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自首と出頭の法律的な違い

2022-04-25

自首と出頭の法律的な違い

今回は、自首出頭の法律的な違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、深夜、北海道札幌市中央区内のコインパーキング内で地面に寝ころび、眠っていたVのズボンから財布を窃取してしまいました。
しかし、コインパーキング内には監視カメラが設置されているだろうと考えたAさんは、いずれ事件が発覚し、検挙されてしまうだろうと不安にかられました。
現在Aさんは、北海道札幌方面中央警察署自首をしようと考えていますが、どうすればよいのでしょうか。
(フィクションです)

~窃盗罪について解説~

ケースの事例は、典型的な仮睡盗事件と言えるでしょう。
このような場合は、窃盗罪(刑法第235条)が成立する可能性が極めて高いと考えられます。
窃盗罪につき有罪判決が確定すると、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

~自首・出頭を行うメリット~

刑事事件を起こしてしまった場合、いずれ自身の事件が捜査機関に発覚し、検挙されてしまうのではないかと不安にかられてしまうという方も少なくありません。
このような不安な状況に終止符を打つ手段の1つとして、自首・出頭をすることが挙げられます。

~自首・出頭とは~

まず、自首について説明することにいたします。
自首とは、一言で表現するならば、捜査機関に対し自身の犯罪事実を申告することをいいます。
自首が成立すれば、有罪判決を受ける場合において、刑が減軽されうるというメリットがあります。

また、自発的に犯罪事実を申告したことが評価され、逮捕されずに済む場合もあります(その代わり、在宅で捜査が行われる可能性が高まると考えられます。)。

※刑法
(自首等)
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 省略

自首が成立するためには厳格な要件を満たす必要があり、それらを充足しなければ「自首」は成立せず、「出頭」として取り扱われることになります。

~自首の要件~

自首が成立するためには、
①自発的に自己の犯罪事実を申告すること
②自己の訴追を含む処分を求めること
③捜査機関に対する申告であること
④捜査機関に発覚する前の申告であること
が必要です。
これらを満たさない場合は、「出頭」扱いとなります。

職務質問中や別件の取調べ中にケースの事件を申し出た場合には、①の要件を充足するか否かが問題となります。

他にも、今回のケースのような場合に、「被害者が翌朝、財布がなくなっていることに気づいたと被害申告しているが、自分は被害者の財布を手に取って眺めただけであり窃取していない」など、訴追を免れるための弁解を申告した場合には、②の要件を満たさないことになります。

また、事件が捜査機関に発覚した後に自己の犯罪事実を申告しても、④の要件を満たさないため「出頭」扱いとなります。
「捜査機関に発覚する前」の意義が問題となりますが、この場合の「発覚」とは、「犯罪事実及び犯人の発覚」をいいます。
犯罪事実がまったく発覚していない場合や、犯罪事実は発覚しているものの、犯人が誰であるかが発覚していない場合には、「発覚する前」に該当します。
ただし、犯罪事実も犯人も発覚しているが、単に犯人の所在だけが不明である場合には、「発覚する前」には該当しません(最高裁昭和24年5月14日判決、最高裁昭和29年7月16日判決)。

~自首の前に弁護士と相談~

前述の通り、自首が成立するためには厳格な条件があります。
自首をする前に、刑事事件に詳しい弁護士とあらかじめ相談し、アドバイスを受けておくのがよいでしょう。
自首前に弁護士を依頼しておけば、捜査が始まったあと、スムーズに弁護活動へ着手することができます。

また、身元引受人やその上申書を用意するなどして、逮捕されてしまうリスクをあらかじめ抑えておくことも考えられます。
自首を検討している場合には、まず一度、刑事事件に詳しい弁護士と相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
自首についてお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

保釈された窃盗事件で執行猶予を獲得したい

2022-04-18

保釈された窃盗事件で執行猶予を獲得したい

保釈された窃盗事件執行猶予を獲得したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

東京都八王子市在住のAさんは、窃盗罪の容疑で警視庁高尾警察署に逮捕され、20日の勾留を経て、窃盗罪で起訴されました。
Aさんは窃盗罪の容疑を認めており、現在は保釈により釈放されています。
また、Aさんは既に国選弁護人を選任していましたが、国選弁護人の刑事弁護活動を信頼できず、現在の国選弁護人を解任して、新たに私選弁護人を選任しようと考えています。
Aさんは、何とか刑務所に行くことにならずに社会生活が送れるようにはならないかと考えています。
(フィクションです。)

【窃盗罪と刑罰】

刑法235条は窃盗罪を規定しています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕され、20日の勾留を経て、窃盗罪で起訴されています。
窃盗罪でAさんが有罪となった場合、Aさんに科され得る刑罰としては、「10年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」、さらにはこれらの「刑の執行猶予」が考えられることになります。

【身柄事件(保釈中)と懲役刑等】

もしも保釈中の窃盗事件で懲役刑が言い渡されたとき、窃盗事件の被告人であるAさんにはどのような手続きが取られるのでしょうか。

刑事訴訟法343条は、「禁錮以上の刑と保釈等の失効」と題して、以下のように規定しています。

刑事訴訟法343条
禁錮以上の刑に処する判決の宣告があったときは、保釈又は勾留の執行停止は、その効力を失う。

窃盗事件保釈中の被告人の方が懲役刑に処する旨の裁判の言渡しを受けた場合は、刑事訴訟法343条により保釈の効力は失われます。
これにより、窃盗事件の被告人の方には直ちに収容の手続がとられることになります。

具体的な手続きとしては、検察事務官が傍聴席に待機しており、閉廷後の法廷内で直ちに窃盗事件の被告人の身柄を確保することが多くみられます。

【身柄事件と執行猶予】

では、懲役刑(実刑判決)を受けた場合に対して保釈中の窃盗事件執行猶予を獲得できた場合、窃盗事件の被告人であるAさんはどうなるのでしょうか。

執行猶予が言い渡されると、被告人は、懲役刑のような刑罰の執行を回避しつつ、社会生活において更生を図ることができるとようになります。
そして、執行猶予の言い渡された執行猶予期間を経過すると刑罰の言渡し自体が将来に向かって効力を失われることになります(刑法27条)。

【刑事事件例での検討】

上述のように、刑事事件例ではAさんは窃盗罪で起訴されていますので、Aさんには科され得る刑罰は「10年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」、さらにはそれらの刑罰の「刑の執行猶予」が考えられることになります。

刑事弁護士としては、窃盗事件の被告人であるAさんが罰金刑や執行猶予判決を獲得できるように、窃盗事件の被害者の方との示談交渉や刑事裁判対応などの刑事弁護活動を行うことができると考えられます。
例えば、窃盗事件の被害者の方との示談が行われていないのであれば、窃盗事件の被害者の方との示談交渉により、正式な謝罪と被害弁償をすることができる可能性があります。
また、情状証人に出廷してもらえるよう手はずを整えたり、実際に刑事裁判でどのように証言すればよいのかといった刑事裁判対応を行ったりすることができると考えられます。

罰金刑や執行猶予付き判決を獲得できるかどうかは、窃盗事件の被告人自身に前科があるか、示談の成立といった情状事情があるかなど、窃盗事件に関する具体的な事情によって決定されます。
まずは刑事事件に強い法律事務所に相談し、具体的な窃盗事件についての法律相談をすることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
保釈された窃盗事件執行猶予を獲得したい場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

窃盗事件の懲役刑・執行猶予

2022-04-11

窃盗事件の懲役刑・執行猶予

窃盗事件懲役刑執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(東京都千代田区在住)は窃盗罪の容疑で警視庁神田警察署で捜査を受けていましたが、捜査の結果、窃盗罪で起訴されました。
Aさんは弁護士として既に国選弁護人を選任していましたが、国選弁護人の刑事弁護活動を信頼できず、現在の国選弁護人を解任して、新たに私選弁護人を選任しようと考えています。
また、Aさんは、懲役刑が宣告された場合、自分はどうなるのか不安を感じています。
そこでAさんは、東京都窃盗事件にも対応している弁護士に、窃盗事件の刑事裁判や、懲役刑執行猶予について相談してみることにしました。
(フィクションです。)

【窃盗罪と刑罰】

刑法235条は窃盗罪を規定しています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

Aさんは窃盗罪で起訴されていますので、Aさんが有罪となった場合に科され得る刑罰としては「10年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」、さらにはこれらに「刑の執行猶予」が付くことが考えられます。

【在宅事件と懲役刑(実刑)】

Aさんの起こした窃盗事件は、逮捕されずに捜査等の刑事手続が進む、いわゆる在宅事件のようです。
こうした状況でもしもAさんに有罪判決が下され懲役刑(実刑)が科された場合、Aさんはいつ刑務所に収容されることになるのでしょうか。
刑事訴訟法471条は、裁判の執行について以下のように規定しています。

