コンビニの落とし物窃盗事件

2019-03-21

コンビニの落とし物窃盗事件

Aさん(30代男性)は、京都府八幡市にあるコンビニで他人の財布が落ちているのを見つけて、これを自宅に持ち帰った。
Aさんは、財布中身の現金10万円ほどを自身で消費して、財布自体はゴミの日に廃棄処理した。
しかし、Aさんが財布を拾う行動はコンビニ店内の防犯カメラに映っていたらしく、後日Aさんは京都府八幡警察署の警察官より取調べの呼び出しを受けた。
Aさんは自分がどのような罪に問われるのが不安になり、警察に出頭する前に、刑事事件に強い弁護士に法律相談することにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~占有離脱物横領罪と窃盗罪の違い~

落とし物を拾って、警察に届け出ずに自分の物にしてしまう犯罪行為をした場合に、「占有離脱物横領罪」あるいは「窃盗罪」のどちらかが成立する可能性があります。

占有離脱物横領罪」は、他人の所有物が他人の手(占有)を離れた後に、これを自分の物にしてしまう罪であり、法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」とされています。
他方で、「窃盗罪」は、他人の所有物を他人の手(占有)から盗んで、自分の物にしてしまう罪であり、法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
法定刑としては「占有離脱物横領罪」よりも「窃盗罪」のほうが刑罰が重いため、どちらの罪が成立するかは、その後の刑事処罰の量刑判断に大きく影響します。

・刑法235条 (窃盗)
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
・刑法254条 (遺失物等横領)
「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

落とし物を拾って自分の物にしてしまった事件においては、落とし物が所有者の手の内(占有)にあるといえるか、あるいは店舗の管理者の手の内(占有)にあるといえる場合には、他人の占有にある物を盗んだとして、「窃盗罪」が成立すると考えられます。
他方で、道端に落ちていた物を拾って自分の物にした場合には、「占有離脱物横領罪」が成立すると考えられます。

裁判所の判例によると、「刑法上の占有は人が物を実力的に支配する関係」であり、「必ずしも物の現実の所持又は監視を必要とするものではなく、物が支配力の及ぶ場所に存在すれば足りる」とされています。
社会通念上、客観的にみて所有者の支配力が及んでいるとはいえるかどうか」によって、所有者または店舗の手の内(占有)にあるかどうかが判断されて、「窃盗罪」「占有離脱物横領罪」のどちらが成立するかが判断されることになります。
「所有者の支配力が及んでいるとはいえるかどうか」の判断に当たっては、落とし物のあった場所の性質や、落としてからどれくらいの時間が経っているかといった事情や、その場所に多くの人が出入りしているか、あるいは少人数しか利用しない場所であるかといった事情などが、考慮されるものと思われます。

今回の事例のようなコンビニ内での落とし物窃盗事件においては、財布の所有者の占有内や、あるいはコンビニ店舗の管理者の占有内に、落とし物が存在すると判断されて、これを盗んだとして「窃盗罪」が成立する可能性が考えられます。
コンビニの落とし物窃盗事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、まずは被害者との示談交渉を行うことで、被害届の取下げや被害者が加害者を許す形での示談成立を目指すことで、不起訴処分の獲得や刑罰軽減のための弁護活動を行います。

京都府八幡市コンビニの落とし物窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
京都府八幡警察署の初回接見費用:3万7,200円)

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