Archive for the ‘未分類’ Category

(事例紹介)値引きシールを勝手に貼って窃盗罪 有罪となった事例

2023-01-30

(事例紹介)値引きシールを勝手に貼って窃盗罪 有罪となった事例

~事例~

過去に購入した商品の値引きシールを会計する前の商品に貼り付け、セルフレジを通す万引を繰り返したとして、窃盗の罪に問われた島根県出雲市、パート従業員の被告(52)の判決公判が20日、松江地裁であり、畑口泰成裁判官は懲役1年6月、執行猶予4年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
判決理由で、手口が万引の中でも手が込んでいるのに加え、万引で前科があり、今回は2カ月で9回もしたことから常習性が高い点を問題視。一方、被害弁償しており、執行猶予付き判決が相当とした。
(略)
判決によると、6月から8月、出雲市内のスーパーで9回、シールを商品に貼りセルフレジに通し、正当な代金を支払ったかのように装って万引した。
(※2022年12月21日14:03YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~値引きシールを勝手に貼って窃盗罪に~

今回取り上げた事例では、被告が値引きシールを勝手に商品に貼りつけ、セルフレジを通して万引きを行ったとして、窃盗罪で有罪判決が言い渡されたという報道内容になっています。

この事例では、本来は値引きされていない商品に対して勝手に値引きシールを貼りつけた状態でセルフレジを通したとされています。
つまり、本来であれば値引きされていない金額が正当な代金であるにもかかわらず、値引きされた金額が正当な代金であり、それが支払われていると見せかける行為をして商品を持ち帰ったということになります。
通常、店側の出している商品については、正規の料金を支払うことで客が商品を持ち帰ることができるようになるという流れになります。
しかし、今回の事例のように、本来支払うべき料金を支払わずに商品を持ち去ったということになれば、それは店側の許可を得ずに商品を持ち去ったということになり、窃盗罪が適用されたのだと考えられます。

なお、今回の事例では、セルフレジを通したということで窃盗罪になっていますが、同じ手口で友人のレジを通していたという場合には、窃盗罪ではなく詐欺罪(刑法第246条)が成立する可能性もあることに注意が必要です。
値引きシールを勝手に貼った」ということだけで必ずしも窃盗罪が成立するとはいえないため、詳しい事情を弁護士に伝えた上で見解を聞いてみることが望ましいでしょう。

今回取り上げた事例では、被害弁償をされていることが考慮され、執行猶予付き判決となったと報道されています。
窃盗事件などの財産事件では、被害弁償ができているかどうかという事情も非常に重視される事情です。
先ほど触れた「何罪が成立するのか」といったことも含め、弁護士に相談してみることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、窃盗事件に関するご相談を受け付けています。
どういった形の弁護活動が可能であるのか、どういった流れで事件が進んでいくことになるのかなど、刑事手続に関する疑問を、弁護士が直接ご相談に乗ります。
まずは遠慮なくお問い合わせください。

(事例紹介)窃盗罪の否認事件で無罪判決が出た事例

2023-01-23

(事例紹介)窃盗罪の否認事件で無罪判決が出た事例

~事例~

津市内の店舗で記憶媒体を万引きしたとして窃盗罪に問われた同市の男性被告(56)に対し、津地裁(中村海山裁判官)が無罪を言い渡していたことがわかった。判決は16日付。年明けに無罪が確定する見通し。
男性は昨年11月に携帯電話販売店でマイクロSDカード3個(計6万5340円)を盗んだとして、今年2月に三重県警津南署に窃盗容疑で逮捕され、津地検は同3月2日、窃盗罪で男性を起訴した。
男性は逮捕時から一貫して無罪を主張。関係者によると、検察側は防犯カメラ映像などを証拠提出したが、判決では「他の人物による犯行の可能性が排除できず、男性の犯人性は認められない」と判断されたという。
(略)
(※2022年12月29日5:00讀賣新聞オンライン配信記事より引用) 