刑事訴訟法471条
裁判は、この法律に特別の定めがある場合を除いては、確定した後これを執行する。

Aさんが窃盗罪で有罪になり懲役刑(実刑)が科された場合、刑事訴訟法471条の「執行」とは懲役刑の執行、すなわち刑務所への収容を指します。
この刑務所への収容がなされるのは、判決(「裁判」)が「確定」したときであるとされています(刑事訴訟法471条)が、具体的に判決の確定日とはいつなのでしょうか。

判決の確定日とは、上訴期間が経過したときであると考えられています。
第一審の判決確定日については、判決宣告日の翌日から起算して14日間(刑事訴訟法373条)の控訴提起期間が経過したときであると考えられています(刑事訴訟法55条参照)。

以上をまとめると、Aさんが窃盗罪で有罪判決を受け懲役刑が宣告された場合、判決宣告日の翌日から起算して14日間(刑事訴訟法373条)が経過した後に懲役刑の執行、すなわち刑務所への収容がなされることになります。

実務上では、Aさんに懲役刑が宣告された場合、判決宣告日はいったん帰宅し、判決確定後に検察官から呼出しを受けて刑務所に収容されることになると考えられます。

【在宅事件と執行猶予】

先ほどまでは、Aさんが窃盗罪で有罪となり懲役刑(実刑)が科された場合を想定した流れを解説してきました。
これに対して、Aさんが窃盗罪で罰金刑が科されることになったり執行猶予が付されることになった場合、Aさんは刑務所に収容されることはなくなり、通常の社会生活を送ることができることになります(罰金刑が言い渡された場合には言い渡された額の罰金を支払う必要があります。)。
ただし、罰金刑であっても執行猶予が付いた懲役刑であっても、有罪となり刑罰を言い渡された場合には前科となることには違いありませんので、その点には注意が必要です。

罰金刑や執行猶予を獲得することができるかどうかは、被害者の方との示談が成立しているか、Aさんに前科があるかといった事情に左右されます。
もしAさんが未だ被害者の方との示談交渉を行っていない場合、刑事弁護士としては被害者の方との示談締結を目指し、示談交渉を行っていくことができると考えられます。

また、第一審で国選弁護人の刑事弁護活動に不満があった場合、控訴審で私選弁護人に切り替え、刑を軽くするための刑事弁護活動を行っていくことも考えられます。
例えば、第一審が確定してしまった後であっても、示談が成立すれば、控訴審で「第一審判決後の刑の量刑に影響を及ぼすべき情状」(刑事訴訟法393条2項)として示談結果を提出することができると考えられます。

どのような弁護活動が可能なのか、刑事事件の詳しい流れはどういったものになるのかは、その事件ごとの事情によるところも大きいため、まずは弁護士に直接相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
窃盗事件懲役刑執行猶予についてお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

万引きで自首

2022-03-28

万引きをしてしまい、自首を考えている場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~刑事事件例~

Aさんは、さいたま市浦和区にある、スーパーの食材売場にて、食品数点を万引きしました。
その後、家に帰ってきたAさんは、万引きをしてしまったことがバレてしまうのではないかと怖くなりました。
そのため、埼玉県浦和警察署に自首をしたいと考えたAさんは、一度自首した場合どうなるか知るため、刑事事件を専門的に扱う弁護士事務所に相談することにしました。
(この話はフィクションです。)

万引きについて

万引きは、刑法235条が規定する窃盗罪に該当する可能性がある犯罪です。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回の事案は、Aさんは万引きをしているため、窃盗罪に当たる行為をしています。
今後、事件が発覚した場合、逮捕、勾留され長期の身柄拘束を受けるかもしれません。
また、それ以外にも上記の通り、罰金が科せられるなどの金銭的な負担が生じたり、執行猶予で前科がつく可能性もあります。
そうなれば、私生活に多大な影響を及ぼしてしまいます。
それを回避する行動の一つとして自首をすることが考えられます。

自首について

まず自首とは、刑法42条に定められている行為です。

刑法42条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を軽減することができる。

刑法42条の自首とは、犯人が捜査機関に自発的に自己の犯罪事実を申告し、その訴追を含む処分を求める行為です。
刑法42条が設けられている理由は、罪を犯した 人にメリットを与えることにより、犯罪の捜査や犯人の処罰をしやすくなると共に、冤罪になる危険を避けやすくなる、あるいは、予備罪等の実行を未然に防止することが期待できるとされているからです。

自首にはいくつかの要件があります。
(1)自発的に自己の犯罪事実を申告すること
(2)自己の訴追を含む処分を求めること
(3)捜査機関に対する申告であること
(4)捜査機関に発覚する前の申告であること
以上を満たしている場合、自首が成立します。

