【事例解説】少年による窃盗事件(前編)
今回は、窃盗事件を起こしてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは、高校3年生の17歳です。
日頃からもっと遊ぶお金が欲しいと思っていたAさんは、学校の休み時間に誰もいない時間を狙って、友人Vさんのカバンの中から財布を盗み、財布の中の現金3万円を使ってしまいました。
Vさんは、すぐに財布が無いことに気が付き、警察に被害届を提出しました。
後日、警察の捜査により、Aさんが犯人と特定されて取調べを受けることになってしまいました。
(事例はフィクションです。)
何罪となるのか
Aさんの行為は窃盗罪として捜査を受けることになるでしょう。
窃盗とは、他人の財産を盗んだ者は、窃盗の罪として、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると刑法235条に規定されています。
Aさんは17歳の高校生です。
17歳の刑事事件については少年法が適用されることになります。
現在、法律により成人年齢は18歳に引き下げられていますが、20歳未満の刑事事件は、少年事件として扱われます。
(少年事件における少年は、男女とも含みます。)
少年事件でも逮捕されてしまうのか
少年事件でも逮捕されることはあります。
Aさんも成人と同じように逮捕されてしまう可能性はあるといえるでしょう。
逮捕されれば、最大で23日間の勾留がなされてしまう場合があります。
逮捕後の手続きは、基本的には成人と同じ手続きが取られます。
成人と異なる点として、勾留ではなく、観護措置として少年鑑別所に送られる場合があります。
観護措置とは、家庭裁判所に送致された少年の審判を円滑に進めたり、少年の処分を適切に決めるために裁判官が審判を行うため必要があると判断した場合に少年を少年鑑別所に送致して一定期間収容することをいいます。
また、逮捕されない場合として、「14歳に満たない者の行為は罰しない」と定められています。
14歳未満の子どもは「触法少年」と呼ばれ、刑事責任能力がないとみなされて罪に問われません。
(刑法第41条)
ただし14歳未満の未成年者は逮捕されなくても、警察から事情聴取を受けたり、児童相談所に一時保護されて身体拘束を受けることはあります。