窃盗と横領

1 窃盗と遺失物等横領

今日も飲み会で遅くなってしまったAさん。 Aさんは、終電を逃してしまいどうして帰ろうかと考えていたところ路上に自転車が停めてありました。 この自転車で家に帰れば、、、そう考えたAさんは、自転車を盗ってしまいました。 このような場合、Aさんにはどのような罪が成立する出でしょうか。

 

この場合に成立すると考えられる犯罪は、窃盗罪と遺失物等横領です。

窃盗とは、他人の物を、その所有・占有している者の意思に反して自己または第三者の占有下に移すことをいいます。
遺失物等横領とは、遺失物等の占有者の占有を離れた被害物を犯人の支配下に置く行為をいいます。

窃盗と遺失物等横領は、物を自己の占有下に置くという点でその行為は共通しています。 両者の違いは、被害物に対する他人の占有の有無にあります。
被害物について、他人の占有が及んでいる場合は、窃盗が成立します。 誰の占有も及んでいなければ遺失物等横領が成立するのです。
占有の成否は、占有の意思と占有の事実を総合して社会通念に従って判断されます。 上記の事例で、自転車の持ち主がひどく酔っ払った上に自転車を放置し、自転車が何処にあるのかもわからなくなっているような場合は、自転車に対する元の持ち主の占有はなくなったといえます。 元の持ち主の占有がなくなっている以上、Aさんには遺失物等横領が成立します。
自転車が通勤のため駅前の駐輪場に停められている場合などは、社会通念上、持ち主の占有は失われているとはいえません。 Aさんには窃盗罪が成立します。
今説明した事例は簡単なものですが、実際の事件では多くの事情のもとに判断されます。 窃盗事件に詳しい弁護士にどのような罪が成立するのか相談するのもよいでしょう。 遺失物等横領は、占有の及んでいない被害品を対象とし、その占有を自己に移し易いという意味で誘惑的要素が大きい犯罪です。 このようなことから、遺失物等横領の犯人の責任は低く、窃盗に比べ法定刑は軽いものになっています。 仮に、窃盗事件おこしてしまい裁判になってしまったら、裁判上で遺失物等横領を主張することで、より軽い刑で裁判を終わらせることができる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、窃盗事件を多く取り扱っています。 窃盗事件でお困りの際は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。  

 

2 窃盗と委託物横領

窃盗とは、他人の物を、その所有・占有している者の意思に反して自己または第三者の占有下に移すことをいいます。
委託物横領とは、犯人が何らかの約束で占有している他人の物を、約束に反してその物の所有者でなければできないような処分をすることをいいます。

両者の違いは、被害品とされる物を誰が占有しているかというものです。
窃盗の場合は、被害者が被害品を占有しています。
他方、委託物横領は、犯人が被害品となる物を占有しています。 例えば、封のされた荷物を預かった場合、封を開け中の物を領得すれば窃盗、封のされた荷物自体を領得すれば委託物横領が成立します。 このような違いは、荷物自体の占有は預かった者にあるものの、荷物の中身の占有は依然として預け主にあるとされていることから生じるものです。

 

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