(1)の自発的な部分というのは、必ずしも反省により出たものであることを要しません。
今回の事案のような、万引きしたことがバレてしまう恐怖 により、自首をした場合について又は、弁護士事務所に相談をしてからであっても自首は成立します。

自首をした場合、刑が減刑される可能性があります。
刑の減刑については、裁判官の裁量によって刑を軽くすることができます。
減刑すべきと判断された場合の減刑方法は、刑法68条に規定されています。

刑法68条 法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1号 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮とする。
2号 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3号 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4号 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の2分の1を減ずる。
5号 拘留を減軽するときは、その長期の2分の1を減ずる。
6号 科料を減軽するときは、その多額の2分の1を減ずる。

刑法68条では、法律上刑を減刑するべき場合について、減刑の幅や程度を定めています 。
今回の万引きによる窃盗罪 については、以下の通り減刑されることになります。
「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」→「5年以下の懲役又は25万円以下の罰金」
このように減刑され、この範囲で判決が言い渡されることになります。

刑の軽減以外にも、自首には、逮捕・勾留を回避できる可能性が高くなるというメリットがあります。
自ら犯罪事実の申告をしたことにより、証拠隠滅や逃亡を自首しなかった場合に比べ低いと判断されやすく、逮捕・勾留されるリスクが少なくなります。

自首をする際には、弁護士が同行することができます。
弁護士が同行することにより、緊張を緩和し、取調べに対し冷静に取り組むことが出来たり、弁護士が身元引受人になり、逮捕される可能性を低くするなどのメリットがあります。
自首が成立するかどうかや自首した場合の流れ、自首をした後どうなるか等は、事案によって変わることがあります。
自首についてお悩みの方は、一度刑事事件を専門的に取り扱う法律事務所 に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、自首の際の弁護士同行も行っております。
弊所では自首への対応を経験した弁護士が数多く在籍しております。

今回の事案のような、さいたま市浦和区の万引きで自首をしたい、逮捕・勾留を回避したい等ございましたら、0120-631-881までお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪の自首

2022-03-17

占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪の自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

~刑事事件例~

神戸市東灘区に住むAさんは近所でキャッシュカードを拾い、このカードを使って現金自動預払機から現金を引き出すことを思いつきました。
Aさんはまず現金を引き出す前提として、どれくらいの残高があるか確かめるため、残高照会をすることとし、キャッシュカードをV銀行の現金自動預払機に差し込みました。
しかしV銀行には紛失届が出されていたので、キャッシュカードはそのまま回収され残高照会をすることはできませんでした。
キャッシュカードが回収されたのを見てAさんは怖くなり兵庫県東灘警察署への自首を考えています。
(フィクションです)

占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪について

Aさんの行動のうち、キャッシュカードを拾って自分のものとしたことが、占有離脱物横領罪にあたります。
また、残高照会をしようとしたことが窃盗未遂罪にあたります。

それぞれを見ていきましょう。

占有離脱物横領罪(刑法第254条)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処する。

窃盗罪(刑法第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

窃盗未遂罪(刑法第243条)
第235条から(略)第241条第3項の罪の未遂は、罰する。

※現金自動預払機において、残高照会行為と現金引出行為(=窃取行為)は一体の行為とされています。
(名古屋高等裁判所判決平成13年9月17日)
残高照会行為に着手していれば、窃盗の実行の着手に該当するとされます。

自首とはどのようなことですか

自首とは、犯人が捜査機関(警察など)に対し、自発的に自分の犯罪事実を申告し、処分を求めることをいいます。
自首についても刑法上に規定がありますので、見ていきましょう。

刑法第42条
1 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

と規定されています。
※おおよその人相、年齢、身長、着衣等がわかっているだけでは「発覚」しているとはいえないとされています。

刑事事件例について

先に述べましたとおり、Aさんには占有離脱物横領罪と窃盗未遂罪が成立します。
捜査機関が、キャッシュカードを拾ったり、そのキャッシュカードで残高照会をしたのがAさんだと把握していない場合は、自首が成立する可能性が有ります。

