窃盗事件の被害者対応

2021-04-01

窃盗事件の被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
京都府伏見警察署は、知人宅で現金を盗んだとして、京都府京都市伏見区に住むAさんを住居侵入と窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんに家族は、被害者にきちんと謝罪と被害弁償をしたいと考えていますが、どのように対応すべきか分からず、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

窃盗事件における被害者への対応:被害の回復

窃盗罪は財産犯であり、個人の財産を保護法益とする犯罪です。
そのため、被害が回復したかどうかという点が、起訴・不起訴を決める際や量刑上大きく考慮されます。
そのため、窃盗事件においては被害の回復に向けた活動が重要になります。

1.被害弁償

被害の回復の主要な方法として、被害弁償があります。
被害弁償というのは、犯罪行為の被害者に対して、金銭等の賠償を行うことをいいます。
事案によっては、現場にて被害品が返還されていたり、警察を通じて還付されている場合があり、被害が回復されたとも言えることがあります。
しかしながら、万引きなどでは、被害品を再び商品として販売することができないことも多く、被害弁償を行うべき場合もあります。

2.示談

示談とは、加害者が被害者に対して謝罪や被害弁償を行った上で、加害者と被害者の間で今回の事件は解決したと約束することをいいます。
示談の際に、被害者からの「加害者に対する寛大な処分を希望する」、「厳罰は望まない」といった文言や、被害届や告訴を取り下げるといった内容を示談書に盛り込むことができれば、検察官が起訴・不起訴を判断する時や裁判所が判決において刑罰を決める際に大きく影響します。

3.供託

被害者への被害弁償や示談をすることができない場合には、被害弁償金を不法行為に基づく損害賠償責務の支払として、弁済供託するという方法も選択肢として挙げられます。
本来弁済を受け取る人が、何らかの理由で受け取らない場合に、供託所にその金銭を供託して、弁済した事実を明らかにしておくためになされる手続を弁済供託といいます。
刑事事件においては、供託は事件によって生じた被害を回復するための手段の一つとなります。

4.寄附

被害弁償や示談もすることができず、被害者の名前すらわからない場合には、贖罪寄附という選択肢も考えられるでしょう。
贖罪寄附は、加害者が、反省の思いを形にするために、慈善団体などに寄付をすることです。
贖罪寄附は、加害者の反省の気持ちを示すことにはなりますが、被害者に直接金銭が渡るわけではなく、被害が回復されたとは言えません。
そのため、被害者がいる事件では、被害弁償や示談を優先させるべきであり、贖罪寄附は、被害者のいない事件や、被害者がいる事件であっても、被害者への被害弁償、示談、供託ができない場合に行うものとなります。

財産犯においては、被害が回復されたか否かという点が、最終的な処分や量刑に大きく影響するため、被害者への対応は非常に重要となります。
そのため、できる限り早い段階から被害者対応に着手する必要があります。

しかしながら、加害者が直接被害者に対して被害の回復を行えるとは限りません。
加害者が逮捕・勾留されており、直接被害者に被害弁償や示談について話し合いを持てない場合や、被害者の連絡先を知らず捜査機関からも教えてもらえない場合、被害者が加害者との接触を拒む場合など、加害者が被害者に直接連絡することはできません。
そのようなときには、弁護士を介して被害を回復し、被害者との示談が成立するよう交渉するのがよいでしょう。
弁護士限りということで捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手することや、冷静な話し合いの場をもつことが期待できます。
また、加害者側も被害者と直接話し合うことに躊躇されることも少なくありません。

被害者対応にお悩みであれば、一度弁護士にご相談されてはいかがでしょう。

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