少年のひったくり事件

2020-12-03

少年ひったくり事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aくん(16歳)は、東京都町田市の路上で、仲間2名と共謀して、通行中の男性に対してひったくりを行いました。
後日、警視庁町田警察署の警察官がAくん宅を訪れ、ひったくり事件の犯人としてAくんを逮捕しました。
Aくんの両親は、すぐに対応してくれる少年事件に強い弁護士を探しています。
(フィクションです)

少年のひったくり事件

荷物を持った歩行者の背後から近づき、追い抜きざまに荷物を奪い取って逃走する行為が、一般的に「ひったくり」と呼ばれるものです。
犯人は、自転車や原動機付自転車などで被害者に近づき、荷物を奪い取ると瞬時にその場から逃げ去るため、被害者も犯人を捕まえることは容易ではありません。
また、ひったくりは単独で行われるよりも、数人が共謀して行われることが多くなっています。
少年によるひったくり事件についても、仲間と共謀して行い、共犯事件として扱われることが多くなっています。

ひったくり:窃盗か強盗か

通常、ひったくりは刑法上の「窃盗罪」に該当します。
窃盗罪は、他人の財物を、不法領得の意思をもって、窃取した場合に成立します。
窃盗罪に該当するひったくりの典型例は、被害者の隙をついて、荷物だけを取った場合です。

一方、強盗罪は、暴行または脅迫を用いて、他人の財物を強取した場合、あるいは、暴行または脅迫を用いて、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた場合に成立する罪です。
あるひったくり行為が窃盗にあたるのか、それとも強盗にあたるのかは、当該ひったくりの状況が、相手の反抗を抑圧するに足りる暴行に至っているか否かによります。
先に述べた窃盗となる例のように、被害者の隙をついて、被害者が持っていた荷物を追い抜きざまに奪う行為は、被害者と一定の接触はありますが、被害者の抵抗を抑圧する程度の暴行を加えたとは言えないため、窃盗にとどまります。
しかし、例えば、被害者が荷物を奪われまいと抵抗したために、犯人が荷物を奪うためにさらに当該に持つを引っ張りつづけるなどの暴行を加えた場合、犯人は荷物を奪うために追加の暴行を加えているため、被害者の反抗を抑圧する程度の暴行を加えたと評価される可能性があり、窃盗ではなく強盗が成立することがあります。

窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金である一方、強盗罪の法定刑は、5年以上の有期懲役であり、後者のほうが重い罪となります。
成人の刑事事件では、窃盗罪として起訴され有罪となれば、罰金から懲役刑に及ぶ広い範囲の中から刑が選択されることになります。
どのような刑が科されるかは、被害額や犯行態様、常習性などによります。
少年の場合には、少年法に基づく手続きがとられるため、犯罪の軽重がそのまま処分に反映されるわけではありません。
しかし、単なる万引き事件と比べると、共犯の有無や非行の悪質性いかんによって、ひったくり事件についての処分も大きく異なります。
また、共犯がいる事件では、捜査段階から身体拘束を受ける可能性が高く、家庭裁判所に送致された後も、観護措置がとられる傾向にあります。

弁護士の活動

原則、すべての少年事件は家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所に事件が送られると、家庭裁判所の調査官による調査を経て、審判に付されることになります。
単純な万引き事件の場合には、家庭裁判所に送致された後、審判を開始しない決定がなされることもありますが、ひったくり事件であれば、通常は、審判が行われ処分が言い渡されることになります。
審判で審理されるのは、非行事実と要保護性の2要素です。
要保護性というのは、簡単に言えば、少年の性格や環境等に照らして、将来再び非行に陥る危険性があり、保護処分によって再犯の防止ができることをいいます。
少年の場合、非行事実だけでなく、この要保護性についても審理され、処分が決められるため、重い犯罪に当たる行為をした場合でも、審判で要保護性が解消されたと判断されれば、保護観察といった処分となることもあります。
逆に言えば、比較的軽い犯罪に当たる行為をした場合であっても、要保護性が高いと判断されると、少年院送致などの処分が決定されることもあるのです。

そのため、非行事実に争いのない場合には、弁護士は要保護性の解消に向けた活動を行います。
要保護性の解消に向けた活動としては、最も重要な環境調整が挙げられます。
少年が再び非行に陥ることなく更生できるような環境を整える活動を「環境調整」といいます。
ひったくり事件においては、被害者への対応や交友関係の改善などがポイントとなるでしょう。

ひったくり事件のように被害者がいるような事件では、被害者への謝罪及び被害弁償をすることが重要です。
少年の場合では、成人の場合のように、被害が回復されたことをもって、最終的な処分結果に直接影響することにはなりませんが、被害者対応を通じて、少年が内省を深めることができれば、要保護性の解消につながるため、被害者対応は少年事件においても重要な活動と言えるでしょう。

ひったくり事件は、少年が仲間と共謀して行うことが多く、少年の交友関係が非行の一因であることが少なくありません。
そのため、弁護士は、少年との話し合いを通じて、交友関係を改善する手助けを行います。
また、交友関係だけでなく、家庭環境や学校・職場の環境が少年に与える影響も大きいため、少年の家族や所属する学校・職場とも協力して、少年を取り巻く環境の改善に努めます。

このような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
窃盗事件を起こしお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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