万引きを繰り返すほど重罰に

2019-07-09

万引きを繰り返すほど重罰に

神奈川県相模原市に住むAさんは、万引きの常習犯です。
食べるものに困っているわけではないのですが、どうしても万引きをやめられないAさん。
ある日、Aさんはコンビニで店員の目を盗み、自分のカバンに商品を入れ、店舗の外に出ました。
しかし、犯行の様子を見ていた他のお客が店員に伝え、店員が防犯カメラの映像を確認。
Aさんの犯行が発覚し、Aさんは神奈川県津久井警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~万引きで成立する犯罪~

お金はあるのに万引きをやめられないという依存状態に陥っている方がいます。
クレプトマニア、あるいは窃盗症などと呼ばれる精神疾患の一つであることもあり、そうした場合には医療的ケアが必要でしょう。

なお、万引きをすると窃盗罪が成立します。

刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~複数の窃盗を行っていた場合~

Aさんは万引きの常習犯なので、より重く処罰される可能性があります。
すなわち、今回の窃盗とは別の機会に行った窃盗についても証拠が揃い、同時に刑事裁判にかけられることになった場合、併合罪(刑法45条以下)と呼ばれる処理がされます。

懲役刑を科す場合、窃盗罪懲役10年以下ですので、刑法47条の規定により、1.5倍の15年以下の範囲内で懲役が科される可能性があります(3つ以上の犯行を同時に刑事裁判にかける場合も15年以下です)。
罰金刑を科す場合は、窃盗罪50万円以下ですので、刑法48条2項により「50万円×起訴された窃盗罪の数」の金額の範囲内で罰金が科される可能性があります。

~再犯加重~

Aさんに前科がある場合は、さらに重く罰せられる可能性があります。

刑法第56条第1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。

第57条
再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。

つまり、前科で実刑判決を受け服役し、出所日から5年以内に再犯した場合、通常の窃盗罪の2倍にあたる20年以下の範囲で懲役を科される可能性があるわけです。
なお、前科の犯罪が執行猶予判決だったのであれば、執行猶予が取り消され、前科の刑罰と今回の窃盗の刑罰の両方が科される可能性があります。

~常習累犯窃盗~

さらに、Aさんが窃盗で過去10年以内に懲役6か月以上の執行を3回以上受けていた場合、常習累犯窃盗として、3年以上20年以下の懲役となる可能性があります(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条参照)。

前述の再犯加重も20年以下の懲役ですが、「○年以上」といった下限の設定がないので、下限は1か月となります(刑法12条1項参照)。
これに対し常習累犯窃盗の場合、より悪質性が強いので、下限が3年となるわけです。

~刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続く可能性があります。
そして刑事裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

刑事裁判では、万引きでも前述のような重い処罰を受ける可能性は否定できません。
しかし、凶悪犯罪ともいえないので、常習性がどの程度進んでいるかといった事情にもよりますが、検察官が被疑者を裁判にかけないという判断(不起訴処分)をしたり、起訴されても罰金刑などで終わる可能性もあります。

弁護士としては、被害店舗に弁償して示談を締結したり、被疑者が反省の態度を示していること、治療に通っていること、家族の監督が望めることなど、本人に有利な事情があれば出来る限り主張し、軽い処分・判決を目指す弁護活動をしていくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事弁護を専門とする事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
窃盗罪などで逮捕された、捜査を受けたという場合には、一度弊所の弁護士にご相談ください。

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