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少年に万引きをさせて逮捕
少年に万引きをさせて逮捕
少年に万引きをさせて逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
京都府長岡京市在住のAは、10歳の息子Bと共に二人で暮らしていた。
しかし、仕事で得た給料の大半をパチンコや競馬といったギャンブルにつかっていたことから生活が困窮し、食費にも困るようになった。
そこでAは、自宅近くのスーパーでお惣菜を万引きしようと思い立った。
しかしAには窃盗罪の前科があり、前回の事件の際に、裁判官から「次に窃盗事件を起こしたら刑務所に行かなければならないことになる」と言われていたことから、息子Bに命令して同スーパーで万引きをさせることにした。
Aの命令に対し当初Bは嫌がったが、Aは嫌がるBを怒鳴りつけた上、複数回Bの顔面を殴打したところ、Bは大人しくなりAの命令に従って万引きをするようになった。
その後もAはBに命令してスーパーでの万引き行為を何度かさせていたところ、スーパーの店員にBの万引き行為を発見され、Bが店員に対し父親Aに命令されて万引きを行ったことを話したことから、店員が警察に通報することにした。
その後、Aは窃盗容疑で京都府向日町警察署の警察官に逮捕されてしまった。
(事実をもとにしたフィクションです)
~自ら犯行をしなくても犯罪に~
上記の事例においては、Bは10歳の少年であることから「刑事未成年」に当たり、Bの行為には犯罪は成立しないことになります(刑法41条)。
また、万引き行為そのものを行ったのはBであり、A自身は万引き行為を行っていません。
仮に万引き行為を行ったのがBである以上、Aに窃盗罪が成立しないとすると、万引き行為について責任を負う者がいなくなってしまうという不都合が生じてしまいます。
そのような不都合を生じさせないために、実際には、他人を道具として利用し、犯罪を実現させた者についても犯罪の成立が認められることがあります(「間接正犯」と呼ばれます)。
例えば、人を殺すために飲料に毒薬を入れ、郵便でその毒薬入り飲料を被害者宅に届け、被害者がそれを飲んで死亡したという場合、犯人は郵便局員を道具として利用し、殺人行為を完成させています。
~間接正犯の成立条件~
間接正犯として犯罪が成立するためには、他人を一方的に支配利用したといえる必要があると考えられています。
上述の郵便局員のケースでは、郵便局員は郵便物の中身を知った上で被害者に届けているわけではなく、預けられた荷物をそのまま宛先に送ることになることから、一方的な支配利用関係が認められます。
他方、上記のBの場合については、自らの万引き行為そのものについて認識して行っているいることから、一方的な支配利用関係があるといえるか問題となります。
そこで判例は、刑事未成年を利用したからといって常に間接正犯の成立を認めているわけではありません。
しかし日頃から強度の虐待を加えていた12歳の養女に命令して賽銭泥棒をさせたという事案において、「被告人が、自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている同女を利用して右各窃盗を行ったと認められる」として間接正犯の成立を認めています(最高裁昭和 58年9月21日決定)。
今回の事例において、Aは万引き行為を嫌がるBに対し怒鳴りつけた上で顔面を複数回殴打するという暴行を加えています。
このような暴行によってBが畏怖し意思を抑圧された状態で万引き行為を行ったと評価されれば、AはBを道具として窃盗をしたとして間接正犯が成立することになります。
このように、他人が関与した犯罪の場合にどのような問題があるのか、その判断は難しいところがありますので、専門的な知識を持った弁護士に相談することが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件や少年事件に精通した弁護士が多数在籍しております。
弊所では24時間、無料相談及び初回接見のご依頼を受け付けておりますので、
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までお気軽にお電話ください。
窃盗罪か器物損壊罪か
窃盗罪か器物損壊罪か
窃盗罪か器物損壊罪かの違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
兵庫県宝塚市の会社に勤める会社員のAさんは、同僚Ⅴさんに会社内での営業ノルマの競争に負けた腹いせに、Ⅴさんの机上にあった財布を手に取り持ち去りました。
Aさんはトイレの個室内で中身を確認すると5000円札が2枚入っていたことから、そのうち1枚を手に取り、財布は自身の更衣室のロッカーに入れて保管していました。
その後、Aさんの部署内ではVさんの財布がなくなったことで騒動となりましたが犯人や財布の在りかは特定されずに1か月ほど経ちました。
ところが、ある日、Aさんは部長室に呼ばれ、部長から「あなたがVさんの財布を盗ったと兵庫県宝塚警察署から疑いをかけられているようだ。」「盗んだのであれば正直にいいなさい。」と言われました。
Aさんは言い逃れはできないと思い、部長に「自分がやりました。」と認めました。
その後、Aさんは兵庫県宝塚警察署に窃盗罪の被疑者として呼び出しを受け、取調べを受けました。
今後のことが不安になったAさんは弁護士に相談すると、弁護士から「それは窃盗罪ではなく刑の軽い器物損壊罪に当たるかもしれない。」と言われました。
