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窃盗事犯における弁護活動

2020-09-24

窃盗事犯における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都東大和市にある飲食店に侵入し、店の金庫から現金を盗んだとして、警視庁東大和警察署は、建造物侵入および窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんは容疑を認めており、他にも同種の窃盗を行っていることも供述しています。
Aさんは、刑事事件に強い弁護士を探しています。
(フィクションです)

窃盗事犯の特色

捜査機関により検挙される刑法犯の中でも、窃盗事犯の数は多く、その種類も、万引きや車上狙いといった比較的被害額が軽微なものから、侵入盗のようにある一定の技術を必要として再犯が繰り返されるものまで様々です。
一般的には、万引きよりも侵入盗のほうが犯情は悪く、被害額も大きいため、量刑は重くなる傾向にあります。

また、常習として窃盗を行い、行為の前10年以内に窃盗で3回以上6月の懲役刑以上の刑を科された場合には、常習累犯窃盗という懲役3年以上を科す加重類型があります。
窃盗事犯は、再犯性が高く、何度も窃盗行為で捜査機関に検挙されるケースは少なくありません。

窃盗事犯における弁護活動

1.被害の回復

被疑者・被告人が容疑を認めている場合には、一般情状で重要なのが被害回復です。

例えば、万引き事件においては、被害品を店側に返還する、或いは買取を行うことによって被害の回復に努めます。
被害品を返還している場合、一見被害が回復されているように思われますが、被害品を商品として再び店に出すことができない場合もあるため、別途被害弁償を検討する余地はあるでしょう。
また、窃盗被害を受け、捜査機関に被害を届け出るために時間的損失を生じさせてしまったとして、慰謝料的な金銭の支払を行うことも考えられます。

侵入盗事件では、盗んだ物以外にも窓などを壊していることもあるため、それについての被害も回復させることが必要です。

窃盗罪は財産犯であるので、被害が回復したか否かという点が量刑上大きく考慮されます。
そして、起訴するか否かを判断する際にも、被害弁償の有無は大きく影響します。

2.再発防止策

前述しましたが、窃盗を繰り返し行う人は少なくありません。
このような人の中には、止めたくても止めれない人もいます。
特に、資力的には問題がないにもかかわらず、少額の商品を盗むような事件を繰り返している場合には、何らかの障害が原因となっていることが考えられます。
例えば、摂食障害、うつ、知的障害、認知症、窃盗症(クレプトマニア)などがあります。
これらの障害が疑われる場合には、再発防止策として、医師による治療やカウンセリングを受けることを提案します。
専門的な治療を受けることにより、再発の可能性がないことを立証し、寛大な処分の獲得を目指します。

3.身柄解放

万引きや置き引きなどの比較的軽微な窃盗事犯においては、初犯であれば、逮捕されないことも多いです。
しかしながら、再犯の万引きや侵入盗などは、逮捕後に勾留となる可能性があります。
そのような場合には、弁護士は、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないこと、そして勾留によって被る不利益が大きいことを客観的な証拠に基づいて検察官・裁判官に主張することで、勾留を回避するよう働きかけます。
侵入盗など、窃盗事犯の中でも重いとされる類型の場合には、勾留となる可能性は高いでしょう。
そうであっても、示談が成立した場合には釈放が認められることもありますし、起訴後に保釈が認められる可能性もあります。

窃盗事犯といっても、その類型は様々で、事件内容も事案によって異なりますが、窃盗事件において期待される弁護活動は、概ね上のものが挙げられるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事犯を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件に対応する弁護士をお探しであれば、一度弊所にご相談ください。

無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

窃盗事件における身体拘束

2020-09-17

窃盗事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都上野警察署は、窃盗の疑いでAさんを逮捕しました。
Aさんは、逮捕後、勾留に付されてしまい、いつ釈放となるのか不安でたまりません。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、できるだけ早く釈放とならないかと藁にも縋る想いで、刑事事件専門弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです)

窃盗事件で逮捕されると

窃盗事件を起こし逮捕された後の流れについては、通常の刑事事件の場合と同様です。

◇逮捕後◇

窃盗事件の被疑者として逮捕されると、まずは警察署で取調べを受けます。
警察は、逮捕から48時間以内に、被疑者を釈放するか、もしくは証拠や関係書類と併せて検察庁に送致します。
初犯かつ被害額も少ない万引き事件の場合には、家族などの身柄引受人に連絡し、逮捕当日もしくは翌日に釈放となることが多くなっています。
他方、再犯であったり、被害額が大きい、侵入盗や共犯がいる場合などは、検察庁に送致されます。

