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バイク窃盗事件における示談の重要性
今回は、バイクを窃取した疑いで逮捕されてしまった場合において、被害者と示談を成立させることの重要性につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、Vが駐車していたバイクを窃取し、乗り回していたところを警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
バイクがAさんのものではないことが判明したため、Aさんは●署に任意同行し、取調べを受けることになりました。
AさんがVからバイクを窃取したことを認めたため、Aさんはのちに窃盗の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~窃盗罪について解説~
窃盗罪は、他人の財物を窃取する犯罪であり、法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています(刑法第235条)。
窃盗罪が成立するには、財物が「他人の占有」下にあり、その占有を移転し、取得することが必要です。
「占有」とは、財物に対する事実的支配を意味します。
他人が携行しているバッグ、他人が住居において保管している物については、当然に「占有
」が認められるでしょう。
もちろん、駐車場にとめてある他人のバイクについても、「占有」が認められる可能性が高いです。
AさんはVが駐車場にとめているバイクを盗み、乗り回していたとのことですが、前記事実関係によればAさんに窃盗罪が成立する可能性は高いでしょう。
~捜査は今後どのように進む?~
逮捕されてしまった場合は、警察署に引致され、取調べを受けることになります。
留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内にAさんの身柄が検察に送致されます。
送致を受けた検察官においても取調べがなされます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。
(勾留請求後)
勾留請求に対し、勾留の可否を決定するのは裁判官です。
勾留決定が出されると、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められるときは、最長10日間、勾留延長がなされます。
(起訴、不起訴の別の判断)
検察官は勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、または処分を保留して釈放するかを決めます。
起訴されてしまった場合には、極めて高い確率で有罪判決を受け、前科がついてしまうことになります。
前科がついた場合の不利益として、①取得を目指していた資格が取得できなくなること、②目指していた職業に就けなくなること(前科があると就職できなくなる可能性のある職業は多数あります)、③就職、転職の際、不利に考慮される可能性が極めて高いことなどが挙げられます。
各人の生活スタイルによって前科が及ぼす悪影響はさまざまですが、いずれにしても前科があって得をすることは通常考えられません。
そのため、ケースの場合は前科がつかないようにする弁護活動が重要といえます。
特に、Aさんが盗んだバイクが高価な高級車であれば、懲役刑を言い渡される可能性はもちろん、実刑判決を受けることになる可能性もあります。
~早期に弁護活動に着手し、示談の成立を目指す~
ところで、検察官はAさんの有罪を立証できる証拠を有している場合であっても、Aさんの性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、不起訴処分(起訴猶予処分)を行うことができます(刑事訴訟法第248条)。
上記の起訴猶予処分を獲得するために、Vに対して十分な謝罪を行い、生じさせた損害を賠償して示談を成立させることが考えられます。
さらに、Aさんに対して寛大な処分を望む旨の条項(宥恕条項)を示談書に入れてもらうことができれば、Aさんにとってより有利な示談となります。
不起訴処分を獲得できれば裁判にかけられないので、有罪判決を受けることも、前科がつくこともありません。
しかしながら、愛用のバイクをAさんに盗まれ、勝手に乗り回されていたVとしては、Aさんに対して怒り心頭である可能性も当然考えられます。
Vと充実した示談交渉を行うためには、早期に弁護士を依頼し、十分な時間をかける必要があるでしょう。
バイク窃盗の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、善後策についてアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がバイクを窃取した疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
最初の執行猶予と再度の執行猶予
最初の執行猶予と再度の執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは万引き(窃盗罪)での執行猶予期間中に再び万引きしたとして窃盗罪で逮捕されてしまいました。Aさんは再度の執行猶予を受けることはできないか弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
~最初の執行猶予~
