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(データ紹介)窃盗事件と再犯・前科 窃盗罪は繰り返してしまう?
(データ紹介)窃盗事件と再犯・前科 窃盗罪は繰り返してしまう?
今回は、法務省の統計(令和3年犯罪白書:参考)を基に、令和2年に検挙された窃盗事件と、再犯・前科について確認していきます。
~窃盗事件と再犯・前科~
万引きなどの窃盗事件を起こす方の中には、過去にも複数回窃盗事件を起こしている方や、窃盗罪の前科を持っているという方もいらっしゃいます。
法務省の統計(令和3年犯罪白書)によると、令和2年に検挙された窃盗犯7万9,242人のうち、前科がない者が71.9%に対し、窃盗犯以外の前科がある者が7.9%、窃盗犯による前科(同一罪名による前科)のある者が17.1%、窃盗犯による前科(同一罪名による前科)が5犯以上の者が3%となっています。
この数字を見ると、「意外と再犯率が高くない」と思われるかもしれませんが、窃盗罪は、他の刑法犯と比較して、同一罪名による前科をもつ者の再犯が多い傾向にあります。
例えば、窃盗罪と同じ財産犯である詐欺罪について確認してみると、令和2年に詐欺罪で検挙された者のうち、詐欺罪以外の前科がある者が23.2%、同一罪名による前科のある者が11.5%、同一罪名による前科が5犯以上ある者が2%となっています。
さらに、窃盗罪同様に身近な犯罪でもある傷害罪・暴行罪について確認してみると、令和2年に傷害罪・暴行罪で検挙された者のうち、傷害罪・暴行罪以外の前科がある者が14.5%、同一罪名による前科がある者は10.7%、同一罪名による前科が5犯以上ある者は0.6%となっています。
令和3年犯罪白書によると、刑法犯で検挙された人のうち、同一罪名での前科がある人の割合がそれ以外の前科のある人よりも高かったのは、窃盗罪のみとなっていました。
こうして他の犯罪と比較してみると、窃盗罪で検挙された過去に前科がある人のうち、過去に同じく窃盗罪を犯したことによる前科のある人の割合が高いということが分かります。
また、同じく令和3年犯罪白書では、令和2年に窃盗罪で起訴された者のうち、前科を有していた者が50%を超えているという統計も出ています。
このように、窃盗事件では、「以前も窃盗罪を犯したことがある」「窃盗罪で前科がある」という人が、他の犯罪を比較して多い傾向にあります。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法第235条)です。
金額の低い万引きだったとしても、窃盗罪で検挙されることを何回か繰り返すごとに、当然下される刑罰は重くなっていきます。
最初はお詫びや弁償をして注意されて済んでいたとしても、回数を繰り返せば罰金刑を下されることになりますし、さらに繰り返せば起訴されて裁判を受けることや、刑務所へ行くことにもなります。
窃盗事件を起こしてしまった際には、刑事事件自体への対応も必要になってきますが、その後の再犯防止についても真摯に考え取り組んでいくことが求められます。
そのためにも、まずは刑事事件に精通した弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、万引きを含む窃盗事件についてのご相談・ご依頼も承っています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
(事例紹介)無人販売所での窃盗事件
(事例紹介)無人販売所での窃盗事件
~事例~
兵庫県尼崎市にある無人販売所で、餃子など大量の商品を盗む男の犯行を防犯カメラが捉えていました。店側は被害届を提出し、警察が窃盗事件として調べています。
無人販売所の店内にある防犯カメラの映像では、11月2日に店に訪れた男がキムチ1袋を手に取り集金箱へ向かう様子が映っています。男は小銭を入れるそぶりを見せますが…、料金を支払っていないように見えます。その後、再び冷凍庫の前に戻りレジ袋に次々と餃子や精肉など4000円相当を入れていきます。そして今度は集金箱に立ち寄ることさえせずに立ち去りました。
同じ人物と思われる男は2日間で4回店を訪れましたが、いずれも支払いをせずに商品を持ち帰ったということです。被害額は3万5000円相当だとということです。
(後略)
(※2022年11月9日12:10MBS NEWS配信記事より引用)
~無人販売所と窃盗罪~
昨今、コロナ禍の影響もあってか、今回の事例に登場するような、食品などの無人販売所が増えてきています。