(フィクションです。)
~ 窃盗罪と器物損壊罪 ~
窃盗罪と器物損壊罪の規定から確認します。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
器物損壊罪は刑法261条に規定されています。
刑法261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
~ 弁護士が器物損壊罪を検討する理由 ~
まず、上の規定を見てお分かりいただけるように、両者の法定刑(刑の重さ)には大きな差があります。
窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なのに対し、器物損壊罪は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
また、器物損壊罪は親告罪、つまり被害者の告訴がなければ起訴されない罪です。他方で、窃盗罪は親告罪ではありません。
仮に、本件で窃盗罪ではなく器物損壊罪が成立するとなった場合、その時点で告訴状がない、あるいは告訴状が提出された場合でも示談で告訴が取り消された場合は起訴されません(不起訴)。
つまり、告訴がなければ起訴されないという点では、窃盗罪よりも器物損壊罪の方が不起訴になる可能性は高いと考えます。
この点でも窃盗罪と器物損壊罪には大きな差があります。
告訴状の提出を阻止したり、被害者に告訴を取り消してもらうには、まずは被害者に謝罪し、速やかに示談交渉に移る必要があるでしょう。
しかし、当事者間での示談交渉は感情のもつれなどもあって非常に困難を伴いますから、被害者との示談交渉は弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士であれば適切な形式、内容で示談を成立させることが可能です。
~ 窃盗罪と器物損壊罪との分水嶺は不法領得の意思の有無 ~
窃盗罪と器物損壊罪との適用を分ける要素は「不法領得の意思の有無」です。
不法領得の意思があると認められる場合は窃盗罪、ないと認められる場合は器物損壊罪です。
判例は、不法領得の意思を「権利者を排除して他人の物を自己の所有物をして(権利者排除意思)、その経済的用法に従ってこれを利用若しくは処分する意思(利用処分意思)」と解しています。
本件では、Aさんは嫌がらせ目的でVさんの財布を持ち去っています。
この点だけ見れば、Aさんに財布(及びその中身のお金)の「利用処分意思」がなく、不法領得の意思が認められず器物損壊罪が適用されそうです。
しかし、Aさんは持ち去った後、財布から5000円札を抜き取り、それを何らかの用途に使ったものと思われます。
そうすると「利用処分意思」があり、不法領得の意思が認められ窃盗罪が適用されるようにも思えます。
これはあくまで事例上での判断で、実際の事案ではもっと複雑な事実が絡み合い、不法領得の意思の有無の判断も難しいと思われます。
お困りの際は弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で、初回接見サービス、無料法律相談の予約を受け付けております。
他人の車の無断使用と窃盗罪の成否
他人の車の無断使用と窃盗罪の成否
他人の車の無断使用と窃盗罪の成否について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
AとVは,顔見知り程度の関係であったが,大阪府豊中市にあるA宅で友人数人と飲食を共にした。
酒を飲んだVは,今日は電車で帰り後日車を取りに来る旨告げて,A宅の近くに自車を残していった。
Vは,車の鍵等をA宅に置き忘れており,これをいいことにAはVが車を引き上げに来るまでの間,置き忘れた鍵を使ってV車を無断で乗り回していた。
後日,車を引き上げたVは上記事実に気づき,大阪府豊中警察署に相談した。
相談を受けた大阪府豊中警察署の警察官は,Aを窃盗罪の疑いで取り調べることにした。
Aは,窃盗事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~他人の車を勝手に乗り回すのは窃盗罪?~
他人の自動車を勝手に乗り回したくらいでは,刑事事件になるとまでは思わないのが通常の感覚かもしれません。
しかし,本件のようなケースにおいては窃盗罪が十分に成立し得るのです。
以下,まずは条文に沿って解説いたします。
刑法235条は,「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪」とすることを定めています。
この点,Aが勝手にVの車を乗り回す行為は,Vの車という「他人の財物」を,占有者であるVの意思に反してその占有をAに移転させるという「窃取」行為であることは明らかでしょう。
もっとも,上記の明文の要件を満たしただけでは窃盗罪は成立しないことに注意が必要です。
本件のようなケースにおいて問題となるのは,条文に書かれていない要件である「不法領得の意思」があるかどうかなのです。
窃盗罪のような財産犯においては,犯罪にあたる行為の認識(故意)の他に,判例上も,「①権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に②その経済的用法に従いこれを利用しまたは処分しようとする意思」が必要だとされています。
本件では②が認められることは比較的明らかですが,①の権利者排除意思が認められるかがポイントとなります。
