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窃盗の前科・前歴
窃盗の前科・前歴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都羽村市のコンビニで商品を万引きしたとして、警視庁福生警察署は、会社員のAさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは翌朝釈放されましたが、実は、万引きと遺失物等横領の前歴があり、今回の事件で前科が付いてしまうのではないかと心配しています。
何とか前科を回避したいAさんは、刑事事件専門弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)
前科とは
世間では、刑に服して刑務所から出所した人を「前科者」と呼んでいることが多いようですが、一般的には、「前科」という用語は、前に刑に処せられた事実のことを意味し、刑に服したかどうかということではなく、有罪の刑事裁判を受け、その裁判が確定したかどうかで、前科があるのかないのかが分かれることになります。
「前に刑に処せられた」とは、全ての有罪の確定判決をいいます。
その刑は、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料である場合だけでなく、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。
ただし、裁判所で言い渡されたものであっても、過料等の行政罰や没収、追徴などのいわゆる追加刑は前科ではありません。
前科には、検察庁が保管するものと市区町村が保管するものとの2種類があります。
検察庁は、検察運営の適正及び裁判の適正に資することを目的として、「電子計算機又は犯歴表頭への前科の登録」を行っています。
検察庁の前科の具体的な利用方法は、
①検察官の起訴、不起訴の処分及び求刑等の情状資料
②裁判所の量刑資料
③執行猶予を付するための条件該当の有無の判断資料
④執行猶予取消事由の有無の判断資料
⑤常習犯の常習性の有無の判断資料
などとしての活用があります。
もうひとつは、従来から実施されている身分証明事務及び公職選挙法4章で規定する選挙人名簿調製事務に資することを目的として、前科を有する者の戸籍事務を管掌する市区町村で行っている「犯罪人名簿への前科の登録」です。
市区町村における犯罪人名簿の整理保管の目的は、専ら身分証明事務と選挙人名簿調製事務に資するためであるので、犯罪人名簿が身分証明事務・選挙人名簿調製事務のために必要でなくなったときは、これを整理保管しておく必要がなく、人権擁護の観点からもいつまでも保管しておくことは好ましくないため名簿を抹消することとしています。
例えば、
①刑法34条の2の規定により、名簿に登録されている犯歴の刑の言渡しの効力が失われたとき
②刑法27条の規定により、名簿に登録されている犯歴(執行猶予に付されている刑)の刑の言渡しの効力が失われたとき
③恩赦法2条の規定による大赦または4条の規定による特赦により、名簿に登録されている者の犯歴の有罪の言渡しの効力が失われたとき
④恩赦法9条の規定におる復権により、名簿に登録されている者が犯歴の存在により喪失し又は停止されていた資格の全部を回復したとき
などがあります。
前歴とは
前科の他に、「前歴」という用語を耳にされたことがある方も少なくないのではないでしょうか。
前科は前に刑に処されたことがあることを意味するのに対して、前歴は、捜査機関から犯罪の捜査を受けた事実を指します。
前科も前歴も法律上明確な定義があるわけではありませんが、一般的には、前科や逮捕歴、犯歴などを含めた広い概念として前歴が用いられています。
窃盗事件で、微罪処分で処理された場合でも、検察官に呼び出されたが不起訴処分となり事件が終了した場合でも、前科は付かずとも前歴が残ることになります。
前科・前歴があった場合
前科・前歴がある者が罪を犯した場合、初めて罪を犯した者(=初犯)としては扱われません。
そのため、初犯と比べると、より厳しい処分となる可能性は高くなります。
窃盗の前科・前歴がある者が、再び窃盗事件を起こした場合には、常習性が疑われますし、社会内での更生の可能性が低いと判断されてしまうでしょう。
特に前科の場合、法律で定める一定の不利益をもたらすことになります。
例えば、
①執行猶予を付し得ない事由
②執行猶予の取消事由
③再犯加重の事由
④仮釈放の取消事由
⑤常習犯の認定事由
⑥必要的保釈を消極とする事由
⑦特定の法令が定める資格制限事由
などがあります。
前科・前歴が付くことで被り得る不利益は様々ありますので、刑事事件を起こし対応にお困りの方は、すぐに弁護士に相談し、適切に対応されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
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窃盗と器物損壊
窃盗と器物損壊について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都足立区のスーパーで、商品10点(総額約7000円)を万引きしたとして警視庁竹の塚警察署はAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
Aさんは、調べに対して、「刑務所に入るために罪を犯そうと思った。一番簡単なのが万引きだったから。」と供述しているとのことです。
