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窃盗犯が自首したら
窃盗犯が自首をした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都狛江市の会社に勤務していたAさんは、つい魔が差して、更衣室にある他の従業員のロッカーに置いてあった財布から現金を抜き取り、そのまま盗ってしましました。
被害に遭った従業員は会社側に被害を申告し、会社は窃盗事件として警視庁調布警察署に相談しました。
警察に相談したことを知ったAさんは、自分の犯行であることが発覚するのは時間の問題だと思い、調布警察署に自首しようと考えています。
(フィクションです。)
自首とは
自首は、罪を犯した者が捜査機関に対して、自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求める意思表示のことです。
自首については、刑法第42条において次のように規定されています。
1 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
法律上の自首が成立するためには、
①捜査機関に対して、
②犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、
③自発的に自己の犯罪事実を申告し
④訴追を求める意思があること
が必要となります。
①捜査機関に対して行うこと
自首は、「捜査機関」に対して行わなければなりませんが、ここで言う「捜査機関」というのは、検察官または司法警察員です。
ただし、検察事務官や司法巡査に対して自首した場合であっても、彼らは検察官・司法警察員に自首した者の身柄を引き渡すことになっているので、実際は、検察事務官や司法巡査に対して自首を申し出ても問題はありません。
②犯罪事実が捜査機関に発覚する前に行うこと
自首は、犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合、および、犯罪事実は発覚していても、その犯人が誰であるか発覚していない場合に行われなければなりません。
そのため、犯罪事実および犯人が誰であるかは判明しているが、単に犯人の所在だけが不明である場合は、「犯罪事実が捜査機関に発覚する前」とは言えません。
③自発的に自己の犯罪事実を申告すること
犯罪事実を自発的に申告していることが必要で、取調べや職務質問中に、犯罪事実を自白したとしても、それは自発的な申告とは言えず、自首には当たりません。
④訴追を求める意思があること
自首の成立には、罪を犯した者が、自身の処罰・処分を求めていなければなりません。
犯罪の一部を隠蔽するために申告する場合には、自首は成立しません。
窃盗事件で自首をした場合
法律上の自首が成立した場合には、刑が減軽される可能性があります。
「可能性」といったのは、刑法第42条にもあるように、「その刑を減軽することができる。」という文言から、裁判官が裁量によって刑を軽くすることができる、ためです。
どの程度刑が減軽されるのかは、刑法第68条で定められています。
第68条 法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮とする。
2 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の2分の1を減ずる。
5 拘留を減軽するときは、その長期の2分の1を減ずる。
6 科料を減軽するときは、その多額の2分の1を減ずる。
窃盗罪で起訴され、有罪となった場合、裁判官は、窃盗罪の法定刑である「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」から、「5年以下の懲役または25万円以下の罰金」の範囲内で刑を言い渡すことができます。
刑の減軽の他に、自首をした場合には、逮捕・勾留を回避できる可能性もあります。
自ら犯罪事実を申告し、処罰を受ける覚悟でいる者について、逮捕・勾留する必要性がないと判断される場合があり、その場合には、被疑者の身柄を拘束しないで捜査が進められます。
自首が成立するか否か、自首が成立する場合にはどのような処分となるのか、自首した後の流れなど、自首する前に一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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窃盗と事後強盗
窃盗と事後強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、東京都杉並区のスーパーマーケットで買い物をしていました。
所持金は1万円以上あったものの、段々とお金を払うことが惜しくなったAさんは、未精算の商品数点をマイバッグに入れ、精算済みのように装って、かごに入れた商品については通常通りセルフレジで精算しました。
スーパーマーケットを出ようとしたところで店員に声をかけられたAさんは、頭が真っ白になり、店員の身体を力いっぱい押してしまいました。
すると、店員は倒れ、倒れた際に怪我をしてしまいました。
Aさんは、通報を受けた駆け付けた警視庁荻窪警察署の警察官に、事後強盗の容疑で逮捕されました。
Aさんは、調べに対して、「万引きが見つかって慌てた。相手に怪我を負わせるつもりはなかった。」と話しています。
(フィクションです。)
万引きを行った場合、通常は、窃盗罪が適用されます。
しかし、万引きが店員などに見つかり、逃げようとして店員などを殴ったり押したりすると、窃盗ではなく事後強盗の罪に問われる可能性があります。
事後強盗とは
刑法第238条は、
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
と規定しています。
つまり、本条は、窃盗犯人が、ある条件のもとで暴行・脅迫を行う行為を強盗とするとしています。
■主体■
事後強盗の主体は、「窃盗」です。
ここでいう「窃盗」は、窃盗犯人のことです。
