保釈で身柄解放

2020-10-29

保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、仲間2名と共謀し、建築現場に侵入し、資材や機材などを盗み、転売するという行為を行っていました。
Aさんは、大阪府羽曳野警察署に窃盗などの容疑で逮捕されました。
逮捕後、勾留となりましたが、仕事や家族のこともあり、保釈で釈放されないかとAさんは弁護士に相談しています。
(フィクションです)

起訴後の勾留

被疑者又は被告人を拘禁する裁判及び執行を「勾留」といいます。
この勾留には、起訴前の被疑者段階での勾留と、起訴後の被告人段階でのものとの2種類あります。

起訴前の勾留と起訴後の勾留とは、前者が、逮捕が先行すること、検察官の請求によること、保釈が認められないこと、勾留期間が原則10日、最大25日であり短いことなどの点で後者と異なります。

被疑者が起訴されると、被疑者は「被告人」という立場に変わり、被告人に対する起訴後の勾留の処分は、受訴裁判所が行いますが、第1回公判期日までは酵素の定期を受けた裁判所の裁判官で、事件の審理に関与しない裁判官が行います。
被告人の勾留は、公訴の提起があった日から2か月とされ、特に必要がある場合は1か月ごとに更新されます。
被疑者段階で検察官の請求によって勾留されていた場合、勾留期間中に同一の犯罪事実で起訴されたときには、起訴と同時に被疑者段階の勾留が自動的に起訴後の勾留に変わります。
そのため、捜査段階から逮捕・勾留されていた場合、引き続き長期の身体拘束を強いられることになります。

しかし、起訴後であれば、保釈により釈放される可能性もあります。

保釈について

保釈とは、一定額の保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判及びその執行のことをいいます。
被疑者段階での勾留については、保釈は認められません。

保釈には、次の3種類があります。

①権利保釈
裁判所は、以下の場合を例外として、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許さなければなりません。
(a)被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
(b)被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
(c)被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
(d)被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(e)被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(f)被告人の氏名又は住居が分からないとき。

②裁量保釈
裁判所は、上述した権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます。

③義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許さなければなりません。

保釈されるまでの流れ

起訴後、いつでも保釈請求をすることができます。
保釈が請求されると、裁判所は、検察官に対して保釈の許否を決めるにあたって意見を聴きます。
裁判官は、検察官の意見を聴いたうえで、保釈の許否を決めます。

保釈が認められると、保釈保証金を納付します。
この保釈保証金を納付しなければ、例え保釈が許されたとしても、被告人が実際に釈放されることはありません。
保釈保証金の額については、犯罪の性質や情状、証拠の証明力、そして被告人の性格や資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な額として定められます。
相場は、150~200万円ですが、事件内容によってはそれ以上の額が求められます。

保釈保証金を裁判所に納付すると、被告人は釈放され通常の生活に戻ることになりますが、保釈期間中にきちんと守らなければならない事項もありますので、約束事を破ってしまわないよう注意しなければなりません。
保釈期間中きちんと約束事を守り、裁判が終わると、先に納めた保釈保証金は返還されます。

保釈保証金を被告人やその家族が準備することが困難な場合には、保釈支援協会を通じて保釈保証金の立替えを行うことも可能です。

被疑者段階での身柄解放が難しい事件であっても、起訴後の保釈が認められることはありますので、起訴後すぐに保釈で釈放されることをご希望の場合には、起訴前から弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

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