~否認事件と刑事裁判~

今回取り上げた事例では、窃盗罪の容疑をかけられ起訴された男性に対し、津地裁の刑事裁判で無罪判決が言い渡されたと報道されています。
報道によると、男性は逮捕時から無罪を主張し、容疑を否認していたようです。

窃盗事件に限らず、刑事事件において何かの容疑をかけられた場合に、その容疑を否認するケースは存在します。
今回の事例のような「犯人は自分ではない」といった否認をする場合、かけられている容疑は冤罪であるということになりますから、適切に自分の認識や主張を捜査段階の取調べから伝えていく必要があります。
取調べなどで捜査官の誘導に乗ってしまったり、自暴自棄になってしまったりして容疑を認める供述をしてしまえば、刑事裁判となった際に不利な状況に陥ってしまう可能性が高いです。

また、そもそも検察官が起訴・不起訴を決める段階で、冤罪であること=嫌疑がないこと・不十分なことを訴えて、不起訴処分とするよう交渉することも考えられます。
不起訴となれば有罪判決を受けること自体もないため、冤罪によって処罰されるということもなくなります。

こうした否認事件の際の対応は、捜査を受ける初動から慎重に対応し続けなければなりません。
先ほども触れた通り、一度容疑を認めた供述をしてしまうと、刑事裁判の場でそれを覆すことは大変困難となります。
だからこそ、捜査を受けるとなったそのときから、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無罪を主張したいというご相談・ご依頼についても受け付けています。
容疑を否認し続けること、冤罪を主張し続けることは、容疑者となってしまった本人はもちろん、そのご家族にとっても大きな負担の伴うことです。
専門家である弁護士の力を借りることで、その負担を軽減することが期待できます。
まずはお気軽にご相談ください。

(事例紹介)小学校への侵入窃盗事件~建造物侵入罪・窃盗罪

2023-01-16

(事例紹介)小学校への侵入窃盗事件~建造物侵入罪・窃盗罪

~事例~

24日朝、大阪・松原市にある小学校の校舎の窓ガラスが割られて何者かが侵入したとみられる跡が見つかり、市の教育委員会は警察に被害届を提出しました。
教育委員会によりますと、教室にあった児童のリコーダー19本がなくなっていたということです。

松原市教育委員会によりますと、24日午前7時半すぎ、松原市立恵我小学校の教室の窓ガラスが割られているのを、登校してきた児童がみつけました。
教員が確認したところ、ほかにも、校舎1階の窓ガラスなど、あわせて4枚が割られていて、ガラスが割られた場所からは、何者かが侵入したとみられる跡が見つかりました。
さらに調べたところ、3階と4階の教室にあった児童のリコーダーあわせて19本がなくなっていたということです。
(略)
(※2022年10月24日20:42NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~侵入窃盗事件で成立し得る犯罪②~

前回の記事では、取り上げた報道の事例では、器物損壊罪建造物損壊罪が成立する可能性があり、侵入窃盗事件では態様によってこれらの犯罪が成立し得るということを取り上げました。
今回の記事では、他に侵入窃盗事件で成立し得る犯罪について確認していきます。

前回に引き続き、取り上げた事例の報道を見てみると、この壊された窓ガラスから何者かが小学校へ侵入しているようだとされていますが、この行為は建造物侵入罪(刑法第130条)に当たる行為だといえるでしょう。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第130条では、今回取り上げた報道で侵入された小学校などが対象となる「建造物」への侵入を罰する建造物侵入罪だけでなく、人の住んでいる一軒家やマンション・アパートなどが対象となる「住居」への侵入について罰する住居侵入罪も定められています。
そのため、いわゆる侵入窃盗事件では、侵入された対象の建物がどういった建物だったのかという事情によって、建造物侵入罪住居侵入罪が成立するということになります。