◇送致後◇

被疑者は、証拠や関係書類と共に検察庁に送られます。
被疑者の身柄を受けた検察官は、被疑者を取り調べた上で、被疑者を勾留するべきか否かを検討し、勾留すべきと判断すれば、裁判官に対して勾留を請求します。
勾留する理由及び必要がないと判断されれば、被疑者はその日に釈放されます。

◇勾留請求後◇

検察官が勾留請求をした場合、被疑者の身柄は裁判所に移送されます。
そして、被疑者は裁判官と面談をし、裁判官は当該被疑者について勾留をするか否かについて判断します。
勾留が決定すれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間留置施設で身体拘束を受けることになります。
ここで、裁判官が検察官の勾留を却下すれば、被疑者は釈放されます。
但し、検察官が勾留決定に対して準抗告をし、それが認められれば、被疑者は勾留されることとなります。

◇起訴後◇

身柄事件では、検察官は、逮捕から最大23日以内に事件を処理しなければなりません。
検察官は、起訴するか否かを判断します。
不起訴となれば、被疑者の身柄は釈放されますが、起訴されると、今度は被告人として勾留されることになります。
起訴前の勾留には期限がありますが、起訴後の勾留には期限がありません。
最初に認められる勾留の期限は2か月で、以降1か月毎に更新されます。

以上、逮捕後の身体拘束は長期に及ぶ可能性があります。

少額の万引き事案であれば、捜査段階で釈放される可能性は高いでしょう。
そのため、逮捕後すぐに弁護士に依頼し、身柄解放活動を開始し、勾留とならないよう働きかける必要があります。
勾留された後であっても、勾留決定に対する準抗告を行い、裁判所が勾留を決定した原裁判を取消し、勾留請求を却下すれば、釈放となります。

侵入盗や共犯事件の場合には、罪証隠滅のおそれがあると判断される傾向にあり、勾留される可能性は高いでしょう。
しかしながら、起訴後であれば、保釈制度を利用し、身体拘束を解くことも可能ですので、捜査段階での身柄解放が難しい場合であっても、起訴後すぐに保釈請求を行い、釈放されるよう動くことが重要です。

このような身柄解放活動は、刑事事件に精通した弁護士に依頼しましょう。
刑事手続を熟知している弁護士は、適時解放活動を行い、できる限り早期に釈放となるよう努めます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
厳しい結果が見込まれるような事件でも身柄解放に成功したケースもありますので、窃盗事件で身体拘束を受け早期釈放をとお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

マイバッグで万引き、現行犯逮捕

2020-09-10

マイバッグ万引き現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

主婦のAさんは、福岡県柳川市のスーパーマーケットで食料品など計5点をマイバッグに入れ、精算をせずにそのまま店外へ出ました。
その様子を目撃していた警備員は、Aさんに声をかけたところ、万引きを認めたため、そのまま店の事務所にAさんを連れて行きました。
通報を受けて駆け付けた福岡県柳川警察署の警察官は、窃盗の容疑でAさんを現行犯逮捕しました。
(フィクションです)

マイバッグを利用しての万引きが増加

今年の7月1日から、レジ袋の有料化を全国の小売店に義務付ける制度が始まりました。
それに伴い、買い物の際にマイバッグを持参し、購入した商品をマイバッグに入れる消費者の数が増えています。

しかしながら、マイバッグを使った万引きも増えているといいます。
持参したマイバッグに堂々と未清算の商品を入れ、そのまま店を後にするケースや、数点はレジで精算するが、残りの商品はマイバッグに入れたまま精算せずに店を出るケースなど、その態様は様々です。
店側も、他の店で購入した物なのかどうかも分かり辛いでしょう。

マイバッグの使用にかかわらず、店の商品を購入せずに自分の物にする万引きは、刑法上の窃盗罪に当たります。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

万引きで現行犯逮捕されたら

万引きが発覚するケースには、犯行を店員や警備員に目撃されて私人逮捕される、あるいは通報を受けて駆け付けた警察官に現行犯逮捕される場合や、防犯カメラの映像から犯人が特定されて犯行から少し経ってから通常逮捕される場合とがありますが、前者のほうが多いでしょう。
万引き現行犯逮捕されると、その後はどのような流れになるのでしょうか。

◇釈放される場合◇

逮捕から48時間以内に、警察は、被疑者の身柄を検察に送致するか、送致しない場合には釈放します。
万引き事件では、初犯であり、かつ被害額が少額である場合には、釈放されることが多くなっています。
家族などの身元引受人に迎えに来てもらい、釈放されることとなります。
釈放されたからといって事件が終了したわけではありません。
その後、警察や検察から呼び出しを受けて取調べに応じることとなります。
また、検察官は被疑者に対する終局処分を決定します。
この終局処分には、起訴、不起訴とがあります。
有罪を立証するだけの証拠はあるけれども、被害弁償が済んでいたり、再犯防止策が講じられていたりする場合には、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性が高いでしょう。
不起訴を目指すためには、早期に弁護士に相談し、弁護を依頼するのがよいでしょう。
身柄拘束を受けていない場合、国選弁護人は選任することができませんので、釈放された場合には、自分で私選弁護士を選任する必要があります。