無人販売所では、それぞれ物を購入するシステムや手順が異なり、事例に登場した無人販売所のように、店内にある集金箱に客が自分で料金を入れて商品を持って行くものから、店内のタブレット端末やPC端末などによってキャッシュレス決済をするというもの、商品についているQRコードやバーコードなどを客のスマホやタブレットで読み込んで事後的に決済を行うものなど様々です。
この記事を読まれている方の中にも、こういった無人販売所を利用したことのある方がいらっしゃるかもしれません。
この無人販売所は、文字通り店員がおらず、先ほど触れたような手法で客自身が料金の支払い手続きなどを全て行うことになります。
人の目がないということもあってか、今回取り上げたような窃盗事件が起こってしまうこともしばしばあるようです。
当然、店の商品を料金を支払わずに持ち出すことは刑法の窃盗罪に当たる行為です。
刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
無人販売所は店の者がいないため、そこに置いてある商品は置きっぱなしであるように思えますが、商品は店内に管理されて置いてあることに間違いはありません。
こうしたことから無人販売所に置いてある商品は店の管理下にある物=「他人の財物」であり、それを盗んだ場合には窃盗罪となります。
窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という幅をもった形で設定されており、態様や被害金額などによっては、たとえ初犯であっても起訴され刑事裁判となる可能性もあります。
無人販売所では、窃盗行為防止のために防犯カメラなどを設置しているところも少なくなく、今回の事例も防犯カメラの映像から窃盗行為が発覚し、窃盗事件として警察が捜査する事態となっています。
刑事事件化した段階から早めに弁護士に相談し、見通しや可能な弁護活動について聞いてみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、すでに捜査を受けて警察から呼び出されている方だけでなく、これから刑事事件化が見込まれるという状態の方についてのご相談もお受けしています。
「窃盗行為をしてしまい被害届が出ている」「これから警察の捜査を受ける予定だが不安がある」といった方も、まずはお問い合わせください(0120-631-881)。
(データ紹介)大阪府で多い窃盗事件はどんな事件?
(データ紹介)大阪府で多い窃盗事件はどんな事件?
万引きや置引きなどを含む窃盗事件は私達の生活に近い刑事事件の類であるといえます。
今回は、特に大阪府に注目し、どういった窃盗事件が多く起きているのかといったことを取り上げていきます。
~大阪府での窃盗事件~
そもそも、大阪府ではどれほど刑法犯(刑法に定められている犯罪をした者)が認知・検挙されているのでしょうか。
大阪府警の統計(参考)によると、令和3年に大阪府警によって認知された刑法犯による刑事事件は6万2,690件、そのうち検挙された件数は1万8,547件、検挙された人数は1万3,626人です。
このうち、窃盗罪などの窃盗犯は認知件数が4万5,105件、検挙された件数は1万234件、検挙された人数は6,158人となっています。
つまり、令和3年に大阪府警が認知した刑法犯の件数の7割が窃盗犯であり、検挙されている刑法犯の件数・人員の5割以上が窃盗犯ということになります。
この数字を見ても、窃盗事件が刑事事件の中でも多く発生しているものであり、身近な刑事事件であるということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
では、その窃盗事件のうち、どのような手口のものが多く起こっているのでしょうか。
先ほど挙げた大阪府警の統計によると、令和3年に大阪府警が認知した窃盗事件のうち、侵入盗(住居や店舗などに侵入して窃盗行為をする手口)が1,498件であったのに対し、非侵入盗は4万3,607件でした。
非侵入盗の内訳は、自転車盗が1万7,078件、次いで万引きが6,351件、3番目が車上ねらいで3,509件でした。
窃盗事件としては、圧倒的に自転車盗や万引きに代表される非侵入盗事件が多いことが分かります。
自転車盗や万引きといった窃盗事件は、生活の傍にある窃盗事件でもあり、想像しやすい刑事事件の1つといえますが、数字上でもそれが表れています。
一方で、このうち検挙された件数を見てみると、侵入盗の検挙件数は858件であるのに対し、非侵入盗の検挙件数は9,376件となっています。
侵入盗事件として認知された窃盗事件のうち5割以上が検挙されている計算となりますが、非侵入盗については、検挙件数が認知された件数の2割程度にとどまります。
統計の数字でしかないため、実際の数字とはずれが生じていることは十分に考えられますが、これを見ると、侵入盗の手口による窃盗事件の方が検挙されやすい傾向にあると考えられます。
