窃盗症(クレプトマニア)の弁護活動

2020-03-10

窃盗症(クレプトマニア)の弁護活動

今回は、窃盗症の方が引き起こした窃盗事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
東京都台東区に住むAさんは度々近所のスーパーやコンビニエンスストアで万引きを繰り返しており、同種前科もいくつかあります。
心療内科に相談し、医師からは窃盗症の疑いがあると告げられていましたが、特に継続して心療内科に通うことはしませんでした。
ある日も、Aさんは近所のスーパーで万引きをしたところ店員に見つかり、通報を受けた警視庁上野警察署の警察官も到着しました。
これまで万引きを行った時は、身元引受人として夫に来てもらい、帰宅することができていました。
しかし、「今回はもう帰宅を許せないよ」と言われ、窃盗の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~窃盗事件の起きる背景~

窃盗事件は、経済的な困窮を背景に発生することもありますが、なかには、お金に困っていないのに窃盗行為に走ってしまう人もいます。
このような状態を窃盗症(クレプトマニア)といいます。

窃盗行為に走るときの緊張感や、窃盗に成功した際の満足感を味わうために事件を起こしていると説明されることが多いです。
これに関連して、盗んだ物の価値には興味がないこともあり、窃盗に成功した後は、元の場所に返却するケースもあります。

もっとも、ほとんど価値のなさそうな物であっても、他人の財物を盗めば窃盗罪が成立しますし、元の場所に返したとしても、窃盗罪が成立しなくなるわけではありません。
同じような行為を重ねていれば、より重い処分・判決を受けることにもつながります。

~Aさんは今までなぜ帰宅できていたのか?~

これまでAさんが帰宅を許されていたのは、微罪処分(ビザイショブン)あるいは在宅事件扱いになっていたからでしょう。

【微罪処分】
本来、警察が事件を捜査した後は、検察による捜査に移ります。

しかし、犯罪捜査規範第198条によれば、「捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる」とされています。
これを微罪処分(ビザイショブン)といいます。

軽微な事件について、被害者が特に処罰を求めないようなケースにおいては、警察限りで事件を終了させ、検察に事件を送致しない、ということです。
この場合、裁判にかけられることもなく、前科も付きません。

【在宅事件】
警察は、犯罪をしたと疑われる人を逮捕することが出来ますが、比較的軽い事件では逮捕しないことも多くあります。

このような事件のことを在宅事件と呼びます。

在宅事件では、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて裁判を受ける流れになります。

【今回は逮捕】
ところがケースのAさんのように万引きを繰り返し、前科も付いている場合には、同じような万引きをした場合でも、今回は逮捕するという展開になることもあるわけです。

~Aさんに必要な弁護活動~

Aさんのように窃盗を繰り返す者の裁判は、罰金刑→執行猶予付きの懲役刑→実刑判決と重くなっていく傾向にあります。
少しでも軽い判決を得るためには、早急に被害店舗に弁償し、示談を成立させる必要があります。

また、窃盗症の疑いがある、ということであれば、専門の病院で治療を受けることにより、再犯のおそれが低いことをアピールすることが考えられます。
ところが残念ながら、窃盗症の治療を実施できる施設はあまり多くありません。
Aさんの受け入れ先を探す必要もありますし、そもそも逮捕・勾留されている状況では、このような治療を受けることができません。

したがって、早期の身柄解放を実現する必要があります。
早期の身柄解放を実現できる可能性を高めるために、より早い段階で弁護士を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
繰り返されるご家族の窃盗事件にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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