この点Aは,後日Vが車を引き上げに来ることを認識しており,Vの車を自分のものにしようとしたわけではありませんし,VはA宅近くに自車を置いたままにしておりその利用可能性は高いとはいえません。
しかし,AがV車を数日乗り回せば,ガソリンを費消し,タイヤ等の部品も摩耗します。
また,自転車などと異なり,自動車は経済的にも価値が高いと考えられることから,Vの自動車を勝手に使用する行為にはVという権利者を排除する意思が認められ,(不可罰である使用窃盗にはならず)窃盗罪が成立する可能性が認められると考えられます。
~窃盗罪と弁護士による示談活動~
窃盗罪を定める刑法235条は,刑罰として「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処すことができる旨を規定しています。
本件で懲役刑が下されるとは考えにくいところですが,罰金でも懲役刑と同様に前科となることに注意が必要です。
特に本件のようなケースに,さらに交通法規違反などが絡む場合には事態は深刻化する可能性もあります。
まず,何よりも窃盗罪の弁護活動において重要なのが,被害者との示談を成立させることです。
被害弁償等による示談によっては,軽微な窃盗罪は十分に起訴猶予等の不起訴処分を得ることが可能です。
逮捕等を伴わない在宅捜査だからといって,事件を放置することは避けるべきであり,いち早く弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件で警察の取り調べ等を受けられた方は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に まずはお電話ください。
刑事事件専門の弁護士による無料相談など,スタッフが分かりやすくご説明差し上げます。
犯人性の否認
犯人性の否認
犯人性の否認について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
神奈川県秦野市にあるV宅において、深夜2時頃Vの所有するカメラが何者かによって窃取されるという事件が発生した。
Vの供述によると、事件の日、Vは友人であるAと自宅で深夜まで飲酒しており、酔いつぶれたVが朝目覚めると、Aは既にいなくなっており、カメラが無くなっていたとのことだった。
神奈川県秦野警察署は、事件から3日後に令状を取得してAの自宅を捜索したところ、A宅からVの所有していたものと同じ型番のカメラが発見されたことから、後日Aを窃盗罪の容疑で逮捕した。
Aは神奈川県秦野警察署の取調べに対し一貫して犯行を否認しており、「事件の日にV宅を出たのは次の日の仕事が早かったからだ。自宅にあったカメラは友人から貰ったものでV宅から盗んだものではない。カメラをくれた友人の名前はいいたくない」と供述している。
(上記の事例はフィクションです)
~犯人性について~
被疑者が自分の犯行を認めていない場合などには、当該事件おける被疑者が実際に犯行を行ったといえるかという問題が生じます。
このような当該事件の真犯人と被疑者の同一性のことを「犯人性」といい、この犯人性が認められなければ当然ですが被疑者が処罰されることはありません。
犯人性については、被害者や目撃者の供述などの被疑者の犯人性を直接認定し得る直接証拠から認定する場合と、指紋や盗品の所持などの犯人性を間接的に認定し得る間接証拠から認定する場合とがあります。
直接証拠については、それだけで犯人性を認定することが出来る強い証拠ですが、事件によっては直接証拠の存在しないものもあり、そのような場合には間接証拠から被疑者の犯人性を推認させる事実(間接事実)を認定していく必要があります。
上記の事例においては、Aは、VとV宅で深夜まで飲酒しており、そのままVが酔いつぶれて寝てしまっていたことから、Vのカメラを窃取することが容易かつ可能な状況にあったという事実も間接事実として機能することになるといえます。
~近接所持の法理について~
窃盗罪などの財産犯における犯人性を立証する方法として、近接所持の法理があります。
近接所持の法理とは、窃盗の犯行時点と近接した時点において盗品を所持していた者については、その物の入手経路について合理的な説明が出来ない限り、窃盗犯人であると認定することができるという法理をいいます。
これは、窃盗犯人以外の者が、犯行から近接した時点で盗品を取得することは通常考えられないという経験則から導かれる法理です。
上記の事例では、A宅からVの所有していたものと同じ型番のカメラが発見されています。
仮に名前や附属品や傷跡などから、発見されたカメラがV宅から盗まれたカメラと同じものであるといえれば、Aは盗品であるVのカメラを犯行のわずか3日後に所持していたことになります。
また、Aは「自宅にあったカメラは友人から貰ったものだ」と主張していますが、その友人の名前等の具体的な事情の説明をしていない以上、入手経路についての合理的な説明があったとはいえません。
そのため、Aについて盗品の近接時所持が成立しAの犯人性を基礎づける間接事実として機能することが考えられます。
こうした場合にどういった方針で主張をしていくのかは、刑事事件に詳しい弁護士のサポートを受けながら決めることが望ましいでしょう。
もっとも、仮にAがVのカメラを所持していたのが犯行から1ヶ月後であった場合、必ずしも犯行時点と盗品の所持時点が近接しているとはいえず、近接所持の法理の適用が難しくなります。
このような場合には、Aの弁護士としては、Aが盗品であるカメラを他人から譲り受けたという事実を主張してAの無罪を主張することも考えられます。
