窃盗事件で被害届が出される前に

2021-04-08

窃盗事件被害届が出される前のポイントについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
福岡県直方市のコンビニでアルバイトをしていたAさんは、たびたび店の商品を店長の承諾なしに持って帰っていました。
ある日、異変に気付いた店長は、常習的な万引き犯による仕業ではないかと疑い、福岡県直方警察署への被害届提出も検討しています。
他のアルバイトからその話を聞いたAさんは、いずれ自分の犯行だったとバレてしまうのではないかと気が気ではなりません。
店長が被害届を出す前に、事件を穏便に解決することはできないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

窃盗事件の捜査の端緒

警察をはじめとする捜査機関は、犯罪があると考えるときに、犯人と思われる者を特定・発見し、必要な場合にはその身柄を確保するとともに、証拠を保全・収集します。
この一連の手続を「捜査」といいます。

捜査は、被害者からの被害届、警察官による職務質問や犯人の自首などをきっかけに開始されます。
捜査機関が犯罪があると考えるきっかけは「捜査の端緒」と呼ばれます。
捜査の端緒は、
①被害者や被害関係者からの被害届の届出、告訴・告発
②警察官による現認
③警察官による職務質問や取調べ
④犯人の自首
など様々な形があります。

窃盗事件においては、①被害者や被害関係者からの被害届の届出により、捜査が開始されることが多くなっています。

被害届とは

被害届は、被害者本人や被害者の関係者など、犯人や捜査機関以外の者が、捜査機関に対して、被害の事実について申告する届出のことです。
つまり、被害届は、「いついつ、どこどこで、どのような被害にあった。」と報告し、捜査機関に捜査をするよう求めるものなのです。

被害届と似ているものとして、捜査の端緒のひとつに「告訴」があります。
告訴も、被害届と同様に、被害事実の申告をしますが、告訴は、犯人の訴追・処罰を求める意思表示をする点で被害届と異なります。

被害届が出される前に

窃盗事件について、被害者等からの被害届の提出が捜査の端緒となるケースが多く、捜査機関も被害届の受理をもって捜査を開始します。
捜査が開始されると、捜査機関は犯人を特定し、必要な場合には犯人の身柄を確保します。
身柄が確保されない場合であっても、被疑者としての取調べを受けることになります。
捜査が終了すると、最終的には検察官が起訴・不起訴を決定します。
起訴され、有罪判決を受けると、窃盗罪であれば「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」という範囲内での刑が言い渡されます。

しかしながら、被害届が捜査機関に出される前に事件を解決することができれば、捜査機関の介入なしに穏便に事件を終わらせることができます。
その方法の1つとしては、被害届の提出前に被害者への被害弁償、示談を締結することがあげられます。
被害弁償は、犯罪により損害を被った被害者に対して、金銭等の賠償を行うことです。
窃盗事件では、被害が回復したかどうかという点が最終的な処分(起訴・不起訴の判断や量刑など)に大きく影響します。
示談は、被害者への謝罪および金銭的賠償を行う一方で、被害者が犯人を許し、被害届の提出を行わないなど、今回の事件は当事者間で解決したとする約束のことをいいます。
この示談が、被害者が被害届を出す前に成立したのであれば、捜査機関に事件が発覚することなく事件を穏便に終了させることができます。
例え、既に捜査機関が捜査を開始していたとしても、示談の成立をもって事件を終了する(不起訴や不送致といった形で)可能性は高いです。

捜査機関による介入を防ぐといった意味でも、被害届を出す前に被害者への被害弁償や示談成立を目指すことは重要となります。
窃盗事件を起こし、被害者への対応でお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

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