万引きで逮捕・窃盗罪の既遂時期
万引きで逮捕されてしまった事例を題材に、窃盗の既遂時期等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aは、神奈川県川崎市内のコンビニエンスストアで、レジで会計を済ませていないにもかかわらず、スマートフォンの充電用のケーブルを自らのカバンに入れた。
Aがカバンに商品を入れた瞬間を目撃した店員は、Aを問い詰め、やがて警察を呼ぶに至った。
その後、神奈川県中原警察署の警察官は、Aを窃盗の疑いで逮捕した。
Aの家族は、窃盗事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(フィクションです)。
~窃盗の既遂時期について~
本件でAは、店の商品を無断でカバンに入れていますが、店外に出るに至っていません。
この場合、本件の窃盗は未遂罪にとどまるのでしょうか、それとも既遂に達しているのでしょうか。
刑法43条本文は、未遂にとどまるなら刑を減軽することができる旨定めていることからも、この区別は重要です。
まず、窃盗罪の処罰規定を確認すると、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」(刑法235条)と定められています。
この条文から明らかなとおり、窃盗罪が成立するためには、他人の財物を「窃取」したといえる必要があります。
この点、「窃取」とは、他人の意思に反し、他人の財物を自己(または第三者)の占有下に移転することをいいます。
そして、これにより占有を取得したといえれば窃盗は既遂に達しており、未遂にはなりません。
なお、占有を取得したか否かは、客体の大きさ、財物搬出の容易性などを総合的に考慮して判断されるものと解されています。
では、本件でAは商品の占有を取得したといえるか簡単に検討してみましょう。
まず、Aが盗もうとしたのはスマートフォン充電用のケーブルであり、小さな菓子類などと比べるとそれなりの大きさがあり、ポケットなどにしまうことは難しいかもしれません。
もっとも、カバンには容易に入れることができる程度の大きさであり、一旦カバンに入れてしまえば店外に搬出することも容易です。
したがって、いまだ店外には出ていないとしても、店内でカバンに入れた地点において本商品の占有を取得したと考えられます。
よって、Aの行為は窃盗罪の既遂に達しており、未遂減軽(刑法43条本文)の適用はないことになります。
~窃盗事件における弁護活動~
法務省が公表している「犯罪白書(令和元年版)」を見ると、平成30年(2018年)の犯罪認知件数のうち、実に7割以上が窃盗罪となっています。
つまり交通事故事件などを除くと、刑事事件として認知されている圧倒的多数が窃盗罪なのです。
したがって、必然的に弁護士による刑事弁護の基本は窃盗事件への対応ということになります。
窃盗事件において注意すべきは、本件のように比較的単純な万引き事件であっても、逮捕される可能性は十分にあることです。
そして、窃盗事件においてどのような刑事処分が見込まれるかどうかの判断にあたっては、前科前歴の有無などが重要になってきます。
弁護士としては、前科前歴の有無などを考慮しながら、どのような解決がベストなのか逮捕されてしまった本人やそのご家族に分かりやすくご説明・ご提案いたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、万引きを含む窃盗事件を多数扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件に対する弁護経験が豊富な弁護士が多数所属しており、窃盗事件の弁護活動なら弊所におまかせください。
窃盗事件で逮捕された方のご家族・ご知人は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせいだだけます。