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窃盗事件における被害者対応
窃盗事件における被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡県大牟田警察署は、窃盗の容疑で自営業のAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、Aさんが容疑を認めているのか、認めているならば被害者へどのように対応すべきか、今後はどうなるのか、いろいろと分からないことばかりで不安でなりません。
ネットで調べた刑事事件専門弁護士に相談の連絡をしたAさんの家族は、すぐに接見に行ってくれるよう頼みました。
(フィクションです。)
窃盗事件における被害者対応
窃盗事犯は、日本における刑法犯認知件数の過半数を占めています。
窃盗事犯の犯行形態も多様で、自転車盗、空き巣、車上ねらい、万引き、置き引きといったものから、自動車盗などの組織犯罪があります。
事実関係に争いのない場合には、起訴猶予や量刑の軽減、執行猶予の獲得に向けた弁護活動が中心となります。
刑事事件について、起訴するか否かを最終的に判断するのは検察官です。
被疑者を有罪にするだけの十分な証拠がある場合、検察官は公訴を提起します。
しかし、被疑者を有罪を立証するのに十分な証拠があるときでも、検察官は、公訴を提起しないとする決定をすることがあります。
被疑事実が存在していても、被疑者の「性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により、訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」とされています。(刑事訴訟法第248条)
「犯罪の情状」とは、犯罪行為を主観的に評価した場合における情状であって、具体的には、犯罪の動機・原因・方法・手口、計画性・主導性の有無、犯人の利得の有無、被害者との関係、被害者の落度の有無、犯罪に対する社会の関心、社会に与えた影響、模倣性などが含まれます。
そして、「犯罪後の情況」というのは、犯人の反省の有無、謝罪や被害回復のための努力の有無、逃亡や証拠隠滅等の行動の有無、身柄引受人その他将来の監督者・保護者の有無といった環境調整の可能性の有無、被害弁償の有無・程度、示談の成否、被害者の宥恕の有無、被害者感情の強弱などが含まれます。
つまり、被害者対応の如何は、この「犯罪後の情況」に深く関係するのです。
特に、財産犯である窃盗事犯においては、被害の回復の有無、つまり、被害弁償を行っているかどうか、また、示談を締結し、被害者からの許しが得られているかどうか、といった点が最終的な処分結果に大きく影響します。
万引きや置き引きといった比較的軽微な窃盗事犯であれば、捜査段階で被害弁償を行い、示談を成立させることができれば、不起訴となる可能性は高いです。
手口が悪質で被害額も大きくなる傾向のある侵入盗や組織的な窃盗事犯については、例え、すべての被害者に対して被害弁償を行い、示談を成立させることができたとしても、起訴される可能性があります。
起訴された場合であっても、被害弁償の有無や示談の成否は、量刑の軽減や執行猶予の獲得に繋がる重要な要素となることには変わりありません。
弁護士を介した被害者対応
先に述べたように、窃盗事件における被害者対応は、最終的な処分に影響を及ぼす重要なポイントと言えます。
しかしながら、被疑者・被告人やその家族が直接被害者対応を行うことは容易ではありません。
被疑者が逮捕・勾留されている場合には、物理的に被害者とコンタクトをとることができません。
また、被疑者やその家族が被害者と接触し、供述を変えるよう迫るなどして罪証隠滅するおそれもあるため、捜査機関が直接被害者の連絡先を被疑者やその家族に教えることは基本的にはありませんし、被害者も被疑者らに自身の連絡先を教えることに抵抗があるケースがほとんどです。
そのため、通常は弁護士を介して被害者への被害弁償や示談交渉を行います。
窃盗事件の場合、被害者も被害の回復を望んでおり、被害弁償を受けると回答される方は多く、弁護士限りであれば連絡をとってもよいと言われることが少なくありません。
弁護士は、被疑者・被告人の代理人として、被害者への謝罪、被害弁償、示談成立に向けた交渉を行います。
被害者対応を早期に行い、被害弁償や示談を成立させることができれば、不起訴や執行猶予といった結果に繋がる可能性を高めることができます。
ご家族が窃盗事件を起こし、被害者対応にお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
窃盗(車上ねらい)で逮捕
窃盗(車上狙い)で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
兵庫県姫路市のスーパーマーケットの駐車場に停車していた車から、財布などが入ったカバンを盗んだとして、兵庫県飾磨警察署は、Aを窃盗の容疑で逮捕しました。
同市では今年に入って車上ねらい事件が多発しており、警察はAが他にも同種の事件に関与しているとみています。
Aの両親は、警察からの逮捕の連絡を受け、非常に驚いていますが、今後のどのように対応すべきか分からず困っています。
(フィクションです。)
車上ねらい
車上ねらいは、窃盗の一種で、自動車などの積荷や車内の金品を盗むものをいいます。
自動車に限らず、駐輪した自転車のかごから荷物を盗むケースも車上ねらいに含まれます。
