窃盗罪で取調べ・犯罪不成立の主張

2020-03-15

窃盗罪で取調べ・犯罪不成立の主張

窃盗罪の容疑で取調べを受けた事案における、犯罪不成立の主張などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】
Aは、東京都東村山市内の路上に停めてあった自転車を、無断で乗り去った。
その後、その自転車で移動していたAは偶然、警視庁東村山警察署の警察官とすれ違う形になった。
自転車を無断使用しているという意識から不自然な動きになっていたのか、警察官から職務質問をされることになった。
そして防犯登録番号から、Aの自転車ではないことが判明。
警察署まで任意同行を求められた上で取調べを受けた。
その日は帰宅を許されたAだが、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにした
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~窃盗罪~

刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

この条文では明確に書かれていませんが、判例・通説によれば、窃盗罪占有を侵害する罪であると考えられています。
したがって本件では、被害物である自転車に持ち主等の占有が及んでいるかが問題となります。
占有が及んでいるのであれば、Aが乗り去ったことにより持ち主等の占有を侵害したことになり、窃盗罪が成立します。

占有が及んでいたかどうかは、物に対する事実的支配があったかどうかによって定まるとされています。
具体的には、停めてあった場所が誰でも出入りすることが可能であった場所か、鍵がかかっていたか、持ち主が近くにいたか、といった諸事情をふまえて、持ち主の支配下にあったといえるかどうかにより判断されます。

~占有離脱物横領罪~

仮に自転車に持ち主等の占有及んでいないと考えられる場合、今度は占有離脱物横領罪が成立しないか問題になります。

刑法254条は、「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する」と定めています。
路上に落とされた財布を勝手に持ち帰った場合などに成立する可能性が高い犯罪です。

占有離脱物横領罪は窃盗罪とは異なり、所有権の侵害を問題にする犯罪です。
したがって、たとえば路上に無施錠でしばらく放置されていたといった理由により、自転車の持ち主等の占有が認められないと判断された場合でも、横領行為(本件では無断で自転車を乗り去る行為)によって所有権を侵害したと言えるのであれば、占有離脱物横領罪が成立することになります。

~犯罪不成立の主張~

しかし、本件のような事例では、そもそも占有離脱物横領罪すら成立しない可能性が考えられます。

上述のように、窃盗罪が認められない場合に検討される占有離脱物横領罪は、所有権を保護するための規定です。
したがって、本件自転車の所有者が、自転車を駐輪場に廃棄する意図などを持って自転車を停めていた場合には、もはや所有権は放棄されているとも考えられます。

このような場合には、所有権の侵害自体が認められませんから、窃盗罪はおろか占有離脱物横領罪すら成立しないことになるのです。

そこで弁護士としては、これらの事実を精査し、そもそも犯罪が成立しないとの主張を行うことも考えられるでしょう。
このような主張が認められれば、不起訴処分を得ることが可能となります。

このように犯罪が成立するかどうかといった判断は、非常に難しい場合も多いので、ぜひ弁護士にご相談ください。

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