刑の執行猶予とは、有罪判決をして刑を言い渡すに当たって、情状により、その執行を一定期間猶予し、その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。刑の執行猶予には、大きく分けて「刑の全部の執行猶予の制度」と「刑の一部の執行猶予の制度」の2種類があり、前者はさらに、「最初の執行猶予の制度」と「再度の執行猶予の制度」の2種類に分けられます。
最初の執行猶予(付き判決)を受けるための要件は,刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり,最初の執行猶予(付き判決)を受けるには
① 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
② 上記1号,あるいは2号に該当すること
③ (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
~再度の執行猶予~
再度の執行猶予とは、文字通り、再び執行猶予付き判決が下されることをいいます。
再度の執行猶予は最初の執行猶予よりも認められる条件が厳しくなっており、
①前に禁錮以上の刑に処せられて執行猶予中の者であること
②1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けること
③情状に特に酌量すべきものがあること
④最初の執行猶予判決に保護観察がつけられていないこと
となっています。
ただし、再度の執行猶予は認められづらいのが現状です。
というのも、まず1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受ける犯罪が多くないからです。
また、仮に1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたとしても、情状事情が特に斟酌されるものでならず、その判断は相当厳格に行われることになります。
しかし、端から諦めてしまうのではなく、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
万引きでは被害弁償、示談はもちろん、窃盗症を専門とする治療機関に継続的に通院する、家族などの指導・監督を受けるなどして更生可能性、再犯可能性を裁判官にアピールできれば再度の執行猶予獲得を獲得する可能性を高めることは可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
クレプトマニアと窃盗症
クレプトマニアと窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
A子さんは、千葉市内にあるスーパーマーケットで食料品等10点を万引きしたところを保安員に見つかり現行犯逮捕されました。実は、A子さんは、同じ万引きの窃盗前科を複数有してます。今後について不安になったA子さんと母親は弁護士に相談したところ、弁護士はクレプトマニアではないかと疑いはじめました。
~万引きは窃盗罪~
万引きは刑法の窃盗罪に当たります。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
万引きであっても初犯であるなど要件を満たせば微罪処分で刑事手続が終了する場合もあります。
しかし、2度目,3度目と万引きを繰り返した場合は、もはや微罪処分で終わることはないでしょう。
始めは罰金刑で済むこともあるかもしれませんが、それでも万引きを繰り返す場合は懲役刑を科され最悪の場合実刑となることもあります。
運よく執行猶予が付いた場合でも、その執行猶予期間中に再度万引き等の犯罪を犯せば、言渡された刑と執行を猶予された刑とを併せて服役しなければならなくなる場合もあります。
~クレプトマニア(窃盗症)とは~
クレプトマニア(窃盗症)とは、お金があるにもかかわらず、欲しくもない物を盗んでしまう病的な症状のこといい、一種の病的窃盗と呼ばれる精神疾患の一つです。
クレプトマニア(窃盗症)であると疑われる方の多くが、摂食障害(特に過食症)、物質使用障害、気分障害、不安障害(特に強迫性障害)などの精神障害を併合しているともいわれており、なかでも摂食障害は窃盗癖を合併しやすいといわれています。
厚労省研究班の調査では、摂食障害で治療を受けている患者数は、推計約2万5500人で、その9割が女性です。
摂食障害の大半は若年で発症し、栄養不足による判断力の低下や過食衝動、依存癖などを背景に、万引き行為を繰り返してしまうのは、摂食障害の典型的症状といわれています。
今回の事例のAさんのようにプロアスリートなど、厳しい体重制限を強いられるような方も摂食障害になってしまうことが多いようです。
そして、摂食障害が改善されないまま、摂食障害の影響から窃盗癖を患ってしまうということも考えられるのです。
クレプトマニア(窃盗症)であると診断された場合、刑務所等で行われる矯正処遇だけでは、再犯を防ぐことは難しいため、適切な治療を受けていくことが欠かせません。
近年のクレプトマニア(窃盗症)に対する関心の高まりから、クレプトマニア(窃盗症)を専門に治療する病院や患者同士の自助団体が増えています。
窃盗事件の再犯を防止するという観点から、クレプトマニア(窃盗症)と診断を受けた場合には、専門施設で治療することをおすすめします。
また、再犯防止に努めていくということは、刑を軽減してもらいたい場合などにおいて、裁判所に主張する情状として有益なものになり得ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件などの刑事事件専門の法律事務所です。窃盗を繰り返してしまうものの自分ではどうしていいのか分からないとお悩みの方、窃盗で逮捕されてしまったが再犯防止して更生したいとお考えの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