◇引き続き身体拘束を受ける場合◇

前科があったり、共犯者がいるような万引き事件では、逮捕に引き続き勾留される可能性があります。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から原則10日、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
この場合、身柄解放活動や被害弁償などの弁護活動は弁護士に依頼することになります。
クリアすべき要件はありますが、国選弁護人を選任することも可能です。
しかし、刑事事件に精通した弁護士が選任されるとも限らず、迅速に対応してくれないこともあります。
そのため、刑事弁護活動については、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、万引き事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が万引き事件を起こし、対応にお困りの方は、弊所の弁護士にお気軽にご相談ください。

窃盗の否認事件

2020-09-03

窃盗否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

京都府宇治警察署の警察官は、警ら中に、付近で警報音が鳴っていることに気付き、現場に駆け付けました。
そこには、釣銭口が壊され、入っていた小銭が盗られている自動販売機がありました。
警察官は、周囲を捜索していたところ、現場から少し離れたところで不審な男を見つけ、職務質問した上で、所持品検査を行ったところ、男が大量の小銭を所持していることがわかり、窃盗の疑いで男を逮捕しました。
男は、「小銭は自分のもので、自動販売機から盗ったものではない。」と窃盗の容疑を否認しています。
(フィクションです)

窃盗事件

上の事例では、自動販売機から小銭が盗まれるという窃盗事件が起きました。
窃盗事件が起きたことは明らかですが、誰が行ったかについては明白ではありません。
窃盗事件の犯人性について、被疑者が物を盗んでいるところを目撃した人がいたり、防犯カメラの映像に被疑者が物を盗んでいるところが映っている場合には、被疑者が窃盗を行ったことを直接証明する証拠となりますが、多くの場合、そのような証拠がなく、被疑者が盗んだであろうことを推測させる証拠しかありません。
その場合、犯人性が争われることになります。
被疑者が盗んだであろうことを推測させる証拠のひとつとして、「近接所持」の法理というものがあります。

近接所持の法理

近接所持の法理とは、窃盗事件が起きた時点と時間的・場所的に近いときに盗品を所持していた者は、その盗品の入手経路について合理的な説明をしない限り犯人と推定できる、というものです。
近接所持の法理により、被害品が所持していた者が、その窃盗犯人であると推認されるのは、
①被害発生の直後であれば、被害品は、未だ窃盗犯人の手中にあることが多いという経験則、
及び、
②その時点であれば、窃取以外の方法で被害品を入手した者は、自己の入手方法について具体的に弁明し、容易にその立証をすることができるはずであるという論理則
を前提とするものです。

しかしながら、一般的にはそのようなことがいえても、その所持していた日時や場所が犯行日時や犯行場所から離れれば離れるほど、その推認力は弱くなりますし、どの程度の時間や距離の幅までが近接所持と言えるのか、また、被害品の流通状況等によっても、被疑者が所持していた物が被害品であると言えるのかが問題となります。

窃盗の否認事件における弁護活動

近接所持の法理により、窃盗の犯人であると推定されている場合、かつ、「自分は犯人ではない!」と犯人性を否定する場合、盗品であると疑われている物の入手経路が合理的に説明できるものであることを証明する必要があります。
入手経路が合理的に説明できるものであるときは、近接所持の法理による推認は働きません。
被疑者・被告人が、盗品と疑われている物を、いつ、どこで、どのように手に入れたのかについて、客観的な証拠に基づいて立証していくことが重要です。
そのような立証は、刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼し、行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
窃盗の疑いで捜査を受けておられる方、ご家族が窃盗容疑で逮捕されてお困りの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
24時間、無料法律相談初回接見サービスのご予約をフリーダイヤル0120-631-881で受け付けております。

侵入盗で公判請求

2020-08-27

侵入盗公判請求される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

兵庫県姫路市のアパート1階のベランダに侵入し、干してあった下着を窃取したとして、兵庫県姫路警察署は、市外に住むAさんを住居侵入、窃盗の容疑で逮捕しました。
防犯カメラの映像からAさんの犯行であることが発覚しました。
Aさんは容疑を認めていますが、今後どのような流れになるのか不安で仕方ありません。
Aさんは、Aさんの両親が以来した刑事事件専門の弁護士に今後の流れや取調べ対応、身柄解放の可能性について相談しています。
(フィクションです)