Aさんは、接見にやってきた弁護士にも同じことを話しており、弁護士からは窃盗ではなく器物損壊に問われる可能性について言われています。
(フィクションです。)
窃盗と器物損壊~窃盗ではなく器物損壊が成立する場合~
他人の物を盗んだ場合、通常、その盗んだ物を使用・利用することを目的としているのですが、そうではなく嫌がらせなどといった物を使用・利用するつもりではなく物を持ち去る場合には、窃盗ではなく器物損壊が成立することがあります。
窃盗罪
窃盗罪は、
①他人の財物を
②不法領得の意思に基づいて
③窃取
することによって成立します。
①他人の財物
他人の財物とは、「他人の占有する財物」のことです。
「占有」の概念については、人が物を実力的に支配する関係であると理解されています。
つまり、物を握時するというのが占有の典型例ですが、それ以外にも、物に対する事実上の支配があれば、窃盗における「占有」が認められます。
事実上の支配は、物を客観的に支配している場合のみならず、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態をも含みます。
この「物の支配をいつでも取り戻せる状態」に当たるか否かは、支配の事実や占有の意思の観点から判断されます。
③窃取
窃取とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
例えば、他人の飼育する鳥をかごから逃がす行為は、鳥に対する他人の占有を侵害してはいますが、自己または第三者の占有に移転してはおらず、この場合、器物損壊には該当しますが、窃盗には該当しないことになります。
②不法領得の意思
条文上の規定はありませんが、窃盗の成立には、故意の他に不法領得の意思が求められます。
不法領得の意思は、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物を同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思のことです。
器物損壊罪
器物損壊罪は、
①他人の物を
②損壊・傷害
することによって成立します。
①他人の物
器物損壊罪における「他人の物」は、公文書、私用文書、建造物・艦船以外の物であり、動物も含みます。
②損壊・傷害
「損壊」とは、物の効用を害することです。
物理的に破壊することにより効用を害する他、事実上や感情上、使用できなくさせて効用を害することも含まれます。
「傷害」とは、動物を殺傷することをいいます。
Aさんは、他人の所有する物(スーパーマーケットの店長が管理する商品)を勝手に持ち去っています。
Aさんの行為は、「窃盗罪」の「窃取」に該当するほか、持ち去った物を使用できなくさせている(盗まれた商品は、消費されていなくても再度商品棚に並べることが困難である場合があります)点で器物損壊の「損壊」にも該当することになります。
そこで、いづれの罪が成立するのかということが問題となりますが、この2罪を大きな違いは不法領得の意思の有無にあり、この点について検討する必要があるのです。
不法領得の意思は、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思のことです。
窃盗罪も器物損壊罪も、「権利者を排除する」という点では同じですが、持ち去った物を経済的用法に従って、利用・処分する意思があるか否かという点が異なります。
この点、Aさんは「刑務所に入るため」に万引きを行っており、盗んだ商品を経済的用法に従って利用・処分する意思がなかったのであるから、この場合、窃盗罪ではなく器物損壊罪に問われることになります。
事案によって成立し得る犯罪は異なります。
刑事事件の被疑者となり対応にお困りの方は、刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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窃盗事件で被害届が出される前に
窃盗事件で被害届が出される前のポイントについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡県直方市のコンビニでアルバイトをしていたAさんは、たびたび店の商品を店長の承諾なしに持って帰っていました。
ある日、異変に気付いた店長は、常習的な万引き犯による仕業ではないかと疑い、福岡県直方警察署への被害届提出も検討しています。
他のアルバイトからその話を聞いたAさんは、いずれ自分の犯行だったとバレてしまうのではないかと気が気ではなりません。
店長が被害届を出す前に、事件を穏便に解決することはできないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
窃盗事件の捜査の端緒
警察をはじめとする捜査機関は、犯罪があると考えるときに、犯人と思われる者を特定・発見し、必要な場合にはその身柄を確保するとともに、証拠を保全・収集します。
この一連の手続を「捜査」といいます。
捜査は、被害者からの被害届、警察官による職務質問や犯人の自首などをきっかけに開始されます。
捜査機関が犯罪があると考えるきっかけは「捜査の端緒」と呼ばれます。
捜査の端緒は、
①被害者や被害関係者からの被害届の届出、告訴・告発
②警察官による現認
③警察官による職務質問や取調べ
④犯人の自首
など様々な形があります。
窃盗事件においては、①被害者や被害関係者からの被害届の届出により、捜査が開始されることが多くなっています。