窃盗罪は、刑法235条に次のように規定されています。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
■他人の財物■
刑法の客体である「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物を意味します。
まず、「財物」についてですが、これは原則として有体物、つまり、形のある物のことを指します。
ただ、電気については、有体物ではありませんが、刑法245条で「財物」とみなすものと規定されていますので、電気を窃取した場合には窃盗罪が成立します。
他人の財物、つまり、他人の占有する他人の財物であるためには、当該財物を他人が「占有」していることが必要です。
「占有」とは、財物に対する事実上の支配のことをいいます。
占有の存否については、客観的要件である財物に対する支配(占有の事実)と主観的要件である支配の意思(占有の意思)を総合して、社会通念に従い判断されます。
財物を握持している場合は、財物に対する占有は当然に肯定されますし、財物が人の自宅などの支配領域内にある場合についても、その所在を見失っても支配が認められ、占有は肯定されます。
財物が人の支配領域内にない場合については、財物が短時間で現実的支配を及ぼし得る場所的範囲内にあるとき、例えば、外出先で自分のカバンをどこかに置いてきてしまったとしても、すぐに置き忘れたことに気付き、その時に置き忘れた場所からもそう遠くないところにいた場合には、財物の占有が認められる可能性があります。
■窃取■
窃盗罪は、他人の財物を「窃取」する罪ですが、「窃取」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反して、自己または第三者の占有に移転させることをいいます。
窃盗罪は、占有の移転が必要となりますので、単に占有者の占有から財物を離脱させるにすぎない場合、例えば、他人の鳥かごに入れて飼っている小鳥を逃がす行為は、「窃取」とは言えず、窃盗罪は成立しません。
行為者または第三者が財物の占有を取得したときに、窃盗罪は既遂となります。
占有を取得したかどうかは、財物の大きさ、財物搬出の容易性、占有者の支配の程度などの事情を総合的に勘案して判断されます。
■不法領得の意思■
窃盗罪の成立を肯定するためには、主観的要素として、他人の財物を窃取することの認識(=故意)のほかに、不法領得の意思がなければなりません。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思のことをいいます。
毀棄・隠匿の意思で行われた場合には不法領得の意思がないため、窃盗罪は成立しません。
また、単に一時使用して返還する意思の場合も、不法領得の意思は否定されます。
窃盗罪には、未遂処罰規定(刑法243条)が設けられており、既遂に至らない場合であっても、未遂罪として犯罪が成立します。
そのため、未遂事件では、実行の着手が認められるか否かが問題となります。
「実行の着手」というのは、構成要件の内容である行為、つまり、犯罪実現についての現実的危険性を含む行為を開始することを意味します。
窃盗罪においては、財物に対する他人の事実上の支配の侵害に密接な行為をしたときに実行の着手が認められると考えられます。
車上ねらいのケースでは、車両内に侵入しようとした行為に及んだ時に、実行の着手があったと認められるでしょう。
車上ねらいで逮捕されたら
車上ねらいで逮捕された場合、逮捕後に勾留となる可能性は高いでしょう。
特に、組織的な犯行であるとか、被害金額が大きい、他にも余罪があるなどの場合、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあると認められ、勾留が決定されることが予想されます。
車上ねらいでは、被疑者が複数の車上ねらいを行っているケースが多く、最初に逮捕・勾留された事件とは別に、車上ねらい事件で新たに逮捕・勾留される可能性が高く、身体拘束が長期化することが考えられます。
捜査段階では釈放が困難であっても、起訴後に保釈制度を利用して釈放される可能性はありますので、事前に保釈に向けて準備をしておく必要があるでしょう。
また、財産犯においては、被害者への被害弁償の有無や示談の有無が最終的な結果に大きく影響することになりますので、被害者への被害弁償、示談交渉を行うことは重要です。
ただ、被疑者本人が直接被害者への被害弁償を行うことは事実上難しく、通常は、弁護士を介して行います。
事件が複数に及ぶ場合には、当然、被害弁償の金額も高額となりますが、被害者への被害弁償はきちんと行う必要があります。
窃盗罪は親告罪ではありませんが、捜査段階で被害者への被害弁償や示談が成立している場合には、検察官が起訴しないとする処分を決定することもあります。
事件が複数あり、犯行態様も悪質である場合には、被害弁償・示談の有無にかかわらず起訴することもありますが、それでも被害回復の有無は略式手続や公判請求であっても執行猶予となる可能性を高める重要な要素となることに変わりはありません。
ですので、車上ねらいで逮捕された場合には、早期に弁護士に相談・依頼し、被害者への被害弁償や示談交渉を行いましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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特殊詐欺事件で窃盗罪