常習累犯窃盗と保釈
常習累犯窃盗と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
神戸市内にに住むAさんは、スーパーで万引きしたとしてに窃盗罪で逮捕されました。その後、Aさんは過去10年以内に窃盗の実刑前科を3回有していたことから常習累犯窃盗罪で起訴されてしまいました。Aさんの身元引受人だったBさんは、Aさんのために保釈してやろうと思い、弁護士に保釈請求を依頼しました。
(フィクションです)
~常習累犯窃盗罪~
常習累犯窃盗罪は、万引きなどの窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。
法律3条の規定は以下のとおりです(ひらがな部分は実際はカタカナです)。
常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る
この規定を分解すると、
1 前条に掲げたる刑法各条の罪(刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗))の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
2 1記載の犯罪を常習として犯したこと
3 1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
4 3が、行為前の10年以内に3回以上あること
となります。
常習累犯窃盗罪の法定刑について、法律3条では「前条の例に依る」とされています。そこで前条、すなわち法律2条を見ると、法律2条では「窃盗を以て論ずべきときは3年以上の有期懲役に処す」とされていますから、常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役ということになります。
執行猶予付きの判決を受けるためには、「懲役3年以下」の判決の言い渡しを受けることが必要ですから、常習累犯窃盗罪で有罪となると、基本的に実刑を覚悟しなければなりません。
~保釈とは~
保釈とは被告人(裁判にかけられた人)が保釈金を納付して釈放されることをいいます。
司法の世界では、裁判で有罪が確定するまでは無罪が推定される建前なので、逃亡や証拠隠滅などのおそれがない場合には、出来るだけ一般の方と同じように扱うという趣旨の制度です。
保釈のためには裁判官(第1回公判後は裁判所)に保釈請求する必要があり、裁判官や裁判所が許可すれば、保釈金納付後に釈放されます。
犯罪をして逮捕されると、その後の勾留と呼ばれる期間と合わせて最大23日間身体拘束され、その後に裁判にかけられる(起訴される)流れになりますが、保釈請求は起訴された後にしか行うことができません。
保釈が許可され釈放となれば、本人様はもちろんそのご家族様の肉体的・精神的負担の軽減,生活の立て直しにもつながります。また,身柄を拘束されているときよりも,裁判に向けて再発防止のための具体的行動を取りやすくなる、弁護士と綿密に打ち合わせを行うことができるというメリットがあります。ただし、保釈には多額のお金が必要となる(※お金をご準備できない方は,日本保釈支援協会が行う保釈保証金立替システムのご利用もご検討いただけます)こと、請求が許可されても様々な条件が課されること,条件を守らなければ保釈保証金は没収され再び収容されることなども頭に入れておかないといけません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
窃盗罪と建造物侵入罪
窃盗罪と建造物侵入罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは宮城県内の事務所に侵入したのち、レジや金庫内から現金約10万円を窃取したとして窃盗罪と建造物侵入罪の容疑で逮捕されました。Aさんの家族は弁護士にAさんとの接見を要請しましたが、Aさんが刑務所に入ることになるのではないかと不安になっています。
(フィクションです。)
~窃盗罪と建造物侵入罪~
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
次に、建造物侵入罪は刑法130条前段に規定されています。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
建造物侵入罪は「正当な理由がなく」、「人の看守する建造物」に「侵入」した場合に成立する罪です。
事務所は「建造物」に当たります。「侵入」とは、看守者の意思に反した立ち入りのことをいいます。そして、事務所の看守者は事務所の管理人であることが多いかと思います。そして、事務所に無断で立ち入る行為は、管理人の意思に反した立ち入り、といえ「侵入」したことに当たるでしょう。
~牽連犯~
窃盗罪と建造物侵入宇t美とは、窃盗という目的を達成する手段として住居侵入するというように、目的と手段の関係にあります。このような関係にある犯罪を「牽連犯」といい、科刑上一罪となります。科刑上一罪となると、複数の犯罪のうち、最も重い刑で処断されることになります。
建造物侵入罪と窃盗罪とでは窃盗罪のほうが重い犯罪ですので、窃盗罪の法定刑である10年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑で処断されます。
~Aさんの執行猶予の可能性は?~
執行猶予とは、その罪で有罪ではあるが、言い渡された刑(懲役刑、罰金刑)の執行を一定期間猶予する(見送る)ことをいいます。
執行猶予を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり、執行猶予を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