弁護活動について

Aさんは自首をしようかと悩んでいます。
自首をするメリットとしては、①逮捕されない可能性が上がる②報道されない可能性が上がる③不起訴の可能性が上がる④執行猶予の可能性が上がる⑤示談の成功率が上がるなどがあります。
さらに自首に弁護士が同行するメリットとしては、①逮捕されない可能性が更に上がる(逃走や証拠隠滅の恐れが低いとみられます)②自首前に取調べへのアドバイスをもらえるなどがあります。
ご自身で警察署など捜査機関に連絡をする前に、ぜひ刑事事件に強い弁護士に一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
占有離脱物横領罪や窃盗未遂罪に詳しい弁護士、自首に同行をした経験がある弁護士も在籍しております。
ご家族やご自身が占有離脱物横領罪や窃盗未遂罪で話を聞かれることになった、逮捕されてお困りの方、自首をしようか悩んでいる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

常習累犯窃盗罪と病的窃盗癖(クレプトマニア)

2022-03-06

常習累犯窃盗罪と病的窃盗癖(クレプトマニア)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

~刑事事件例~

Aさんは10年前から万引きで5回逮捕されており、最初は起訴猶予になりましたが、後の4回は1年以上の懲役刑(1回は執行猶予)を受けています。
半年前、Aさんの家族がAさんを病院に連れて行ったところ「病的窃盗癖(クレプトマニア)」の可能性が高いと診断を受け、治療を始めました。
しかしAさんは2日前に、千葉市中央区のコンビニで万引きをして、常習累犯窃盗罪で千葉県千葉中央警察署に逮捕されました。
Aさんの家族は「Aが新しく万引きをしないためにも、病的窃盗癖(クレプトマニア)の治療を続けさせたい。何とかならないか。」と考え、刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
(フィクションです)

万引きは窃盗罪ですよね?

万引きは軽い言葉に聞こえるかもしれませんが、他人の財物を盗む点でまぎれもなく窃盗罪です。
条文は
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」(刑法第235条)
となっており、重い罪であることがわかるかと思います。

常習累犯窃盗罪とはどのような罪ですか?

Aさんが逮捕された、常習累犯窃盗罪とはどのような罪でしょうか?
刑法ではなく、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」という古い法律に定められています。

※読みやすくするため、カタカナをひらがなに直しています。

常習として前条に掲げたる刑法各条の罪(※刑法235条、236条、238条、239条のことを指します。)又は其の未遂罪を犯したる者にして其の行為前10年内に此等の罪又は此等の罪と他の罪との併合罪に付3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又は其の執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る。(盗犯等の防止及処分に関する法律3条)

つまり
①「常習として」窃盗や強盗等の罪を犯したという要件
②10年以内に同種の罪で3回以上6月以上の懲役刑(その執行が猶予された場合も含みます)を受けているという累犯性の要件
を満たした場合に成立します。
法定刑は「3年以上の懲役刑」とされており、窃盗罪にあった罰金がなくなり、長期間刑務所で服役する可能性が高くなります。

病的窃盗癖(クレプトマニア)とはなんですか?

窃盗(主に万引き)を止めたくても、意思の力では止められない「依存症」という病気のことです。
病的窃盗癖(クレプトマニア)の診断基準はいくつかありますが、詳しくは医療機関へお尋ねください。

病的窃盗癖(クレプトマニア)と責任能力について

万引き事件の場合、病的窃盗癖(クレプトマニア)として責任能力が否定されることはあるのでしょうか?
責任能力が否定される状況としては、その商品を必要とする理由もなく、商品を手に取ると何も隠さず店を出て、店員などに声をかけられても何も反応しない等、普通の万引き事件と比べて異常な状況であることが必要とされ、大変限定的とされることが多いです。

弁護活動について

クレプトマニア(窃盗症)であると診断された場合、刑務所等で行われる矯正処遇だけでは、再犯を防ぐことは難しいため、適切な治療を受けていくことが欠かせません。
そしてその治療の経過報告や結果を検察官や裁判官に伝えていくことで、被疑者の方やそのご家族の方がしっかりと再犯防止対策をとっていることを主張していきます。
また、常習累犯窃盗罪は被害者の方がいる罪であるため、示談交渉が重要になります。
示談は、ほぼ弁護士にしかできません。
ですので弁護士を通して、被害者の方への謝罪と被害弁償金の支払いを行うことになるでしょう。
示談が成立した時は、示談書等を検察官や裁判官に提出し、被疑者の方が示談金を支払い、しっかりと反省していることを主張していくことになると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
病的窃盗癖(クレプトマニア)に詳しい弁護士も在籍しております。
ご家族やご自身が常習累犯窃盗罪で話を聞かれることになった、逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