このように窃盗事件の弁護にあたっては、刑事事件に関する専門知識が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件に強い刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方のご家族は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
不当・違法な取調べへの対処
不当・違法な取調べへの対処
不当・違法な取調べへの対処について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、東京都立川市で起きた空き巣事件の被疑者として、警視庁立川警察署に逮捕されました。
しかし、Aさんとしては、弁護士が来るまで何も話したくないと考えており、黙秘を続けています。
警察官からは「黙秘を続けていると実刑は免れない」、「余罪で再逮捕は当然ある。しばらく出られないだろうが、ちゃんと話せば釈放も視野に入れる」などと告げられ、動揺しています。
また、取調室に入ってくる警察官があえてドアを強く閉めて大きな音を出すなど、威圧的な行動もみられるようです。
Aさんはどうしたらよいのでしょうか。
(フィクションです。)
~弁護士を依頼し、取調べに対処する~
刑事事件において、取調官が自白の獲得を急ぎ、恫喝的、威圧的な取調べを行うことがあります。
不当、違法な取調べの典型例としては、
・被疑者に対する物理的な暴行
・認めれば早く出られるなどと誘惑する
・黙秘するなら一生出られない、家族も逮捕することになるなどと告げる
といったものがあります。
このような取調べは、被疑者に対して大きな負担をかけることになります。
さらには、無実の罪について自白する供述調書にサインしたり、あるいは事実と異なる供述をしてしまうことによって、大変な不利益を被る可能性もあります。
このような不当な取調べを受けた場合、どうすればよいのでしょうか。
まずは弁護士に相談し、捜査機関に対して抗議を行ってもらうことが必要です。
取調官本人や、警察署、検察官に対して違法・不当な取調べを行わないよう抗議します。
直接口頭で抗議するだけでなく、書面を郵送して抗議を行う場合もあります。
抗議を行うことによって、違法・不当な取調べを抑制できることもあります。
その他の違法・不当な取調べへの対応方法として、勾留の場所を留置場から拘置所に移すよう申し立てることが挙げられます。
留置場が警察の施設であるのに対し、拘置所は法務省の施設であるため、捜査機関からは一定の距離を置くことができます。
また、取調べを録画・録音するよう求めることも考えられます。
~自白の任意性を争う~
被疑者が自白した場合、通常、その内容を記載した調書が作成されますが、やってもいない犯罪や、事実と異なる内容について書かれた調書が証拠とされることがあってはなりません。
刑事訴訟法第319条は、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない」としています。
「自白の任意性に疑いがある」とされた裁判例として、
・自白をすれば起訴猶予にする旨の検察官の発言を信じた被疑者が、起訴猶予になることを期待して自白した場合(最高裁昭和41年7月1日判決)
・共犯者は自白したという虚偽の情報を与えて自白させ、その自白を示して共犯者にも自白させた場合(最高裁大法廷昭和45年11月25日判決)
などがあります。
今回のケースにおいて、苛烈な取調べに対し、やむを得ず自白をしてしまった、という場合には、刑事訴訟法第319条により、自白調書の証拠能力を争い得る場合があります。
ただし、裁判所に「自白の任意性に疑いがある」と認めてもらうことは容易ではなく、一度作成されてしまった自白調書を覆すには、とても高いハードルを越えなければなりません。
苛烈な取調べが辛くて、意に反して自白してしまったが、裁判官はわかってくれるだろう、と安易に考えることは禁物です。
まずは不当・違法な取調べを止め、適正な取調べ環境が実現されるよう努めなければなりません。
弁護士は、適正な取調べがなされるよう尽力します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族に対する不当・違法な取調べでお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
万引きと弁護活動
万引きと弁護活動
万引きと弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
東京都港区に住むAさん(70歳)は、同市内のスーパーで食料品を買い物カートにかけていた手提げバックの中に入れ、レジで買い物かごの中に入れていた食料品のみを精算して店外へ出ました。
そうしたところ、Aさんは、Aさんの行動を一部終始見ていた保安員に「支払いがお済みでない商品がありますよね?」「事務所にきてもらえますか?」と言われました。
Aさんは、言われるがまま事務室へ行き、机上に万引きした食料品を出しました。
その約10分後、警視庁愛宕警察署の警察官が事務所に駆け付け、Aさんは警察官とともに警視庁愛宕警察署へ行き事情聴取を受けました。
Aさんは、窃盗罪の前科・前歴が多数あったことから、窃盗罪で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は逮捕の知らせに驚き、刑事事件専門の弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 万引き(窃盗)は立派な犯罪 ~
