高齢者の万引きで前科回避
高齢者の万引きで前科回避
高齢者が万引きで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
神奈川県伊勢原市に住む高齢女性Aさん(70歳)は、普段よく買い物をするスーパーで、食料品3点を万引きしたとして保安員に現行犯逮捕され、身柄を神奈川県伊勢原警察署の警察官に引き渡されました。
その後Aさんは釈放されましたが、万引きの前歴2回を有していたことなどから窃盗罪で略式起訴され、裁判所から罰金20万円の略式命令を言い渡されました。
そして正式裁判の申立期間が過ぎ、Aさんには前科1犯がつきました。
(フィクションです)
~ 万引きは立派な犯罪 ~
近年は特に、高齢者(65歳以上の男女)の犯罪が増加傾向にあり、中でも窃盗罪(万引き)の比率が多くしめています。
また、一般的に、男性に比べ女性による犯罪は少ないですが、万引きに限っては女性高齢者の数も多いことが特徴です。
その背景としては様々なものが考えられますが、高齢者の孤独も一つではないかと指摘されています。つまり、孤独感を紛らわすため万引きをするというのです。
しかし、万引きは窃盗罪(刑法235条)に当たる立派な犯罪ですから、どんな理由であれ許されるものではありません。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
そして、窃盗罪で起訴され裁判で有罪とされれば、懲役刑、罰金刑を科されます。
~ 前科が付くまでの流れ ~
逮捕されてから「前科」が付くまでの流れを詳しく見ると、以下のとおりになります。
逮捕 → 捜査 → 起訴(正式,略式) → 裁判(正式,略式) → 有罪 → 確定 → 前科
正式裁判(通常の裁判)を受けた場合は、その裁判で有罪とされ、被告人側、検察側の双方が控訴や上告の期間が過ぎて不服申し立てができなくなった(つまり「確定」した)後付きます。
一方、略式裁判とは、公開の裁判を開かず、簡易な手続で罰金刑にするものをいいます。
比較的軽い罪で、本人が罪を認め、前科・前歴がない(少ない)場合に用いられます。
略式命令を言い渡された後(正式に略式命令謄本の交付を受けた後)、やはり正式裁判をしてほしいという不服申し立て期間(14日間)が経過した後に前科が付きます。
~ 前科が付いたらどんな不利益を受ける? ~
前科がつくと、その内容によっては一定の職業に就けなくなるなどの不利益が生じます。
ただ、高齢者にとってこの点を気にする必要はあまりないかもしれません。
しかし、一番注意しなければならないのは、再び、万引きなどの罪を犯した場合、不利な証拠として使われるおそれがある、ということです。
特に万引きは、依存症的な状態となり、繰り返すおそれもある犯罪であるため注意が必要です。
不利な証拠として使われると、裁判官に悪い印象を与えてしまうことは間違いなく、規範意識(ルールを守ろうとする意識)が乏しい、常習性が認められるなどとして前回よりも厳しい判決となるおそれが十二分にあります。
~ 前科をを回避するには? ~
現実的なのは
検察官の起訴を回避すること
ではないでしょうか?
検察官は、被疑者が本当に犯罪をした判断した場合であっても、軽い事件などでは被疑者を起訴せずに、刑事手続を終わらせる判断をすることができます。
検察官の起訴を回避する、すなわち、不起訴処分を獲得することができれば、そもそも刑事裁判を受ける必要はなく、裁判で有罪の判決を受けるおそれもないからです。
そして、不起訴処分を獲得するには、まずは被害者に誠心誠意謝罪し、被害弁償、示談に向けた話し合いを進めていく必要があります。
そして、被害者に被害弁償するなどして示談を成立させることができれば、あなたにとって有利な事情として考慮され、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。
~ 被害弁償・示談は弁護士に依頼を ~
もちろん事件の当事者間でも被害弁償、示談交渉をすることはできる場合もあります。
しかし、事件当事者というだけあって、感情のもつれなどから被害弁償、示談交渉がなかなかうまく進まない場合もございます。
そんなときは弁護士が力になれます。
示談交渉に関する経験、知識が豊富な弁護士であれば、適切な内容・形式で示談を成立させることができる可能性が上がります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、万引きなどの窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が窃盗罪などの刑事事件で逮捕され、前科が付くのを回避したいとお考えの方、その他でお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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