窃盗事件で控訴
窃盗事件で控訴する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
侵入盗事件で兵庫県芦屋警察署に逮捕されたAさんは、その後3件の侵入盗事件で神戸地方検察庁尼崎支部に起訴されました。
その後、Aさんは、神戸地方裁判所尼崎支部に懲役1年の実刑判決が言い渡されました。
判決に納得いかないAさんは、第一審の弁護人に控訴について相談しています。
(フィクションです。)
控訴について
被告人は、裁判に対する不服を理由として当該裁判の確定を遮断し、上級裁判所に対して新たな裁判を求める不服申立を行うことができます。
このような権利を「上訴権」といいます。
「控訴」は、第一審の判決に対する上訴であり、控訴審判決に対する上訴を「上告」といいます。
上訴権は、憲法で保障されている「裁判を受ける権利」を具体化したものですが、無制限に認められるものではなく、満たすべき要件が設けられています。
◇控訴の要件◇
控訴が認められるためには、様々な要件を満たしている必要があります。
1.期限
控訴することが出来る期間は決まっており、第一審の判決正本が送達された日の翌日から起算して2週間です。
この期間内に控訴申立書を第一審の裁判所に提出する必要があります。
その後、控訴裁判所が定めた期限までに控訴趣意書を提出しなければなりません。
期限を過ぎて提出した場合には、やむを得ない事情に基づくと認められない限り、控訴棄却の決定がなされます。
2.控訴理由
控訴は、第一審の判決の誤りに対する不服申立であるため、申立てた者は、その判決に誤りがあること(控訴理由)をきちんと主張しなければなりません。
控訴理由については、刑事訴訟法に定められており、次の4つに分類されます。
①法令違反
・法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
・法令により判決に関与することができない裁判官又は裁判員が判決に関与したこと。
・審判の公開に関する規定に違反したこと。
・不法に管轄又は管轄違いを認めたこと。
・不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
・審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
・判決の理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
・上記以外の訴訟手続の法令違反があり、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。
・法令の適用に誤りがあって、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。
②量刑不当
宣告刑が具体的事案において重すぎる、あるいは軽すぎることを控訴の理由とするものです。
情状事実の誤認や評価の誤りといった裁量的加重減免、酌量減軽、刑種の選択や刑期の長短、刑の執行猶予、罰金の換刑処分、選挙権・被選挙権の停止・不停止等も量刑不当の問題となります。
③事実誤認
証拠から実体法的事実を認定するにあたって、証拠の価値判断や取捨選択を誤り、あるいは証拠から認定事実を推理判断する過程において論理法則・経験則のあてはめを誤り、その結果として事実認定を誤ることを「事実誤認」といいます。
事実認定を誤ったことにより、判決に影響を及ぼすことが明らかであることが控訴理由足り得るのです。
④再審事由・刑の廃止等
再審の請求ができる場合に当たる事由があることや、判決があった後に刑の廃止もしくは変更又は大赦があったことも控訴事由となります。
②量刑不当や、③事実の誤認を控訴理由として申し立てる場合、第一審の訴訟記録および証拠に現れている事実に加えて、一定の限度で控訴審での新証拠に基づく事実を主張することができます。
やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった証拠によって証明することのできる事実、あるいは、第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であり、量刑不当または事実誤認の控訴理由がある場合には、訴訟記録および原裁判所において取り調べた証拠に現れている事実以外の事実であっても、控訴趣意書に援用することができます。
量刑不当を主張する場合、原判決後に被害者との示談が成立したことは、被告人の有利に働きます。
単に、第一審で主張した事情を繰り返すことでは意味がありません。
量刑相場との対比、余罪の評価が適切であるか、前提事実に誤認がないか、原審の事情で正当に評価されなかったものはないか、被告人に有利となる弁論終結後の事情はないか、など注意深く検討する必要があります。
控訴を検討されている際には、控訴理由に該当する事情がどの程度見込めるのか、刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
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