借金の弁済の担保と窃盗罪 

2022-02-23

借金の弁済の担保と窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

~事例~

AさんはVさんに30万円を貸しており、返済を迫っていました。
しかしVさんがなかなか返済をしないため、Aさんは業を煮やし京都市東山区にあるVさんのマンションに忍び込み「金を返すまでパソコンは預かる」と机の上に書置きし、Vさんのパソコンを持ち帰って自宅の物置にしまっておきました。
その後Vさんは京都府東山警察署に被害届を出したため、Aさんは京都府東山警察署で窃盗罪と住居侵入罪で話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

借金の弁済の担保としてパソコンを盗む行為について

AさんはVさんのパソコンを売り払おうとか自分で使おうと思っていたわけではありません。
借金の弁済の担保として自宅で保管していたのですが、窃盗罪にあたるのでしょうか。

売り払ったり自分で使おうとしなくても窃盗罪になるのですか?

それでは窃盗罪とはどのような罪なのか詳しく見ていきましょう。
条文は
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第235条)
です。

詳しく見ていきましょう。

・窃盗罪の意味
他人が占有する財物を窃取する行為は、窃盗罪となります。
・窃盗罪の保護法益
事実上の占有権が窃盗罪の保護法益とされています。
・窃盗罪の故意について
窃盗罪が成立するためには、①他人の占有を排除し、財物を自己または第三者の占有に移す意思②不法領得の意思が必要です。
「不法領得の意思」とは、他人の物を経済的用法に従い自分の物のように利用または処分する意思のことで、その物を利用する意思は一時的なものでも構いません。
※「経済的用法」とは、その物の本来の用法に従って利用することです。(例:自転車ならば、乗って利用する)

「他人の占有を排除する(侵害する)」行為は、それをどのような目的によって行っているかによって成立する罪名が違います。
・不法領得の意思をもって他人の占有を侵害する→窃盗罪
・隠匿・廃棄の意思のみで他人の占有を侵害する→器物損壊罪
となります。

住居侵入罪について

条文は
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。(刑法第130条)
です。
つまり、他人の家(住居)又はマンションやアパートなどの共同住宅に無断で侵入した場合は住居侵入罪に問われますということです。
※借金の弁済の担保を手に入れるため、というのは正当な理由にはなりません。

刑事事件例について

Aさんは自己の直接的な利益(借金の弁済の担保とすること)のために、Vさん(所有者)の意思に反して占有を侵害する意思があり、それは不法領得の意思と同一とされますので、Aさんには窃盗罪と、Vさん宅に正当な理由もなく侵入したので住居侵入罪が成立する可能性が高いと思われます。

Aさんに対する弁護活動について

いくら借金を返してもらえないからといって、人の家に忍び込んで勝手に担保として金品を持っていくのは窃盗罪と住居侵入罪にあたります。
Aさんはまず、弁護士を通じて被害者Vさんへの被害弁償及び示談交渉を行うことが大切になるでしょう。

窃盗罪、住居侵入罪の被害届が提出される前に、被害者に対して被害を弁償して示談を成立させることができれば、警察未介入のまま事件を解決できる可能性があります。
窃盗罪、住居侵入罪としてすでに警察が介入している場合であっても、被害者との間で被害弁償及び示談を成立させることで、逮捕や勾留を回避して早期に職場復帰や社会復帰の可能性を高めることができます。

窃盗罪は被害金額が大きくなく同じような前科がなければ、被害者との示談成立により起訴猶予による不起訴処分を目指すことも可能です。
起訴猶予による不起訴処分は前科とはなりません。

ぜひ早期に、刑事事件に強い弁護士に相談をしてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件に特化した法律事務所です。
窃盗罪や住居侵入罪を取り扱った弁護士も在籍しております。
ご家族やご自身が窃盗罪や住居侵入罪で話を聞かれることになった、逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ひったくりと窃盗未遂罪

2022-02-12

ひったくりと窃盗未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~刑事事件例~

Aさんは生活費に窮したことからひったくりを決意し、横浜市磯子区にある銀行から出てきたVさんが手に持っている封筒に現金が入っていると思い、これをひったくって逃走しました。
しかしこの封筒にはチラシしか入っておらず、銀行で大量に無料配布されているもので、Vさんもすぐに捨てるつもりでした。
Aさんは駆けつけた神奈川県磯子警察署の警察官に窃盗未遂罪で逮捕されました。
(フィクションです)

窃盗罪とは?