窃盗犯人ですので、詐欺罪や強盗罪といった罪の犯人はこれに含まれません。
また、窃盗罪の実行に着手した者であればよく、窃盗自体の既遂・未遂は問いません。
■行為■
事後強盗罪の実行行為は、「暴行・脅迫」です。
事後強盗罪は強盗として論じられるものであるため、暴行・脅迫の程度は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度で、財物の取返しや逮捕の行為を抑圧するに足りる程度のものであることが必要となります。
暴行・脅迫は、窃盗の被害者に対して行われたものである必要はなく、身柄を確保しようとした第三者に対するものでも構いません。
また、問題となる暴行・脅迫は、窃盗の機会に行われていなければなりません。
換言すると、窃盗と暴行・脅迫との間に、状況的なつながりが求められます。
窃盗の機会に行われた暴行・脅迫であるかどうかの判断は、窃盗と暴行・脅迫との間の時間的・場所的近接性、関連性を考慮して行われます。
場所的接近性については、暴行・脅迫のなされた場所が、窃盗の犯行現場又はこれに接着した場所であること、時間的接近性に関しては、暴行・脅迫をした時点が少なくとも窃盗に着手した以後であって、遅くとも窃盗の犯行終了後間もないことが考慮される要素となります。
関連性については、時間的、場所的に離れている場合でも、被害者に追跡され続けている場合のように、暴行・脅迫したことと、窃盗の事実との間に関連があることが考慮されます。
■目的■
事後強盗罪の成立には、暴行・脅迫が「財物を得てこれを取り返されることを防ぐ」、「逮捕を免れる」、あるいは、「罪跡を隠滅する」ために行われることが必要となります。
被害者が実際に財物を取り戻す行為や逮捕する行為をしていない場合でも構いません。
Aさんは、万引きが発覚して慌てて相手を押し倒したのですが、逮捕を免れるために咄嗟に暴行を加えたと認められる可能性があります。
事後強盗は、強盗として論じられるため、その法定刑も強盗罪と同様の5年以上の有期懲役です。
また、相手方に怪我を負わせた場合には、強盗致傷となる可能性があり、その場合の法定刑は無期又は6年以上の懲役と、刑が加重されます。
万引きであっても、その後の態様により事後強盗や強盗致傷となることもあります。
強盗致傷罪は、法定刑も重く、裁判員裁判対象事件ですから、事案を十分に分析し、場合によっては、窃盗罪と傷害罪とに認定落ちする形で事実認定するよう、検察官に働きかける必要が出てくることもあります。
また、窃盗も強盗も財産犯ですので、何よりも被害者に対して被害弁償をし、示談をする必要があります。
犯行の際に、被害者に対して暴行・脅迫を行っていることから、被害者感情が強く、示談交渉がスムーズに進まないことが予想されますが、弁護士は、被害者の気持ちに寄り添いながら粘り強い示談交渉を行うことが期待されます。
事後強盗罪は重い罪ですが、できる限り寛大な処分となるよう早期に弁護士に相談し、弁護を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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窃盗の共犯事件
窃盗の共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡県若松警察署は、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、知人のBさん、Cさんと共謀し、市内の事務所に深夜侵入し、現金やパソコンなどを盗んだと疑われています。
Aさんは、「BやCが事務所に入って盗んだのであって、自分は車で待機して見張るように言われていただけだ。」と供述しています。
(フィクションです。)
共犯とは
共犯とは、広義には、2人以上が協力して犯罪を実現する場合のことをいいます。
共犯は、法律上、単独犯として規定されている犯罪を2人以上の者が協力して行う場合を任意的共犯といい、刑法などの規定上、本来的に2人以上の者の共同の行為が必要とされている場合を必要的共犯といいます。
窃盗犯は、任意的共犯であり、それは更に、共同正犯、教唆犯、幇助犯に分類されます。
共同正犯
共同正犯は、2人以上の者が、1個の犯罪を共同して実現する意思の連絡のもとに、各人が実行行為の一部を分担して犯罪を実行した場合のことです。
共同正犯は、他人と犯罪を共同実行した者は、各自がそれぞれ惹起した結果だけでなく、他の共同者が惹起した結果についても責任を問われるという点に特徴があります。
それは、2人以上の者が共同して犯罪を遂行するという合意に達し、その共同実行の意思のもとに、相互に他人の行為を利用して補充し合って犯罪を実現した場合、それぞれの関与者の行為は一体となって犯罪の遂行に結び付いたと認められるからです。
共同正犯の成立には、①共同実行の事実、及び、②共同実行の意思、が必要となります。
②共同実行の意思
共同正犯の成立に必要な主観的要素である「共同実行の意思」とは、2人以上共同して、ある構成要件に該当する事実を実現しようとして通じ合う意思のことです。
窃盗であれば、犯罪を行うに際して、他の実行者との間で、相互に他人の行為を利用し補充し合って、「他人の財物を不法領得の意思に基づいて窃取する」ということを実現させる意思を共有していなければなりません。
単に他人の行為を傍観したり認識しているだけでは、共同実行の意思があるとは認められません。
①共同実行の事実
共同実行の事実とは、2人以上の者が共同して実行行為を行うことをいいます。
「共同して」というのは、共同者全員が相互に他人の行為を利用し補充し合って犯罪を実現することを意味します。
共同実行の事実には、共同者全員が実行行為を分担しあって犯罪を実現する場合(「実行共同正犯」)と、複数人が特定の犯罪を行うため、共同実行の意思のもとに相一体となって、互いに他人の行為を利用し各自の意思を実行に移す謀議をなし、これら共謀者のうちのある者が共同の意思に基づいて実行した場合(「共謀共同正犯」)との2つの態様があります。
共謀共同正犯の場合、直接的には実行行為に及ばなかった者でも、謀議により共同正犯の責任を負うことになります。