被害届とは
被害届は、被害者本人や被害者の関係者など、犯人や捜査機関以外の者が、捜査機関に対して、被害の事実について申告する届出のことです。
つまり、被害届は、「いついつ、どこどこで、どのような被害にあった。」と報告し、捜査機関に捜査をするよう求めるものなのです。
被害届と似ているものとして、捜査の端緒のひとつに「告訴」があります。
告訴も、被害届と同様に、被害事実の申告をしますが、告訴は、犯人の訴追・処罰を求める意思表示をする点で被害届と異なります。
被害届が出される前に
窃盗事件について、被害者等からの被害届の提出が捜査の端緒となるケースが多く、捜査機関も被害届の受理をもって捜査を開始します。
捜査が開始されると、捜査機関は犯人を特定し、必要な場合には犯人の身柄を確保します。
身柄が確保されない場合であっても、被疑者としての取調べを受けることになります。
捜査が終了すると、最終的には検察官が起訴・不起訴を決定します。
起訴され、有罪判決を受けると、窃盗罪であれば「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」という範囲内での刑が言い渡されます。
しかしながら、被害届が捜査機関に出される前に事件を解決することができれば、捜査機関の介入なしに穏便に事件を終わらせることができます。
その方法の1つとしては、被害届の提出前に被害者への被害弁償、示談を締結することがあげられます。
被害弁償は、犯罪により損害を被った被害者に対して、金銭等の賠償を行うことです。
窃盗事件では、被害が回復したかどうかという点が最終的な処分(起訴・不起訴の判断や量刑など)に大きく影響します。
示談は、被害者への謝罪および金銭的賠償を行う一方で、被害者が犯人を許し、被害届の提出を行わないなど、今回の事件は当事者間で解決したとする約束のことをいいます。
この示談が、被害者が被害届を出す前に成立したのであれば、捜査機関に事件が発覚することなく事件を穏便に終了させることができます。
例え、既に捜査機関が捜査を開始していたとしても、示談の成立をもって事件を終了する(不起訴や不送致といった形で)可能性は高いです。
捜査機関による介入を防ぐといった意味でも、被害届を出す前に被害者への被害弁償や示談成立を目指すことは重要となります。
窃盗事件を起こし、被害者への対応でお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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窃盗事件の被害者対応
窃盗事件の被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
京都府伏見警察署は、知人宅で現金を盗んだとして、京都府京都市伏見区に住むAさんを住居侵入と窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんに家族は、被害者にきちんと謝罪と被害弁償をしたいと考えていますが、どのように対応すべきか分からず、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
窃盗事件における被害者への対応:被害の回復
窃盗罪は財産犯であり、個人の財産を保護法益とする犯罪です。
そのため、被害が回復したかどうかという点が、起訴・不起訴を決める際や量刑上大きく考慮されます。
そのため、窃盗事件においては被害の回復に向けた活動が重要になります。
1.被害弁償
被害の回復の主要な方法として、被害弁償があります。
被害弁償というのは、犯罪行為の被害者に対して、金銭等の賠償を行うことをいいます。
事案によっては、現場にて被害品が返還されていたり、警察を通じて還付されている場合があり、被害が回復されたとも言えることがあります。
しかしながら、万引きなどでは、被害品を再び商品として販売することができないことも多く、被害弁償を行うべき場合もあります。
2.示談
示談とは、加害者が被害者に対して謝罪や被害弁償を行った上で、加害者と被害者の間で今回の事件は解決したと約束することをいいます。
示談の際に、被害者からの「加害者に対する寛大な処分を希望する」、「厳罰は望まない」といった文言や、被害届や告訴を取り下げるといった内容を示談書に盛り込むことができれば、検察官が起訴・不起訴を判断する時や裁判所が判決において刑罰を決める際に大きく影響します。
3.供託
被害者への被害弁償や示談をすることができない場合には、被害弁償金を不法行為に基づく損害賠償責務の支払として、弁済供託するという方法も選択肢として挙げられます。
本来弁済を受け取る人が、何らかの理由で受け取らない場合に、供託所にその金銭を供託して、弁済した事実を明らかにしておくためになされる手続を弁済供託といいます。
刑事事件においては、供託は事件によって生じた被害を回復するための手段の一つとなります。
4.寄附
被害弁償や示談もすることができず、被害者の名前すらわからない場合には、贖罪寄附という選択肢も考えられるでしょう。
贖罪寄附は、加害者が、反省の思いを形にするために、慈善団体などに寄付をすることです。
贖罪寄附は、加害者の反省の気持ちを示すことにはなりますが、被害者に直接金銭が渡るわけではなく、被害が回復されたとは言えません。
そのため、被害者がいる事件では、被害弁償や示談を優先させるべきであり、贖罪寄附は、被害者のいない事件や、被害者がいる事件であっても、被害者への被害弁償、示談、供託ができない場合に行うものとなります。