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
平成30年度版犯罪白書によれば、平成29年度に警察に認知された窃盗罪の事件数中、非侵入窃盗の割合は全体の53.9%(侵入窃盗は11.2%、乗り物窃盗は31.3%)で、そのうち
・万引き 16.5%
・車上・部品狙い 12.5%
・置引き 4.7%
・色情狙い 1.4%
・自動販売機狙い 1.3%
だったとのことでした。
刑法犯自体の認知件数、窃盗犯の認知件数自体は減少しているものの、窃盗犯の中でも「万引き」の認知件数は断トツで一番ということは認識しておくべきでしょう。
また、近年は、高齢者による窃盗の増加が顕著で、単に「物が欲しい」「お金がない」という動機のほか、「話し相手が欲しい」「孤独で辛い」など窃盗、万引きと直接つながらない動機で犯行に及んでいる高齢者がいることも特徴のようです。
~ 窃盗罪の弁護活動 ~
窃盗罪の弁護活動もおおむね他の罪における弁護活動と同様です。
= 早期釈放に向けて =
窃盗事件を起こし逮捕された場合、その後勾留された場合は、逮捕から起算して最大23日間も拘束されることになります。
その後、起訴された場合はさらに身柄拘束は継続します。
こうして身柄拘束が継続すると、身柄拘束による肉体的・精神的に追い込まれることのみならず、社会との関係が切断され、社会活動ができなくなって、事件後の社会復帰が困難となるなど社会的不利益を被るおそれも大きくなります。
こうした事態をできるだけ回避するためにも早期釈放が望まれます。
早期釈放のためには、できる限りはやく弁護士と接見することが必要です。
接見した弁護士は、身柄を拘束された方やその関係者からお話をお聴きし、それを書類にまとめて捜査機関や裁判所に提出するといった形で釈放を目指して活動することになります。
また、場合によっては検察官、裁判官と直接もしくは電話で面談することも考えられます。
= 不起訴に向けて =
刑事処分には大きく起訴と不起訴があります。
起訴されると刑事裁判を受ける必要があります。捜査の際に、捜査機関の呼び出しに応じたのと同様、裁判所からの召喚に応じなければなりません。
また、(正式な)刑事裁判では弁護士はあなたの味方になってくれますが、検察官はもちろん、場合によっては裁判官からも厳しい質問を受けることもあります。
刑事裁判で有罪とされれば、懲役刑、罰金刑を科されます。
裁判が確定すれば前科が付きます。
他方、不起訴処分となれば、こうした不利益を受けることはありません。
精神的にもぐっと楽になるでしょう。
窃盗罪で不起訴処分(起訴猶予)を受けるには、まず、何よりはじめに被害者に謝罪し、その上で示談交渉を行っていく必要があります。
そして、示談交渉の結果を刑事処分を決める検察官に提示して検察官の処分を待つしかありません(刑事処分を決めるのは検察官です)。
ただし、示談交渉は、交渉に慣れた弁護士に任せるのが無難です。
ご自身で行うにも、まず被害者とコンタクトをとることは難しいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
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特殊詐欺における窃盗罪
特殊詐欺における窃盗罪
特殊詐欺における窃盗罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aは,福岡県筑後市において,特殊詐欺(振り込め詐欺)により,被害者がだまし取られたキャッシュカードを使用し,上記被害者の預金口座からATMより現金を複数回引き出していた。
特殊詐欺事件の被害を受けて捜査をしていた福岡県筑後警察署の警察官は,防犯カメラの映像などからAを窃盗罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,特殊詐欺事件や窃盗事件に強いと評判の刑事事件専門の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)
~特殊詐欺と窃盗罪の関係~
本件Aは,いわゆる特殊詐欺(振り込め詐欺,現金受取型の詐欺などの総称)によって,だましとられたキャッシュカードを使い,被害者の口座から現金を引き出しています。
特殊詐欺事件において,こうした役割は「出し子」と呼ばれます。
まず一般の方が直感的に感じるのは,これは詐欺罪なのではないのかということではないでしょうか。
しかし,今回のAは窃盗罪で逮捕されており,詐欺罪では逮捕されていません。
これは,いかなる理由によるものなのでしょうか。
この点,刑法246条1項は「人を欺いて」「財物を交付させた者」を詐欺罪とする旨を定めており,「人」に対する行為にのみ詐欺罪の成立を認めています。
なぜならば,詐欺罪とは,人の意思に基づいて被害物が移転するという,交付罪であることに本質があるからです。
したがって,Aがキャッシュカードにより他人の口座から現金を引き出した行為自体は,振り込め詐欺の被害者の意思に基づく交付とはいえず,詐欺罪ではなく窃盗罪(刑法235条)に問疑されることになります。
刑法典は,「他人の財物を窃取した者」を窃盗罪とする規定を置いており,上記で見た詐欺罪の規定と異なり,客体を「人」に限っていません。
これは,窃盗罪が,詐欺罪とは反対に,被害者の意思に反する財物の移転を処罰する犯罪であり,被害者からの直接の交付を必要としないことによります。