侵入盗

侵入盗は、建物に不法に立ち入り、金品などを窃取する窃盗犯の一種です。
侵入盗は、その手口により、空き巣、忍込み、居空き、金庫破り、事務所荒らしなどと呼ばれます。
このような侵入盗を行った場合、「窃盗」だけでなく「住居侵入(若しくは建造物侵入)」の2罪が成立する可能性があります。
窃盗と住居侵入は、牽連犯の関係にあります。
「牽連犯」というのは、犯罪の手段若しくは結果である行為が、他の罪名に触れる場合のことをいいます。
成立要件は、①犯罪の手段若しくは結果である行為があること、及び、②その行為が他の罪名に触れること、の2つです。
侵入盗は、窃盗のための手段として建物に侵入しているため、住居侵入と窃盗との関係には牽連犯が認められます。
牽連犯の効果は、重い罪の刑が適用されることです。
侵入盗の場合、住居侵入と窃盗が成立することになりますが、住居侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」で、窃盗の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、窃盗の法定刑の範囲内で刑が科されることになります。

さて、侵入盗も窃盗の一種ですが、同じく窃盗の一種である万引きの事件と比べると、最終的な処分結果も大きく異なります。
万引きの場合、初犯であり盗品も返却している等であれば「微罪処分」で事件が終了することが多くなっています。
「微罪処分」とは、犯罪が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないことがあらかじめ指定されたものについて、警察は事件を送致しないとする処分のことをいいます。
指定される事件は地方により異なりますが、被害金額や犯情などが軽微であり、再犯のおそれのない、窃盗、詐欺、横領、盗品等譲受け、賭博が一般に指定されています。
また、犯行態様や犯行後の対応にもよりますが、2回目の万引きでは起訴猶予となる可能性が高くなっています。

他方、侵入盗の場合、処分はより厳しいものとなることが多く、微罪処分はもとより、被害弁償をしたとしても、検察官は公判請求をすることが多いようです。
公判請求されると、被疑者は被告人となり、公開の裁判が開かれることなり、被告人は刑事裁判の当事者として出廷しなければなりません。
窃盗の被害もさることながら、人の住居や人が監督する建造物等に許可なく立ち入ったということが処分にも影響しているのだと理解できるでしょう。

侵入盗公判請求されると、刑事裁判の当事者として関与することになりますが、被告人が公正な裁判を受けるためには、被告人の権利や利益を代弁してくれる弁護人が必要となります。
起訴内容を認めている場合、公判での弁護活動は、主に、言い渡される刑が出来る限り軽くなるよう裁判官を説得させることになります。
財産犯である以上、被害弁償の有無が量刑時に考慮される重要な要素となります。
そのため、示談が成立し、被害が回復している場合には、前科前歴がない限り、執行猶予が付く可能性は高いでしょう。
また、再犯防止策として、家族による監督が期待できることや被告人がしっかりと反省していることなども考慮される要素となります。

このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、侵入盗をはじめとした刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が侵入盗で逮捕された、公判請求されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

窃盗事件で保釈

2020-08-20

窃盗事件で保釈が認められる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

大阪府岸和田市の工事現場から、電気ケーブルや金属資材などを盗んだとして、大阪府岸和田警察署は、窃盗などの容疑で県外に住むAさんとBさんを逮捕しました。
Aさん及びBさんは容疑を認めていますが、勾留ののち勾留延長となり、Aさんは精神的に参っています。
Aさんの妻は、どうにか釈放される方法はないものかと刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

逮捕された後の身柄解放

あなたが、窃盗事件を起こして逮捕されたとしましょう。
逮捕されると、あなたの身柄は警察署に移され、警察署において取調官から取調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、警察はあなたを釈放し不拘束のまま捜査を続けるか、検察庁にあなたの身柄とともに証拠や関係書類を送致します。
警察から検察庁に身柄が送致されると、今度は検察官から取り調べを受けることになります。
そして、検察官があなたの身柄を受けてから24時間以内に、あなたを釈放するか、それとも、裁判官に対して勾留を請求するかを決めます。
検察官が勾留請求をした場合、あなたの身柄は裁判所に移され、裁判官との面談を行います。
裁判官は、あなたを勾留すべきか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、勾留延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることになります。
逮捕から勾留までの期間は、最大で3日と短く、逮捕後すぐに弁護士に依頼し、勾留を回避するための身柄解放活動に着手してもらう必要があります。
また、勾留が決定した後であっても、勾留決定に対する準抗告が認められれば、先の勾留決定が取り消され、釈放となります。

少額の万引きの窃盗事件であれば、逮捕から勾留までの間に釈放となる可能性はあるでしょう。
しかし、共犯者がいたり、被害額が大きく、余罪が疑われている場合には、勾留に付される可能性は高いでしょう。