執行猶予を獲得するには、3の情状をいかに裁判でアピールするかがポイントとなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
事後強盗と逮捕
事後強盗で逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します
Aさん(69歳)は、コンビニエンスストアで菓子パン1個(時価108円相当)を万引きしました。ところが、Aさんは、店外の駐車場に出たところで店員Vさんに「万引きしたでしょ」と声をかけられましたが、Vさんの右頬を右拳で1発殴ってその場から逃げました。後日、防犯ビデオ映像などからAさんの犯行であることが判明し、Aさんは事後強盗罪で逮捕されました。
~事後強盗罪~
事後強盗罪とは、窃盗犯人が、手に入れた物の取返しや逮捕などを免れるため、追跡してきた人に暴行・脅迫を加えたことで成立する犯罪で強盗罪の一種です。
万引きならば窃盗罪として10年以下の懲役ですが、事後強盗罪は5年以上の有期懲役と窃盗罪よりも格段に刑が重くなります。
事後強盗罪は、強盗罪の一種ですから、暴行・脅迫は追跡者、逮捕者の反抗を抑圧するに足りる程度のものでなければならないとされています。また、判例は暴行・脅迫は「窃盗の現場」、又は少なくとも「窃盗の機会の継続中」になされることを要するとしています(最決昭和33年10月31日等)。ちなみに、Aさんが暴行を加えた場所はコンビニの駐車場ですが、店の一部であることなどから「窃盗の現場」と言えることは明らかでしょう。
~逮捕後の流れ~
警察に逮捕されると、被疑者(Aさん)は警察署内の留置場に収容されます。
この間、ご家族は被疑者と面会はできないと考えた方がよいです。
他方、弁護士は、いつでも逮捕された方と面会(接見)できます。
また、この段階で、警察に対し被疑者を釈放するよう働きかけることができます。
しかし、それでも検察官へ身柄を送致されることがあります。
検察官へ身柄を送致される手続がとられると、被疑者は検察庁へ連れていかれることになります。
そして、検察庁で、検察官の弁解録取をいう手続きを受けます。
検察官が勾留が必要だと判断して勾留請求した場合は、その日、あるいは翌日に、今度は裁判所で裁判官による勾留質問の手続を受けます。
なお、ここでも、弁護士は検察庁においても被疑者と面会(接見)することができますし、検察官に対し、被疑者を釈放するよう働きかけることができます。
検察官に勾留請求された場合、裁判官の勾留質問の手続に移行します。
検察官の弁解録取の手続を受けた日に勾留質問がある場合は、被疑者は検察庁から直接裁判所へ連れていかれることになると思います。
他方、翌日に勾留質問がある場合は、いったん検察庁から留置場に戻り、翌日裁判所へ連れていかれることになります。
弁護人は、この段階でも、裁判官に対して被疑者を釈放するよう働きかけることができます。
~事後強盗罪(強盗罪)と刑事弁護~
強盗罪は財産犯の一部ですから、被害や被害額はどれほどだったのか、それに対して被害弁償、慰謝の措置は取れているのかがまず重要視されるものと思われます。
ですから、刑事弁護としては、まず、逮捕された方からじっくりと話しを聴き、事実を認めるのであれば被害弁償、慰謝の措置に向けた行動をとる必要があります。
また、強盗とはいえ、本質は万引きです。
万引きは再犯のおそれが高い犯罪だと言われていますから、被害弁償、慰謝の措置と同時に、再犯防止に向けた具体策を決め、その結果を検察官や裁判官にアピールしていかなければなりません
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
万引き、強盗などの刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
窃盗と示談
窃盗と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさん(21歳)は、駅前の駐輪場脇で無施錠の自転車を見つけました。Aさんは、10分くらい借りるくらいいいだろうと思い、この自転車に乗りました。その途中、あさんは職務質問を受け、自転車の窃盗容疑で警察官に逮捕されました。Aさんは自転車を盗むつもりはなかったことから、弁護士へ相談しました。
(フィクションです。)
~自転車の窃盗罪~
窃盗罪に問われる場合は、「不法領得の意思」をもって、他人の財物を盗った場合です。
他人の自転車を持ち去ったという場合でも不法領得の意思が認められなければ、窃盗罪の成立は認められません。
ただし、不法領得の意思がどういうものであるかは、色々と考え方が分かれるところです。
その中でも、
・本来の持ち主を排除して、盗んだ物の本当の持ち主であるかのように振る舞う意思
・盗んだ物をその物の経済的用法に従い、これを利用したり処分したりする意思
の両方を含むものが不法領得の意思と考えるのが一般的です。
他人の自転車を、自転車の持ち主の承諾を得ずに借りて乗る行為(一時使用)は、自転車を乗って使用しているので、経済的用法に従い利用したと認めることができます。
また、盗んだ物をその物の経済的用法に従い、これを利用したり処分したりする意思は当然認められます。
そして、自転車を一時的に借りるだけのつもりであても、自分の目的地まで乗って行くだけ、つまり、乗り捨ての意思であれば、放棄という処分をする意思が認められます。
すると、本来の持ち主を排除して、盗んだ物の本当の持ち主であるかのように振る舞う意思が認められます。