共謀共同正犯は、2人以上の者がある犯罪の実行を共謀し、共謀者のうちある者が共謀に係る犯罪を実行したときは、現実には実行行為を行わなかった他の共謀者もまた共同正犯として処罰されるものです。
共謀共同正犯も共同正犯の1種であるため、その成立要件も基本的には共同正犯の成立要件と同じです。
ただ、共謀共同正犯の特性を鑑み、通常は、①2人以上の者が、ある犯罪の実現について共謀したこと、②その共謀者の中の一部の者がそれを実行したこと、③共謀者が正犯意思を持つこと、の3つが成立要件とされています。
①の要件については、「2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする協議をなし」たことであると解されています。(最決昭43・3・21)
③の要件については、共謀者が、たとえ一部の者に実行させるにしても、それが自己の犯罪であると認識していること、つまり、自らが正犯であるとの意思を持つことが必要となります。
正犯意思については、動機、共謀者と実行行為者との関係、共謀者自身の関与の態様、共謀者の果たした役割の重要性、犯行前後の状況、犯罪の性質や内容等を考慮して判断されます。
以上の要件を充たす場合には、実際に実行行為を行っていなくても正犯として処罰されることになるのです。
上記事例のように、窃盗事件の見張り行為をどのように評価するかは、昔から争いがあります。
判例は、被告人が事前に共謀して見張り行為を分担するような場合には共同正犯としているものが多くあります。
ただ、共同正犯として認められるには、単に見張りをしたということだけではなく、見張り行為の役割の重要性、共犯者に与えた安心感、見張りによる窃取行為の円滑性などの効果について検討し、見張り行為が窃取行為に匹敵する犯罪的価値のある行為であると評価されることが重要となります。
事案によっては、幇助にとどまるとされることもありますので、窃盗の共同正犯が疑われている場合には、弁護士に相談し、その後の対応について適切なアドバイスをもらう必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗をはじめ刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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電気窃盗で逮捕
電気窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
京都府京田辺市のコンビニ店外のコンセントに炊飯器を無断でつないで米を炊くなど調理したとして、京都府田辺警察署は、Aさんを窃盗と建造物侵入の容疑で逮捕しました。
他の客からの報告を受けてAさんの行為に気付いたコンビニの店長が、警察に通報しました。
通報を受けて駆け付けた警察官がAさんに問いただしたところ、店のコンセントを無断で使って調理していたことを認めました。
(フィクションです。)
電気窃盗?
窃盗罪は、刑法第235条に次のように規定されています。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
このように、窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する罪です。
■犯罪の対象■
窃盗罪の客体は、「他人の財物」です。
更に詳しく言うと、「他人の財物」とは、「他人が占有する他人所有の財物」です。
「財物」の意義については、大きく分けて2つの見解があります。
①有体性説
財物は、有体物であることを要する説。
②管理可能性説
財物とは、有体物に限らず、管理可能な限り無体物も財物とする説。
ただし、電気と同様の意味での物質性を備えたものに限る。
通説は①有体性説である、財物は有体物と解するのが一般的です。
ただし、刑法第245条では、窃盗及び強盗の罪が規定されている刑法第36条においては、電気は財物をみなすと規定されているため、財物の意義に関する見解のいかんに関わらず、電気は、窃盗罪の客体である「財物」に当たります。
窃盗罪は、「他人の財物を窃取」した場合、つまり、他人の所有する財物の占有を移転し、それを取得した場合に成立するものと理解されます。
そのため、窃盗の対象となる財物は、他人が占有するものであることが必要となります。
刑法で言う「占有」は、財物に対する「事実上の支配」を意味します。
ある財物に対する「事実上の支配」があると言えるためには、客観的要素としての①財物に対する支配という事実と、主観的要素である②支配の意思が必要となります。
①財物に対する支配の事実
財物に対する支配(占有の事実)とは、占有者が財物を事実上支配している状態をいいます。
事実上の支配しているかどうかは、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、財物と占有者との距離など客観的・物理的支配関係の強弱などの基準から判断されます。
占有の事実を認めるにあたっては、必ずしも財物を手に持っていることまで必要ではなく、自宅内にある場合や、外であっても財物と占有者との距離がそう離れておらずすぐに財物のあるところに戻ってこれるような距離間であれば、財物に対する支配が認められます。
②支配の意思
支配の意思(占有の意思)とは、財物を事実上支配する意欲・意思のことをいいます。
■行為■
窃盗罪の行為は、「窃取」することです。
「窃取」とは、占有者の意思に反して、財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
■不法領得の意思■
窃盗罪の主観的要件として、故意(他人の財物を摂取することの認識)の他に、不法領得の意思が窃盗罪の成立に必要となります。
「不法領得の意思」は、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思」のことで、不可罰とされる一時使用と窃盗罪、毀棄罪と窃盗罪とを区別する要素となっています。