侵入盗の場合、住宅や店舗に文字通り侵入していることから、防犯カメラに写っていたり、現場に遺留物があったりすることなどが原因となっているのではないかと予想されます。
罪名としても、侵入盗事件の場合は窃盗罪だけではなく住居侵入罪・建造物侵入罪が成立することが多いですし、場合によっては器物損壊罪や建造物損壊罪も成立するため、侵入盗の窃盗事件の方が重く処罰されやすい傾向にあります。
窃盗事件と一口に言っても、手口は様々ですし、被害金額も様々です。
侵入盗による窃盗事件のように、窃盗罪以外の犯罪が成立する可能性の高い手口もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした多種多様な窃盗事件にも、刑事事件を数多く取り扱う弁護士が対応いたします。
大阪府はもちろん、全国各地に支部がございますので、窃盗事件にお困りの際は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
(事例紹介)和歌山県 車上ねらいの窃盗事件で書類送検された事例
(事例紹介)和歌山県 車上ねらいの窃盗事件で書類送検された事例
~事例~
今年6月頃から8月頃にかけて、和歌山市や岩出市などの駐車場にとまっている車の中から現金およそ8万円のほか、鞄や靴など合わせておよそ200点、およそ51万円相当の窃盗を繰り返していたとして、和歌山東警察署は、今日までに和歌山市の会社員の男を12件の窃盗の疑いで送検し、捜査を終結しました。
(中略)被告は、今年6月頃から8月頃までの間に、和歌山市や岩出市、紀の川市、海南市の集合住宅の駐車場などにとまっていた車12台の車内から、現金およそ8万円のほか、鞄や靴など203点、およそ51万円相当を盗んだ疑いです。
(後略)
(※2022年10月19日18:00テレビ和歌山配信記事より引用)
~窃盗事件と車上ねらい~
今回取り上げた報道では、車上ねらいによる窃盗事件の容疑者が検挙され書類送検をされたと報道されています。
車上ねらいとは、文字通り、自動車等に積んである金品をねらって盗むという、窃盗行為の手口の1つです。
法務省の統計(令和3年版犯罪白書:参考)によると、令和2年に検挙された刑法犯18万2,582人のうち、窃盗犯は8万8,464人であり、検挙された刑法犯全体の5割弱を窃盗罪が占めているという結果になっています。
また、令和2年の刑法犯の認知件数が61万4,231件であるのに対し、窃盗犯の認知件数は41万7,291件となっており、認知件数については窃盗事件が7割弱を占めるという統計が出ています。
このことから、そもそも年間で起こる刑事事件のうち、窃盗事件が占める割合がかなり多いということが分かります。
その窃盗事件のうち、非侵入盗(住居や店などに侵入せずに窃盗をはたらく手口の窃盗)で代表的ものが万引きですが、非侵入盗で万引きに次いで件数が多いのがこの車上ねらいです。
令和3年版犯罪白書によると、令和2年に認知された窃盗事件のうち、20.9%が万引きであり、車上ねらい・部品ねらいが9.9%だったそうです。
そして、検挙された窃盗事件のうち、36.7%が万引き、車上ねらい・部品ねらいが7.3%となっています。
万引きに比べると聞き馴染みがないかもしれませんが、車上ねらいによる窃盗事件が1年間で認知されている窃盗事件の10%程度を占めており、検挙されている窃盗事件でも全体の7%程度が車上ねらいであることから、車上ねらいは身近な犯罪であることが分かります。
こうした車上ねらいの窃盗事件では、単に自動車の積み荷を盗むことによる窃盗罪だけでなく、自動車の中に入るために鍵やガラスを壊すことによる器物損壊罪が成立していることもあります。
こうした事情もあり、車上ねらいは悪質性が高いと考えられることも少なくありません。
早い段階から弁護士のサポートを受け、取調べや被害者への対応を行っていくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、車上ねらいなどの窃盗事件についても、ご相談・ご依頼を受け付けています。
0120-631-881では、専門スタッフがご相談者様のご状況に合わせたサービスをご案内しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
【事例紹介】公務員が窃盗罪の容疑で逮捕された事例
【事例紹介】公務員が窃盗罪の容疑で逮捕された事例
公務員の男性が窃盗罪の容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
