窃盗の在宅事件

2020-10-08

窃盗在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

埼玉県北本市にあるパチンコ店に来ていたAさんは、店内に財布が落ちていることに気付き、その財布を手に取り店を出ました。
Aさんが財布の中身を確認したところ、現金5万円が入っており、Aさんは現金5万円を抜き取った上で、財布を帰宅途中に捨てました。
数日後、埼玉県鴻巣警察署から連絡があり、「パチンコ店で財布を拾われましたよね。その件で話が聞きたいので、一度署まで来てください。」と言われ、Aさんは警察署に出頭することになりました。
しかし、逮捕されるのではないかと徐々に不安になってきたAさんは、出頭前に刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

在宅事件

被害者からの被害届の提出、警察官による職務質問、犯人の自首などをきっかけにして、警察をはじめとする捜査機関が、犯罪があると考えるときに、捜査を開始します。
捜査機関は、犯人と思われる者(以下、「被疑者」といいます。)を特定・発見して、必要な場合には当該被疑者の身柄を確保します。
被疑者の身柄を確保する必要がない場合には、捜査機関は、被疑者の身柄を拘束しないまま捜査を進めます。
被疑者の身柄を拘束しないまま捜査が進められる事件を「在宅事件」と呼びます。
以下、どのような場合に在宅事件となり得るのかについてみていきましょう。

1.逮捕されないケース

被疑者を特定・発見したものの、逮捕することなく在宅事件として捜査が進められることがあります。
「逮捕」とは、被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続ける強制処分をいいます。
強制処分であるため、なんでもかんでも逮捕できるわけではありません。
逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。
ここでは、通常逮捕の要件について説明します。

◇逮捕の要件◇

通常逮捕は、裁判官があらかじめ発付した逮捕令状に基づいて行われます。

通常逮捕の要件は、①逮捕の理由、および②逮捕の必要性です。

①逮捕の理由
逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことです。

②逮捕の必要性
被疑者の年齢・境遇、犯罪の軽重・態様などを考慮した上で、被疑者が逃亡するおそれがある、罪証隠滅をするおそれがあると認められる場合には、逮捕の必要性があると判断されます。

これらの要件を満たさないときには、逮捕されないことになります。

少額の万引きや自転車盗などといった軽微な窃盗事件では、逮捕されないことが多いでしょう。

2.逮捕後釈放されるケース

逮捕されてしまったが、勾留されずに釈放されることがあります。
「勾留」とは、逮捕後なお引き続き比較的長期間の身体拘束の必要があるときに、被疑者の身柄を拘束する裁判およびその執行のことをいいます。

逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも証拠や関係書類と一緒に検察に送致するかを決めます。
検察に送致した場合、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察は被疑者を釈放するか、あるいは裁判官に対して勾留請求を行います。
検察が勾留請求をした場合、裁判官は当該被疑者を勾留するか否かを判断し、勾留の決定がなされれば検察が勾留請求した日から原則10日間(延長が認められれば最大で20日間)の身体拘束を受けることになります。
一方、裁判官が検察の勾留請求を却下した場合には、被疑者は釈放されることとなります。

勾留については、勾留の要件を満たしているか否かを検討した上で判断されます。

◇勾留の要件◇

被疑者を勾留するためには、①勾留の理由、および②勾留の必要性がなければなりません。

①勾留の理由
勾留の理由は、被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があり、かつ、住所不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれの少なくとも1つに該当することです。

②勾留の必要性
勾留の理由がある場合であっても、被疑者を勾留することにより得られる利益と、これによる被る被疑者の不利益を比較衡量した結果、被疑者を勾留することが必要であることが、勾留の必要性と呼ばれる要件です。

以上の要件を満たさない場合には、勾留に付されることなく釈放されることとなります。
現行犯逮捕された万引き事件、置き引きやスリなどは、この段階で釈放される可能性はあります。
他方、侵入盗や万引きであっても常習性が疑われる場合などは勾留に付される可能性は高いでしょう。

釈放され在宅事件で捜査を進めるためには、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に取り掛かるのがよいでしょう。
また、釈放された場合でも、在宅事件として捜査が進められるのであって事件が終了したわけではありませんので、被害者への被害弁償や再犯防止措置を講ずるなど不起訴処分に向けた取組みは重要です。

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