窃盗と責任能力

2020-12-24

窃盗責任能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
千葉県浦安市のスーパーマーケットで、Aさんは商品3点を万引きしたとして千葉県浦安警察署窃盗の容疑で逮捕されました。
Aさんは、前刑の執行猶予中で、犯行当時の所持金は現金1万5000円であったにもかかわらず、商品をコートのポケットに入れて、そのまま店を出ようとしたところ、警備員に呼び止められたということです。
Aさんは、前回の件を機に精神科を受診し、クレプトマニアと診断されていました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

責任能力とは

犯罪が成立するためには、①構成要件該当性、②違法性、③有責性の各要素を満たさなければなりません。

①の「構成要件該当性」というのは、刑罰法規に規定された違法かつ有責な処罰に値する行為の類型に当てはまることを指します。
どのような行為が犯罪となるのかについては、刑法などの刑罰法規に定められています。
例えば、窃盗罪という犯罪は、刑法第235条において、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
つまり、窃盗の構成要件(犯罪類型)は、他人の財物を(不法領得の意思をもって)窃取したこと、となります。

構成要件該当性という要件を満たした場合でも、直ちに犯罪が成立するのではなく、当該行為が違法ではないのであれば、犯罪は成立しません。

そして、構成要件に該当する違法な行為について、行為者が責任を有している場合に初めて犯罪が成立します。
ここでいう「責任」というのは、犯罪行為について、その行為者を非難し得ること、つまり、行為者に対する非難可能性をいいます。
犯罪の成立要件として、被疑者に責任能力が認められることが必要となるのは、行為者が、刑法の維持しようとする規範を理解し、それに応じて意味にかなった行為をなし得る能力があって、初めてその行為者を非難することができるからです。
この点について、刑法は、39条において心神喪失・心身耗弱、そして41条で刑事未成年について規定しています。
これらの規定は、責任能力を積極的に定めたものではありませんが、それが欠ける場合や低減している場合について規定しています。
責任能力に関する「心神喪失」については、「精神の障害により、事物の理非善悪を弁識する能力がなく、また、この弁識に従って行動する能力がないこと」を意味するところであり、「心身耗弱」は、その能力を欠如するにまでは至らないものの、「その能力が著しく減退している状態」であると解釈されています。

窃盗と責任能力

窃盗事件において、犯行当時、精神の障害により、是非弁識能力や行動制御能力が欠けていたのではないかという疑いを払拭することができないとして、無罪が言い渡された事案や、心身耗弱を認定した事案もあります。
また、窃盗責任能力の関係性で問題になるのが、クレプトマニアといわれる精神障害です。

「クレプトマニア」とは、窃盗行為に及び衝動抑制の障害により、行動抑制能力が減退するもので、万引きをする際に、顕著な緊張感、興奮を覚え、万引きに成功した時の安堵感、緊張からの解放、達成感を経験するという精神的な起伏を好み、窃盗行為を繰り返してしまう精神障害の一種です。
通常の窃盗は、生活が困窮しているために金品や商品を盗んだりする経済的目的をもって行われますが、クレプトマニアは、個人的な使用や金銭的な価値などとして必要とするわけではない物を盗む衝動に駆られ、万引きなどの窃盗行為に及ぶとされています。

被疑者の犯行がクレプトマニアであるがゆえのものであるか否かは、医師が作成する精神鑑定に基づいて判断されます。
しかしながら、例えクレプトマニアであると診断された場合であっても、それが直ちに心神喪失であるから責任能力がないとの判断に至るわけではありません。
情状酌量での刑の減軽として、クレプトマニアであること、そして、その治療を受けていることなどが理由とされて再度の執行猶予を付された事案等があり、クレプトマニアであることが認定されたことが量刑に影響する可能性はあると言えるでしょう。

事件の内容によって、責任能力を争うべきか、責任能力は争わないが情状酌量での刑の減軽を目指すべきかは異なりますので、ご家族が窃盗事件で被疑者・被告人となり対応にお困りの方は、一度刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

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