大阪府豊能郡の盗品譲受事件
大阪府豊能郡の盗品譲受事件
~ケース~
大阪府豊能郡在住のAは古物商を営んでいる。
Aはよく廃棄物処理業者であるXからゴミとして出された物の中から商品になりそうなものを持ち込んでもらい買取をしていた。
ある日,Xから持ち込まれた物のうち明らかにゴミとは思えない物がいくつかあり,不審に思いXに本当にゴミだったのかと聞いたところXは「ゴミであった」と答えた。
しかし,商品の値段に対してXの希望買取価格が低かったため深く追求せずに買い取った。
後日Xは窃盗罪で逮捕され,Xが警察で盗品をAに売却したと供述したため,Aは盗品等有償譲受罪の疑いで大阪府豊能警察署に事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~盗品等有償譲受罪と故意~
今回のケースでAは盗品等有償譲受罪(刑法256条)の疑いで逮捕されています。
盗品等有償譲受罪とは,「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を有償で譲り受けた者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。」とされている犯罪です。
AはXが盗んだ物を買い取っていますので,盗品を有償で譲り受けたことになります。
しかし,刑法は故意がない場合には処罰されないと規定しています(刑法38条)。
今回のAは,盗品ではないと思いXから物品を購入したので,盗品等有償譲受罪の故意がないといえないのでしょうか。
過去の判例は,盗品等有償譲受罪の成立には盗品等であるとの認識が必要としており,その認識の程度としては未必の故意で足りるとしています(最判昭和23年3月16日刑集2巻3号227頁)。
未必の故意とは,犯罪的結果の発生自体は確実ではないが,それが発生することを表象しながらもそれが発生するならば発生しても構わないものとして認容している場合をいいます。
言い換えると,確定的に犯罪を行おうとするのではないが,結果的に犯罪行為になってもかまわないと思って犯行に及んだ場合に未必の故意があるとされます。
今回のケースでは,Aはゴミではないと怪しんでいたにも関わらず,利益が出ると思い深く追求せずに買取をしています。
つまり,ひょっとしたら盗品ではないかと思っていたにも関わらず,利益が出るのでそれでも構わないと考えて買取した=盗品等有償譲受罪の(未必の)故意があったと判断される可能性があるのです。
~盗品等有償譲受事件の弁護活動~
検察統計によると盗品等に関する罪(盗品等有償譲受を含む罪の総称です)の起訴率は年度によって異なりますが20%~40%程度となっています。
この数字から考えると初犯である場合や,被害弁償などの犯行後の情状次第では不起訴となる可能性が十分にあります。
今回のケースで,Aは古物商を営んでいますので古物商法第20条「古物商が買い受け、又は交換した古物のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。」と規定されています。
そのため,AはXの窃盗による被害者から返還を請求された場合,商品を無償で返還する義務があり,仮にすでに売れてしまった場合には金銭で賠償しなければいけません。
この被害者への返還や金銭による賠償を真摯に行い,返還を請求されていない場合に自主的に被害者の方に返還するなどの事情があれば有利な情状として不起訴処分となる可能性は高くなります。
また,起訴されてしまったとしても,そういった事情が有利に働き,罰金刑や執行猶予付きの判決となる可能性が高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
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