財産犯においては、被害が回復されたか否かという点が、最終的な処分や量刑に大きく影響するため、被害者への対応は非常に重要となります。
そのため、できる限り早い段階から被害者対応に着手する必要があります。
しかしながら、加害者が直接被害者に対して被害の回復を行えるとは限りません。
加害者が逮捕・勾留されており、直接被害者に被害弁償や示談について話し合いを持てない場合や、被害者の連絡先を知らず捜査機関からも教えてもらえない場合、被害者が加害者との接触を拒む場合など、加害者が被害者に直接連絡することはできません。
そのようなときには、弁護士を介して被害を回復し、被害者との示談が成立するよう交渉するのがよいでしょう。
弁護士限りということで捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手することや、冷静な話し合いの場をもつことが期待できます。
また、加害者側も被害者と直接話し合うことに躊躇されることも少なくありません。
被害者対応にお悩みであれば、一度弁護士にご相談されてはいかがでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件で被害者への対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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窃盗事件で控訴
窃盗事件で控訴する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
侵入盗事件で兵庫県芦屋警察署に逮捕されたAさんは、その後3件の侵入盗事件で神戸地方検察庁尼崎支部に起訴されました。
その後、Aさんは、神戸地方裁判所尼崎支部に懲役1年の実刑判決が言い渡されました。
判決に納得いかないAさんは、第一審の弁護人に控訴について相談しています。
(フィクションです。)
控訴について
被告人は、裁判に対する不服を理由として当該裁判の確定を遮断し、上級裁判所に対して新たな裁判を求める不服申立を行うことができます。
このような権利を「上訴権」といいます。
「控訴」は、第一審の判決に対する上訴であり、控訴審判決に対する上訴を「上告」といいます。
上訴権は、憲法で保障されている「裁判を受ける権利」を具体化したものですが、無制限に認められるものではなく、満たすべき要件が設けられています。
◇控訴の要件◇
控訴が認められるためには、様々な要件を満たしている必要があります。
1.期限
控訴することが出来る期間は決まっており、第一審の判決正本が送達された日の翌日から起算して2週間です。
この期間内に控訴申立書を第一審の裁判所に提出する必要があります。
その後、控訴裁判所が定めた期限までに控訴趣意書を提出しなければなりません。
期限を過ぎて提出した場合には、やむを得ない事情に基づくと認められない限り、控訴棄却の決定がなされます。
2.控訴理由
控訴は、第一審の判決の誤りに対する不服申立であるため、申立てた者は、その判決に誤りがあること(控訴理由)をきちんと主張しなければなりません。
控訴理由については、刑事訴訟法に定められており、次の4つに分類されます。
①法令違反
・法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
・法令により判決に関与することができない裁判官又は裁判員が判決に関与したこと。
・審判の公開に関する規定に違反したこと。
・不法に管轄又は管轄違いを認めたこと。
・不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
・審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
・判決の理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
・上記以外の訴訟手続の法令違反があり、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。
・法令の適用に誤りがあって、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。
②量刑不当
宣告刑が具体的事案において重すぎる、あるいは軽すぎることを控訴の理由とするものです。
情状事実の誤認や評価の誤りといった裁量的加重減免、酌量減軽、刑種の選択や刑期の長短、刑の執行猶予、罰金の換刑処分、選挙権・被選挙権の停止・不停止等も量刑不当の問題となります。
③事実誤認
証拠から実体法的事実を認定するにあたって、証拠の価値判断や取捨選択を誤り、あるいは証拠から認定事実を推理判断する過程において論理法則・経験則のあてはめを誤り、その結果として事実認定を誤ることを「事実誤認」といいます。
事実認定を誤ったことにより、判決に影響を及ぼすことが明らかであることが控訴理由足り得るのです。
④再審事由・刑の廃止等
再審の請求ができる場合に当たる事由があることや、判決があった後に刑の廃止もしくは変更又は大赦があったことも控訴事由となります。
②量刑不当や、③事実の誤認を控訴理由として申し立てる場合、第一審の訴訟記録および証拠に現れている事実に加えて、一定の限度で控訴審での新証拠に基づく事実を主張することができます。
やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった証拠によって証明することのできる事実、あるいは、第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であり、量刑不当または事実誤認の控訴理由がある場合には、訴訟記録および原裁判所において取り調べた証拠に現れている事実以外の事実であっても、控訴趣意書に援用することができます。
量刑不当を主張する場合、原判決後に被害者との示談が成立したことは、被告人の有利に働きます。
単に、第一審で主張した事情を繰り返すことでは意味がありません。
量刑相場との対比、余罪の評価が適切であるか、前提事実に誤認がないか、原審の事情で正当に評価されなかったものはないか、被告人に有利となる弁論終結後の事情はないか、など注意深く検討する必要があります。
控訴を検討されている際には、控訴理由に該当する事情がどの程度見込めるのか、刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
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窃盗事件で職務質問
職務質問について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府泉北郡忠岡町を警ら中の大阪府泉大津警察署の警察官は、窃盗事件の容疑者の特徴によく似た男を発見しました。
警察官は、男に職務質問をしようと声を掛けましたが、男は隙を見てその場から逃げようとしました。
警察官は男を追跡し、背後から男の腕を掴んで停止させようとしました。
男は、警察署での取調べで警察官による職務質問は違法だと主張しています。
(フィクションです。)
警察が犯罪の発生を認知することから当該犯罪の捜査が開始されます。
刑事訴訟法189条2項は、
司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。
と規定しています。
「犯罪があると思料するとき」、つまり、捜査の端緒が得られた時には、現行犯人の発見、変死体の検視、告訴・告発、自首、被害者・第三者による被害の申告、職務質問などがあります。
職務質問を端緒として犯罪が発覚することは少なくありません。
警察官職務執行法2条1項は、
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。
と規定しており、警察官は、異常な挙動をしている者等に対して質問をすることができることになっています。
職務質問が許されるための要件としては、
①異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者である。
②既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者である。
いずれかに当てはまる場合でなければなりません。
例えば、不自然な動作や季節に合わない服装をしている、深夜であるといった場合や、犯人と思われる人物と似ている場合などにおいては、警察官は職務質問を行います。
この職務質問は、行政警察活動としての手段であって、刑事訴訟法上の司法警察活動としての捜査ではありません。
以上のような要件が満たされている場合に警察官は職務質問を行うことになりますが、警察官職務執行法2条3項は、
前2項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
としており、あくまで任意的手段によるものとされています。
そのため、相手が職務質問に応じないときは、警察官は粘り強く応じるよう説得することになるのですが、相手がその場を立ち去ろうとする場合には、相手を停止させるためにどの程度の実力行使までが適法となるのでしょうか。
これについては、次のような裁判例があります。
警ら中の警察官が、夜間道路上で被告人に職務質問をし、駐在所に任意同行して所持品等について質問中、隙を見て被告人が逃げ出したことから、更に質問を続けるために約130メートル追跡し、背後から腕に手をかけた際に被告人から暴行を受けて怪我をしたという事件について、質問を続けるために追跡して背後から腕に手をかけて停止させる行為は、正当な職務質問の範囲内であるという判断を示したものがあります。(最高裁決定昭和29年7月15日)
明らかに建造物侵入が疑われるような不審な行動に出ていた被告人に対して、巡査が再三質問を繰り返し、やがて、段ボール箱からカメラなどを入れた紙袋を左手に持って出てきた被告人と50㎝くらいの間隔で相対峙し、被告人が階段に向かい逃げようとするのをその前面に立ちふさがって2,3m移動し、質問を引き続き繰り返したという事案について、当該巡査の行為は適法な職務質問であったと判断したものもあります。(広島高裁判決昭和51年4月1日)
犯罪の嫌疑が強まっている状況においては、多少の実力行使はやむを得ないものとされ適法な職務質問の範囲内と判断されるでしょう。
しかし、実力行使の内容が任意の許容限度を超えたと判断されれば、職務質問の違法性が認められることになります。
職務質問をはじめ捜査機関による捜査の適法性に問題があると疑問をもたれていらっしゃる方は、一度弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件の被疑者・被告人となり対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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常習累犯窃盗で起訴