勾留を回避することが難しい事件であっても、起訴後に保釈制度を利用して釈放となる可能性があります。

保釈制度について

保釈」とは、一定額の保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判とその執行のことをいいます。
保釈制度は、起訴され、被告人となった時から利用することができます。

保釈には、次の3つの種類があります。

(1)権利保釈
裁判所は、保釈の請求があったときには、原則として保釈を許さなければなりません。
しかし、例外として、権利保釈の除外事由がある場合には、請求を却下することができます。
除外事由は、以下の6つです。
①被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

(2)裁量保釈
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときには、職権で保釈を許すことができます。

(3)義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許さなければなりません。

このように、権利保釈の除外事由がある場合でも、職権で保釈を認めてもらえることがありますので、起訴後は保釈制度を利用して釈放されるよう動きます。

Aさんの場合、窃盗で起訴されているとすれば、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められていますので、権利保釈の除外事由①に該当するため権利保釈は認められないでしょう。
もっとも、そのような場合でも、家族などの身元引受人がおり、弁護士を介しての被害弁償や示談が進んでいることや、被告人の身体拘束が長期化することで被る不利益の大きさなどを考慮してもらい、職権での保釈が認められる可能性はあります。

刑事事件における身柄解放活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
身柄解放でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

会計前の商品食べて窃盗罪?

2020-08-13

会計前商品を食べて窃盗罪に問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、大阪府大阪市阿倍野区にあるスーパーマーケットで、会計前の商品を店内で食べ、レジでは空の容器をレジに出して、「先に食べてしまったのですが、代金は払います。」と言って会計を済ませました。
Aさんは、一連の様子を撮影しており、動画をインターネットの動画配信サイトに投稿しました。
スーパーマーケットの店長は、従業員から動画について報告を受け、大阪府阿倍野警察署に相談することにしました。
後日、阿倍野警察署は、Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
Aさんは、「後でちゃんと代金は払っている。」と容疑を否認しているようです。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

会計前の商品を食べたら?

先月、YouTuberが会計前の刺身を食べる動画をYouTubeに投稿した結果、窃盗の容疑で逮捕されたという事件がありました。
このYouTuberは、刺身を食べた後に会計を済ませていたのですが、「窃盗」の疑いで逮捕されています。
このように、後で商品の代金を支払っていても、犯罪にはなり得るのです。

まずは、窃盗罪が成立する場合についてみていきましょう。

窃盗罪とは

刑法第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

◇客体◇

窃盗罪の対象は、「他人の財物」です。
「他人の財物」とは、他人が占有する他人所有の財物のことです。
ここでいう「占有」というのは、物に対する事実上の支配をいいます。
自己の所有物でも、他人の支配下に入っているものや公務所の命によって他人が看守しているものは、他人の財物とみなされます。

◇行為◇

窃盗罪の実行行為は、「窃取」する。
「窃取」とは、他人の占有する物を、不法に領得する意思で、その他人の意思に反して占有を排除し、自己又は第三者の占有に移すことをいいます。
店の中にある商品は、通常店主の占有下にあります。

◇不法領得の意思◇

窃盗罪が成立するためには、財物の窃取が不法領得の意思をもって行われなければなりません。
これは、罪とならない使用窃盗と区別するため、及び毀棄・隠匿と区別するためです。
「不法領得の意思」というのは、権利者を排除して他人の物を自分の所有物を同様にその経済的用法に従って利用又は処分する意思のことをいいます。

以上、窃盗罪は、「他人の財物」を「不法領得の意思をもって」「窃取」することで成立します。

さて、本題に戻りますが、会計前に店の商品を食べた場合、たとえその後に会計を済ませたとしても、犯罪(窃盗罪)が成立するのでしょうか。

Aさんは、スーパーマーケットの商品を会計前に食べました。
通常、会計を済ませることで、商品の占有は客に移転し、客の占有する財物となります。
この商品については、会計前の商品ですので、スーパーマーケットの店主の占有する財物となります。
その他人の財物を、店主の許可を得ず勝手に店内で処分(=商品を開封し食べた)したことにより、窃盗罪が成立するものと考えられます。

後で会計をしたとしても、商品を開封した時点で実行行為に着手したと言え、遅くとも商品を食べた時点で犯罪は成立しています。

今回の事件における弁護活動は、主に、①被害者との示談交渉、及び②身柄解放活動となります。

①示談交渉

被害者がいる事件では、被害者との示談が最終的な処分に大きく影響します。
通常、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行います。
当事者間での交渉は、感情的になりやすく交渉が難航する傾向にあります。
そのため、弁護士は、相手方と冷静に交渉し、お互いが納得できる内容での示談を成立させることが期待されます。