したがって,ここでは,本来口座からの引出し権限を持たないAが,銀行の意思に反して現金を自らに移転させたということが問題となるため,窃盗罪の被害者は銀行だということになります。
そして,上記行為は銀行が設置したATMから「財物」たる現金を「窃取」したといえ,Aの行為には窃盗罪が成立することになります。
また,同銀行との関係では,AがATM設置店に入った行為自体が,建造物の管理者の意思に反する立ち入りとして,建造物侵入罪(130条前段)に当たり得ることにも注意が必要です。
もちろん,特殊詐欺に協力している認識を持ちながらこういった行為をしている場合には窃盗罪だけでなく詐欺罪も成立するため,今回の事例のAの認識次第では,今後詐欺罪での捜査や再逮捕も考えられます。
~出し子に対する弁護士の弁護活動~
この場合に,前提行為たる特殊詐欺(振り込め詐欺等)について,被疑者(本件A)の関与があるのかどうか等が,重要な事実なります。
前述したように,前提行為との共謀等が認められる場合には,窃盗罪のみならず詐欺罪(振り込め詐欺)の罪責も負う可能性があるからです。
起訴するかどうか,あるいはどのような罪で起訴するかどうかについては,基本的に検察官の裁量(起訴便宜主義・起訴独占主義)によるため,弁護士としては,被疑者の行為に対する処分をより軽くするために検察官に対する様々な働きかけを行っていくことが考えられます。
したがって,弁護士としては,Aは出し子として窃盗行為にのみ関与したにすぎないこと,あるいは詐欺に関与している場合には被害者との示談が成立していること等の事情があればそれを主張し,被疑者のための積極的な弁護活動を行っていくことなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺のからむ窃盗事件を含む刑事事件を専門的に取り扱う法律事務所です。
近年,特殊詐欺事件は社会問題と化しており,刑事事件としても重要性を増しています。
また,次々と最高裁判例が出されている分野でもあり,最新の刑事事件に関する知識が不可欠です。
窃盗事件で逮捕された方のご家族等は,365日24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)に お問い合わせください。
専門のスタッフが,お客様のニーズに合わせたサービスをご案内いたしますので,まずはお気軽にお電話ください。
連続自動車窃盗事件を起こし逮捕
連続自動車窃盗事件を起こし逮捕
連続自動車窃盗事件を起こし逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、数人のメンバーで構成される、自動車窃盗集団のリーダー格です。
この自動車窃盗集団は、東京都西多摩郡の駐車場などに停められていた自動車を盗み出し、外国に売るなどして利益を得ていました。
ある日、Aさんの自宅に逮捕状を携えた警視庁青梅警察署の警察官が現れ、Aさんは窃盗罪の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんらの活動拠点にも捜索が入っています。
(フィクションです)
~自動車窃盗事件~
駐車場などに停められている自動車を盗むと、通常、窃盗罪の疑いをかけられると思います。
自動車を盗み出す動機として移動の用に供したかった、などのケースもありますが、Aさんのように、自動車窃盗を遂行するノウハウを整え、公にならないルートで自動車を売り、利益をあげる場合もあります。
高級車などのように、セキュリティが強固な自動車を盗み出すノウハウなども存在し、このような自動車窃盗集団は半ば職業的に窃盗を行っているケースも散見されます。。
このような自動車窃盗事件が管轄で起きると、警察も捜査を開始し、犯人グループの実態解明、犯人の検挙を目指して活動することになります。
ケースの場合は、警察が内偵を重ね、Aさんを逮捕できるだけの資料を集めて、Aさんの逮捕に至ったものと思われます。
~窃盗罪について~
窃盗罪とは、他人の占有する財物を窃取する犯罪であり、裁判で有罪が確定すると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
他人が駐車場に停めている自動車は明らかに「財物」にあたります。
そして、施錠されている自動車のカギを開け、盗み出す行為は「窃取」に該当すると思われます。
したがって、Aさんに窃盗罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~逮捕後どうなるか?~
自動車窃盗事件に限らず、逮捕された後は警察署に引致され、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。
釈放されず、留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
Aさんが連続自動車窃盗事件の被疑者であることを考慮すると、この段階で釈放される可能性は低いと思われます。
送致後は、検察官がAさんを取調べ、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めます。
Aさんの場合では、この段階においても上記と同様の理由で勾留請求がなされる可能性が高いと思われます。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
勾留請求が却下された場合は、釈放されます。