常習累犯窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府東成警察署は、令和3年3月1日の置き引き事件の被疑者としてAさんを逮捕しました。
Aさんは、窃盗等の前科が多数あり、これまで窃盗等で3回にわたり刑に処せられ服役しています。
3回のうち2件は侵入盗、1件は万引きによるものでした。
大阪地方検察庁は、Aさんを常習累犯窃盗で起訴しました。
(フィクションです。)
常習累犯窃盗とは
「盗犯等の防止及び処分に関する法律」(以下、「盗犯法」といいます。)は、その3条で、いわゆる「常習累犯窃盗」等の罪について定めています。
第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
昭和5年に公布された古い法律ですので、若干読みづらいですが、常習として窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前の一定の前科を考慮して、その習癖のない者より重く処罰することとしています。
常習累犯窃盗罪が成立するためには、「常習として」
①本件犯行とされる行為の前10年以内に、
②窃盗・強盗の罪若しくはその未遂罪、又は、それらの罪と他の罪との併合罪について、
③3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得た
ことが必要となります。
ここでいう「常習として」とは、機会があれば抑制力を働かせることなく容易に窃盗を反復する習癖をいうものと理解されています。
この常習性が認められるかどうかは、行為者の前科・前歴、素行、犯行動機、犯行手口、犯行態様、犯行回数、犯行間隔等を総合的に判断して検討されます。
そのため、単に今回は置き引きで今までの窃盗と手口が異なるというだけでは、常習性が否定されるわけではありません。
①行為の前10年以内に
構成要件の①である「行為の前10年以内」とは、本件犯行とされる行為が開始された前日から10年以内ということを意味します。
上の事例においては、逮捕容疑の窃盗は令和3年3月1日に行われたものであるため、令和3年2月28日から10年以内、つまり、平成23年3月1日から令和3年2月28日の間に、ということになります。
②窃盗・強盗の罪、その未遂、併合罪
窃盗罪、強盗罪、事後強盗罪、昏酔強盗罪、それらの未遂罪や、それらの罪に他の罪が併合罪として併せて処罰され、服役している場合も含まれます。
つまり、他の罪と併せて処罰されていても、窃盗や強盗が入っていれば②の要件に該当するということです。
③3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得た
この3回という回数は、執行され又は執行を免除された刑のみをカウントすればよく、その刑が言い渡された判決の数は関係ありません。
3回の刑のうち最初の刑については、その刑の執行終了日が10年以内であればよく、その執行開始日が10年以内である必要はありません。
常習累犯窃盗は、通常の窃盗とは異なり、その法定刑に罰金刑はありませんので、起訴された場合、略式手続に付すことはできず、必ず公判請求されることになります。
常習累犯窃盗に当たるのか、単なる窃盗となるのかにより、最終的な結果にも大きく影響することになります。
そのため、早期に弁護士に相談し、適切に対応することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が窃盗事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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他人のキャッシュカードで現金引き出し
他人のキャッシュカードで現金を引き出した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
他人のキャッシュカードで現金を引き出したとして、千葉県鴨川警察署は、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、被害者の方に謝罪と被害弁償を行いたいと考えています。
(フィクションです。)
窃盗罪の構成要件
刑法235条は、
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
と規定しています。
1)客観的構成要件
窃盗罪の客観的構成要件は、
①他人が占有する
②他人所有の財物を
③窃取する
ことです。
①占有
刑法上の「占有」とは、財物に対する事実上の支配を意味するとされており、客観的要素としての財物に対する支配という事実と、主観的要素としての支配の意思から成るものと理解されています。
③窃取
「窃取」とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、これを奪取することをいいます。
相手方が了解しているような場合であれば、それは任意の交付に当たり「窃取」には該当しません。
また、相手方の反抗を抑圧したり、畏怖させたりして奪う行為は「窃取」には含まれず、強盗罪や恐喝罪が成立することになります。
2)主観的構成要件
窃盗罪の主観的構成要件は、
①客観的構成要件を満たす行為に及んでいるという窃盗の故意
②不法領得の意思
の2つです。
①故意
窃盗は故意犯です。
窃盗罪の成立には、自らが遂行する実行行為の認識、認容が必要です。
