窃盗事件で示談成立

2020-12-10

窃盗事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
神奈川県相模原市に住むAさんは、ある夜、自宅付近をジョギングしていたところ、ふとアパート1階のベランダに下着が干してあることに気が付きました。
干してあった女性の下着を簡単に盗ることができるのではと思い立ち、ベランダに侵入し、干してあった女性の下着を盗みました。
後日、神奈川県相模原警察署の警察官が、朝早くAさん宅を訪れ、住居侵入と窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんは、容疑を認めており、被害者に謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
(フィクションです)

窃盗罪は、「他人の財物を、不法領得の意思をもって、窃取した」場合に成立する財産犯です。
窃盗罪とは、個人の財産を保護法益とする犯罪であり、被害者との示談の成否は、身体拘束からの解放や、終局処分において大きく影響します。

示談」というのは、加害者が被害者に対して損害賠償金(示談金)を支払う一方、被害者が被害届を提出しない、あるいは、被害届を取り下げるなどし、当事者間で事件は解決したと約束することです。

被疑者段階で被害者との間で示談を成立させることができれば、前科・前歴がある場合であっても、不起訴となる可能性を高めることができます。
また、逮捕・勾留されている場合であっても、早期に示談を成立させることができれば、勾留期間の満期を待たずに釈放するよう働きかける材料にもなります。
このような理由からも、窃盗事件では、容疑を否認している場合を除いては、被害者との示談を成立させることが非常に重要なのです。

窃盗事件において示談が重要であることはお分かりいただいたと思いますが、加害者が直接被害者と示談交渉を行うことはあまりできません。

まず、被害者の連絡先を入手することがそう簡単ではない場合が多いことがその理由です。
被害者とコンタクトをとり、被害届の取り下げを求めるなどして、事件を無理やりなかったことにしようとするのではないかと疑い、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えないことが多く、仮に捜査機関から被害者に示談の打診があった旨が伝えられても、加害者と直接連絡を取りたがらない被害者も少なくないため、加害者が被害者と連絡をとることすらできない状況が生じてしまいます。
しかし、弁護士を介して交渉を行う場合には、被害者の連絡先は弁護士限りとなりますので、被害者も安心して交渉に応じてくれるケースが多くなっています。

次に、当事者間での交渉は、感情的なものとなり、示談金を非常に高く要求されたりして、交渉がうまく進まないことが多いことも当事者間の交渉をおすすめしない理由です。
被害者に経済的・精神的損失を与えたことに対して、加害者が真摯に謝罪し、相当の示談金を支払うことは、示談の大前提です。
しかし、相当額を超えた法外な金額を要求されることもあり、相場についてお互い知らないままだと、相手の言い値でまかり通ってしまうことも少なくありません。
示談金の金額は、事件によっても異なります。
例えば、被害品が還付されているか、還付されていたとしても実質的に無価値になっているかどうか、といった状況にもよります。
被害品が還付されており、窃盗そのものによる経済的損失がない場合であっても、迷惑料として相当額を示談金として支払うこともあります。
一方、被害品が還付されていなかったり、食料品などは戻ってきても売り物にはなりませんから、そのような場合は実質的に無価値になったといえるため、被害金相当額に加えて迷惑料を相手方に支払うことになるでしょう。
また、下着泥棒や空き巣などの侵入盗事犯では、被害者の財物だけでなく、彼らの私生活を脅かしたということから、通常よりも高額の迷惑料を求められることがあります。
例えば、自宅に侵入されたことがショックで、被害者が引越しを余儀なくされた場合には、この引っ越しにかかった費用も示談金に含めるよう求められるケースがあります。
どの範囲で応じることができるかということも、示談交渉において重要なポイントとなります。
このような点においても、弁護士を介して、冷静に話し合い、事案に適した示談金となるよう交渉していくのがよいでしょう。

最後に、加害者と被害者が直接示談を成立させた場合、口約束だけで終わったり、示談書の内容に不備があり、後々民事で訴えられかねない内容のものとなったりする可能性があることからも、当事者間での示談交渉はお勧めしません。
法律の専門家である弁護士であれば、適切な内容の書面を作成し、後々の紛争を回避することができるでしょう。

示談が成立した場合には、不起訴となる可能性、起訴された場合であっても、執行猶予となる可能性を高めることができます。
示談成立を目指し、早期に弁護士に相談し、示談交渉に着手するのがよいでしょう。

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