②身柄解放活動

逮捕後、勾留されると、逮捕から約13日間身柄が拘束されることとなります。
勾留が延長されると最大で23日間です。
長期間の身体拘束により、解雇や退学といった可能性が高まり、身柄拘束された方にとって大きな不利益が生じることとなります。
そのような事態を回避するために、逮捕後すぐに身柄解放活動に着手し、早期釈放を目指す必要があります。
弁護士は、検察官や裁判官・裁判所に対して勾留阻止に向けた活動を行います。

このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とした法律事務所です。
ご家族が窃盗事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

少年の万引き事件

2020-08-06

少年万引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

千葉県八千代市のドラッグストアで化粧品など4点を万引きしたとして、市内に住む高校1年のAさんは店の警備員に身柄を確保されました。
店からの連絡を受けて駆け付けた千葉県八千代警察署の警察官は、Aさんを警察署へ連れて行き、取調べを行いました。
その日の夜に、警察から連絡を受けて警察署に出向いたAさんの母親は、警察官からAさんは他の店でも万引きをしており、被害店からは被害届も出ていることを聞かされました。
Aさんは釈放されましたが、今後も警察での取調べは続くと言われ、Aさんも母親も、今後どのような処分が言い渡されるのか、学校にも連絡が行くのか心配しています。
(フィクションです)

少年の万引き事件

警察庁によれば、警察に検挙された非行少年で刑法犯のうち、窃盗犯の占める割合が半数を超えています。
また、非行の動機や手口が比較的単純で、初期的段階の非行といわれる万引き、オートバイ盗、自転車盗、そして占有離脱物横領のうち、万引きが半数を占めています。
「ちょっと盗るだけだし、バレないだろう。」、「万引きは大したことない。」などと、少年万引き行為自体を軽く捉えている傾向がありますが、もちろん万引きは犯罪ですので、発覚すれば店員や警備員に身柄を確保されますし、その後は被疑者として捜査機関による取調べを受けることになります。

事後強盗に当たるような万引き事件ではない場合、逮捕後に警察署での取調べを受けた後に釈放となることが多く、逮捕に引き続き勾留される可能性はそう高くはありません。
釈放されたことで、事件が終了したかのように誤解されることもありますが、身体拘束を伴わずに捜査が進められるのであって、以前として被疑者としての身分であることは言うまでもありません。
捜査機関での取調べが終了すると、事件は家庭裁判所に送られます。
捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のように捜査機関限りで事件を終了させるようなことは認められていません。
これを「全件送致主義」と呼びます。
ただし、一定の極めて軽微な少年の被疑事件については、通常の手続よりも簡易な手続によって家庭裁判所に送致する方法がとられています。
この簡易な手続のことを「簡易送致」と呼びますが、対象となる事件は、各家庭裁判所とそれぞれに対応する地方検察庁、警察本部との協議によって基準が決められています。
ごく少額の万引きや自転車の優先離脱物横領などは、典型的な簡易送致の対象事件です。
初犯であり、かつ、万引き額が少額であれば、簡易送致で処理される可能性がありますが、何件も窃盗事件として挙がっている場合には、通常の送致がとられるでしょう。

家庭裁判所に送致されると、調査官による調査が行われ、審判を開始するか否かが判断され、審判開始決定がなされた場合には審判に付されることになります。
調査官は、少年に関する社会調査を行い、審判の審理対象である要保護性の判断の基礎となる資料を収集し、少年の処遇についても意見を述べることができます。
調査官による調査には、少年少年の保護者を家庭裁判所に呼び面接を行ったり、心理テストを行うなどの方法により行われます。
また、関係機関に照会することもあり、少年が在籍している学校に対して行う場合もあります。
学校が事件について把握していない場合、調査官による学校照会で事件が発覚してしまうおそれがあり、事件が学校に知られると退学のおそれがあるなど少年の更生に不利に働く可能性があると考えられる際には、調査官と協議の上、学校照会を回避する必要があるでしょう。

先にも述べたように、審判での審理対象は、非行事実および要保護性です。
非行事実は、刑事裁判における公訴事実に当たるものです。
非行事実を認める場合には、要保護性が解消されていると判断されることを目指します。
要保護性とは、多義的に用いられることがありますが、一般的には、少年が将来再び非行に至る可能性のことをいいます。
少年事件では、非行事実が軽微であっても、要保護性が高い場合には、少年院送致などの重い処分となる可能性があります。
そのため、この要保護性の解消に向けた活動が非常に重要な弁護活動となるのです。
万引き事件における要保護性の解消に向けた活動の一つとして、被害者への対応があげられます。
万引き行為によって被害店は損害を被っているのですから、謝罪の上、被害弁償を行う必要があります。
弁護士は、少年の代理人として、被害者への被害弁償を円滑に行えるようサポートします。
また、要保護性解消には、少年自身への働きかけも重要です。
具体的には、少年が事件についての内省を深め、被害者に対する謝罪の気持ちを持てるようにしたり、事件の背景にある様々な問題に向き合い、それにどのように対応するのかを見つけ出せるよう支援します。
少年自身が、自身の行った行為を反省し、その原因および対処法を見いだせていることは、少年の再非行のおそれを低下させ、ひいては要保護性の解消に繋がるでしょう。