加えて、侵入窃盗事件では、何かが盗まれているということですから、窃盗罪も成立します。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回取り上げた事例では、小学校からリコーダーが盗まれたと報道されていますから、窃盗罪が成立することが予想されるでしょう。
こうしたケースで注意しなければいけないのは、先に取り上げた器物損壊罪建造物損壊罪建造物侵入罪の被害者と、窃盗罪の被害者が異なるということです。
小学校の窓ガラスを破壊したことによる器物損壊罪もしくは建造物損壊罪の被害者は、壊された窓ガラスの管理者=小学校ということになるでしょうし、建造物侵入罪の被害者も、同じく侵入された小学校の管理者となります。
しかし、窃盗罪の被害者は盗まれたリコーダーの持ち主となりますから、1つの侵入窃盗事件であっても被害者が犯罪によって異なる複数人になるということになるのです。

侵入窃盗事件では、複数の犯罪が成立することもあり、事件が複雑な構造となることもあります。
被害弁償や示談交渉を行う場合でも、複数人被害者がいる場合には、当事者だけで活動するには負担が大きくなってしまうことが予想されますから、弁護士を通じて被害者対応を行うことで、その負担の軽減が期待できます。

また、侵入窃盗事件では、その場所に侵入して窃盗行為をするという事件の性質上、犯人が事件現場の場所を知っているということになるため、被害者への接触や事件現場での証拠隠滅行為のおそれを懸念され、逮捕・勾留による身体拘束をした上で捜査が進められることも少なくありません。
早期の釈放を目指したり、身体拘束されている中での取調べ対応を適切に行ったりするためにも、弁護士のサポートを受けることが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、侵入窃盗事件についてもご相談・ご依頼を受け付けています。
0120-631-881では、ご相談者様のご状況に合わせたサービスをスタッフがご案内いたします。
「どうしていいのか分からない」といった時こそ、まずは遠慮なくお電話ください。

(事例紹介)小学校への侵入窃盗事件~器物損壊罪・建造物損壊罪

2023-01-09

(事例紹介)小学校への侵入窃盗事件~器物損壊罪・建造物損壊罪

~事例~

24日朝、大阪・松原市にある小学校の校舎の窓ガラスが割られて何者かが侵入したとみられる跡が見つかり、市の教育委員会は警察に被害届を提出しました。
教育委員会によりますと、教室にあった児童のリコーダー19本がなくなっていたということです。

松原市教育委員会によりますと、24日午前7時半すぎ、松原市立恵我小学校の教室の窓ガラスが割られているのを、登校してきた児童がみつけました。
教員が確認したところ、ほかにも、校舎1階の窓ガラスなど、あわせて4枚が割られていて、ガラスが割られた場所からは、何者かが侵入したとみられる跡が見つかりました。
さらに調べたところ、3階と4階の教室にあった児童のリコーダーあわせて19本がなくなっていたということです。
(略)
(※2022年10月24日20:42NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~侵入窃盗事件で成立し得る犯罪①~

今回取り上げた事例では、何者かが小学校へ侵入しリコーダーを盗んだという侵入窃盗事件が報道されています。
この報道の時点では、犯人はまだ見つかっておらず、警察署に被害届が出された段階のようです。
今回は、2回に分けて、こうした侵入窃盗事件で何罪が成立し得るのかということに注目していきます。

まず、報道によると、小学校は窓ガラスが割られており、そこから何者かが侵入したようだとされています。
窓ガラスを割る行為については、刑法の建造物損壊罪(刑法第260条)や器物損壊罪(刑法第261条)の成立が考えられます。

刑法第260条(建造物等損壊罪等)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

建造物損壊罪器物損壊罪も、対象となるものを「損壊」したことによって成立する犯罪です。
その「損壊」した対象のものが、他人の「建造物」なのか「物」なのかによって、成立する犯罪が変わるというイメージでしょう。
今回の事例の窓ガラスは、一般には「建造物」ではなく「物」と考えられることが多いと思われますが、たとえ窓ガラスであっても、場合によっては「建造物」と捉えられ、建造物損壊罪が成立する可能性もあります。
過去には、玄関のドアが、建造物の外壁と接合して、外界との遮断や防犯等の重要な役割を担っていることから「建造物」にあたり、建造物損壊罪が成立すると判断された事例もあります(最決平19.3.20)。
報道からは、壊された窓ガラスがどのようなものであり、小学校の建物のうちどのような役割を担っているのかは分かりませんが、可能性だけで言えば、器物損壊罪の成立も建造物損壊罪の成立も考えられるということになるでしょう。