京都府警下鴨署は16日、窃盗の疑いで、宇治市六地蔵町並、京都地方税機構職員の男(28)を逮捕した。
逮捕容疑は同日午後5時40分ごろ、京都市左京区のホテルのイベント会場で、自営業男性(50)のズボンのポケットから現金4万2千円などが入った財布を盗んだ疑い。
(中略)財布を盗まれたことに気づいた男性が容疑者を取り押さえた。
容疑者は容疑を否認しているという。
(後略)
(10月17日 京都新聞 「ホテルで男性のズボンのポケットから財布盗んだ疑い 公務員の男逮捕」より引用)
窃盗罪
窃盗罪を簡単に説明すると、人が持っているものを、その人の同意を得ずに自分(もしくは他の人)のものにすると適用される罪です。
今回の事例では、容疑者が男性のズボンのポケットから現金の入った財布を盗んだと報道されています。
報道によれば、被害男性が容疑者を取り押さえており、容疑者は男性の同意を得ずにズボンから財布をとった(自分のものにした)とされているようです。
ですので、この報道が事実であった場合、容疑者は窃盗罪に問われることになります。
窃盗罪の量刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。(刑法第235条)
すなわち、窃盗罪で有罪となった場合には、懲役刑か罰金刑を受けることになります(それらに執行猶予がつく可能性もあります。)。
懲役刑ではなく罰金刑であった場合には、正式な刑事裁判を経ずに罰金を支払って刑事事件が終了となる場合もあります(略式手続)。
しかし、こうした罰金刑であっても刑事処罰であることに変わりはありませんから、特に公務員などの身分がある場合には、刑事処罰を受けるということに対して厳しく判断されることが予想され、刑罰を受けた後に何かしらの懲戒処分を受ける可能性があります。
刑事処罰を避けるためには、不起訴処分の獲得に向けた弁護活動が重要になります。
不起訴処分にむけた弁護活動の一例としては、示談交渉が挙げられます。
被害者と示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。
弁護士に弁護を依頼していれば、代理人として弁護士が被害者と交渉を行いますので、被害者と直接やりとりをすることはなく、無用なトラブルを避けやすいといったメリットがあります。
また、一度断られた示談であっても弁護士が改めて交渉を行うことで、示談を締結できるというケースもあります。
今回取り上げた事例では、容疑者が容疑を否認しているので、いわゆる否認事件になります。
否認事件では、逮捕されて捜査を受けることになるケースも少なくなく、、連日長時間にわたっての取調べが予想されます。
長時間の取調べにより体力や精神力が削られるなか、否認を貫き通すということは並大抵のことではないでしょう。
取調べ時において弁護士によるアドバイスがプラスに働く可能性がありますし、接見禁止が付いていたとしても弁護士は接見を行うことができます。
ですので、身に覚えないの疑いをかけられたときは弁護士を付けることが望ましいといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い法律事務所です。
窃盗罪などで見に覚えのない容疑で逮捕・捜査された方、示談の締結や不起訴処分の獲得を目指している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】さい銭泥棒による窃盗罪で逮捕された事例
【事例紹介】さい銭泥棒による窃盗罪で逮捕された事例
さい銭泥棒による窃盗罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
札幌・中央警察署は10日、住所不定・無職の男(41)を窃盗の疑いで逮捕しました。
男は今月7日午前7時ごろから午後10時40分ごろまでの間、札幌市南区定山渓温泉にあるお堂のさい銭箱から現金約3万円を盗んだ疑いが持たれています。
(中略)
調べに対し、男は「間違いありません」と容疑を認めています。
(後略)
(10月11日配信のSTV NEWSの記事より引用)
さい銭泥棒について
さい銭泥棒とは、さい銭箱の中から何らかの方法でさい銭を抜き取り持ち去ることをいいます。
さい銭箱は、現金が入っている可能性が高いにも関わらず、神社やお寺の境内という無防備でひと目につきづらい場所に設置されていることから、窃盗犯人に狙われやすい傾向にあります。
最近では、さい銭泥棒やいたずら対策として、防犯カメラを設置する神社、お寺も増えてきており、その映像から逮捕につながるケースも多いようです。
さい銭泥棒は、さい銭箱を設置している神社等のお金を盗む行為であるため、窃盗罪が成立します。
窃盗罪について