このような活動は、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が万引き事件を起こし対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

万引きで現行犯逮捕

2020-07-30

万引き現行犯逮捕となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

埼玉県草加市にあるコンビニで商品3点を持っていたカバンの中に入れ、会計を済ませずに店を出ようとしたAさんでしたが、店を出たところでコンビニの店長に声を掛けられました。
「カバン中の商品のお支払いはまだですよね?」と言われたAさんは、逃げることなく万引きの事実を認めました。
コンビニの通報を受けて駆け付けた埼玉県草加警察署の警察官は、Aさんと店長に事情を聴いた上で、Aさんを埼玉県草加警察署に連行しました。
その後、草加警察署は、Aさんの家族に連絡を入れ、Aさんが万引きをし窃盗で逮捕されたこと、そして身元引受人として警察署に来てほしいと言われました。
(フィクションです)

万引きで逮捕される場合

「逮捕」というのは、被疑者に対して最初に行われる強制的な身柄拘束処分です。
法に定められた短期間の留置を伴います。
この逮捕の種類としては、①通常逮捕、②現行犯逮捕(準現行犯逮捕を含む。)、③緊急逮捕の3つがあります。
万引き事件については、②現行犯逮捕となるケースが多いです。

現行犯逮捕とは

現行犯逮捕」とは、現行犯人に対してなされる無令状の逮捕をいいます。
誰でも、逮捕状なく現行犯人を逮捕することができます。

ここでいう「現行犯人」というのは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」のことです。
「現に罪を行い」とは、逮捕者の面前で犯罪の実行行為を行いつつある場合をいいます。
「現に罪を行い終った」とは、犯罪の実行行為を終了した直後をいいます。
これには、未遂に終わった場合も含まれます。
時間的接着性だけではなく、場所的接着性も考慮して、犯罪が行われた直後であるという状況が現存しているかどうかで判断されます。

加えて、以下にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、「現行犯人」とみなされます。
(a)犯人として追呼されているとき。
(b)贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
(c)身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
(d)誰何されて逃走しようとするとき。
この現行犯人とみなされる者を「準現行犯人」といいます。
準現行犯人は、現行犯人そのものではないけれども、罪を行い終って間がない犯人であることの明白性が価値的に現行犯と同視できるために現行犯とみなされるのです。

捜査機関以外の私人も、現行犯人(準現行犯人を含む。)を逮捕することができます。
ただし、身柄拘束はその必要性がある場合に認められるべきであり、通常逮捕の場合と同じように逮捕の必要性も考えられるべきとされます。

万引き事件では、店員や警備員が店内を巡回している際に、万引き犯が万引き行為を実行している様子を確認していることが多く、万引き犯が現行犯人に該当するケースが多々あります。
そのような場合には、店員や警備員が万引き犯の身柄を確保する、若しくは通報を受けて駆け付けた警察官が身柄を確保することになります。

一方、現行犯逮捕ではなく後日通常逮捕となることもあります。
万引き行為を実行した時には、店員や警備員に気づかれなかったものの、防犯カメラに犯行の様子が映っている場合には、身元を特定され捜査機関に逮捕される可能性も十分あります。

逮捕されたら

万引き事件で逮捕された後の流れは、他の刑事事件と同じです。
逮捕後には、捜査機関の取調べが行われ、被疑者には弁解の機会が与えられ、弁解録取が作成されます。
弁解の聴取や捜査の結果、身柄拘束を継続して行う必要がないと思われる場合には、被疑者はただちに釈放されます。
しかし、身柄拘束を継続する必要があると判断する場合には、被疑者が現実に身体を拘束された時点から48時間以内に、書類や証拠物と共に被疑者の身柄を検察官に送致します。
被疑者の身柄を受けた検察官は、事件の送致を受けてから24時間以内に、被疑者に弁解の機会を与えた上で、公訴を提起するか、裁判官に勾留請求をしなければなりません。
そのような必要がないと判断する場合には、被疑者を釈放します。
検察官の勾留請求を受けた裁判官は、被疑者と面談を行い、当該被疑者を勾留すべきか否かを判断します。
勾留請求が却下されると、被疑者は直ちに釈放されますが、勾留が決定されると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身柄拘束となります。