上の事例では、Aさんは、コンビニ店の外壁に備え付けられているコンセントを無断で利用して家電器具を使い調理をしています。
電気の窃盗のように、形のない物を盗むということはイメージしにくいのですが、Aさんの行った行為については、刑法上の窃盗罪に該当するため、起訴され有罪となれば、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金の範囲内で刑が科されることになります。
しかしながら、初犯であり、被害者への被害弁償や示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性はあります。
事案によってどのような処分が見込まれるのか、どのような弁護をすべきなのかは異なりますので、窃盗事件で逮捕されてお困りの方は、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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クレプトマニアが疑われる場合
窃盗事件でクレプトマニアが疑われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
兵庫県姫路市のスーパーマーケットで食品や日用品を万引きしたとして、兵庫県姫路警察署は、市内に住むAさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんには万引きの前科・前歴があり、1年ほど前に、略式手続で略式命令(罰金刑)を受けていました。
Aさんは、事件当時1万円を所持しており、入店直後から店外で保安員に声を掛けられるまでの店内での記憶がなく、取調べでもその旨を述べています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、Aさんはクレプトマニアではないかと疑っており、接見を依頼した弁護士にもその点について話しています。
(フィクションです。)
万引きが犯罪であることを認識していながら、何度も万引きを繰り返してしまうケースは少なくありません。
万引きに走る理由は、何も経済的なものに限りません。
「十分な所持金があるのに、特にそれほど必要のない物をとってしまう。」
「だめだとわかっていながら、万引きをやめることができない。」
常習的な窃盗をおおきく3つに分類すると、
①経済的利益のために金目の物や金銭を盗む職業的犯罪、
②貧困から食べ物や生活必需品を盗むもの、
③経済的余裕はあるが、些細な物を盗むもの、
となります。
経済的な理由から万引きを行うのではない③の場合には、精神障害が疑われることがあります。
精神障害としての病的な窃盗に、クレプトマニアという疾患があります。
アメリカ精神医学会が出版している精神疾患の診断基準・診断分類によれば、クレプトマニアの診断基準は、以下の5項目からなります。
①個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
②窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり。
③窃盗に及ぶときの快感・満足・解放感。
④その盗みは、怒りや報復を表現するためのものではなく、妄想・幻覚への反応でもない。
⑤その盗みは、素行症、躁病エピソード、反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。
クレプトマニアは、単独で診断される場合もありますが、拒食症や過食症の摂食障害を併発している場合も少なくありません。
また、摂食障害を併存している場合、解離性障害も併存していることが多いようです。
万引きの再犯事件において、弁護士は、まず、繰り返す万引き行為の原因や背景事情を究明しなければなりません。
それは、万引きを繰り返してしまうことの原因を明らかにしなければ、有効な再犯防止措置を講じることができないからです。
有効な再犯防止措置を講じることができなければ、有効な情状立証をすることが難しくなってしまいます。
クレプトマニアである場合には、刑罰だけでは再犯を防止することは難しく、専門的な治療が必要となります。
そのため、クレプトマニアが疑われるケースでは、専門家につなげ、クレプトマニアその他の精神障害にり患しているのかどうかを診断してもらい、専門的な治療を受けるようにすることが重要です。
また、逮捕・勾留により被疑者・被告人の身柄が拘束されている場合には、治療を受けるために、弁護士は、できる限り早期に釈放となるよう身柄解放活動を行います。
有効な再犯防止措置を講じるには、被疑者・被告人の家族の協力が必要不可欠です。
弁護士は、家族や専門機関と連携し、再犯防止に向けた環境を整える支援をします。
クレプトマニアが疑われる場合、弁護士は、有効な再犯防止策が講じられていることを、客観的な証拠に基づいて示すことで、寛大な処分となるよう弁護する役割を担います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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窃盗事件で釈放を目指す
窃盗事件で釈放を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府西堺警察署は、大阪府堺市で起きた窃盗事件の被疑者としてAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、事件についてあまり詳しく分からず不安で仕方ありません。
Aさんの妻は、刑事事件専門弁護士に相談し、早期の釈放を目指す活動について説明を受けています。
(フィクションです。)
窃盗事件といっても、万引きや置き引きなど、比較的被害額が軽微なものから、侵入盗のように被害額が大きく、ある一定の技術や慣れを必要とする犯罪に係る事情がより悪質とされるものまであります。
一般的に、侵入盗は、万引きや置き引きよりも犯情が悪質であり、被害額も多いことから量刑も重くなる傾向にあります。