つまり、財物に対する他人の占有を排除して、自己又は第三者の占有に移すことについての認識、認容がなければなりません。
②不法領得の意思
条文上明記されてはいませんが、「不法領得の意思」も判例上窃盗罪の主観的構成要件とされています。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し処分する意思のことをいいます。
他人のキャッシュカードで現金を引き出した場合
他人のキャッシュカードを何らかの方法で入手し、そのキャッシュカードを使用してATMで現金を引き出した場合には、どうなるのでしょうか。
まず、他人のキャッシュカードを入手した点について、その行為自体が先に述べた窃盗罪の構成要件に該当する場合であれば、他人のキャッシュカードを窃取したとして、当該キャッシュカードの持ち主である、当該預金口座名義人を被害者とする窃盗罪が成立することになります。
次に、他人のキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す行為についてはどうでしょうか。
これについても当該預金口座名義人が被害者となるのでしょうか。
この点、銀行の預貯金口座に預けられている金員は、いったい誰が占有していると考えられるのかが問題となります。
銀行と預金者との間で結んだ契約は、銀行が預金者が預け入れた現金については銀行が自由に消費することができ、銀行は、預金者が預け入れた現金と同額の現金を預金の引出しという形で預金者に返還することとしています。
つまり、預金者が預け入れた現金は、銀行がすでに消費してしまっており、これについて預金者が占有しているとは言えず、預金者は預金残高に相当する金員の返還請求権を有しているだけとなります。
しかしながら、返還請求権を有する預金者は、いつでも預貯金口座から金員を引き出す権限を持っており、実際いつでも自由に金員を引き出すことができるため、口座にある金員を占有していると理解することができます。
ただ、そのように考えた場合であっても、預金口座の残高に相当する金員については、銀行が保有している資金の一部として占有していることになるので、銀行の当該金員に対する現実的な占有が認められます。
そのため、他人のキャッシュカードを使用してATMから現金を引出した場合、ATM内に現金を保管・管理している銀行の現実的な占有を侵害したものとして、銀行を被害者とする窃盗罪が成立するものと考えられます。
以上、上の事例では、使用したキャッシュカードの名義人だけでなく現金を引出したATMを管理する銀行に対する窃盗罪が成立する可能性があります。
窃盗罪は財産犯であり、被害の回復の有無が最終的な処分にも大きく影響することになります。
窃盗事件で被疑者・被告人となり対応にお困りの方は、早い段階から刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
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窃盗と親族相盗例
窃盗と親族相盗例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aは、趣味のギャンブルのため生活費が底をついて困っていました。
Aは、息子の義父Vが会社を経営していることを思い出しました。
そこで、息子が工場長を務めるVの会社の工場に侵入し、金庫から現金50万円を盗みました。
後日、Aは窃盗と建造物侵入の容疑で埼玉県草加警察署に逮捕されました。
(フィクションです。)
親族相盗例とは
刑法は、窃盗罪における親族相盗例を認めています。
刑法244条1項は、
配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
と規定しています。
これが「親族相盗例」と呼ばれるものです。
親族間の窃盗であれば刑が免除されることになっているのですが、これは、「法律は家庭に入らない。」とする刑事政策的思想に基づくものであって、家庭内の窃盗などの一定の財産犯罪については、国の刑罰権の行使を差し控え、家庭内の自律に委ねようという考えがあってのものです。
この親族相盗例が認められる要件としては、
①配偶者
②直系血族
③同居の親族
との間で窃盗を犯したこととなります。
①配偶者には、内縁関係にある者は含まれません。
②直系血族とは、直系の関係にある血族のことをいいますが、具体的には、自分の祖父母、両親、子、孫を指します。
③同居の親族に関して、まず、「親族」とは、民法725条の規定によれば、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族を意味します。
刑法244条1項では、①配偶者、②直系血族がすでに規定されているので、③同居の親族については、6親等内の傍系血族及び3親等内の姻族を指すものといえるでしょう。
それらの親族のうち「同居している」ものに限られますが、同居しているといえるためには、同一家計の下に居を定めて日常生活を共にしていなければなりません。
そのため、同じ家で暮らしていたとしても、生計を全く別にしている場合には「同居の親族」とは言えません。
そして、窃盗犯人が所有者以外の者の占有する財物を窃取した場合においては、親族相盗例が適用されるためには、窃盗犯人と、財物の所有者及び占有者とのいずれとの間においても、刑法244条1項に規定される親族関係が存在していなければなりません。