しかし、自転車を非常に短時間借りて乗り、元の場所へ戻した場合は、本来の持ち主を排除して、盗んだ物の本当の持ち主であるかのように振る舞う意思が認められない場合もあります。
この場合は、いくら人の自転車を乗っていったとしても、窃盗罪が成立するとは言えないことになります。
~示談~
いずれにしても窃盗事件では示談で解決するという方法があります。
検察官は、窃盗事件の被疑者を起訴するか否か決めるに当たり、示談の成否を非常に重視しています。
そのため、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高まります。
示談交渉は、加害者が自分の力で行うことも不可能ではありません。
しかし、一般的に、被害者は加害者に対し処罰感情を抱いていることが少なくありませんし、加害者に対し連絡先等を教えたくないという被害者の方も多いです。
また、上記のケースのように示談すべき被害者が複数存在する場合、迅速に示談を勧めることは更に難しくなります。
この点、弁護士が加害者の代理人として示談交渉をすることで、被害者も安心して示談交渉に応じてくれ、迅速な示談締結に繋がる可能性が高まります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
置き引きと執行猶予
置引きと執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
大学生のAさん(20歳)は、ATM機でお金を引き出そうとしたところ、ATM機横に財布が置かれてあるのを見つけました。Aさんはそれを手に取って中身を見ると、財布の中には1万円札1枚が入っているのを確認しました。Aさんは、普段お金に足りないことに不満を抱いていたことから、「自分のものにしてしまえ」と思って財布の中から1万円札を抜き取りました。その後、ATM機の上に財布を置き忘れたことに気づいたVさんが、その約5分後ATM機の元へ戻ってきました。Vさんは、財布は無事手に戻すことができたものの、1万円札を抜き取られたことに気づいたことから警察に通報、被害届を提出しました。そうしたところ、Aさんは窃盗罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~置引き~
置引きとは、置いてある他人の財物を持ち去る行為をいいます。
置引きは、刑法などの法令に規定されている罪名ではなく、「ひっったくり」や「万引き」と同様、窃盗罪の態様として慣用的に使われている言葉の一種です。
なお、置引きは、万引き、車上狙い(荒らし)に次ぐ3番目に多い窃盗の手口とされています。
置引きは窃盗罪(刑法235条)あるいは占有離脱物横領罪(刑法254条)に当たる可能性があります。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、占有離脱物横領罪は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と両罪は法定刑に大きな違いがあります。
窃盗罪と占有離脱物横領罪を区別する基準は、被害者の財物に対する支配が及んでいるか否かという点です。及んでいる場合は窃盗罪、及んでいない場合は占有離脱物横領罪が成立します。
本件では、VさんがATM機に財布を置き忘れたことに気づき約5分後に取りに戻ったというのですから、Vさんの財布及びその中の財物(お金など)に対する支配は認められるものと思います。したがって、Aさんには窃盗罪が適用され、処罰される可能性が高いでしょう。
~執行猶予~
刑の執行猶予とは、有罪判決をして刑を言い渡すに当たって、情状により、その執行を一定期間猶予し、その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。刑の執行猶予には、大きく分けて「刑の全部の執行猶予の制度」と、「刑の一部の執行猶予の制度」の2種類があり、前者はさらに、「最初の執行猶予の制度」と「再度の執行猶予の制度」の2種類に分けられます。
最初の執行猶予(付き判決)を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり、最初の執行猶予(付き判決)を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をご検討中の方は弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
【下着泥棒で逮捕】窃盗と不法領得の意思
窃盗事件で逮捕されてしまった事例を題材に、弁護士による接見や窃盗罪における不法領得の意思などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aは、V女宅に干してあった下着を、自らの性的欲求を満たすためにV女に無断で持ち去った。
警察官は、Aを窃盗の疑いで逮捕した。
Aの家族は、窃盗事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~窃盗罪と不法領得の意思~
刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とし、窃盗罪を定めています。
したがって、まず窃盗罪が成立するためには、上記235条が規定する(客観的)要件に該当する必要があります。
そして、刑法は特別の定めがない限り、故意によって罪を犯した場合にのみ犯罪が成立します(故意犯処罰の原則)。
したがって、刑法38条1項本文にいう「罪を犯す意思」つまり「故意」が主観的な要件として必要となります。
さらに、注意すべきなのは、窃盗罪には条文には規定されていない書かれざる要件が存在するということです。
