常習累犯窃盗で起訴

2021-03-11

常習累犯窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府東成警察署は、令和3年3月1日の置き引き事件の被疑者としてAさんを逮捕しました。
Aさんは、窃盗等の前科が多数あり、これまで窃盗等で3回にわたり刑に処せられ服役しています。
3回のうち2件は侵入盗、1件は万引きによるものでした。
大阪地方検察庁は、Aさんを常習累犯窃盗起訴しました。
(フィクションです。)

常習累犯窃盗とは

「盗犯等の防止及び処分に関する法律」(以下、「盗犯法」といいます。)は、その3条で、いわゆる「常習累犯窃盗」等の罪について定めています。

第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル

昭和5年に公布された古い法律ですので、若干読みづらいですが、常習として窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前の一定の前科を考慮して、その習癖のない者より重く処罰することとしています。

常習累犯窃盗罪が成立するためには、「常習として」
①本件犯行とされる行為の前10年以内に、
②窃盗・強盗の罪若しくはその未遂罪、又は、それらの罪と他の罪との併合罪について、
③3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得た
ことが必要となります。

ここでいう「常習として」とは、機会があれば抑制力を働かせることなく容易に窃盗を反復する習癖をいうものと理解されています。
この常習性が認められるかどうかは、行為者の前科・前歴、素行、犯行動機、犯行手口、犯行態様、犯行回数、犯行間隔等を総合的に判断して検討されます。
そのため、単に今回は置き引きで今までの窃盗と手口が異なるというだけでは、常習性が否定されるわけではありません。

①行為の前10年以内に
構成要件の①である「行為の前10年以内」とは、本件犯行とされる行為が開始された前日から10年以内ということを意味します。
上の事例においては、逮捕容疑の窃盗は令和3年3月1日に行われたものであるため、令和3年2月28日から10年以内、つまり、平成23年3月1日から令和3年2月28日の間に、ということになります。

②窃盗・強盗の罪、その未遂、併合罪
窃盗罪、強盗罪、事後強盗罪、昏酔強盗罪、それらの未遂罪や、それらの罪に他の罪が併合罪として併せて処罰され、服役している場合も含まれます。
つまり、他の罪と併せて処罰されていても、窃盗や強盗が入っていれば②の要件に該当するということです。

③3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得た
この3回という回数は、執行され又は執行を免除された刑のみをカウントすればよく、その刑が言い渡された判決の数は関係ありません。
3回の刑のうち最初の刑については、その刑の執行終了日が10年以内であればよく、その執行開始日が10年以内である必要はありません。

常習累犯窃盗は、通常の窃盗とは異なり、その法定刑に罰金刑はありませんので、起訴された場合、略式手続に付すことはできず、必ず公判請求されることになります。
常習累犯窃盗に当たるのか、単なる窃盗となるのかにより、最終的な結果にも大きく影響することになります。
そのため、早期に弁護士に相談し、適切に対応することが望ましいでしょう。

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