【事例解説】留守中の家に侵入して窃盗を行ったとして男が逮捕
留守中の家に侵入して窃盗したとして男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、留守中のVさんの家に侵入して金品を盗み出しました。。
近隣で侵入窃盗事件が頻発していたため、警察が見回りを強化していたところ、ベランダに侵入しようとしているAさんを発見し侵入窃盗の疑いで逮捕しました。
警察からAさんを逮捕したという連絡を受けた、Aさんの両親は事件の詳細を知るために弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことにしました。
(フィクションです。)
闇バイトによる侵入窃盗の増加
最近、闇バイトによる強盗事件がよくニュースになっていますが、侵入窃盗事件についても増加しているようです。
侵入窃盗は、家人などが不在の住宅に侵入し金品を盗み出す「空き巣」、夜間家人などの就寝時に住宅に侵入し金品を盗み出す「忍び込み」、家人などが昼寝や食事をしているすきに住宅に侵入し金品を盗み出す「居空き」に分けられます。
簡単にいうと、住宅に侵入し、住宅内の金品を盗み出すことをいいます。
侵入盗について
AさんはVさんの家に侵入して金品を盗み出していますが、他人の住居に侵入した行為については刑法130条前段の住居侵入罪が成立し、金目の物を盗み出した行為については刑法235条の窃盗罪が成立することになります。
この住居侵入罪と窃盗罪は、窃盗を行うために他人の家に侵入したという関係が認められますので、窃盗罪を実行するという目的のために住居侵入罪という手段を用いたとして、住居侵入罪と窃盗罪の関係は、刑法54条1項後段に規定されている牽連犯の関係になると考えられます。
住居侵入罪と窃盗罪が牽連犯の関係になると、住居侵入罪と窃盗罪のうち「その最も重い刑により処断」されることになります。
住居侵入罪と窃盗罪の法定刑を比較すると、住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となっていて、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっていますので、窃盗罪の方が法定刑が重いことが分かるかと思います。
そのため、事例のような侵入盗をしたとして住居侵入罪と窃盗罪の疑いで逮捕された場合は、窃盗罪の法定刑が適用されることになります。