窃盗事件で勾留阻止

2020-10-22

窃盗事件で勾留阻止に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府摂津市の路上を通行中の自転車の前かごに入れてあったカバンを、原付バイクで追い越し際に窃取するという事件が起きました。
防犯カメラの映像等から、県内に住むAさんが犯人として浮上しました。
大阪府摂津警察署は、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、このまま身体拘束が続くことは避けたいと思い、勾留阻止に向けた活動をしてくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

勾留とは

被疑者の身体拘束のための強制処分のひとつに、「勾留」という処分があります。
勾留は、逮捕後に引き続き身体拘束の必要がある場合に、被疑者の身柄を拘束する裁判及びその執行です。
刑罰の一種である「拘留」とは異なります。

 

勾留の要件について

誰でも彼でも勾留することはできません。
勾留は、裁判官が発行する令状(勾留状)に基づいてなされるのですが、裁判官が勾留状を発行するには、裁判官が勾留の要件を充たしていると判断する場合のみです。

勾留の要件は、①勾留の理由、及び②勾留の必要性、の2つです。

①勾留の理由

勾留の理由とは、(a)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」がある場合であり、かつ、(b)住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、のいずれか少なくとも1つに該当することです。

②勾留の必要性

勾留の必要性とは、勾留の相当性ともいい、勾留の理由がある場合でも、事案の性質や被疑者の事情などを考慮した際に勾留する必要がないと考えられる場合には、勾留の必要性(相当性)を欠くとして裁判官は勾留請求を却下すべきだと理解されています。
勾留の必要性がないと考えられる場合とは、事案が軽微で起訴が相当であるとはいえない場合、健康上・経済的な問題など、勾留によって被疑者が被り得る不利益が大きい場合などがあります。

これらの要件を充たしていると考えられる場合には、裁判官は勾留の決定を下します。

勾留までの流れ

警察に逮捕されると、被疑者となった方は、警察署で取調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、若しくは証拠や関係書類と共に被疑者の身柄を検察庁に送致します。
検察庁に送致された場合、被疑者は検察官からの取調べを受けます。
検察官は、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、若しくは当該被疑者についての勾留を請求します。
勾留請求をされると、被疑者は裁判所に移動し、今度は裁判官と面談します。
裁判官は、送られてきた証拠や被疑者との面談を踏まえて、勾留の要件を充たしているか否かを判断します。
勾留の要件を充たしていないと判断した場合には、裁判官は検察官の勾留請求を却下し、被疑者を釈放します。
他方、勾留の要件を充たしていると判断した場合、裁判官は検察官の勾留請求を認め、勾留の裁判を行います。
勾留が決まると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間被疑者の身柄は拘束されます。
更に、検察官が終局処分の判断にもっと時間が必要であり被疑者の身柄を拘束すべきだと考える場合には、裁判官に対して勾留延長の請求を行い、裁判官が認める場合には、最長10日の勾留延長となります。

勾留阻止に向けた活動

勾留となれば、比較的長期の身体拘束を強いられることになります。
それにより被疑者やその家族が被り得る不利益は小さくありません。
場合によっては、退学や懲戒解雇となる可能性もあります。

そのような不利益を避けるためにも、早期に身柄解放活動に着手することが重要です。

弁護士は、勾留の要件に該当しないことを客観的な証拠に基づいて主張し、検察官に勾留請求をしないよう、裁判官に勾留請求を却下するよう働きかけます。
例えば、勾留の理由について、犯罪を立証する客観的証拠は既に捜査機関に押収されているため罪証隠滅のおそれがないことや、定職や養うべき家族がいるため逃亡のおそれがないことを主張します。
また、勾留の必要性については、勾留されることにより懲戒解雇や退学になる可能性があること、そして懲戒解雇・退学によって生じる不利益が大きいことを主張します。

上で述べたように、身柄事件の場合には、手続に時間制限が設けられています。
逮捕から勾留が決まるまでの時間は、長くとも3日です。
逮捕の連絡を受けてから、あっという間に勾留となってしまったというご家族の方も少なくありません。
勾留阻止を目指すのであれば、出来る限り早い段階から弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

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