侵入窃盗事件では、その手口によって成立する犯罪が多くなることも考えられます。
建物に侵入する際に何かを壊して侵入したというケースでは、こうした器物損壊罪建造物侵入罪が成立する可能性もあるのです。
特に、建造物損壊罪は「5年以下の懲役」という大変重い刑罰が定められていることから、早期に弁護活動を開始し、執行猶予の獲得刑罰の減軽を求める準備に取り掛かることが重要でしょう。

刑事事件を多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件全般を広く取り扱っています。
侵入窃盗事件を含めた刑事事件にお困りの際は、お気軽にご相談下さい。

次回の記事では、侵入窃盗事件で成立し得る他の犯罪について取り上げます。

(事例紹介)転売先から窃盗事件が発覚 逮捕された事例

2023-01-02

(事例紹介)転売先から窃盗事件が発覚 逮捕された事例

~事例~

新潟署は14日、窃盗の疑いで新潟市中央区に住む無職の男(38)を逮捕しました。
警察によりますと、男は今年11月、新潟市東区のスポーツ用品店でスキージャケット2着、販売価格合わせて9万5700円相当を盗んだ疑いが持たれています。
事件後、捜査を進めていた警察が中古品買取店で盗まれたスキージャケットが売られていたのを発見。男(38)が容疑者として浮上したということです。
(後略)
(※2022年12月14日19:39YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~転売と窃盗事件~

今回の事例では、男性が窃盗事件を起こした容疑で逮捕されていますが、そのきっかけとなったのは、中古買取品店で窃盗事件で盗まれた被害品が売られていたところが発見されたことであると報道されています。

窃盗事件の中には、盗んだ物を自分で使用するのではなく、転売することを目的に窃盗行為をするというものも少なくありません。
昨今では、SNSやフリーマーケットアプリ、インターネットオークションを通じて転売するケースや、今回の事例で報道されているように、中古品買取店などに転売するケースも見られます。
こうした窃盗品を転売するというケースでは、今回の事例でもあったような、転売先で窃盗品が発見され、そこから窃盗事件が発覚するということもあります。

転売目的の窃盗事件では、窃盗の目的が転売が目的であるというところから悪質性が高いと判断され、厳しい処分が下される傾向にあります。

また、転売の態様によっては、窃盗の被害品であることを隠して売却した=窃盗品ではないと偽って販売したということになり、転売先に対する詐欺罪が成立する場合もあります。
こうしたことから、転売行為のある窃盗事件では、最終的な処分が重くなりやすいといえます。

窃盗罪にせよ詐欺罪にせよ、被害者が存在する犯罪です。
処分の軽減を求めていくには、被害者対応を早期から行っていくことが重要なポイントの1つといえます。
こうした活動に迅速に取り掛かるためにも、まずは弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、早期に弁護活動に取り掛かることのできるよう、0120-631-881でお問い合わせを24時間いつでも受け付けています。
ご相談者様の状況に合わせたサービスをご用意していますので、まずはお気軽にお電話ください。

(事例紹介)橋名板の窃盗事件で捜査されている事例

2022-12-26

(事例紹介)橋名板の窃盗事件で捜査されている事例

事例

北海道白老町で橋の名前などが表記された橋名板38枚が盗まれる窃盗事件がありました。
(略)
盗まれた橋名板は青銅製で、警察は、銅を狙った窃盗事件として捜査しています。
北海道では、これ以外にも金属を狙った窃盗事件が相次いでいます。
事件の背景にあるのは、世界的な銅需要の高まりにあり、銅の平均取引価格は、この20年間で3倍以上となる1トン当たり125万円ほどまで高騰しているようです。
(2022年12月10日配信の北海道ニュースUHBの記事から引用しています。)

