窃盗幇助犯で逮捕①

2019-05-20

窃盗幇助犯で逮捕①

神奈川県茅ケ崎市内に住むAさんは,神奈川県茅ケ崎市内にある本,CD,DVD,BLの販売,レンタル業を営むお店の店長を勤めていました。
そして,ある日,Aさんは知人Bさんから「DVD,BL観たいんだけど,お金がない」「お前の力で何とかしてくれないだろうか」と言われました。
AさんはBさんの言わんとしていることを察し,かつてBさんから金銭的に助けられた借りがあったことから,今度は自分が力になろうと思い,「分かった」「お店の鍵を持っているから,閉店後に裏口のドアの鍵を開けておく」「そこは防犯ブザーなどないから安心だよ」と言いました。
その後,Bさんは,Aさんに言われたとおり無施錠のお店の裏口から店内に侵入し,DVD3枚,BL3枚を盗って再び裏口から外に出たところ警備員に見つかり,逮捕建造物侵入罪窃盗罪)されてしまいました。
そしてAさんは,神奈川県茅ケ崎警察署建造物侵入罪窃盗罪幇助犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

この事例をみてまず,目に飛び込んでくるのが「幇助」という言葉ではないでしょうか?
しかし,普段,刑事事件に縁のないみなさんにとっては

幇助って何?
窃盗とかと同じように何かの罪なの?
・どういう場合に幇助犯となるの?
・重く処罰されるの?

などという疑問を抱かれることと思います。
そこで,今回は,「幇助犯の意義」やその「成立要件」,「幇助犯の刑の重さ」について解説したいと思います。

~ 幇助犯とは ~

幇助犯の「幇助」とは,実行行為以外の行為をもって正犯を援助し,その実行行為を容易にすることをいいます。
刑法62条1項には,次のように書かれてあります。

刑法62条1項
正犯を幇助した者は,従犯とする。 

* 実行行為,正犯 *
「実行行為」とは,ある犯罪に当たる行為のことをいいます。
例えば,窃盗罪を規定した刑法235条には「他人の財物を窃取した」と書かれてあります。
したがって,他人の財物を窃取すること(別の言い方をすれば盗むこと)が窃盗罪の「実行行為」ということになります。
「正犯」とは実行行為をした者をいいます。
本件ではBさんがこれに当たります。

~ 幇助犯の成立要件 ~

幇助犯が成立するためには,①幇助者(Aさん)が「正犯を幇助」して,②被幇助者(Bさん)が犯罪を実行したことが必要です。

= ①について =
幇助の方法には制限がありません。
物質的幇助(凶器,金銭の貸与,犯行現場への案内,犯罪場所の提供など)でも,精神的幇助(助言,激励など)でもよいとされています。
精神的幇助は,犯罪を決意している者に対してその決意を強めるものであり,この点で,犯罪を決意していない者に対してその決意を生じさせる教唆とは異なります。

= ②について =
たとえば,Bさんがお店の裏口手前まで来たものの,お店の中に入るのが怖くなって引き返したところ警備員に見つかったという場合,建造物侵入罪,窃盗罪の「実行行為」を行ったとは認められません。
したがって,Bさんはもちろん,Aさんにも犯罪(幇助犯)は成立しません。
他方,Bさんがお店の中に入って,DVDを盗ろうと思って棚に手を伸ばそうとしたところ警備員に見つかり逃げたという場合は,犯罪の「実行」があったと認められますから,建造物侵入・窃盗未遂罪幇助犯が成立し得ます。

~ 幇助犯の刑の重さ ~

幇助犯は,あくまで犯罪の手助けをしたにすぎません。
したがって,実際に犯罪を行った者(正犯)よりも刑は軽くなります。
刑法63条は「従犯の刑は,正犯の刑を減軽する」と規定しています。
つまり,正犯に適用されるべき法定刑を減軽した処断刑の範囲内で処罰されるという趣旨です。

この点については次回,解説いたします。

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