。

しかしながら、特殊詐欺といった組織犯罪に加担していたと疑われていることから、逮捕後に勾留に付される可能性は高いです。
また、弁護士以外との接見を禁止する接見禁止が勾留と同時に付されることが多いですので、被疑者とご家族の面会が叶わない場合があります。
そのような時には、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、ご家族との接見を認めてもらえるよう接見禁止一部解除に向けて動いてもらいましょう。

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