窃盗罪は、刑法235条に定められており、法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と決して軽くはない罪です。
窃盗罪の成立要件としては、
①「他人の財物」を
②「窃取した」こと
③窃盗罪の故意及び不法領得の意思を有すること
です。
①「他人の財物」とは、他人が占有する財物のことをいいます。
占有の有無は、占有の事実と占有の意思の両面から社会通念に従って判断されます。
②窃取とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害し自己または第三者の占有に移転させることをいいます。
③窃盗罪の故意及び不法領得の意思を有することとは、窃盗罪に当たる行為をする際、それぞれ窃盗の故意と不法領得の意思という2つの認識・意思を持っていることと指します。
窃盗罪が成立するためには、行為者が窃盗の故意を有している必要があります。
故意の内容としては、他人の財物を窃取することの認識・認容が必要です。
もっとも、窃盗罪は、毀棄罪や不可罰の使用窃盗と窃盗罪を区別するため、故意に加えて不法領得の意思も必要であるとされています。
不法領得の意思とは、判例によれば「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に、その経済的用法に従いこれを利用し処分する意思」であるとされています。
これを今回の事例に当てはめると、
①さい銭箱に入っているさい銭は、当然神社やお寺の管理下にある神社やお寺の物であり、「他人の財物」です。
②そのさい銭を勝手に持ち去るということは、持ち主である神社やお寺の意思に反してさい銭を自分の物にしてしまうことですから、「窃取」しているといえるでしょう。
③「さい銭を無断で持ち去る」という行為を認識しながら行なったのであれば窃盗の故意がありますし、それは神社やお寺の管理を排除してさい銭を自分のものとして使おうという意思があったのであれば「不法領得の意思」があることにもなります。
という流れになり、窃盗罪の成立が考えられるのです。
窃盗罪に強い弁護士
窃盗事件でお困りの方、窃盗罪で警察の取調べを受けている方は、刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
またご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は、初回接見サービスをご利用ください。
【事例紹介】お店に侵入し建造物侵入罪、窃盗罪で逮捕された事例
【事例紹介】お店に侵入し建造物侵入罪、窃盗罪で逮捕された事例
大津市で起きた建造物侵入、窃盗事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警大津北署は21日、窃盗と建造物侵入の疑いで、兵庫県尼崎市の(中略)男(41)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)大津市内のマリンレジャーショップに侵入し、テラスの机に置いてあった経営者の男性(50)の現金25万円入りの財布やスマートフォンなど計7点を盗んだ疑い。
(9月22日 京都新聞 「マリンレジャーショップに侵入、財布やスマホ窃盗疑い 41歳の男逮捕」より引用 )
建造物侵入罪
刑法では、人が生活をしている建物を住居、人が生活をする用途で建てられたが現在人が住んでいない建物を邸宅、それ以外の建物を建造物として、刑法130条に住居侵入罪・邸宅侵入罪・建造物侵入罪を同時に定めています。
今回の事例の容疑者は、大津市内のマリンレジャーショップの中に侵入したと報道されています。
マリンレジャーショップのようなお店は建物ではありますが、人が住んでいる建物でも人が生活をする目的の建物でもありませんので、「建造物」となるでしょう。
こうしたことから、今回の事例の男性は建造物侵入罪の容疑で逮捕されていると考えられます。
また、建造物侵入罪で有罪になった場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。(刑法第130条)
窃盗罪
大まかに説明すると、人のものをその人の了承を得ずに盗った場合は窃盗罪にあたります。
今回の事例では、机に置いてあった財布などを「盗んだ」と記載されていることから、了承を得ずに人のものを盗ったと考えられているのでしょう。
この報道内容が事実であれば、こうした行為は窃盗罪にあたりますので、今回の事例の男性は、先ほど取り上げた建造物侵入罪に加えて窃盗罪の容疑でも逮捕されています。