勾留決定がなされた後、やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留されます。
勾留期間の満期までに検察官はAさんを起訴するか、不起訴にするか、処分保留で釈放するかを決めることになります。
もっとも、余罪がある場合、起訴したり釈放したりした後にすぐに再逮捕することもあります。
~Aさんはどうするべきか?~
Aさんが連続自動車窃盗事件の被疑者であると考えられていること、グループで犯行を行っており共犯者が存在すること、疑われ得る余罪が多数あることから、再逮捕が繰り返し行われ、Aさんの身体拘束は長期化する見込みが十分にあります。
まずは、弁護士に依頼し、なるべく早期に留置場や拘置所の外に出られるよう活動するべきでしょう。
弁護士の行う身柄解放活動として、「勾留をさせない活動」、「勾留後、釈放を目指す活動」、「再逮捕を防ぐ活動」、「早期に捜査を終えて起訴させる活動」、「保釈の実現を目指す活動」などが挙げられます。
組織的な事件で捜査中の釈放はなかなか難しいと思われますが、粘り強く、留置場の外で弁護士に活動してもらうことが大切です。
また、被害者と示談を行うことも重要です。
捜査の過程で余罪が明らかになり、多数の窃盗の公訴事実で起訴されると、実刑判決を受ける可能性もありえます。
そのため、できるだけ被害者と示談し、より軽い量刑による判決の獲得を目指すことも重要です。
まずは、接見にやってきた弁護士のアドバイスを聞いて、事件解決の見通しを立てましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースの事件についてもご相談いただけます。
ご家族が連続自動車窃盗事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
京都市山科区で建造物侵入窃盗事件
京都市山科区で建造物侵入窃盗事件
京都市山科区の建造物侵入窃盗事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件】
Aさんは仲間2人と京都市山科区内にある店舗に侵入し,店内にあった金庫を盗みました。
Aさんらの行為はお店に設置された監視カメラに捉えられており,被害届を受けた京都府山科警察署が捜査を開始しました。
現在Aさんらは窃盗罪と建造物侵入罪の容疑で逮捕され取調べを受けています。
(フィクションです。)
【窃盗罪】
Aさんらは店舗内の金庫を盗み出しています。
ここで考えられるのが窃盗罪(刑法第235条)の適用です。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の対象となる財物とは,有体物である動産のことを意味します。
この動産の金銭的ないし経済的価値の有無は問われません。
そして「窃取」とは,占有者の意思に反して財物に対するその占有を排除し,その財物を自己の占有下に移す行為であり,「占有」とは現実に物を支配している状態を意味します。
どのような場合に占有があると認められるかは一概には言えませんが,過去の裁判例では,海中に落した物(最決昭和32・1・24・刑集11巻1号270頁)やバス待合所に一時的に置き忘れたカメラ(最判昭和32・11・8刑集11巻12号3061頁)などで所有者が意識していたり置いた場所をすぐに思い出して取りに戻ったりした場合にはその占有が認められています。
逆に,広大な湖沼に逃げ出した鯉(最決昭和56・2・20刑集35巻1号15頁)や大規模スーパー内の6階で置き忘れたが被害者が思い出して10分後に取りに戻った財布(東京高判平成3・4・1判時1400号128頁)について,その占有を否定した裁判例があります。
以上の裁判例を見ると,裁判所はその物が意識して置いてあるように見えることを重視して占有の有無を認定しているといえます。
具体的には以下のようなものを基準としていると考えられます。
①場所
自宅や自己の管理する場所内か,一般に人がその物を意識して置く場所かなど
②物自体の特性
忘れやすい物か,高価な物か,大きいか等
今回のケースについて考えると,たとえ店舗が無人であっても,店舗が誰かの管理下にある状態である場合,店舗内の物は管理者の占有下にあると判断されることになると思われます。
よって,他人の占有下にある金庫を盗み出したAさんらの行為は窃盗罪に問われる可能性が非常に高いです。
【建造物侵入罪】
窃盗罪に加え,今回のAさんらについては建造物侵入罪に問われる可能性もあります。
建造物侵入罪は住居侵入等罪として刑法第130条前段に規定されています。
刑法第130条
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し…た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
「人の看守する」とは,管理人や監視人がいたり,鍵がかけられているなど,現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。
また,「侵入」とは,住居権者またはその委任を受けた看守者等の意思(推定的意思を含む)に反して,住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠しての住居権者等の承諾を得た場合も,真意に基づく承諾ではないため建造物侵入罪の成立が認められています。
【建造物侵入窃盗事件の弁護活動】
まず,Aさんらは逮捕されてしまっているため,早期の身体拘束状態からの解放を目指すことが考えられます。