特殊詐欺事件で窃盗罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府高石警察署は、特殊詐欺事件に関与したとして、大学生のAさん(21歳)を窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、受け子として大阪府高石市に住むVさん宅を訪れ、キャッシュカードを窃取したということです。
Aさんは容疑を認めており、警察は他にも余罪があるとみて調べています。
(フィクションです。)
詐欺罪と窃盗罪
特殊詐欺事件は、電話やハガキ等で親族や公的機関の職員を名乗り被害者を信じ込ませて、被害者から現金やキャッシュカードを騙し取ったり、ATMで犯人の口座に振り込ませたりする犯罪のことをいいます。
特殊詐欺という名称から、特殊詐欺事件に関与した者には詐欺罪が適用されるように思われがちですが、犯行態様によっては詐欺罪ではなく窃盗罪に問われることがあります。
詐欺罪について
詐欺罪は、人を欺いて、財物を交付させる、あるいは、財産上不法の利益を得、またはこれを他人に得させる犯罪です。
詐欺罪の行為は、「人を欺いて、財物を交付させる」、そして、「人を欺いて、財産上不法の利益を得、またはこれを他人に得させる」です。
詐欺罪の成立には、①欺く行為、②欺く行為によって相手方が錯誤に陥る、③相手方が錯誤に陥った結果、財産的処分行為を行う、④相手方が財産的処分行為を行った結果、行為者に財物の交付が行われる、あるいは行為者が財産上不法の利益を得る、または他人がこれを得る、といったように、①から④までの間に因果関係が認められ、かつ、行為者に行為時においてその故意および不法領得の意思があったことが認められる必要があります。
このように、詐欺罪の本質は、①欺く行為⇒②相手方の錯誤⇒③錯誤に基づく財産的処分行為⇒④財物の交付という行為の流れをとることです。
詐欺罪の成立ポイントとしては、騙された相手が自らの意思で財物ないし財産上の利益の処分を行うことが挙げられます。
財産的処分行為が成立するためには、財産を処分する事実と財産を処分する意思が必要となります。
特殊詐欺事件では、電話で被害者に対して、「口座が犯罪に利用されている。」、「還付金がある。」などと言って騙し、自宅にやって来た人物にキャッシュカードを渡す、といった手口があります。
この場合、騙された被害者は、キャッシュカードを訪問者に渡す意思に基づいてキャッシュカードを渡していますので、詐欺罪における財産的処分行為があったと言え、詐欺罪が成立すると考えられます。
窃盗罪について
それでは、特殊詐欺事件で窃盗罪に問われる場合についてですが、それは、先にも述べた詐欺罪の成立ポイントである財産的処分行為がない場合です。
特殊詐欺事件の手口としては、被害者からキャッシュカードの入った封筒を預かったときに、共犯者にタイミングよく電話をかけさせ、被害者がその場を離れたときに他のカードが入った封筒と入れ替えることによって、被害者からキャッシュカードを取得するというものがあります。
この場合、被害者は自分の意思でキャッシュカードを相手方に渡したわけではありません。
被害者の隙をついて犯人がキャッシュカードをすり替えて入手したのであり、財物の占有者の意思に反して占有を移転させたことになります。
窃盗罪は、他人の占有する財物を「窃取」する犯罪です。
「窃取」とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
そのため、被害者の隙をみてキャッシュカードの入った封筒をすり替える行為は、窃盗罪の窃取にあたります。
詐欺罪も窃盗罪も財物の占有を被害者から自己または第三者に移転させる点で共通しています。
いずれにせよ財産犯ですので、被害者への被害弁償や示談の有無が最終的な処分に大きく影響することになります。
また、ほとんどの特殊詐欺事件は組織犯罪ですので、逮捕後には勾留される可能性が非常に高いでしょう。
勾留の決定と同時に接見禁止に付される可能性もあります。
特殊詐欺事件については近年厳罰化傾向にあり、初犯であっても、事件の内容によっては実刑となることもありますので、特殊詐欺事件でご家族が逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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盗品等に関する罪で逮捕
盗品等に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府大阪市天王寺区で古物商を営んでいたAさんは、盗品だと知って買い取ったとして、大阪府天王寺警察署に盗品等有償譲受けの疑いで逮捕されました。
Aさんは、買い取った商品が盗品であることを知らなかったと故意を否認しています。
Aさんは、家族の依頼で接見にやってきた刑事事件専門弁護士に、取調べ対応についてのどのように対応すべきか聞いています。
(フィクションです。)
盗品等に関する罪とは
盗品等に関する罪は、窃盗罪のような財産領得罪を前提として、その取得した財産の処分に関する犯罪です。
盗品等に関する罪は、刑法第256条において、次のように規定されています。
1 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
■客体■
本罪の客体は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」です。