この事例の男性が窃盗罪で有罪になった場合には、10年以下の懲役か50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第235条)
建造物侵入罪と窃盗罪で有罪になった場合
今回の事例のように、建造物侵入罪、窃盗罪の両方の罪で有罪になった場合は、どの位の量刑が科されるのでしょうか。
実は、今回の事例のようなケースで建造物侵入罪、窃盗罪どちらも有罪になった場合は、窃盗罪の量刑が科されます。(刑法第54条第1項)
ですので、今回の事例の男性が起訴され有罪になった場合には、10年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第235条)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数々の窃盗事件を解決に導いてきた実績のある法律事務所です。
弊所では逮捕された方のための初回接見サービスや、刑事事件でお困りの方への初回無料法律相談を行っていますので、建造物侵入罪、窃盗罪で逮捕されるなどしてお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(事例紹介)犬を盗んだ窃盗事件で有罪判決
(事例紹介)犬を盗んだ窃盗事件で有罪判決
~事例~
ことし5月、千葉県木更津市の住宅からドーベルマン2頭を盗んだ罪などに問われた動物保護団体のメンバー3人に対し、千葉地方裁判所木更津支部はいずれも執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。
ことし5月、木更津市の住宅からドーベルマン2頭が盗まれた事件では埼玉県にある動物保護団体のメンバーの男女4人が窃盗などの罪に問われ、21日はこのうち(中略)3人に対する判決が千葉地方裁判所木更津支部で言い渡されました。
このなかで谷池厚行裁判官は「被告らはドーベルマンの飼育環境の悪さを指摘しているが、盗んでまで保護したいという動機は独りよがりで許されない。犬を盗み出すために被害者を買い物に連れ出すなど犯行は計画的で悪質だ」と指摘しました。
そのうえで、十分に反省しているなどとして3人に対し、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
(後略)
(※2022年9月21日12:10NHK NEWS WEB配信記事より引用)
~動物を盗むと窃盗罪に?~
今回の事例では、飼われている犬を盗んだとして窃盗罪などに問われた刑事裁判が行われ、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が下されたと報道されています。
今回の事例のように、犬などの動物を連れ去ったというケースにおいては、窃盗罪に問われることが多いです。
刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪では、その客体(盗まれる対象)として「他人の財物」をあげています。
犬などの生きている動物が「財物」とされることに違和感がある方もいらっしゃるかもしれませんが、窃盗罪における「財物」とは、不動産以外の有体物=形のある物を指すと解されています。
この「財物」については、ある程度の財産的価値が必要であるとされていますが、その価値としては、単に「何円相当の物である」という価値以外にも、その持ち主の感情的に価値がある(例えば、思い出の品であるなど)という価値でもよいと考えられています。
法律上、ペットなどとして飼育されている動物は「物」として扱われます。
先ほど触れた通り、窃盗罪の「財物」は不動産以外の有体物を指していますし、飼育されている動物には財産的価値もあると考えられますから、その中にはペットなどとして飼育されている動物も含まれます。
そのため、ペットなどの動物を連れ去り盗むことは、窃盗罪となるのです。
今回取り上げた事例では、飼育されていたドーベルマン2匹を保護の名目で盗んだ窃盗罪などの容疑で刑事裁判となり、有罪判決が下されています。
飼い主の許可を得ずに、犬を連れだす権利もないのに犬を連れ去ってしまえば、窃盗罪となってしまいます。
窃盗事件では、窃盗の被害を受けた被害者が存在します。
起訴前に不起訴を目指す場合でも、起訴された後に執行猶予を獲得したい・刑罰を減軽したいという場合でも、被害者への謝罪が出来ているかどうか、被害弁償ができているかどうかということは重要な事情の1つとなります。
いわゆる示談ができているのかどうかによって、被害回復の程度や被害感情のおさまりの程度が判断されることになります。
しかし、ペットとして飼っている動物を家族のように大切にされている方もいることから、動物を盗んだ窃盗事件では単なる物を盗んだ窃盗事件よりも被害感情が苛烈になることが予想されます。