逮捕やそれに続く勾留は,逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあることが条件となっています。
なので,これらのおそれがないことを示すことで勾留状請求や延長を阻止することが期待できます。
また,窃盗事件の場合,被害者に対して盗品を返還したり損害を賠償することなどによって示談を成立させることで,不起訴処分や執行猶予の獲得を狙える場合が多くあります。
示談についても弁護士を介して行うことでより円滑に交渉を進めることが期待でき,依頼者様の希望に沿う結果を得られる可能性を高めることができます。
窃盗事件や建造物侵入事件の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が京都府山科警察署に逮捕されてお困りの方はお早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
神戸市垂水区の不動産侵奪事件
神戸市垂水区の不動産侵奪事件
神戸市垂水区の不動産侵奪事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件】
Aさんは神戸市垂水区に所在する,市が所有している開発予定の空き地に簡易住宅を建設し居住を開始しました。
この簡易住宅は角材同士を釘で接合し,ベニヤ板を外壁とし,トタン屋根を釘付けしたもので,柱となる角材と土地とは固定されていませんでした。
パトロール中の兵庫県垂水警察署の警察官が簡易住宅に入ろうとしていたAさんに対し職務質問をし,Aさんは事情聴取のため兵庫県垂水警察署に同行することになりました。
(フィクションです)
【不動産侵奪罪】
他人の物を盗むと窃盗罪(刑法第235条)となりますが,それが他人の不動産であった場合は不動産侵奪罪(刑法第235条の2)という犯罪になります。
刑法第235条の2
他人の不動産を侵奪した者は,10年以下の懲役に処する。
「他人の」というのは他人の占有が及んでいるということを意味します。
もう少し具体的には,他人の事実上の支配下にあることをいいます。
そして不動産侵奪罪の対象である「不動産」とは,土地と建物(民法第86条第1項)のことをいいます。
不動産侵奪罪は窃盗罪とその客体が異なるだけで,残りの成立要件は変わりません。
「侵奪」とは,窃盗罪における「窃取」と同じく他人の占有を排除して自己または第三者の占有を設定することをいいます。
この占有とはあくまで事実上の支配関係を意味しますので,例えば不動産登記を無断で行ったとしても,無断で登記をした人がその不動産を占有していなければ不動産侵奪罪にはあたりません。
ただし,登記名義を勝手に変更したことによって公正証書原本等不実記載罪(刑法第157条)などの罪に問われる可能性があります。
また,主観的要素として不法領得の意思が必要とされる点も窃盗罪と共通しています。
不法領得の意思とは,権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に利用しまたは処分する意思ないし目的をいいます。
それでは,どのような場合に不動産の侵奪があったとされるのでしょう。
裁判所は,侵奪行為に当たるかどうかは,具体的事案に応じて,不動産の種類,占有侵害の方法,態様,占有期間の長短,原状回復の難易,占有排除及び占有設定の意思の強弱,相手方に与えた損害の有無などを総合的に判断し,社会通念に従って決定すべきとしています。
客体となった不動産が現在利用されていた場合や,占有侵害の方法・態様が重かったり,占有期間が長期に及んでいたあるいは及ぶであろうことが当然に予想される場合,原状回復が困難であった場合,占有排除意思が強かった場合などは侵奪行為に当たるとされる可能性が高くなります。
今回の事件では,Aさんは市が所有している空き地に簡易住宅を建てています。
空き地であっても市の開発予定地であることから市の占有下にある土地であることがうかがわれます。
建てられた簡易住宅にAさんが居住を始めていることから,もし不動産侵奪罪の被疑事実で捜査や起訴をされてしまった場合は,市による土地利用を妨げる占有侵害は長期に及ぶことが予想されるほか,Aさんの占有設定意思は強いものと検察や裁判所に認定される可能性は十分に考えられます。
しかし,この簡易住宅は角材とベニヤ板およびトタン板のみを素材とするとても簡素なもので,土地に接合されていない点も含めて原状回復が容易であると主張できます。
また,事案の概要からは明らかではありませんが,簡易住宅に利用された土地面積が狭ければそれも主張することでAさんの行為が不動産侵奪罪にいう侵奪といえるほどの強度がなく,また当罰性が低いと主張することもできそうです。
不動産侵奪罪の被疑者となってしまっても,被害者との示談を成立させることにより不起訴処分や執行猶予となる可能性を高めることができます。
刑事事件に強い弁護士に依頼することによって依頼者により有利な条件で示談を成立させることが期待できます。
否認される場合であっても,Aさんのケースのように侵奪の程度が低いことを主張するほか,不法領得の意思がないことを主張することによっても嫌疑不十分による不起訴や無罪判決を狙うことはできます。
被疑事実を認めるにせよ,否認するにせよ,早期から弁護活動を始めなければ依頼者の期待に応えた結果を得られる可能性は下がっていってしまいます。
不動産侵奪罪の被疑者となってしまった方,兵庫県垂水警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。