窃盗事件の身体拘束については、万引きや置き引きなど、窃盗の中でも比較的軽微な類型の場合、前科・前歴がなければ逮捕されないケースは多くなっています。
前科・前歴がある場合でも、定職に就いている、住む場所があるなど身上が安定しているケースでは、勾留請求が却下されることが少なくありません。
一方、侵入盗など、窃盗の中でも重いとされる類型の場合、初犯であっても勾留される可能性は高くなります。
ここで、逮捕後の流れについてみていきましょう。
1.逮捕~72時間
逮捕による身体拘束の時間は、原則として、警察で48時間、検察で24時間となっており、最大で72時間です。
警察は、逮捕後48時間以内に、被疑者を釈放する、もしくは、関係書類や証拠物とともに検察に送致します。
被疑者の身柄を受け取った検察官は、24時間以内に、被疑者を釈放するか、あるいは、裁判官に勾留の請求を行います。
この段階で釈放を目指す活動は、担当検察官に勾留請求をしないよう働きかけることです。
具体的には、弁護士は、担当検察官と面談したり、意見書を提出するなどの方法で、勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠に基づいて説得的に主張します。
2.勾留請求~勾留決定
検察官への働きかけにもかかわらず、担当検察官が勾留請求をした場合、請求を受けて裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官は、事件に関する一見記録と被疑者との面談の内容に基づいて、勾留の要件を満たしているかどうかを検討します。
そこで、弁護士は、裁判官が決定を出してしまう前に、面談や意見書の提出の方法により、当該被疑者について勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠に基づいて主張し、裁判官に勾留決定をしないよう働きかけます。
勾留の要件は、①被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること、②住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれ、にいずれかの要件があること、③被疑者を勾留する必要性、相当性があること、④先行する逮捕手続が適法であること、です。
勾留となる場合、多くは「罪証隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」があると判断されることが多いため、証拠品が既に押収されていること、被害者や被害現場には近づかないことを約束していること、被疑者の家族等による監督が期待できること、仕事や学校があることなどを示し、それらのおそれがないことを証明していきます。
また、勾留によって被疑者が被る不利益、具体的には懲戒解雇や退学などの処分を受ける可能性が高いことは、勾留の必要性・相当性を害することになるとの主張も行います。
勾留されれば、原則として検察官が勾留請求をした日から10日間、勾留の延長が認められれば最大で20日間被疑者の身柄が拘束されることになります。
3.勾留決定後
勾留が決定した場合であっても、今度は準抗告の申立てを行うことにより釈放を目指します。
先に述べた勾留阻止に向けた検察官や裁判官への働きかけは、弁護人からのお願いという形となりますが、準抗告は、勾留という裁判に対する不服申立という法的な手続です。
裁判所に対して裁判官によってなされた勾留の裁判を取消し、検察官による勾留請求を却下するよう申し立てます。
勾留を決定した裁判官とは別の3人の裁判官がこの申立を検討し、最初の裁判が正しいかどうかを判断するのです。
ここで、準抗告の申立てが認められれば、被疑者の勾留は取り消され釈放されることとなります。
4.起訴後
捜査段階での釈放が困難な場合には、起訴後に保釈で釈放されることを目指します。
起訴後であれば、裁判に必要な証拠が既に押収されているため、保釈が許可される可能性が捜査段階よりも高くなります。
そのため、起訴が見込まれる場合には、起訴前から保釈請求の準備を行い、起訴後、直ちに保釈請求ができるようにしておく必要があります。
以上、窃盗事件で釈放を目指す活動について説明しましたが、逮捕・勾留により被疑者・被告人が被る不利益は大きく、できる限り早期の釈放を目指すことが重要です。
そのような釈放に向けた活動は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が窃盗事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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窃盗事件で正式裁判
窃盗事件で正式裁判となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府豊中市に住むAさんは、市内のスーパーマーケットで商品を万引きしたとして窃盗の容疑で大阪府豊中南警察署に逮捕されました。
Aさんの夫が身元引受人となり、当日の夜、Aさんは釈放されました。
Aさんは、これまで何回も万引きで捕まっており、直近では1年前に略式命令で罰金50万円に処されました。
その後、大阪地方裁判所から起訴状と弁護人選任についての連絡書が自宅に届いたため、Aさんは裁判で弁護してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです。)
窃盗事件で正式裁判に
原則、すべての刑事事件は検察官に送られ、検察官がその事件についての処分を行います。
万引き事件は、比較的軽微な犯罪ですので、初犯、かつ、被害額が小さい場合には、事件を警察段階で処理することがあります。
これを「微罪処分」といいます。
そうでない場合には、事件を検察官に送り、検察官は、捜査を遂げた結果、起訴する、もしくは起訴しない旨の決定を行います。
検察官による起訴には、略式命令請求、即決裁判請求、そして公判請求とがあります。
