高齢者と万引き
高齢者と万引き
東京都練馬区に住む高齢女性のAさん(79歳)は、4年前に夫と死別し、現在、一人暮らしです。
Aさんは普段、買い物するとき以外はめったに外出せず、話相手もいません。
そして、Aさんは、ある日、いつもどおり夕食の買い物に出かけました。
Aさんは、買い物かごに野菜や魚などを入れ、最後にお菓子コーナーに行きました。
Aさんは好きなスナック菓子を見て、「毎日、毎日、同じ生活で退屈だ。」「これくらい盗んでも迷惑はかからないだろう。」と思い、持ってきた手提げバックの中にスナック菓子1袋(販売価格216円)を入れました。
その後、Aさんは、レジで買い物かごに入れた商品のみを精算し、店外へ出たところ、保安員という女性から腕をつかまれ「どうしてか分かりますよね?」などと言われました。
Aさんは事務室に連れていかれ、駆け付けた警視庁石神井警察署の警察官に事情を聴かれました。
そこでAさんは、「毎日、毎日、同じことの繰り返しで寂しかった。」「話相手が欲しかった。」などと話しており、万引きしたことについては素直に認めています。
Aさんは逮捕されることはありませんでしたが、後日警視庁石神井警察署に改めて呼ばれることになりました。
Aさんは、Aさんの息子とともに、今後の事件の見通しや対応などについて弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
~ はじめに ~
平成30年度版犯罪白書(以下、犯罪白書といいます)によると、平成29年度に刑法犯で検挙された高齢者(65歳以上の者)の数は4万6264人で、平成10年の1万3739人から約3.4倍増加したとのことです。
そして、罪名別にみると、「窃盗罪」で検挙された高齢者が圧倒的に多いことが分かっています。
ちなみに、犯罪白書によれば、
① 窃盗罪 50.8% (うち万引きが30.8%、万引き以外が20%)
② 傷害、暴行罪 21.7%
③ 横領罪 8.3%
④ 詐欺罪 4.6%
⑤ その他 14.6%
という順になっています。
また、この中でも高齢女性の万引きの割合が高いことが目を引きます。
犯罪白書によれば
65歳から69歳 86.7%(うち万引きが69.5%、万引き以外が17.2%)
70歳以上 93.1%(うち万引きが82.5%、万引き以外が10.6%)
が窃盗罪を占めており、特に、70歳以上の女性高齢者については、82.5%が万引きを占めています。
~ 万引きは窃盗罪 ~
万引きはいうまでもなく窃盗罪です。
窃盗罪は刑法235条に規定されており、罰則は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
また、万引きを常習的に繰り返すと、常習累犯窃盗罪という罪に問われ、「3年以上の懲役」に処せられる可能性があります(ただし、窃盗罪などでの服役前科が過去10年以下に3回以上あることなどが必要)。
高齢者だからといって量刑が軽くなることは基本的にはありません。
~ 万引きで微罪処分を目指す ~
微罪処分とは、簡単にいうと、警察で検挙されても事件が検察庁へ送致されない手続のことをいいます。
検察庁へ送致されないわけですから、微罪処分となれば、
・起訴、不起訴の刑事処分を受けない
・懲役刑、罰金刑の処罰を受けない
・前科が付かない
というメリットを受けることができます。
犯罪白書によれば、平成29年における高齢者の微罪処分人員2万3965人のうち8割を窃盗罪(うち万引きは65.2%)が占めたとのことです。
微罪処分を獲得するには、まずは被害者に対し真摯に謝罪するとともに、示談交渉を進めて示談を締結し、その結果を警察に提出する必要があります。
示談交渉は弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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