万引きで実刑!?
万引きで実刑となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
埼玉県大宮警察署は、スーパーマーケットで万引きをしたとして、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、身元引受人として家族が迎えに来て釈放となりましたが、Aさんはこれまでにも万引きの前科・前歴があり、今度ばかりは実刑となるのではないかと心配しています。
釈放された翌日、Aさんと家族は、刑事事件に強い弁護士に法律相談の予約を入れました。
(フィクションです。)
万引きが犯罪であることは、みなさんご存じであることと思いますが、犯罪は犯罪でも軽微な犯罪であることから、万引きをしたからといって、刑務所に入るようなことにはならないと、万引きを軽く考えておられる方も少なくないのではないでしょうか。
確かに、万引き行為それ自体は、窃盗罪に当たるものの、侵入盗や自動車等といった被害額が高額になる窃盗と比べて、窃盗の中でも軽いと部類に当たります。
初めて万引きで検挙された場合であれば、被害額もそれほど高くなく、被害弁償も済んでいるのであれば、微罪処分で処理されることが多くなっています。
微罪処分とは、犯罪事実が極めて軽微で、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについて、事件を検察官に送致せず、警察で事件を処理する処分のことです。
警察での取調べを1度だけ受けて、それ以降、警察や検察官に呼ばれることなく事件が終わった場合は、微罪処分で処理されているケースです。
万引きでの検挙も2回目となれば、微罪処分とはならず、検察官に事件が送られます。
検察官に事件が送致されると、今度は検察官から呼び出しを受けて、検察官からの取調べを受けます。
被害額や被害弁償の有無等により、被疑者が被疑事実を認めている場合であっても、検察官は、起訴猶予として起訴しない旨の決定をする可能性が高いです。
起訴されなければ、有罪判決を受けることはありませんので、前科は付きません。
ただ、微罪処分でも不起訴処分でも、被疑者として捜査の対象となったという前歴は残ります。
万引きといえども、何度も何度も繰り返している者に対して、軽い処分が下されるわけではありません。
被害額が少なくても、再犯の回数が増えれば、その分思い処分が下されます。
おおよそですが、2~3回目の万引きで検挙された場合は、起訴猶予となる可能性がありますが、それ以上となれば、起訴される可能性が高くなります。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、検察官が起訴する場合であっても、略式起訴とすることができます。
略式起訴は、法廷での裁判を開くことなく書面での審理で罰金刑とするよう求めるものです。
簡略化された手続であるため、被告人が公開の法廷に立って審理されることはなく、言い渡される罰金刑の罰金を納付すれば刑事手続は終了します。
手続が簡略されていても、言い渡されるのは有罪判決なので、前科が付くことに変わりありません。
そして、前科がある万引き犯の場合であれば、検察官は、略式起訴ではなく公判請求をする可能性が高くなります。
今度は、公開の法廷で審理を受けることになります。
万引きのケースでは、公判請求されたからといって、いきなり実刑が言い渡されるわけではありません。
ほとんどのケースで執行猶予が付きます。
では、万引き事件で実刑となる可能性が高いのは、どのようなケースかと言いますと、執行猶予期間中の再犯である場合です。
刑の執行猶予とは、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予し、その期間内に再度罪を犯さないことを条件として、刑罰権を消滅させる制度です。
「執行猶予期間中に再度罪を犯さないことを条件」としているため、その条件を破ってしまえば、執行猶予が取消されてしまうのです。
刑の執行猶予が取消されるので、刑が執行される、つまり、懲役刑であれば刑務所に収監されることになります。
軽微な犯罪と言われる万引きであっても、何度も繰り返した結果、実刑となることがあるのです。
効果的な再犯防止策を早めに講じておくことが何よりも重要ですが、執行猶予中に再び罪を犯してしまった場合には、要件は通常の執行猶予と比べるとより厳しいのですが、「再度の執行猶予」という制度もありますので、刑事事件に強い弁護士に早期に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗をはじめ刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
万引きの再犯で、実刑の可能性もある場合には、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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