これは、窃盗などの罪の被害者が法律上追及し得るものです。
「財産に対する罪」とは、個人の財産を保護法益とする犯罪のことをいいます。
そのため、財産犯ではない、例えば墳墓発掘罪や漁業法違反などにより得た物は本罪の客体とはなりません。
また、「財産に対する罪に当たる行為」とあるため、犯罪として成立していることまで必要とされず、構成要件に該当する違法な行為であればたりるとされています。
そのため、無責任能力者の行為であってもよく、親族相盗例により刑を免除される場合であっても、被害者の追求権が存在している以上は本罪の客体となります。
財産罪によって「領得された物」というためには、本犯が財物の領得について既遂に達していなければなりません。
それは、領得がなければ財産罪の被害者の追求権が生じないからです。
本罪の客体は、財産罪によって領得された「物」ですので、財物でなければならず、権利や財産上の利益は含まれません。
そして、「領得された」というのは、財産罪によって直接領得されたことを意味します。
つまり、本犯の客体と本罪の客体とは同一でなければならず、複製品は対象となりません。
よって、会社の機密情報を持ち出し、それをコピーし、原本は返却して、コピーを第三者に売却したとしても、コピーの売却行為については、機密情報のコピーが「財産罪によって直接領得された」とは言えないため、本罪は成立しません。
先にも述べましたが、本罪の客体は、本犯の被害者が法律上追及できる(返還を請求することができる)ものに限定されます。
この本犯の被害者が有する追求権が、本罪の保護法益となります。
■行為■
盗品等に関する罪の行為類型としては、無償譲受け、運搬、保管、有償譲受け、有償処分あっせん、とがあります。
①無償譲受け
無償で盗品等の交付を受け、それを自己の物として取得することを「無償譲受け」といいます。
②運搬
運搬とは、委託を受けて盗品等を場所的に移転させることをいいます。
運搬については、無償・有償、移転の距離の遠近を問いません。
③保管
保管とは、委託を受けて盗品等の保管をすることをいい、有償・無償を問いません。
本罪の成立には、単なる保管の約束だけでは足りず、盗品等を現実に受け取ることが必要となります。
④有償譲受け
有償で盗品等の交付を受け、その処分権を取得することを「有償譲受け」といいます。
本罪の成立には、単に契約が成立したことだけでは足りず、実際に盗品等の引渡しが必要となります。
⑤有償処分のあっせん
有償処分のあっせんとは、盗品等の売買、質入れなどの処分を仲介・周旋することをいいます。
あっせん行為自体は、無償・有償を問いません。
■故意■
本罪は故意犯ですので、客体が盗品等であることの認識が必要となります。
この認識は未必的なものでも構いません。
何らかの財産罪にあたる行為によって領得された物であることの認識があればよく、前提となる犯罪(財産罪)がどの犯罪なのか、被害者が誰で犯人が誰であるかを特定することまで必要とされません。
無償譲受け、有償譲受け、有償処分のあっせんについては、譲受け、あっせん行為の時点で盗品性の認識がなければなりません。
盗品等に関する罪の成立においては、この故意の有無について問題となることが多く、被疑者も、「盗品とは知らなかった。」と述べ、故意を否認することが少なくありません。
その場合には、取調べで故意を認めるような内容の供述調書がとられないようにする必要があります。
そのためにも、早期に刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼し、適切な取調べ対応についてのアドバイスをもらうことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されて対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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則竹弁護士が取材を受けコメントが東京新聞に掲載されました
密漁について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の代表弁護士則竹理宇が取材を受け、コメントが7月15日発行の東京新聞に掲載されました。
潮干狩り感覚の密漁で摘発されるケースが多発
これからの季節、海でのレジャーに出かける方も多いかと思いますが、海に生息する魚介類をむやみに採って持ち帰ると「密漁」となり、漁業法や、各都道府県が定める漁業調整規則に違反する可能性があるので注意が必要です。
中には、潮干狩り感覚で罪の意識がないままに禁止場所で貝類を採ってしまい、密漁として摘発を受けている方もいるようなので十分にお気をつけください。
また実際に各地でこういった事件の摘発が多発しており、海上保安庁等に検挙されると、管轄の検察庁に書類送検されて、刑事罰が科せられる可能性もあります
新聞記事には、こういった「密漁」に関して、漁業協同組合への取材内容や、専門家の意見を掲載し注意を呼び掛けています。
則竹弁護士のコメント
こういった密漁事件に巻き込まれないためにどうすればいいのかについて、則竹弁護士は「管轄の漁協に確認を取ってもらうのが確実だが、それが難しければ、人がいない場所では特に採取や立ち入りを禁止した看板などがないかチェックする。潮干狩り場以外では採ることを避けるのが賢明だ。」とコメントしています。
東京新聞(7月15日発行)の記事
窃盗で保護観察付執行猶予