万引き事件の場合、2回目に検挙されたのであれば、被害額や被害の回復の有無にもよりますが、起訴猶予で不起訴として処理されることが多いです。
しかし、当然のことながら、何度も犯行を重ねるにつれて、処分もより厳しいものとなります。
3~4回目の検挙となれば、不起訴ではなく、起訴される可能性が高いのですが、この場合、検察官は略式命令請求をすることが多いでしょう。
検察官が略式命令請求をすると、簡易裁判所は公判手続を経ることなく、100万円以下の罰金または科料を科す裁判手続をとります。
この手続を「略式手続」といいます。
上の事例のAさんのように、直近で1年前に略式命令で罰金50万円に処されているケースでは、今回の事件も同様に略式手続で処理される可能性は低いと言えます。
つまり、今回の万引き事件については、検察官が公判請求をし、正式裁判が開かれることになるでしょう。
正式裁判となると、公開の法廷で、被告人が罪を犯したかどうか、罪を犯した場合はその刑罰をどのようなものにするかについて審理されます。
公判では、被告人が罪を犯したかどうかについて、罪を犯した場合の刑罰については、検察官と弁護人が提出する証拠に基づいて裁判官が判断します。
公訴事実を争わない事件であっても、犯行態様や動機などの犯情(犯罪にかかわる事情)に関する事実について争うことも多く、事実の認定が証拠に基づいて行われる以上、証拠収集は弁護人にとって重要な作業となります。
また、そもそも事実を争わない事件であっても、被告人に有利な情状事実は、判決において考慮される材料となるため、弁護人がきちんと立証する必要があります。
この場合には、適切な量刑を得るために、弁護人は、被告人が罪を犯すに至った背景、再犯可能性を低下させるための具体的な対策を、具体的な証拠を用いて立証していくことが期待されます。
罪を認める場合であっても、適切な量刑を得るためには、しっかりと公判に向けた準備を行うことが重要です。
万引き事件を起こし、公判請求され正式裁判を受けることになり対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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常習特殊窃盗で逮捕
常習特殊窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
千葉県市川市の民家に夜間侵入し、金品を窃取したとして、千葉県市川警察署は県内に住むAさんを常習特殊窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、窃盗の前科が複数あり、いずれも夜間に民家に侵入して金品を窃取するというもとでした。
今回の犯行は、刑期を終えて出所後間もなくして行われました。
(フィクションです。)
常習特殊窃盗とは
なかなか聞きなれない罪名ですが、「常習特殊窃盗」は「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」(以下、「盗犯法」といいます。)の第2条に次のように定められています。
第二条 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条、第二百三十六条、第二百三十八条若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニ対シ窃盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以上、強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期懲役ニ処ス
一 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ
二 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ
三 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
四 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
盗犯法は、昭和5年に施行された古い法律で、盗犯に対する正当防衛の特例や兇器を携帯した常習窃盗犯の刑期の下限について定めた法律です。
盗犯法第2条は、「常習として」、「条文の1号ないし4号のいずれかの方法により、窃盗罪、強盗罪、事後強盗罪、昏酔強盗罪や、それらの未遂罪を犯した者」に対し、窃盗罪の規定を適用すべきときは、最下限の刑が3年以上の有期懲役とされ、強盗罪、事後強盗罪、昏睡強盗罪のいずれかを適用すべきときは、7年以上の有期懲役刑とされる、という内容になっています。
つまり、盗犯法第2条に該当する常習特殊窃盗罪を犯した場合には、3年以上20年以下の懲役刑に、同上に該当する常習特殊強盗罪を犯した場合には、7年以上20年以下の懲役刑に処さられることになり、通常の窃盗罪・強盗罪よりも重い刑罰が科されることになります。
ここでいう「常習として」というのは、過去の裁判では、「機会があれば抑制力を働かせることなく安易に窃盗を反復する習癖をいう」と解されます。(東京地裁判決、平成20年5月22日、東京高裁判決、平成10年10月12日)
これに当たるかどうかは、行為者の前科・前歴、素行、犯行動機、犯行手口、犯行態様、犯行回数、犯行間隔等を総合的に判断して検討されます。
この点、盗犯法第2条における常習性は、同条の1号~4号の手口・態様を用いることを要求しているので、万引きや置き引き等の単純窃盗の常習性がある者が、1号~4号の方法で窃盗・強盗を1回だけ犯した場合は、盗犯法第2条における常習性は認められません。
盗犯法第2条の各号の手口・態様は、
①兇器の携帯
②複数での犯行
③門戸等を破壊等しての侵入
④夜間での犯行
です。
上の事例を考えると、Aさんの行為が④に該当すると言えるかどうかを検討することになります。
④は、「夜間人の住居又は人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入して犯したとき」と規定されています。
