【事例紹介】滋賀県近江八幡市の建造物侵入・窃盗事件

2022-08-01

【事例紹介】滋賀県近江八幡市の建造物侵入・窃盗事件

滋賀県近江八幡市で起きた建造物侵入窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警近江八幡署は26日までに、建造物侵入と窃盗の疑いで、大津市、自称人材派遣業の男(63)と同市、無職の男(60)を逮捕した。
逮捕容疑は、4月29日午前1時ごろから同10時ごろまでの間に、近江八幡市内の工場倉庫に侵入し、インパクトレンチなど工具約240点(時価計約88万円相当)を盗んだ疑い。
(後略)
(7月26日 京都新聞 「工場倉庫を荒らし、工具など窃盗疑い 男2人を逮捕 滋賀県警」より引用)

窃盗罪

窃盗罪は、刑法第235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

「財物」というとお金や貴金属といったいわゆる金目のものが思い浮かびやすいですが、この窃盗罪でいう「財物」は、有体物であり、一定程度の財産的価値があったり、その物の所有者にとって価値があったりすればよいとされています。
ですから、単にお金や貴金属でなくとも財産的価値が認められるものであれば窃盗罪の対象となります。

今回取り上げた事例では、男性らが工場倉庫から88万円相当の約240点に上る工具を盗んだという容疑がかけられています。
当然工具は一定の財産的価値のあるものですから、今回の事例では窃盗罪の容疑がかけられているということなのでしょう。

建造物侵入罪

建造物侵入罪は、刑法第132条で「正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

建造物侵入罪における「建造物」は、居住する目的をもたない建物を指します。
例えば、学校や工場、物置小屋などがこの「建造物」にあたります。

今回の事例では、男性2人が工場倉庫という居住する目的をもたない建物に侵入したという容疑をかけられていますので、建造物侵入罪が成立するとして捜査されていると考えられます。

建造物侵入・窃盗事件の裁判例

窃盗罪で有罪となった場合は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法第235条)、建造物侵入罪で有罪となった場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金(刑法第132条)が科されることになります。

実際の建造物侵入窃盗事件の裁判では、以下のような判決が下されています。

その裁判の被告人は、Aさん、Bさん、Cさんと共謀して株式会社Eの事務所に侵入し、現金約8万円とノートパソコンなど、合計で時価16万5000円相当の物品を盗みました。
犯行中に被告人は見張りを担当していたことから、弁護人は幇助にとどまると主張しましたが、被告人はAさん達が窃盗を行うことを知りながら見張りを行っていたことから、共同正犯(刑法第60条)にあたると判断されました。
裁判官は、被告人がこれまでにも窃盗行為に加担しており、その際の被害回復もしていないことから、被告人の刑事責任は重大であるとしつつも、捜査段階で事実関係を認め反省し二度と犯行に及ばないことを誓約していることや被告人が若年であることなどから酌むべき事情もあると判断し、被告人には懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡されました。
(平成15年5月13日 神戸地方裁判所)

建造物侵入窃盗事件では、窃盗行為の被害額がいくらになるのか、余罪があるのかどうか、被害弁償ができているのかどうかなど、様々な事情によって刑罰の重さが決定されます。
特に、複数回犯行に及んでいたような場合には、刑事裁判に向けて検討する証拠の量や、謝罪・弁償などを含む被害者対応の量も多くなってきますから、早い段階から準備に取りかかれるよう、弁護士に相談しておくことをおすすめします。

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