窃盗事件で逮捕:被疑者の権利

2020-11-05

窃盗事件で逮捕された場合、被疑者に保障される権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
兵庫県尼崎市の繁華街の路上で泥酔している男性に気が付いたAさんは、男性に、「大丈夫ですか?ここで寝たら風邪ひきますよ。」と声をかけましたが、男性は反応しませんでした。
Aさんと一緒にいたBさんは、「財布とか盗んでも気が付かないんじゃないか?」と言ってきたので、Aさんもお酒が入っており気が大きくなり、「それもそうだな。」と言って、男性の傍に置いてあったカバンから財布を抜き出してその場を立ち去ろうとしました。
ところが、偶然周囲をパトロールしていた兵庫県尼崎南警察署の警察官がAさんとBさんの行動を見ており、二人が立ち去ろうとした時に声をかけ、警察署まで連行しました。
Aさんは、お酒に酔っていたとは言え、軽率な行為だったと反省していますが、窃盗事件の被疑者となってしまった今、不安で仕方ありません。
(フィクションです)

窃盗事件で逮捕されたら

あなたが窃盗事件の犯人として逮捕されたとしましょう。
あなたは、「被疑者」として刑事手続の対象となります。
刑事手続は、罪を犯したとされる人が罪を犯したのかどうかを判断し、どのような刑罰を科すかと決めるプロセスについて定めたルールです。
捜査機関や裁判所といった国家機関が、一個人を相手にするのであり、時には個人の身体の自由を奪ったり、多大な不利益を生じさせることもあります。
しかし、我々は生まれながらにして持つ権利、基本的人権を持っており、それらは憲法でも保障されています。
そのため、刑事手続においても、対象者である一個人の基本的人権が保障されており、刑事手続は、犯人を特定し処罰するという目的を実現する一方で、対象者の人権に配慮した手続が要求されるものとなっています。

それでは、窃盗事件の犯人として逮捕された場合、被疑者としてどのような権利が保障されているのでしょうか。
今回は、①黙秘権、②弁護人依頼権、③接見交通権の3つについて説明します。

①黙秘権

被疑者権利としてよく知られている「黙秘権」ですが、刑事訴訟法198条2項は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と規定しています。
「自己に不利益な供述」をするよう強要されないだけでなく、「自己に不利益な供述」かどうかにかかわらず、一切の供述を強いられないことを保障するものです。
黙秘権を行使することで、犯罪事実の認定にあたっての資料とすることは許されません。

②弁護人依頼権

被疑者にとって重要な権利のひとつに、弁護人の援助を受ける権利(弁護人依頼権)があります。
被疑者・被告人は、法律の知識に詳しくないことが多く、また、身体拘束を受けている場合には自由な活動ができないため、捜査機関と対等な立場で防御活動を行うことが困難となります。
そのため、法律的能力を持つ弁護人に被疑者・被告人の補助をさせることは必要不可欠です。
被疑者・被告人はいつでも弁護人を選任することができます。

③接見交通権

逮捕・勾留により外の世界との接触が遮断された状態に置かれることは、精神状態を不安定にさせます。
取調官の誘導に乗ったり、自己に不利な供述をしてしまうおそれを高めることにもなりかねません。
そのような状況下では、被疑者を精神的に支えたり、法的なアドバイスをする者の存在は非常に重要です。
そのため、身体拘束を受けている被疑者・被告人には、その家族や弁護人らと面会したり、手紙などのやり取りをする権利が認められています。
これを「接見交通権」と呼びます。

ただし、共犯者との面会が行われるおそれがあると判断される場合には、接見交通権が制限されることがあります。
接見交通権が制限されるのは、被疑者の家族や知人などの一般人であり、弁護人との接見交通が制限されることはありません。
被疑者の弁護人との接見交通は、被疑者の基本的な権利だからです。

被疑者の権利を保障・擁護する弁護人

以上のような権利が法律上保障されているわけですが、被疑者権利・利益を実際に擁護するために支援する者として弁護人の存在は非常に大きいと言えるでしょう。
特に、逮捕・勾留により身体の自由が制限されている被疑者にとっては、自己の主張を代弁してくれる者であり、法律知識を有する者による支援はなくてはなりません。
例えば、取り調べにおける適切な対応、身体拘束を解き釈放されるための活動や被害者との示談交渉などは、専門知識がなければ行うことは容易ではないでしょう。
被疑事実を争う場合であっても、認める場合であっても、できる限り早期に弁護人を選任し、自己の権利・利益を擁護し、適切に手続が行われるよう対応することが重要です。

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