保護観察付執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
1年前に窃盗で執行猶予付き判決が言い渡されたAさんは、千葉県市原市のドラッグストアで商品を万引きするという窃盗事件を起こしました。
Aさんは、千葉県市原警察署に窃盗の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、執行猶予期間中の再犯であることから、今回は実刑となるのではないかと心配しています。
(フィクションです。)
執行猶予期間中の再犯
万引きなどの比較的軽微な窃盗犯であっても、執行猶予期間中に再び罪を犯してしまうと、基本的には、刑の執行猶予が取消され、実刑判決が言い渡されることになります。
刑の執行猶予というのは、判決で刑を言い渡すにあたり、被告の犯情を考慮して、一定の期間法令の定めるところにより刑事事件を起こさずに無事に経過したときは刑罰権を消滅させる制度のことです。
執行猶予が付けば、すぐに刑務所に入ることありませんし、執行猶予期間中に罪を犯すことがなければ、刑は執行されることはありません。
すべての場合に執行猶予を付けることができるわけではなく、次の要件を満たす場合に、裁判官が刑の全部の執行を猶予することができます。
■刑の全部の執行猶予の要件■
①(a)前に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと、又は、
(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しをする場合。
③執行猶予を相当とするに足りる情状があること。
これらの要件を満たす場合に、裁判官は刑の全部の執行を猶予することができます。
執行猶予付き判決が言い渡され、実刑を回避することができた場合であっても、執行猶予が取消されることがあります。
必ず執行猶予が取消される(必要的取消事由)のは次の場合です。
①猶予期間内に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
②猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
③刑に処せられてから5年を経た者および刑に処せられた執行を猶予された者を除き、猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
また、裁量的に執行猶予の言渡しの取消しができる(裁量的取消事由)のは次の場合です。
①猶予期間内に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
②刑法第25条の2第1項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。
執行猶予が取消しになる事例のほとんどが執行猶予期間中の再犯です。
しかし、執行猶予が取消されるには、単に執行猶予期間中に執行猶予に付さない自由刑に相当する罪を犯しただけでは足りず、さらに執行猶予期間中に執行猶予に付さない自由刑が確定した上で、執行猶予期間の満期までに執行猶予取消決定の効力が生じることが必要です。
さて、上の事例のように、窃盗の罪を犯し、執行猶予付き判決が言い渡された者が、執行猶予期間中に再び窃盗の罪を犯した場合には、基本的には今回の窃盗事件について執行猶予なしの判決(実刑判決)が言い渡されることになります。
ただし、この場合であっても、再び執行猶予付きの判決が言い渡される可能性があります。
再度の執行猶予は、
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
②1年以下の懲役または禁錮を言い渡す場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。
の要件を満たす場合には、裁判官は刑の全部を執行することができます。
ただし、刑法第25条の2第1項により、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、執行を猶予することは許されません。
保護観察付執行猶予
刑の執行が猶予される場合、合わせて保護観察に付されることがあります。
裁判官は、初度の場合の執行猶予を付す際に、猶予の期間中に保護観察に付することができ、再度の場合の執行猶予については、猶予期間中に保護観察に付さなければなりません。
保護観察は、罪を犯した人が、社会の中で更生できるように、保護観察官および保護司による指導と支援を行う制度です。
保護観察対象者には、守らなければならない約束事があり、それを破ってしまうと、刑の執行猶予の言渡しが取消されてしまうことになります。
執行猶予期間中の再犯の場合にも、再度の執行猶予となる可能性はあります。
ただし、先の執行猶予に保護観察が付されている場合には、再度の執行猶予の要件を満たさず、再度の執行猶予となることできません。
また、再度の執行猶予となった場合には、必ず保護観察に付されることになりますので、その期間中に再び罪を犯せば、実刑判決が言い渡されることになります。
執行猶予期間中の再犯は基本的には実刑となる可能性が高いのですが、ケースによっては再度の執行猶予が見込める場合もありますので、まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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万引きで実刑!?