窃盗罪においては、故意のほかにも、主観的な犯罪成立要件として不法領得の意思が必要となります。
つまり、本件のような見るからに窃盗罪が成立しそうな事案においても、不法領得の意思があるかどうかを慎重に見極めなければなりません。
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の財物をその経済的用法に従って利用処分する意思をいい、「権利者排除意思」と「利用処分意思」という二つ意思によって構成されます。
本件では、Aの行為に権利者であるV女を排除する意思が認められるのは明らかです。
しかし、Aは自らの性的欲求を満たすために下着を持ち去っており、経済的用法に従って利用処分する意思は認められないといえそうです。
もっとも、実務では、利用処分意思が認められるためには、他人の財物を利用することによって利益を得る意思があれば足りるものと解されています。
このように解する場合には、経済的用法に従い利用処分する意思はなくとも、利用処分意思は十分に認められることになります。
したがって、AのV女の下着を持ち去った行為には窃盗罪(刑法235条)が成立します。
~弁護士による逮捕された方との接見~
刑事訴訟法は、39条1項において、「身体の拘束を受けている……被疑者」は「弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」と「立会人なくして接見」することができる旨を定めています。
これは、接見交通権と呼ばれる権利で、弁護士にのみ認められている特権です。
これに対し、弁護士の資格を有しない者は、一般面会によってのみ面会が可能になるにすぎません。
しかも一般面会は、逮捕段階では認められないのが通例です。
したがって、本件のように窃盗によって逮捕されてしまった場合、一刻も早く弁護士による接見を行うことが重要となってくるのです。
弁護士による接見では、逮捕されてしまったことによって混乱していることも多い被疑者に対し、法的なアドバイスはもとより、精神面に対するケアなども行うことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件を専門とする法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方のご家族は、まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
刑事事件専門の弁護士による初回接見サービス等について、分かりやすくご案内いたします。
侵入盗と前科
侵入盗と前科について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
ある夜、突然、Aさんは「息子さんを住居侵入、窃盗の容疑で逮捕しました。」との連絡を受けました。突然のことで訳が分からず頭が真っ白になったAさんでしたが、すぐに夫に相談し、刑事事件に強い弁護士に接見に行ってもらうことにしました。Aさんは、息子に前科がつかないか心配しています。
(フィクションです)
~侵入盗の身体拘束~
他人の住居、事務所や店舗などに侵入し、他人の財物を盗むという窃盗の一種を「侵入盗」といいます。
侵入盗の場合、盗みを働く目的で、他人の住居や建造物に正当な理由なく侵入しているため、窃盗罪に加えて、住居侵入罪あるいは建造物侵入罪に問われることになります。
万引きや置き引きといった窃盗の手口と比べて、侵入盗は悪質であることや、被害者の住居や事務所・店舗を把握しているため、被害者に直接接触することができると判断される傾向にあり、逮捕に引き続いて勾留される可能性は高いと言えるでしょう。
また、侵入盗は単独ではなく複数人で行われることが多く、共犯者がいる事件では、共犯者間の接触を防ぐためにも犯人の身柄を拘束して捜査を進める必要があると判断されるでしょう。
逮捕後に勾留となれば、逮捕から最大で13日、勾留延長が認められれば最大で23日もの間警察署の留置場に拘束されることとなります。
長期間の身体拘束は、被疑者・被告人に身体的・精神的な苦痛を強いるだけでなく、その後の社会復帰にも大きな影響を及ぼしかねません。
侵入盗の場合、捜査段階での釈放が難しいことが多いですが、起訴された後であれば、保釈という制度を利用して釈放される可能性があります。
~前科をを回避するには?~
前科を回避するには検察官の起訴を回避することが現実的な方法だと考えます。
そもそも前科は刑事裁判で有罪判決の言渡しを受け、その裁判が確定した後につくものです。
したがって、検察官の起訴を回避する、すなわち、不起訴処分を獲得することができればそもそも刑事裁判を受ける必要はなく、裁判で有罪の判決を受けるおそれもなく、前科が付くおそれもないというわけです。
不起訴処分を獲得するには、まずは被害者に精神誠意謝罪し、被害弁償、示談に向けた話し合いを進めていく必要があります。そして、被害者に被害弁償するなどして示談を成立させることができればあなたにとって有利な情状として考慮され、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。
もちろん事件の当事者間でも被害弁償、示談交渉をすることはできます。
しかし、事件当事者というだけあって、感情のもつれなどから被害弁償、示談交渉がなかなかうまく進まない場合もございます。
そんなときは弁護士が力になれます。
示談交渉に関する経験、知識が豊富な弁護士であれば、適切な内容・形式で示談を成立させることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
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