当事者同士での話合いでは、余計に溝が深まってしまうリスクも考えられますし、そもそも直接のやり取りを拒否されてしまうということも考えられます。
こうした場合に、第三者かつ専門家である弁護士を介入させて話し合いを行うことで、お互いにとって適切に、スムーズに話し合いを行うことが期待できます。
窃盗事件と一口に言っても、その態様や被害品まで、その種類は多種多様です。
細かな事情1つで見通しや適切な対応が変わり得る刑事事件だからこそ、早い段階から弁護士に相談・依頼し、適切な対応ができるようにしておくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、窃盗事件を含めた刑事事件全般を取扱っています。
まずは0120-631-881までお問い合わせください。
(事例紹介)漁協によるカツオの窃盗事件で有罪判決
(事例紹介)漁協によるカツオの窃盗事件で有罪判決
~事例~
カツオの一連の窃盗事件のうち、おととし8月に焼津市の水産加工会社の元社長らとともにカツオおよそ930キロを盗んだ罪に問われた焼津漁業協同組合の職員に対し、静岡地方裁判所は「立場を悪用して職場内で半ば堂々と行われた大胆かつ計画的な犯行だ」として執行猶予のついた懲役1年6か月の有罪判決を言い渡しました。
焼津漁協で魚の計量を担当していた外港売場の係員、(中略)被告(32)は、おととし8月に焼津市の水産加工会社の元社長らとともに冷凍カツオおよそ930キロ、およそ13万円分を計量せずにトラックに積み込み盗んだとして窃盗の罪に問われました。
12日の判決で静岡地方裁判所の國井恒志裁判長は「立場を悪用して職場内で半ば堂々と行われた大胆かつ計画的な犯行だ。計量証明書を発行する機械を不正に操作するなど犯行に必要不可欠な役割を果たしたといえる」と指摘しました。
その上で、「報酬目的で犯行に加担し、魚市場に対する社会の信頼を傷つけるものであり、厳しい非難を免れない」として懲役1年6か月、執行猶予3年を言い渡しました。
(後略)
(※2022年9月12日18:16NHK NEWS WEB配信記事より引用)
・漁協によるカツオ窃盗事件
今回取り上げた事例は、焼津漁港で水揚げされたカツオを、漁協の職員らが盗んでいたという窃盗事件で、関係者で初めて判決が出た事例です。
この漁協による窃盗事件は、発覚した当初から報道され、世間の注目を集めていました。
今回取り上げた事例の被告人は、水揚げされたカツオを軽量せずにトラックに積み込んで盗んだという窃盗罪の容疑で起訴されていました。
通常、水揚げされた冷凍カツオを業者が競り落とし、その後に漁協がカツオを計量所で計量して冷凍庫へ入庫させるという流れのところ、このカツオ窃盗事件では、その計量所を通らずに一部のカツオをトラックに積み込み水産加工会社に横流ししたということのようです。
窃盗罪では、「他人の」「財物を」「窃取」することがその成立条件となっています。
刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の条文にこのカツオ窃盗事件を当てはめてみましょう。
まず、水揚げされ業者に競り落とされたカツオは、当然競り落とした業者のものですから、「他人の」ものといえます。
カツオは漁港で売買されている対象の物であり、カツオには財産的価値があると考えられますから、「財物」でもあります。
そうした「他人の財物」であるカツオを、その持ち主=業者の了解を得ずにトラックに積み込み別の業者に横流しをすることは、カツオを支配管理する権限を勝手に自分たちの手元に置き、かつカツオの持ち主でなければできないような処分をしている=「窃取」していることになります。
こうしたことから、このカツオの横流しは窃盗罪に当たると判断されたのでしょう。
今回のカツオ窃盗事件は、複数人が共謀して起こしている事件でもあるため、どういった立場でどのような役割を果たしたかということも刑罰の重さに関係してくるでしょう。
そういった事情を考慮しなければ、最終的な処分についての見通しを立てることも難しいですから、事件の当事者となった段階で、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、様々な態様の窃盗事件について、ご相談・ご依頼を承っています。
窃盗事件にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
【事例紹介】京都府・大阪府の空き巣事件で逮捕&追送検
【事例紹介】京都府・大阪府の空き巣事件で逮捕&追送検
事例