万引きで実刑となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
埼玉県大宮警察署は、スーパーマーケットで万引きをしたとして、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、身元引受人として家族が迎えに来て釈放となりましたが、Aさんはこれまでにも万引きの前科・前歴があり、今度ばかりは実刑となるのではないかと心配しています。
釈放された翌日、Aさんと家族は、刑事事件に強い弁護士に法律相談の予約を入れました。
(フィクションです。)
万引きが犯罪であることは、みなさんご存じであることと思いますが、犯罪は犯罪でも軽微な犯罪であることから、万引きをしたからといって、刑務所に入るようなことにはならないと、万引きを軽く考えておられる方も少なくないのではないでしょうか。
確かに、万引き行為それ自体は、窃盗罪に当たるものの、侵入盗や自動車等といった被害額が高額になる窃盗と比べて、窃盗の中でも軽いと部類に当たります。
初めて万引きで検挙された場合であれば、被害額もそれほど高くなく、被害弁償も済んでいるのであれば、微罪処分で処理されることが多くなっています。
微罪処分とは、犯罪事実が極めて軽微で、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについて、事件を検察官に送致せず、警察で事件を処理する処分のことです。
警察での取調べを1度だけ受けて、それ以降、警察や検察官に呼ばれることなく事件が終わった場合は、微罪処分で処理されているケースです。
万引きでの検挙も2回目となれば、微罪処分とはならず、検察官に事件が送られます。
検察官に事件が送致されると、今度は検察官から呼び出しを受けて、検察官からの取調べを受けます。
被害額や被害弁償の有無等により、被疑者が被疑事実を認めている場合であっても、検察官は、起訴猶予として起訴しない旨の決定をする可能性が高いです。
起訴されなければ、有罪判決を受けることはありませんので、前科は付きません。
ただ、微罪処分でも不起訴処分でも、被疑者として捜査の対象となったという前歴は残ります。
万引きといえども、何度も何度も繰り返している者に対して、軽い処分が下されるわけではありません。
被害額が少なくても、再犯の回数が増えれば、その分思い処分が下されます。
おおよそですが、2~3回目の万引きで検挙された場合は、起訴猶予となる可能性がありますが、それ以上となれば、起訴される可能性が高くなります。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、検察官が起訴する場合であっても、略式起訴とすることができます。
略式起訴は、法廷での裁判を開くことなく書面での審理で罰金刑とするよう求めるものです。
簡略化された手続であるため、被告人が公開の法廷に立って審理されることはなく、言い渡される罰金刑の罰金を納付すれば刑事手続は終了します。
手続が簡略されていても、言い渡されるのは有罪判決なので、前科が付くことに変わりありません。
そして、前科がある万引き犯の場合であれば、検察官は、略式起訴ではなく公判請求をする可能性が高くなります。
今度は、公開の法廷で審理を受けることになります。
万引きのケースでは、公判請求されたからといって、いきなり実刑が言い渡されるわけではありません。
ほとんどのケースで執行猶予が付きます。
では、万引き事件で実刑となる可能性が高いのは、どのようなケースかと言いますと、執行猶予期間中の再犯である場合です。
刑の執行猶予とは、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予し、その期間内に再度罪を犯さないことを条件として、刑罰権を消滅させる制度です。
「執行猶予期間中に再度罪を犯さないことを条件」としているため、その条件を破ってしまえば、執行猶予が取消されてしまうのです。
刑の執行猶予が取消されるので、刑が執行される、つまり、懲役刑であれば刑務所に収監されることになります。
軽微な犯罪と言われる万引きであっても、何度も繰り返した結果、実刑となることがあるのです。
効果的な再犯防止策を早めに講じておくことが何よりも重要ですが、執行猶予中に再び罪を犯してしまった場合には、要件は通常の執行猶予と比べるとより厳しいのですが、「再度の執行猶予」という制度もありますので、刑事事件に強い弁護士に早期に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗をはじめ刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
万引きの再犯で、実刑の可能性もある場合には、一度弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
共犯の万引き事件で逮捕
共犯の万引き事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
神奈川県鶴見警察署は、神奈川県横浜市鶴見区のドラッグストアで、薬や化粧品など数人で共謀して万引きしたとして、Aさんら3人を窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、他2人と共謀し、ドラッグストアで商品を万引きし、万引きした商品をネットで販売していました。
警察署は、他にも余罪があるとみて捜査をしています。
(フィクションです。
共犯の万引き
万引きは、単独で行うことが多いのですが、複数人で協力して行うケースもあります。
複数人で行う場合、商品を盗む者、周囲を監視する者と役割を分担して万引きを遂行します。
その場合、実際に商品を盗んだ者だけが窃盗の罪跡を負うではなく、犯行時に監視役であった者も窃盗の罪に問われることになります。
2人以上の行為者が、意思の連絡に基づき、共同して犯罪を実現する場合を「共犯」といいます。
この共犯は、法律上、2人以上の者が共同して犯罪を実現することを予定しているものと、法律上は単独犯を予定しているが、これを2人以上の者が共同して実現するものとがあります。