橋名板の窃盗事件

橋名板(きょうめいばん)とは、橋の名称などを示すために設置される銘板の一種です。
橋名板は雨風に晒されても痛みにくい銅や真鍮で造られていることが多く、報道にある通り、銅価格が高騰している近年では、転売目的での窃盗が相次いでいるようです。
今年だけでも、栃木県矢板市、静岡県浜松市などで橋名板の窃盗事件が起こっているとの報道も見かけます。
ある地域の周辺で複数の橋名板が盗まれることが多いため、同一人物又は同一グループの犯行であると考えられて捜査されることも少なくないようです。

こうした橋名板を盗む行為は、窃盗罪に当たります。
窃盗罪は、刑法235条に定められています。法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっており、軽い罪とはいえません。
窃盗罪の成立要件としては、①「他人の財物」を、②「窃取した」ことに加えて、③故意及び不法領得の意思を有することが必要です。

まず、①「他人の財物」とは、他人が占有する財物、すなわち、他人が所有・管理しているもののことをいいます。
橋の橋名板は、その橋を管理している市などに占有があるため、窃盗罪の客体である「他人の財物」に当たります。

次に、②「窃取した」とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害し自己または第三者の占有に移転させることをいいます。
ボルトなどを外して橋名板を持ち去ることは、当然占有者の意志に反して占有を自己に移転させることに当たるでしょうから「窃取した」といえます。

最後に、窃盗罪が成立するには、③故意及び不法領得の意思を有することが求められます。
窃盗罪が成立するためには、行為者が窃盗の故意を有している必要があります。
故意の内容としては、他人の財物を窃取することの認識・認容が必要です。
もっとも、窃盗罪は、毀棄罪や不可罰の使用窃盗と窃盗罪を区別するため、故意に加えて不法領得の意思も必要であるとされています。
不法領得の意思とは、判例によれば「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に、その経済的用法に従いこれを利用し処分する意思」をいいます。
転売目的での窃盗であれば、故意も不法領得の意思も認められる可能性は高いでしょう。

窃盗罪に強い弁護士

窃盗事件でお困りの方、窃盗罪で警察の取調べを受けている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
またご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は、初回接見サービスをご利用ください。

(事例紹介)住居侵入罪と窃盗未遂罪で緊急逮捕 緊急逮捕とは?

2022-12-19

(事例紹介)住居侵入罪と窃盗未遂罪で緊急逮捕 緊急逮捕とは?

~事例~

(略)
住居侵入と窃盗未遂の疑いで緊急逮捕されたのは、(略)会社員の男です。
警察によりますと、男は12日午後1時35分から午後1時40分の間、17歳の男子高校生が住む仙台市宮城野区のアパートの部屋に侵入し、財布を盗もうとした疑いが持たれています。
(略)
男は男子高校生に見つかると車で逃走しましたが、車のナンバーや特徴を高校生が覚えていたためその後、警察に逮捕されました。
警察の調べに対し、男は「間違いありません」と容疑を認めているということです。
(※2022年12月13日0:48YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~緊急逮捕とは?~

今回の事例では、男性が住居侵入罪窃盗未遂罪の容疑で緊急逮捕されたと報道されています。
一般に「逮捕」というと「犯罪をした人が警察に捕まるものだ」というイメージがあると思いますが、逮捕にもいくつか種類があり、緊急逮捕もその1つです。
よくイメージされる「逮捕」は、刑事ドラマなどで捜査官が令状をもってやってきて逮捕するもの(いわゆる「通常逮捕」)や、今まさに犯罪をした人を逮捕する「現行犯逮捕」でしょう。
では、「緊急逮捕」とはどういった逮捕なのでしょうか。

