子供に窃盗させて逮捕【示談で早期釈放・不起訴】
子供に窃盗させて逮捕【示談で早期釈放・不起訴】
子供に窃盗させて逮捕された事例を題材に、示談による不起訴などの弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
京都市左京区に住むA(25歳)は、近所の子供であるB(11歳)らに遊びを教えていたが、日頃からAは「自分は悪い人間だ」などと言って、Bらに恐れられていた。
ある時、AとBは共に遊んでいたが、近くを歩いていたVが財布を落としたのに気が付いた。
AはBをにらみつけた上で、Vが落とした財布をとってこいと命令し、Bは言われるがままに財布を拾いAに渡した。
その後、Vからの相談で捜査を開始した京都府下鴨警察署が、Aを窃盗の疑いで逮捕した。
Aの家族は、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです)
~刑事未成年を利用した窃盗~
本件で問題となる犯罪としては、窃盗罪と遺失物横領罪があります。
Vがすぐそばにいる段階でBに財布を取らせた場合には窃盗罪が、Vが立ち去ってからBに財布を取らせた場合には遺失物横領罪が問題となります。
いずれにしろ本件で実際に財布を取ってきたのは11歳のBですが、刑法41条によると、14歳未満の行為には犯罪は成立しません(刑事未成年)。
そこで、本件のように背後でBを利用していたAが、実質的に犯罪をした者として刑事責任を負うのではないかが問題となります。
利用者であるAさんに犯罪を成立させる理論として間接正犯と共謀共同正犯というものがあります。
【間接正犯】
判例・実務上、他人を道具のように利用して犯罪をした場合には、利用した側が自ら犯罪行為を行ったのと同視し、処罰できることになっています。
他人を意のままに操って犯罪をした場合には、自ら手を下していなくても処罰される可能性があるということです。
この理論を間接正犯と言います。
本件のBは11歳ですから、物ごとの善悪はある程度わかるはずなので、悪いことだとわかりながら自らの意思で犯罪を行っており、通常だとAがBを道具のように利用したとは言えない可能性があります。
しかし、普段から恐れている年長者Aからにらみつけられ命令されていることから、Bが従わないという選択をすることが難しかったといえる場合には、Bを道具のように利用して犯罪をした場合にあたり、Aに窃盗罪が成立する可能性があります。
【共謀共同正犯】
仮にBが自らの意思で犯行に及んでおり、AがBを道具のように利用して犯罪をした場合に当たらないケースでも、共謀共同正犯(刑法60条)としてAに窃盗罪が成立する可能性があります。
共謀共同正犯とは、複数の人が犯罪の共謀をして、その共謀者の一部の人のみが実際に犯行をした場合に、犯行には加わらなかった共謀者にも犯罪が成立するという理論です。
今回の事例は、①AがBに財布を取って来いと命令し、それをBが承諾して、②Bが財布を取り行った形です。
つまり①の部分が共謀にあたり、共謀者の一部であるBが②の犯行に及んだということで、共謀共同正犯が成立することになるわけです。
したがっていずれにしろAに窃盗罪が成立する可能性が高いということになります。
なお、共謀の上で財布を取ったBは、11歳である以上は犯罪は成立しませんが、犯罪に当たるような行為をしたことに変わりはないことから、警察の捜査や児童相談所の調査・指導を受けるなどの可能性があります。
~不起訴を獲得するための弁護活動~
逮捕されてしまった被疑者の関心事は、いつ釈放されるのか、最終的にどのような刑事処分を受けるのかといった点でしょう。
早期釈放のためには検察庁や裁判所に対する様々な対応が必要となってきます。
詳しくはこちら→釈放してほしい
また、刑事処分としては、今回は大目に見てもらい、刑事裁判を受けずに終わる不起訴処分が一番望ましいと言えます。
そして本件の窃盗事件のような財産犯において早期釈放や不起訴処分などの結果を得るためには、被害者に謝罪・弁償して示談を結ぶことが極めて重要です。
釈放手続きや、示談交渉についてはわからないことが多いと思いますので、ぜひ窃盗事件の経験豊富な弁護士に相談・依頼することをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件は最も多く発生している刑事事件でもあり、その道のエキスパートである弁護士による堅実な弁護活動が十分に期待できます。
窃盗事件などで逮捕された、取調べを受けたといった場合には、24時間対応のフリーダイヤル0120-631-881まで、今すぐお問い合わせください。