後者には、2人以上の者が、共同して犯罪を実行する「共同正犯」と、他人をそそのかして犯罪実行の決意を生じさせ、その決意に基づいて犯罪を実行させる「教唆犯」、そして、実行行為以外の行為で実行行為者の実行行為を容易にさせて犯罪を実現する「幇助犯」の3種類に分類されます。
この3種類のうち、共同正犯はについては、全ての者が正犯として処罰されます。
共同正犯が成立するには、①共同実行の意思、と、②共同実行の事実が必要となります。
①共同実行の意思とは、2人以上の者が、共同してある特定の犯罪を行おうとする意思をいい、共同正犯の成立には、この意思の連絡が必要となります。
②共同実行の事実とは、共同実行の意思の連絡に基づき、共謀者の全部または一部が犯罪の実行行為を行ったことをいいます。
しかし、②共同実行の事実を欠く場合でも、共同実行の事実がある場合と実体的に共同実行したのと変わりない関与をした場合には、共同正犯とされます。
つまり、(a)犯行実現への強い動機、関心、利害があり、(b)これに基づき、犯行を実現するのに重要な役割を果たしたときには、共同実行の事実と変わらない関与をしたものとして、共同正犯とされるのです。
これを「共謀共同正犯」といいます。
例えば、Aさんが見張り役をしており、実際に商品を万引きしたのは他の2人だったとします。
Aさん自身は窃盗の行為を行っていませんが、仲間間で万引きすることの共謀があり、万引きした商品を転売して得た利益を3人で分けていたり、見張り行為が万引きを成功させる上で欠かせないものである場合には、共謀共同正犯の成立が認められるでしょう。
共犯の万引きで逮捕されたら
単独の万引きであれば、逮捕された後に釈放となる可能性はあります。
しかし、共犯事件であれば、共犯者との接触を危惧し、罪証隠滅のおそれがあると認められる可能性が高く、逮捕後に勾留が付くことが多いと言えます。
複数の余罪がある場合には、1件目の事件についての勾留期間が満了したとしても、他の事件について逮捕・勾留となり、引き続き被疑者の身柄が拘束される可能性もあります。
そのため、事例のように共犯の万引き事件で、かつ、他にも同種の事件を複数行っているのであれば、捜査段階での身体拘束は長期化することが見込まれます。
ただ、起訴後であれば、保釈により釈放される可能性はありますので、余罪についての起訴の有無を確認した上で、タイミングを見計らい保釈を請求し、認められれば釈放されることになります。
万引き事件であっても、共犯事件であり、被害金額も高額となる場合には、公判請求される可能性があります。
犯行態様が悪質であり、被害額が大きいケースでは、実刑の可能性も否定できませんが、被害者への被害弁償や再犯防止措置を講じている等、被告人に有利な事情を考慮してもらえれば、執行猶予となる場合もあります。
ですので、早い段階から被害者への被害弁償、示談交渉を行うことが重要です。
ご家族が共犯の万引き事件を起こし逮捕されて対応にお困りの場合には、すぐに弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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窃盗犯が自首したら
窃盗犯が自首をした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都狛江市の会社に勤務していたAさんは、つい魔が差して、更衣室にある他の従業員のロッカーに置いてあった財布から現金を抜き取り、そのまま盗ってしましました。
被害に遭った従業員は会社側に被害を申告し、会社は窃盗事件として警視庁調布警察署に相談しました。
警察に相談したことを知ったAさんは、自分の犯行であることが発覚するのは時間の問題だと思い、調布警察署に自首しようと考えています。
(フィクションです。)
自首とは
自首は、罪を犯した者が捜査機関に対して、自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求める意思表示のことです。
自首については、刑法第42条において次のように規定されています。
1 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
法律上の自首が成立するためには、
①捜査機関に対して、
②犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、
③自発的に自己の犯罪事実を申告し
④訴追を求める意思があること
が必要となります。
①捜査機関に対して行うこと
自首は、「捜査機関」に対して行わなければなりませんが、ここで言う「捜査機関」というのは、検察官または司法警察員です。
ただし、検察事務官や司法巡査に対して自首した場合であっても、彼らは検察官・司法警察員に自首した者の身柄を引き渡すことになっているので、実際は、検察事務官や司法巡査に対して自首を申し出ても問題はありません。
②犯罪事実が捜査機関に発覚する前に行うこと
自首は、犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合、および、犯罪事実は発覚していても、その犯人が誰であるか発覚していない場合に行われなければなりません。
そのため、犯罪事実および犯人が誰であるかは判明しているが、単に犯人の所在だけが不明である場合は、「犯罪事実が捜査機関に発覚する前」とは言えません。
③自発的に自己の犯罪事実を申告すること
犯罪事実を自発的に申告していることが必要で、取調べや職務質問中に、犯罪事実を自白したとしても、それは自発的な申告とは言えず、自首には当たりません。
④訴追を求める意思があること
自首の成立には、罪を犯した者が、自身の処罰・処分を求めていなければなりません。
犯罪の一部を隠蔽するために申告する場合には、自首は成立しません。
窃盗事件で自首をした場合
法律上の自首が成立した場合には、刑が減軽される可能性があります。
「可能性」といったのは、刑法第42条にもあるように、「その刑を減軽することができる。」という文言から、裁判官が裁量によって刑を軽くすることができる、ためです。
どの程度刑が減軽されるのかは、刑法第68条で定められています。
第68条 法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮とする。
2 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の2分の1を減ずる。
5 拘留を減軽するときは、その長期の2分の1を減ずる。
6 科料を減軽するときは、その多額の2分の1を減ずる。
窃盗罪で起訴され、有罪となった場合、裁判官は、窃盗罪の法定刑である「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」から、「5年以下の懲役または25万円以下の罰金」の範囲内で刑を言い渡すことができます。
刑の減軽の他に、自首をした場合には、逮捕・勾留を回避できる可能性もあります。
自ら犯罪事実を申告し、処罰を受ける覚悟でいる者について、逮捕・勾留する必要性がないと判断される場合があり、その場合には、被疑者の身柄を拘束しないで捜査が進められます。
自首が成立するか否か、自首が成立する場合にはどのような処分となるのか、自首した後の流れなど、自首する前に一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こして対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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窃盗と事後強盗
窃盗と事後強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、東京都杉並区のスーパーマーケットで買い物をしていました。
所持金は1万円以上あったものの、段々とお金を払うことが惜しくなったAさんは、未精算の商品数点をマイバッグに入れ、精算済みのように装って、かごに入れた商品については通常通りセルフレジで精算しました。
スーパーマーケットを出ようとしたところで店員に声をかけられたAさんは、頭が真っ白になり、店員の身体を力いっぱい押してしまいました。
すると、店員は倒れ、倒れた際に怪我をしてしまいました。
Aさんは、通報を受けた駆け付けた警視庁荻窪警察署の警察官に、事後強盗の容疑で逮捕されました。
Aさんは、調べに対して、「万引きが見つかって慌てた。相手に怪我を負わせるつもりはなかった。」と話しています。
(フィクションです。)
万引きを行った場合、通常は、窃盗罪が適用されます。
しかし、万引きが店員などに見つかり、逃げようとして店員などを殴ったり押したりすると、窃盗ではなく事後強盗の罪に問われる可能性があります。
事後強盗とは
刑法第238条は、
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
と規定しています。
つまり、本条は、窃盗犯人が、ある条件のもとで暴行・脅迫を行う行為を強盗とするとしています。
■主体■
事後強盗の主体は、「窃盗」です。
ここでいう「窃盗」は、窃盗犯人のことです。
窃盗犯人ですので、詐欺罪や強盗罪といった罪の犯人はこれに含まれません。
また、窃盗罪の実行に着手した者であればよく、窃盗自体の既遂・未遂は問いません。
■行為■
事後強盗罪の実行行為は、「暴行・脅迫」です。
事後強盗罪は強盗として論じられるものであるため、暴行・脅迫の程度は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度で、財物の取返しや逮捕の行為を抑圧するに足りる程度のものであることが必要となります。
暴行・脅迫は、窃盗の被害者に対して行われたものである必要はなく、身柄を確保しようとした第三者に対するものでも構いません。
また、問題となる暴行・脅迫は、窃盗の機会に行われていなければなりません。
換言すると、窃盗と暴行・脅迫との間に、状況的なつながりが求められます。
窃盗の機会に行われた暴行・脅迫であるかどうかの判断は、窃盗と暴行・脅迫との間の時間的・場所的近接性、関連性を考慮して行われます。
場所的接近性については、暴行・脅迫のなされた場所が、窃盗の犯行現場又はこれに接着した場所であること、時間的接近性に関しては、暴行・脅迫をした時点が少なくとも窃盗に着手した以後であって、遅くとも窃盗の犯行終了後間もないことが考慮される要素となります。
関連性については、時間的、場所的に離れている場合でも、被害者に追跡され続けている場合のように、暴行・脅迫したことと、窃盗の事実との間に関連があることが考慮されます。
■目的■
事後強盗罪の成立には、暴行・脅迫が「財物を得てこれを取り返されることを防ぐ」、「逮捕を免れる」、あるいは、「罪跡を隠滅する」ために行われることが必要となります。
被害者が実際に財物を取り戻す行為や逮捕する行為をしていない場合でも構いません。
Aさんは、万引きが発覚して慌てて相手を押し倒したのですが、逮捕を免れるために咄嗟に暴行を加えたと認められる可能性があります。
事後強盗は、強盗として論じられるため、その法定刑も強盗罪と同様の5年以上の有期懲役です。
また、相手方に怪我を負わせた場合には、強盗致傷となる可能性があり、その場合の法定刑は無期又は6年以上の懲役と、刑が加重されます。
万引きであっても、その後の態様により事後強盗や強盗致傷となることもあります。
強盗致傷罪は、法定刑も重く、裁判員裁判対象事件ですから、事案を十分に分析し、場合によっては、窃盗罪と傷害罪とに認定落ちする形で事実認定するよう、検察官に働きかける必要が出てくることもあります。
また、窃盗も強盗も財産犯ですので、何よりも被害者に対して被害弁償をし、示談をする必要があります。
犯行の際に、被害者に対して暴行・脅迫を行っていることから、被害者感情が強く、示談交渉がスムーズに進まないことが予想されますが、弁護士は、被害者の気持ちに寄り添いながら粘り強い示談交渉を行うことが期待されます。
事後強盗罪は重い罪ですが、できる限り寛大な処分となるよう早期に弁護士に相談し、弁護を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が万引き事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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