窃盗犯が自首したら

2021-07-01

窃盗犯自首をした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
東京都狛江市の会社に勤務していたAさんは、つい魔が差して、更衣室にある他の従業員のロッカーに置いてあった財布から現金を抜き取り、そのまま盗ってしましました。
被害に遭った従業員は会社側に被害を申告し、会社は窃盗事件として警視庁調布警察署に相談しました。
警察に相談したことを知ったAさんは、自分の犯行であることが発覚するのは時間の問題だと思い、調布警察署自首しようと考えています。
(フィクションです。)

自首とは

自首は、罪を犯した者が捜査機関に対して、自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求める意思表示のことです。

自首については、刑法第42条において次のように規定されています。

1 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

法律上の自首が成立するためには、
①捜査機関に対して、
②犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、
③自発的に自己の犯罪事実を申告し
④訴追を求める意思があること
が必要となります。

①捜査機関に対して行うこと
自首は、「捜査機関」に対して行わなければなりませんが、ここで言う「捜査機関」というのは、検察官または司法警察員です。
ただし、検察事務官や司法巡査に対して自首した場合であっても、彼らは検察官・司法警察員に自首した者の身柄を引き渡すことになっているので、実際は、検察事務官や司法巡査に対して自首を申し出ても問題はありません。

②犯罪事実が捜査機関に発覚する前に行うこと
自首は、犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合、および、犯罪事実は発覚していても、その犯人が誰であるか発覚していない場合に行われなければなりません。
そのため、犯罪事実および犯人が誰であるかは判明しているが、単に犯人の所在だけが不明である場合は、「犯罪事実が捜査機関に発覚する前」とは言えません。

③自発的に自己の犯罪事実を申告すること
犯罪事実を自発的に申告していることが必要で、取調べや職務質問中に、犯罪事実を自白したとしても、それは自発的な申告とは言えず、自首には当たりません。

④訴追を求める意思があること
自首の成立には、罪を犯した者が、自身の処罰・処分を求めていなければなりません。
犯罪の一部を隠蔽するために申告する場合には、自首は成立しません。

窃盗事件で自首をした場合

法律上の自首が成立した場合には、刑が減軽される可能性があります。
「可能性」といったのは、刑法第42条にもあるように、「その刑を減軽することができる。」という文言から、裁判官が裁量によって刑を軽くすることができる、ためです。
どの程度刑が減軽されるのかは、刑法第68条で定められています。

第68条 法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮とする。
2 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の2分の1を減ずる。
5 拘留を減軽するときは、その長期の2分の1を減ずる。
6 科料を減軽するときは、その多額の2分の1を減ずる。

窃盗罪で起訴され、有罪となった場合、裁判官は、窃盗罪の法定刑である「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」から、「5年以下の懲役または25万円以下の罰金」の範囲内で刑を言い渡すことができます。

刑の減軽の他に、自首をした場合には、逮捕・勾留を回避できる可能性もあります。
自ら犯罪事実を申告し、処罰を受ける覚悟でいる者について、逮捕・勾留する必要性がないと判断される場合があり、その場合には、被疑者の身柄を拘束しないで捜査が進められます。

自首が成立するか否か、自首が成立する場合にはどのような処分となるのか、自首した後の流れなど、自首する前に一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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