京都府や大阪府などで空き巣を繰り返していたとして、京都府警舞鶴署などは12日、住居侵入と窃盗の疑いで、大阪府摂津市、元海上自衛官の被告(26)=窃盗罪などで起訴=ら21~28歳の男女6人を逮捕、追送検し、計8件(約300万円)の被害を裏付けたと発表した。
逮捕、追送検容疑は、昨年9月から今年1月まで京都、大阪、兵庫、東京の4都府県で知人宅などに侵入し、腕時計やバッグ、ゲーム機、現金67万円などを盗んだ疑い。(後略)
(9月12日 京都新聞 「元自衛官ら20代男女6人、京都や大阪などで空き巣繰り返す 容疑で逮捕・追送検」より引用)
空き巣
空き巣とは、住人の不在時を狙って人が住む家に侵入し、現金などを盗み取る行為をいいます。
今回の事例では、自衛官らが空き巣により、住居侵入罪、窃盗罪の容疑で逮捕されています。
なぜ空き巣をすると住居侵入罪、窃盗罪の容疑で逮捕、捜査されるのでしょうか。
今回のコラムでは住居侵入罪、窃盗罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
住居侵入罪
まず初めに住居侵入罪について簡単に解説していきます。
住居に正当な理由がなく侵入した場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。(刑法第130条)
刑法第130条が規定する住居とは、人が日常生活を行う場所のことを指します。
一時的な使用であっても、日常生活を行っている場所であれば住居にあたるので、ホテルの部屋なども住居になります。
空き巣犯は現金などを盗むために、人が住む家に侵入します。
人が住む家なので、当然その家では日常生活が行われていることになります。
日常生活が行われている場所は住居にあたりますので、空き巣を行った場合は住居侵入罪が適用されます。
では、空き巣犯が空き家を住居だと誤信して侵入した場合は住居侵入罪にあたるのでしょうか。
実は、空き家や現在使用していない別荘などは刑法第130条の「邸宅」にあたります。
ですので、空き巣犯が住居だと誤信して空き家に侵入場合は、住居侵入罪ではなく邸宅侵入罪が成立します。
住居侵入罪、邸宅侵入罪どちらであっても、有罪になった場合は刑法第130条が適用されます。
今回の事例では、知人の家に侵入しています。
人が住む家は住居にあたりますので、今回の事例の容疑者は住居侵入罪の容疑で逮捕されています。
窃盗罪
次に窃盗罪について簡単に解説していきます。
他人の意思に反して他人が所有している財物を盗った場合は、窃盗罪が成立します。
刑法第235条の「財物」は、現金や貴金属、服飾品などをいいます。
また、窃盗罪で有罪になった場合には10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第235条)
空き巣は住人がいない間に家に侵入し、現金などの財物を盗み出します。
当然、財物を盗み出す行為に対して、その財物の所有者から承諾を得ていないでしょうから、空き巣犯が財物を盗み出す行為は相手の意思に反していることになります。
窃盗罪は、他人の意思に反して財物を盗んだ場合に適用されますので、空き巣を行った場合には窃盗罪が適用されることになります。
今回の事例では現金やバッグなどの服飾品、ゲーム機などを盗んでいます。
現金やバッグ、時計はもちろんのこと、ゲーム機も財物に含まれます。
今回の事例の容疑者は空き巣により財物を盗み取っていますので、窃盗罪が適用されています。
空き巣事件の裁判例
住居侵入罪や窃盗罪には懲役刑が設けられていますが、空き巣を行って懲役刑が科されることはあるのでしょうか。
実際に空き巣で裁判になった例をご紹介します。
(ご紹介している事例とこれからご紹介する裁判例は、事件内容や被害総額は異なります。)
その裁判の被告人は、4カ所のマンションで空き巣を繰り返し、現金約19万円や貴金属60点(時価930万円)などを盗みました。
裁判の結果、被告人に懲役2年4月が言い渡されました。
(2014年9月27日 神奈川新聞 「マンション集合ポストから鍵盗み空き巣 女に実刑判決」より)
空き巣事件を起こした件数や被害金額、前科前歴の有無などによって異なりますが、空き巣のような侵入等事件では、その悪質性を考慮され、単なる窃盗事件(万引き事件など)と比較して起訴され刑事裁判となる可能性が高いと考えられます。
ご紹介した裁判例のように、実刑判決が下る可能性も十分考えられます。
だからこそ、早い段階から弁護士のフォローを受けて、執行猶予の獲得や刑罰の減軽を求める活動をすべきといえます。
空き巣や住居侵入罪、窃盗罪でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。