Aさんが行った窃盗罪と、盗んだものの価値について見ていきましょう。
①窃盗罪とは
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第235条)
他人が占有する財物を窃取する行為は、窃盗罪を構成します。
②窃盗罪の保護法益
事実上の占有権が窃盗罪の保護法益にあたります。
③「財物」とは
所有者にとって、客観的に価値がないものであっても、主観的価値(使用価値・利用価値)があれば財物となります。
・「財物」となるもの
財物に対する主観的な価値は、「それを保存しておきたい。」という積極的な意思だけではなく、「他人に渡さないため」あるいは「悪用を防ぐために廃棄する」といった消極的な意思でも成り立ちます。
・「財物」とならないもの
経済的価値が極めて少なく、客観的にも主観的にも全く価値のないものは財物ではありません。 
※ですから、「財物」にならないものを窃取しても、未遂罪にとどまります。 

刑事事件例について

上記の通り、Aさんが窃取したチラシは刑法上保護すべき「財物」とは認められないことから、Aさんには窃盗未遂罪が成立すると思われます。

関係判例

Aさんのような財物ではないものを盗んだことについての裁判は、昭和54年に判決がでています。
無料配布の広告パンフレットは客観的にも主観的にも財産的価値がないから、これを窃取しても未遂にとどまる(東京高等裁判所判決昭和54年3月29日)。

逮捕されたAさんの今後について

逮捕されたAさんは48時間以内に検察庁の検察官のもとに送られます。
検察官は、24時間以内にAさんを勾留するか釈放するかを決め、勾留する場合は裁判所に勾留請求をします。
勾留請求を受けた裁判所の裁判官は、Aさんを勾留するかどうかを決定します。
裁判所の裁判官による勾留決定が出た場合、Aさんは10日~20日間警察署の留置場などに留置されることになります。
その後は起訴され裁判になるか、または起訴猶予による不起訴となり裁判にならないこともあります。

しかし、早期に弁護士に依頼をすることにより釈放や不起訴を勝ち取り逮捕や勾留、裁判や前科を回避できる可能性があります。
窃盗事件は被害者の方が存在するため、被害者の方への被害弁償や示談の成立が大切です。
窃盗罪の被害届が提出される前に、被害者の方に対して被害を弁償して示談を成立させることができれば、警察が捜査をする前に前科をつけずに事件を解決できる可能性があります。
すでに警察が捜査をしている場合であっても、被害者の方との間で、被害弁償及び示談を成立させることで、逮捕や勾留による身柄拘束をされることがなく早期に職場復帰や通学が出来る可能性を高めることができます。
また被害金額が少なく、同じような前科がなければ、示談の成立により起訴猶予による不起訴処分を目指すことも可能です。
起訴猶予による不起訴処分になれば前科はつきません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が窃盗未遂罪で逮捕されてしまいお困りの方、釈放・不起訴にしてほしい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

万引きで逮捕

2022-02-01

大阪市天王寺区の窃盗事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~窃盗罪の逮捕からの釈放~
大阪市天王寺区在住のAさんは,近所にあるコンビニエンスストアで,飲料水をカバンに入れ,代金を支払わず店を出ました。
その後、Aさんの様子を怪しく思った店員は、監視カメラでAさんを確認したところ、万引きしていたところを発見しました。
店員は警察に通報し,Aさんは,窃盗罪の容疑で、大阪府天王寺警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

窃盗罪

人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
その場合,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

条文の通り、窃盗罪は他人の財物を窃取することで成立します。
窃取には、「窃」というひそかにという意味を持つ単語が含まれていますが、窃盗罪では必ずしもひそかに行われていなくても他人の財物を盗んだ場合に成立します。
また、条文に記載されている他人とは、一個人を示すものではなく、財物を共同で管理している場合の複数人も他人に含まれます。

今回のケースに当てはめてみると、Aさんは、コンビニエンスストアの管理する飲料水を窃取しています。
コンビニエンスストアが管理している飲料水も、上記の話で他人の財物とみなすことができると思います。
また、窃取の行為自体もひそかに行われているわけではないですが、他人の財物を盗んでいるので窃取と言える行為いえます。
よって、窃盗罪が成立すると考えられます。

窃盗事件で釈放を目指す弁護活動

窃盗罪で逮捕された場合、勾留され長く身体拘束されてしまう可能性があります。
もし、勾留されれば、長くて20日間拘束されてしまい、その間外に出ることはできません。
外に出られないことによる不利益は多く存在すると思います。
その為、弁護士は被疑者からの申し出があれば、勾留を阻止すべく、活動を行います。
検察官や裁判所に、家族の監視監督や勾留されることによりどのような不都合が生じるかなどを説明し、勾留の必要性がないことを主張していきます。

