窃盗罪と微罪処分

2019-03-26

窃盗罪と微罪処分

福岡県北九州市に住むAさんは,職場からの帰宅途中,駅から自宅まで歩いて帰るのが面倒くさくなり,無人の駐輪場に停めてあったVさん所有の自転車1台(時価:5000円相当)(Vさんが当日駅に停め,帰りに駅から乗るつもりで駐車した自転車で,鍵は付けていなかった)を無断で乗り去りました。
その4日後,Vさんからの被害届を受け捜査をしていた福岡県八幡東警察署の警察官が,Vさんの自転車がAさん宅に停めてあるのを見つけました。
そこで,Aさんは,福岡県八幡東警察署において,Vさんの自転車を窃取した窃盗罪の件で事情を聴かれることになりました。
Vさんの自転車はすでにVさんに返却済みです。
Aさんとしては,Vさんに謝罪して示談したいと考えています。
(フィクションです)

~本件の弁護方針~

本件は自転車の時価が5000円で,しかも犯行から4日後には自転車が発見されたということですので,Vさんが自転車を使用する権利に対する侵害の程度もさほど大きいとはいえないでしょう。
よって,本件は,同じ窃盗罪の事件の中でも比較的軽微な事案といえます。
このように,窃盗を行ったことが明白で,かつ,事案が軽微な場合は,速やかに被害者の方にお詫び,謝罪をし,示談交渉を進めていくことが肝要でしょう。
そうすることで,微罪処分や不起訴処分などの有利な結果を獲得することに繋がりやすくなります。

~微罪処分とは~

微罪処分とは,警察が事件を検察庁を送致せず,被疑者への厳重注意,訓戒等で終了させる手続きのことをいいます。
本来,警察が立件した事件は警察→検察へと送致することが基本です(刑事訴訟法246条本文)。

刑事訴訟法246条
司法警察員は,犯罪の捜査をしたときは,この法律に特別の定がある場合を除いては,速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し,検察官が指定した事件については,この限りでない。

しかし,刑事訴訟法246条但書では,検察官が指定した事件については,この限りでない,つまり「送致しなくてもよい」とされており,これが微罪処分の根拠規定となっています。

~微罪処分のメリット~

微罪処分となれば,どんなメリットがあるのでしょうか?

=検察庁からの呼び出しを受けずに済む=

微罪処分となれば,事件が検察官の元に送致されませんから,検察庁から呼び出しを受けることはありません。
お勤めの方や学校に通われている方であれば,休みをとって出頭するという手間が省けます。

=刑事処分を受けないで済む=

検察庁に送致されないということは,刑事処分を受けることもありません。
一番不利な刑事処分は「起訴されること」ですが,微罪処分となれば,もちろん起訴されることはありません。

=裁判を受けないで済む=

起訴されることがないということは,裁判を受けなくて済むということを意味します。
正式裁判となれば,裁判所が指定した日に出廷しなければなりませんが,その手間が省けます。

=刑事処罰を受けなくて済む= 

起訴され,有罪となり,その裁判が確定すれば刑事処罰を受けなくてはなりませんが,微罪処分となれば起訴されませんし,裁判を受ける必要もありませんから,刑事処罰を受けなくて済みます。

=前科が付かない=

裁判で言い渡された刑事処罰の判断が確定すれば前科となりますが,微罪処分となれば裁判を受ける必要はありませんから,前科が付くこともありません。

~微罪処分獲得するためには~

冒頭でもご説明いたしましたが,何より,被害者の方にお詫び,謝罪し,示談交渉を進めていくことが肝要です。
しかし,示談交渉を進めるにしても,被害者の住所,署名,連絡先等の個人情報を取得することからはじめなければなりませんが,被害者も警察も加害者に被害者の個人情報を教えることはありません。
そこで,示談交渉を弁護士に依頼する意義が出てきます。
弁護士であれば,被害者あるいは警察から許しを得て被害者の個人情報を取得できる可能性があります。
そして,被害者の連絡先等を取得することができれば示談交渉に入ることができます。

示談交渉では様々な約束事や示談金額など重要な事柄について決めなければなりません。
それには,弁護士の交渉力や知識・経験が必要でしょう。
また,弁護士に示談交渉を任せれば,示談成立後は示談書という適切な形で話し合いの結果をまとめてくれます。
内容や形式に誤りがあると,のちのちのトラブルにも発展しかねませんから,ここでもやはり弁護士の力が必要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
微罪処分を目指したいと考えている方,そもそも自分の起こしてしまった事件が微罪処分の対象となりえるのか聞きたいという方など,刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制でご案内しております。
福岡県八幡東警察署の初回接見費用:41,540円)

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