刑事訴訟法第210条第1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。
この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。
逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

通常、逮捕は裁判所の発布する令状をもって行われなければいけません。
先ほど例として挙げたような、令状を示して逮捕するような逮捕が「通常逮捕」と呼ばれるのも、こうした逮捕の形式が原則とされていることによります。
しかし、今まさに犯罪をしている人=現行犯については、冤罪の可能性も少なく緊急性も高いといった事情から、令状なしの逮捕=「現行犯逮捕」が認められています。

こうした中、「緊急逮捕」は刑事訴訟法第210条第1項の条文にある通り、一定の条件を満たした場合、令状なしでの逮捕が許される逮捕ですが、逮捕の後に速やかに令状を請求しなければならず、その際に令状が発布されない場合には被疑者が釈放されるという決まりになっています。
つまり、「緊急逮捕」は事後的に令状を請求する仕組みの逮捕ということです。

この緊急逮捕には、先ほど触れたように条件が定められています。
条件なしに緊急逮捕できるようになってしまえば、令状なしの逮捕が濫用されることになってしまい、権力の濫用に繋がってしまうためです。
緊急逮捕が許されるのは、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合」かつ、「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」でなければいけません。

今回の事例にあてはめてみましょう。
今回緊急逮捕された男性にかけられている容疑は、住居侵入罪窃盗未遂罪です。
それぞれの法定刑は、「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」(刑法第130条、住居侵入罪)、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法第235条、窃盗罪)となっており、「長期3年以上の懲役…にあたる罪」であるといえます。
報道によると、住居侵入罪窃盗未遂罪の被害者が車のナンバーや特徴などを覚えていたことから男性につながっており、こうした情報が男性が「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」であると判断されたと考えられます。
そして、状況的に「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができない」ものであったと考えられ、緊急逮捕に至ったのでしょう。

刑事事件では、耳馴染みのある用語であっても、その中にさらに種類が分かれていたり、取り扱いが異なったりすることがあります。
刑事手続に臨むにあたって、疑問や不安を解消しておくことは重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、小さな疑問・不安であっても迅速に解消できるよう、相談者様に合わせたサービスをご用意しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)農作物の窃盗事件

2022-12-12

(事例紹介)農作物の窃盗事件

~事例~

27日、茨城県鉾田市の農業用ハウスでミニトマトおよそ1トンがなくなっていたことがわかり、警察が窃盗事件として捜査しています。
27日午前7時半ごろ、鉾田市の農家の男性から、農業用ハウスで育てていたミニトマトが大量になくなっていると警察に通報がありました。
警察によりますと、10棟のハウスのうち、4棟でミニトマトがもぎとられていて、被害はおよそ1トン、金額にしておよそ100万円相当だということです。
(後略)
(※2022年9月28日15:18NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~農作物の窃盗事件~

昨今、野菜や果物などの農作物窃盗事件が多発しており、ニュースなどでも農作物窃盗事件が取り上げられているところを見たことのある方も少なくないのではないでしょうか。
農林水産省でも、農作物窃盗事件について注意喚起が行われています(参考ページ(この後の統計もこちらのページ・資料を参考にしています。))。

農林水産省が平成30年度に行った聞き取り調査によると、農作物窃盗事件の被害金額は全体のうち6割が不明とされています。
そして、把握できたもののうち9割近くが50万円未満のものであったとのことですが、中には100万円以上の被害にあったというケースもあるようです。

農作物窃盗事件が起きた場所も、その半分近くが不明であったものの、その中でももっとも多く挙げられていたのは圃場(ほ場:田畑などの農地のことを指します。)であり、農作物窃盗事件の半数が圃場で起きています。
田畑は屋外にあり、かつ広いため、一目が少なく、忍び込みやすく逃げやすいということから、田畑での窃盗事件が多いのではないかと考えられます。