勾留の阻止以外にも、取り調べの対応についてや示談交渉など様々な活動を行っていきます。
その中でも示談交渉は、とても重要で、弁護士を通じて被害者の方に謝罪や弁償をすることができます。
示談の交渉を進めていき、被害者の方にお許しをいただければ、前科がつくことを回避できる可能性があります。
その他にも減刑や執行猶予付きの判決を貰える可能性が高くなります。

しかし、国選と言われる国からの補助で付けてもらえる弁護士は、勾留後にしか基本的につけてもらえず、初動が遅れてしまいます。
私選の弁護士である弊所であれば勾留前から、依頼を受け早期に行動を起こすことが可能です。
刑事事件では、勾留や起訴など期限が多く存在し、早く行動することが重要になっていきます。

弊所では上記の活動について、経験豊富な弁護士が在籍しております。
勾留の阻止についても、数多く成功しており、事件の内容も様々なものを扱っております。
事件の内容によって弁護活動は、大きく変化するため、経験数は非常に重要な要素になると考えられます。

もし、今後お困りのことがあれば0120-631-881に架電していただけると,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービスや初回無料法律相談のお問い合わせを365日24時間いつでも受け付けております。
窃盗事件で逮捕されてしまってお困りの方,刑事事件で釈放を目指したいという方は,弊所弁護士まで一度ご相談ください。

共同正犯と窃盗罪の中止未遂

2022-01-21

共同正犯と窃盗罪の中止未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~刑事事件例~

ある日の夜A1さんとA2さんが共謀して東京都八王子市のVさん宅に侵入して金品を物色していました。
しかしA1さんは急に反省しA2さんに窃盗行為を中止しようと言いましたが、A2さんが納得しなかったのでA1さんだけ窃盗行為を中止して帰宅し、A2さんは窃盗行為を続け金品を窃取しました。
後日、A1さんは警視庁八王子警察署に窃盗罪の既遂で逮捕されたのですがA1さんは自分が何も盗んでいないのに窃盗罪の既遂になるのはおかしいと納得がいかず、刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼しようとしています。
(フィクションです) 

問題点

共犯者が犯行を中止したものの、その後共犯者が単独で犯行を行った場合、未遂罪となるか既遂となるかが問題点です。
以下に検討をしていきましょう。

1 未遂罪とは
犯罪の実行に着手したが、既遂に至らなかった場合は未遂罪となります。

2 障害未遂とは
外部的な障害によって未遂となった場合のことをいい、刑が任意に減軽され、これを任意的減軽といいます。

3 中止未遂とは
外部的障害がなかったにもかかわらず、自ら犯罪の実行を中止した場合のことをいい、必ず刑が減軽され、これを必要的減軽といいます。
ただし、実行後に犯行を中止した場合は、結果が防止されなければ中止犯は成立しません。

4 共同正犯
共同正犯とは各共謀者が実行行為の一部を分担し、お互いの行為を利用して犯罪を実現する犯行のことです。
共犯者の一部の者が犯行を中止しても、他の共犯者によって犯行が継続され、犯罪が既遂に達した場合は、中止未遂は適用されません。
犯行を中止した共謀者が、他の共謀者の犯行を阻止することによって、はじめて中止未遂となります。

5 関係判例
共犯者がある場合には、全員が中止することによって、結果の発生を防止しなければ、中止犯にはならない(大審院判決大正12年7月2日)。

つまり共犯のA2さんが窃盗を中止しておらず、金品を窃取したため、A1さんにも窃盗罪の既遂が成立します。

A1さんに対する弁護活動 

A1さんは窃盗罪で逮捕されました。
A1さんの今後は、逮捕勾留起訴裁判というのが基本の流れになります。
逮捕後は検察官により勾留請求がされ、裁判所によって勾留が認められれば勾留(警察署の留置場にいること)となります。
勾留後最大20日後に検察官により起訴をされ裁判になります。
弁護士はまず勾留を阻止するため、勾留請求や勾留決定に対し意見を提出したり不服を申し立てることができます。
仮にここで却下されてもあきらめず、勾留が延長されるタイミングで再度意見を提出したり不服を申し立てます。
また、起訴をされず裁判にならないように検察官に意見を提出します。
そして勾留されたまま起訴された時も、保釈請求を行い、身柄の開放を目指していきます。 

ただし、身柄を解放されても警察官や検察官による取り調べは続きます。
弁護士ならば取り調べへの対応アドバイスを継続的にしていくことができます。
できるだけ早期に刑事事件に強い弁護士へ弁護を依頼すると良いでしょう。  
 
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
窃盗罪で逮捕されて納得がいかない場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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