そのため、上記事例のように、盗んだ現金の所有者である会社社長とAとの間には何ら求められる親族関係がない場合には、親族相盗例が適用されず、Aに対する窃盗罪が成立することになります。
仮に親族相盗例が適用された場合でも、窃盗罪が成立することには変わりありません。
ただ、その効果として刑が免除されるため、窃盗で起訴され有罪となっても、「被告人に対し刑を免除する。」と言い渡されることになります。
窃盗のような財産犯では、損害が回復されたかどうか、つまり、盗んだ物を返したり、金銭的に賠償したかどうかが最終的な処分に大きく影響します。
そのため、窃盗事件においては、被害者への被害弁償や示談を成立することができるよう、早期に弁護士を介して被害者対応をきちんと行うことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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窃盗と責任能力
窃盗と責任能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
神奈川県平塚市のコンビニで、商品を万引きしたとして、市内に住むAさんが窃盗の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは、これまでも万引きで前科前歴があり、直近では昨年平塚簡易裁判所から罰金の略式命令が言い渡されていました。
神奈川県平塚警察署から逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、精神疾患が万引きに影響しているのではないかと弁護士に相談しています。
(フィクションです。)
犯罪の成立
犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」であると一般的に理解されています。
つまり、ある行為が犯罪であると言うためには、
①構成要件に該当すること、
②違法であること、
③責任があること
という3つの要件をすべて備えていなければならないのです。
①構成要件該当性
「構成要件」というのは、法律により犯罪として定められた行為の類型のことです。
窃盗罪についていえば、「他人の財物を窃取」するということが構成要件となります。
②違法性
そして、犯罪であるというためには、構成要件に該当する行為が「違法」でなければなりません。
法律に犯罪であると定められた以上、その行為は「違法」であるといえますが、法律は、その違法性を例外的に阻却する場合についても定めています。
例えば、人を殺したことは事実であるけれども、自分の身を守るためだった場合には、正当防衛として違法性が阻却され犯罪が成立しないことがあります。
③有責性
犯罪であるというためには、構成要件に該当し、違法である行為が行為者により有責に行われたのでなければなりません。
換言すれば、構成要件に該当し違法な行為であったとしても、それを行ったことについて責任が認められなければ犯罪は成立しないのです。
「責任がある」といえるためには、行為者が「ダメだと分かっているのにあえて自らの意思でやった」といえなければなりません。
つまり、行為者が「行為の是非を弁別し、かつ、これに従って行動を統制できる能力」(=責任能力)がなければ、当該行為者が構成要件に該当する違法な行為を行ったとしても、それは有責に行われたとは言えないのです。
刑法は、心神喪失者について、責任能力が欠けるため責任阻却を認めています。
「心神喪失」とは、精神の障害により、行為の違法性を弁識し、その弁識に従って行動を抑制する能力を欠く状態をいいます。
一方、「心神耗弱」とは、精神の障害により、行為の違法性を弁識し、その弁識に従って行動を抑制する能力が著しく限定されている状態をいいます。
心神耗弱者の場合については、責任能力は存在するものの、著しく限定されているため、責任減少を認め、その刑は減軽されます。
また、刑事未成年者についても、責任能力を否定しています。
窃盗と責任能力
窃盗の場合も、人の物を盗んだのであれば、通常、犯罪が成立するものと考えられますが、責任能力がないと判断されれば、犯罪の成立は肯定されないことになります。
窃盗犯が犯行時に何らかの精神病を患っていたのであれば、その精神障害がどの程度影響したのかが問題となります。
これには、医師の精神鑑定、犯行時や犯行後の言動など総合的に考慮して、犯行時に精神障害がどの程度影響していたのか、つまり、精神障害により、行為の違法性を弁識し、その弁識に従って行動を抑制する能力を欠いていたのか否かが検討されるのです。
犯行当時、精神障害により、行為の違法性を弁識し、その弁識に従って行動を抑制する能力を欠いていたのではないかという疑いを払拭することができないと裁判官が考えるのであれば、裁判では無罪が言い渡されることになります。
ただ、責任能力を欠いている、責任能力が著しく限定されていると刑事裁判で認められるのは、相当程度重度の精神疾患がある場合などであり、そう多くはありません。
そのため、責任能力を争いたい方や責任能力について疑問を呈されている方は、早期に刑事事件に強い弁護士に相談し、しっかりと裁判に向けて準備をされるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が窃盗事件を起こし対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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