田畑にある農作物は、屋外にあり、多くの場合24時間人がいるというわけではないため、一見その場所に放置してあるもののように思えるかもしれませんが、生産者の方が育て管理しているものです。
その農作物は、売り物として出されるわけですから、当然財産的価値もあるものといえます。
こうしたことから、たとえ屋外の田畑にあったとしても、農作物を勝手に持って行くといった行為は窃盗罪に当たることとなります。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回取り上げた事例のように、大量の農作物を盗んだということであれば、被害金額も高額になりますし、さらに計画性があることなどから悪質性も高いと考えられ、有罪となった際の刑罰が重くなることが予想されます。
被害弁償などの対応も含め、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービス、在宅捜査を受けている方やこれから捜査を受ける予定の方向けの初回無料法律相談など、ご相談者様の状況に合わせたサービスをご用意しています。
窃盗事件にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)常習累犯窃盗罪で実刑判決となった事例

2022-12-05

(事例紹介)常習累犯窃盗罪で実刑判決となった事例

~事例~

(略)
冒頭陳述によると、被告の男(65)は30歳頃から服役と出所を繰り返してきた。窃盗の前科は12犯。直近では岡山地裁で懲役3年6月の判決を受けた。
今年5月に出所してから神戸市内のホテルやテントで寝泊まりした。所持金がほとんど底をつき、滋賀県の知人に会おうと区役所の近くにとめられていた自転車を盗む。6日後、この自転車で大津市に入り、道の駅で米菓子やカップ酒などを万引した。
出所後わずか2週間での犯行だった。大津北署に逮捕され、常習累犯窃盗などの罪で起訴。
(中略)
検察側の求刑は懲役6年。弁護人は、支援を断られた上に生活保護の「水際作戦」を受けた末の金銭的困窮が犯行の原因と訴えた。
(中略)
9月8日、裁判官が男に言い渡した2度目の判決は懲役3年8月だった。出所後まもない再犯であり、想定していた支援を受けられなかったことが遠因にあるとしても「強い非難に値する」と量刑理由を説明した。
(後略)
(※2022年11月18日11:00YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~常習累犯窃盗罪と実刑判決~

前回の記事では、常習累犯窃盗罪について取り上げましたが、今回の記事では、その常習累犯窃盗罪で実刑判決を受けた事例の報道を取り上げます。
今回の事例では、被告人が常習累犯窃盗罪で起訴されるに至っていますが、それまでに窃盗罪での前科が12犯あり、直近では3年6月の実刑判決を受け、その刑を受け終わった後の事件であったという報道内容となっています。

前回の記事でも確認した通り、常習累犯窃盗罪は、窃盗罪を繰り返し犯してしまった場合で、一定の条件を満たした場合に成立する犯罪です。

盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条
常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
(注:「前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪」とは、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の「刑法第二百三十五条…第二百三十九条ノ罪」を指し、「前条ノ例」とは、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の「三年以上…ノ有期懲役ニ処ス」を指します。)

まとめると、
①窃盗罪などを常習的にしていること
②過去10年以内に窃盗罪等で3回以上6ヶ月の懲役以上の刑の執行を受けるか、その執行の免除を受けていること
といった条件を満たした場合、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪が成立することになります。
今回の事例では、被告人が過去10年以内にどれほど窃盗罪などにより刑罰を受けたのかということは報道からは分かりませんが、常習累犯窃盗罪で起訴され有罪判決を受けているということは、10年以内に3回以上、6ヶ月の懲役以上の刑罰を受けていたということでしょう。

この常習累犯窃盗罪は、窃盗罪などを繰り返してしまう人に対して、より重く処罰しようという目的で定められた犯罪です。
定められている刑罰の重さも、「3年以上の有期懲役」と大変重いものとなっており、執行猶予をつけることも簡単ではありません。
今回の事例でも、被告人は3年8月の実刑判決を受けています。