そのような長期間の身柄拘束となれば、被疑者は学校や会社に行くことができませんので、退学や解雇といった処分を受ける可能性が高まるでしょう。
最悪の事態を回避するためにも、ご家族が逮捕されたら早急に弁護士に相談し、身柄解放活動に着手することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含めた刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

窃盗と不法領得の意思

2020-07-23

窃盗不法領得の意思について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

神奈川県秦野市に住む知人男性の自宅に侵入し、スマートフォンなど5点を盗んだとして、神奈川県秦野警察署は、市内に住むAさんを逮捕しました。
Aさんは、盗品をインターネット上に出品しており、これを見た被害男性が盗まれた物かもしれないと思い警察に通報したことにより事件が発覚しました。
Aさんは、「嫌がらせ目的で盗んだ。その後、1か月ほど家に置いておいたが、処分に困ってネットで売ろうとした。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

窃盗が成立する場合とは

刑法は、その235条で窃盗罪について、次のように規定しています。

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪の構成要件(犯罪が成立するための原則的要件)は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
です。

◇客体:他人の財物◇

他人の占有する他人の財物が、窃盗罪の客体となります。
「財物」には、有体物や、有体物でなくとも、電気といった物理的に管理可能なものも含まれます。
「占有」とは、人が財産を事実上支配し、管理する状態をいいます。

◇行為:窃取◇

窃盗罪の行為は、「窃取」です。
「窃取」は、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。(大判大4・3・18)
この点、他人の飼養する鳥をかごから逃がす行為は、鳥に対する他人の占有を侵害してはいるものの、自己又は第三者の占有に移転していないことから、器物損害には該当するものの窃盗には該当ないことになります。

◇結果◇

財物の他人の占有を排除して、自己又は第三者の占有に移したことで、占有取得し、窃盗は既遂(犯罪が完成した)となります。

◇主観的要件:故意と不法領得の意思◇

窃盗罪の故意は、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識・認容していることです。
故意は、次の「不法領得の意思」とは別の要件です。
目的物を遺失物と誤認していた場合には、窃盗の故意を書き、遺失物横領の限度でしか認められません。(東京高判昭35・7・15)
また、目的物を自己の所有物と誤認していたが、他人が占有していることを認識・認容していれば、窃盗の故意は認められます。

不法領得の意思」は、条文にはありませんが、判例上認められる要件です。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」です。(最判昭26・7・13)
この不法領得の意思は、窃盗と一時使用行為や毀棄隠匿とを区別する上で重要です。
他人の所有する物を勝手に持ち去る行為は、窃盗の「窃取」に該当する他、持ち去って物を使用できなくさせている点で、事実上、その効用を害していることから、器物損壊の「損壊」にも該当することになります。
そこで、他人の所有する物を勝手に持ち去った場合に、窃盗と器物損壊のいずれが成立するかが問題となります。
この点、窃盗と器物損壊とを区別する要素となるのが、不法領得の意思です。
不法領得の意思は、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」ですので、持ち去った物を経済的用法に従って利用、処分する意思があるか否かが、窃盗と器物損壊いずれが成立するのかを検討する上で重要となります。
経済的用法に従って利用・処分する意思は、経済的に利益を受ける意思や、その物の用途にかなった使用をする意思、財物から生じる何らかの効用を受ける意思を含みます。

Aさんのように「嫌がらせ目的」で他人の財物を持ち去った場合、行為時には当該財物を経済的用法に従って利用、処分する意思を欠いているため、不法領得の意思が認められないように思われます。
しかしながら、Aさんは、一定期間持ち去った他人の物を自宅に保管していましたが、その後、ネットで販売しています。
つまり、犯行時には、不法領得の意思がなかったものの、その後にその意思が生じ処分行為に及んだ場合には、窃盗が成立するのか、という問題が生じます。
理論上、犯行時には「嫌がらせ目的」であったのであれば、不法領得の意思が認められず、窃盗罪は成立しない、ということになります。
ただし、持ち去った物の本来の効用を害することにはなりますので、器物損壊罪は成立することになります。
また、持ち去った他人の財物を処分しているため、占有の離れた他人の物を横領したと言え、遺失物等横領罪も成立すると考えられます。

しかしながら、上の事例について、理論上は行為時に不法領得の意思が認められず、窃盗罪が成立しないことになりますが、単に「嫌がらせのつもりでとりました。」と言うだけでは、認めてもらえないこともあります。
捜査機関は、取調べにおいて、「どうゆうつもりでとったの?」と繰り返し聞いてくるでしょう。

窃盗罪の成立を争いたいとお考えであれば、早期に刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。

ご家族が侵入盗で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件専門の弁護士が、留置先に赴き、逮捕された方との接見を行います。
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