ここでいう「夜間」とは、判例によれば、その日没から日の出までの間の時間帯であるとされます。(最高裁決定、昭和28年12月18日)
同判例では、「夜間人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入して犯したるとき、とあって、夜間は所定の場所に侵入して盗罪を犯すという包括的一事実に掛かり、侵入することと盗むこととが共に夜間に行われた場合は勿論、そのいずれか一方が夜間に行われた場合でも、同号の夜間侵入窃盗に当たるものと解するを相当とする」としており、侵入・窃盗のいずれか一方の行為が夜間のうちに行われれば足りると理解されています。
「人の住居又は人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入」する行為については、刑法の住居侵入等で規定されている行為と同様、日常生活に使用するために人が占拠する場所を「人の住居」といいます。
「人の看守する」とは、人が事実上、管理・支配していることをいい、その対象となる「邸宅」とは、人の住居の用に供せられる家屋に附属し、主として住居者の利用に供されるために区画された場所をいいます。
そして、「建造物」とは、住居、邸宅以外の建造物と、これに附属する囲繞地といい、「艦船」は、軍艦その他の船舶のことをいいます。
そのような場所に、管理権者の意思に反して立ち入った場合には「侵入」したと言えます。
Aさんは、夜間の侵入盗の前科が複数あり、刑務所を出てから間もなくして同種の手口で犯行に及んでいることから、常習性として行われたと認定されると考えられます。
常習特殊窃盗は、刑法の窃盗よりもその刑罰は重く、常習特殊窃盗が成立するか否かで最終的な結果も大きく異なります。
常習特殊窃盗の被疑者・被告人となった場合には、早期に弁護士に相談し、適切な対応をするのが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗をはじめとした刑事事件専門の法律事務所です。
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窃盗事件で執行猶予
執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
埼玉県上尾警察署は、埼玉県上尾市の事務所に侵入し、現金や電気製品などを盗んだとして、県内に住むAさんを建造物侵入と窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは他にも何件か同様の手口で侵入盗を行っており、刑務所に入ることになるのではないかと、AさんもAさんの家族も不安で仕方ありません。
(フィクションです。)
Aさんは、事務所に侵入して保管されていた現金や電気製品など転売できそうな物を持ち去りました。
捜査機関に事件が発覚すれば、捜査が開始されます。
捜査機関は、犯人と思われる者(「被疑者」と呼びます。)を特定・発見し、必要があればその身柄を確保した上で、証拠の収集・保全します。
捜査を遂げた結果、検察官は当該被疑者について起訴するか否かを判断します。
検察官が起訴した場合には、裁判官が犯人と思われる者(起訴後は、「被告人」と呼びます。)が起訴状に書かれている罪を犯したことに間違いがないかどうかを判断します。
裁判官が、被告人の有罪とする場合には、科すべき刑を言い渡します。
刑には、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収とがあります。
生命の剥奪を内容とする刑罰を死刑といい、拘禁によって犯罪者の自由の剥奪を内容とする刑罰が懲役、禁錮、拘留で、一定額の金銭の徴収を内容とする刑罰が罰金及び科料です。
没収は、犯罪に関係のある特定の物の所有権を所有者から剥奪して国庫に帰属させる刑罰です。
Aさんは、建造物侵入と窃盗の罪に問われています。
建造物侵入罪に当たる行為は、窃盗を実現するため、窃盗の手段として行われているため、建造物侵入罪と窃盗罪の関係は、牽連犯となります。
そのため、Aさんは、2つの罪のうち最も重い刑を定めている罪の法定刑によって処断されます。
建造物侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
一方、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金であり、建造物侵入罪の法定刑よりも重いため、こちらの法定刑によって処断することになります。
裁判官がAさんについて有罪とすれば、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の範囲内でAさんに科すべき刑を決めることになります。
つまり、懲役か罰金かいずれかの刑が科されることになります。
罰金は決められた金額を納めることで刑に服したことになります。
しかし、罰金を完納することができない場合は、1日以上2年以下の期間、労役場に留置されることがあります。
懲役刑は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせるものです。
決められた期間、刑務所に入ることで刑に服します。
有罪判決を受けたら必ず刑務所に入らなければならないのかと不安に思われる方も少なくないのですが、懲役刑(又は禁錮刑)が言い渡された場合であっても、刑の全部の執行猶予が付された場合は、直ちに刑務所に入るということにはなりません。
執行猶予とは
刑の執行猶予とは、刑を言い渡すにあたって、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度のことです。
刑の執行猶予には、刑の全部執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類がありますが、ここでは前者について説明します。
刑の全部の執行が猶予されると、懲役刑が言い渡されたとしても直ぐに刑務所に入ることはありません。
猶予期間中何事もなく過ごすことができれば、判決で言い渡された刑の効力はなくなります。
そのため、執行猶予が付くかつかないかで、その後の生活が大きく変わってくることになります。
刑の全部の執行猶予となるためには、以下のような要件があります。
【初犯の場合】
①(a)前に禁錮以上の刑の処されたことがないこと、又は、(b)前に禁固以上の刑に処されたことがあっても、その執行を終わらせた日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするに足りる情状があること。
【再度の場合】
①前に禁固以上の刑に処され、その執行の猶予中であること。
②1年以下の懲役又は禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。
以上の条件を満たしていることが刑の全部の執行猶予の前提となります。
窃盗事件では、初犯であれば、被害額や犯行態様の悪質性、被害弁償の有無などが考慮されて執行猶予となる可能性があります。
窃盗事件を起こし、実刑となるのではとお悩みであれば、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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窃盗事件:資源ごみの持ち去り
資源ごみの持ち去り行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、神奈川県相模原市内に設置されている資源ごみ回収ボックスから古新聞紙などを勝手に持ち去り、業者に販売する行為を繰り返していました。
知らない人間が資源ごみ回収ボックスから持ち去っているのを見かけた地域の住民が、自治会に相談し、自治会は神奈川県相模原南警察署に通報しました。
後日、Aさんがいつものように資源ごみ回収ボックスから資源ごみを持ち去ろうとしていたところ、神奈川県相模原南警察署の警察官に声を掛けられました。
Aさんは資源ごみの持ち去り行為が犯罪に当たるのか、今後どのように対応すべきか不安でなりません。
(フィクションです。)
資源ごみの持ち去りと窃盗罪
資源ごみが業者による買取の対象となることがあるため、資源ごみの集積所からの資源ごみを勝手に持ち去るという行為が行われています。
資源ごみの持ち去りは、自治体にとっても経済的損失となるため、条例で資源ごみの持ち去りを禁止しているところもあります。
それでは、そのような資源ごみの持ち去り行為が、窃盗罪となる可能性はあるのでしょうか。
窃盗罪について
窃盗罪の構成要件は、次のとおりです。
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
①他人の財物
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物のことです。
「財物」は、有体物を指しますが、管理可能な限り無体物も財物にあたると解されています。
また、窃盗罪は、個人の財産権を保護するために設けられている以上、窃盗罪の客体となる「財物」には財産的価値がなければなりません。
通常、財産的価値があるものは、金銭的経済的価値があると言えますが、金銭的経済的価値のない思い出の品のような場合、つまり、主観的感情的価値でも社会通念上刑法的保護に値するものであれば財物となります。
しかしながら、メモ用紙1枚、ちり紙13枚といった金銭的経済的価値が極めて軽微な物は刑法的保護に値せず、財物には当たりません。
ここで資源ごみが「財物」に当たるのか否かについて考えてみると、資源ごみは回収業者が買い取りの対象となるものが多く、一定の金銭的経済的価値があると言えるため、ごみと雖も「財物」に当たると判断される可能性はあるでしょう。
次に、「占有」の概念についてですが、「占有」とは、人が財物を事実上支配し、管理する状態をいいます。
この「占有」は、「占有の事実」と「占有の意思」で構成される概念です。
「占有の事実」とは、占有者が財物を事実上支配している状態のことをいいます。
物を客観的に支配している場合だけではなく、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も「占有の事実」に含まれます。
また、「占有の意思」とは、財物を事実上支配する意欲または意思のことです。
集積場に出されている資源ごみについての「占有」について考えてみましょう。
通常、資源ごみを出した人は、当該ごみを「手放す」「捨てる」といった意思のもと集積場に出しているわけですから、ごみを出した人が資源ごみを「占有」しているとは言えません。
それでは、集積場に出されている資源ごみは誰のものでもない(=無主物)なのでしょうか。
資源ごみが自治体の収入源となっていることもあり、自治体によっては条例で集積場に出されている資源ごみの持ち去りを禁止しています。
さらに、その条例で明確に集積場に出された資源ごみの所有権が自治体にあると定めている場合もあります。
そのような場合、集積場に出された資源ごみは自治体が所有していることになり、当該資源ごみは「他人の財物」に該当することになります。
持ち去った資源ごみが「他人の財物」に当たる場合、かつ、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(=不法領得の意思)に基づいて、占有者の石に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に写した(=窃取)場合には、窃盗罪の構成要件に該当することになります。
ただし、自治体の条例で資源ごみの持ち去りが禁止されており、違反について罰則が科されている場合には、条例違反で検挙される可能性もあります。
事案によっては成立する犯罪が異なりますので、刑事事件で検挙されてお困りであれば、刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
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