常習累犯窃盗罪となるほど窃盗事件を繰り返し起こしてしまう場合には、被害弁償などの被害者対応だけではなく、そもそも窃盗行為を繰り返さないようにする再犯防止策の構築が必須であるといえます。
たとえ執行猶予を得られたり、検察官の求刑から刑罰を減軽することができたりしたとしても、その後また窃盗行為を繰り返してしまえば、ただ刑務所に入って出てくるということを繰り返すだけになってしまいます。
しかし、再犯防止のために何をするのか、どういった対応が適切なのかということがなかなか思い浮かばないということもあるでしょう。
刑事手続の流れも含めて、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

刑事事件を多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、常習累犯窃盗事件を含めた窃盗事件についてもご相談・ご依頼を受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

(法律紹介)「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」~常習累犯窃盗罪とは

2022-11-28

(法律紹介)「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」~常習累犯窃盗罪とは

前回の記事でも取り上げた通り、窃盗事件は比較的私達の生活の近くにある刑事事件の1つでしょう。
万引きや置引きなどは、やろうと思えば誰でもできてしまう犯罪行為でしょうし、実際に日本で起きている刑事事件の中で窃盗事件の占める割合は大変多いです。

そして、前回の記事で紹介した通り、窃盗事件では、窃盗行為を繰り返してしまうという方も多数いらっしゃいます。
そうした、何回も窃盗事件を起こしてしまうという場合について、常習累犯窃盗罪という犯罪が成立することがあります。
今回の記事では、この常習累犯窃盗罪という犯罪について紹介します。

~常習累犯窃盗罪~

常習累犯窃盗罪という犯罪は、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」という法律に定められています。

盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条
常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
(注:「前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪」とは、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の「刑法第二百三十五条…第二百三十九条ノ罪」を指し、「前条ノ例」とは、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条の「三年以上…ノ有期懲役ニ処ス」を指します。)

条文をご覧いただいて分かるように、この法律は昭和5年に作られた法律であり、かなり古い法律となっています。
読みづらいかもしれませんが、大まかにまとめると、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条では、「常習として刑法の窃盗罪などの罪やその未遂罪を犯し、その本件以外に、過去10年以内に窃盗罪や窃盗未遂罪などの罪で、3回以上6か月の懲役以上の刑の執行を受けるか、その執行の免除を受けた者」に常習累犯窃盗罪が成立するとしています。
例えば、窃盗事件を起こした犯人が、常習的に窃盗行為をしており、かつ、過去10年の間に窃盗罪で懲役2年、懲役1年、懲役6月という前科のある人だったとします。
その場合、この犯人に成立するのは、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪となります。

なお、この「過去10年以内に窃盗罪等の罪で3回以上6か月の懲役以上の刑の執行を受ける」という条件の刑の執行の回数については、執行猶予の取消しによって刑罰を受けるときも含まれます。
つまり、窃盗罪の執行猶予判決を受け、その執行猶予期間中に再度窃盗罪を受けて執行猶予が取り消され、起こした窃盗罪についても実刑判決を受けたという場合には、2回分刑の執行を受けたというカウントになります。

窃盗罪の法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であるのに対し、この常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」となっています。
罰金刑の規定がなく、かつ、懲役刑の下限(最低3年)が決まっているため、単なる窃盗罪よりも常習累犯窃盗罪の方が重く処罰されることとなります。
常習累犯窃盗罪は、窃盗行為等を繰り返す人に対し、より重く処罰しようと規定された犯罪のため、このような形となっているのです。

常習累犯窃盗罪となるほど窃盗行為を繰り返してしまう場合、単に示談等を行うだけではなく、その後再度窃盗行為をしないように再犯防止の取り組みをすることなども重要となってきます。
そうした活動によって、刑罰の減軽や執行猶予を目指していくことが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、常習累犯窃盗事件を含めた窃盗事件についても、刑事事件を多数扱う弁護士がサポートしていきます。
お問い合わせは0120-631-881で受け付けておりますので、まずはお気軽にお電話ください。

« Older Entries Newer Entries »
Copyright(c) 2018 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.