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他人の車の無断使用と窃盗罪の成否
他人の車の無断使用と窃盗罪の成否
他人の車の無断使用と窃盗罪の成否について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
AとVは,顔見知り程度の関係であったが,大阪府豊中市にあるA宅で友人数人と飲食を共にした。
酒を飲んだVは,今日は電車で帰り後日車を取りに来る旨告げて,A宅の近くに自車を残していった。
Vは,車の鍵等をA宅に置き忘れており,これをいいことにAはVが車を引き上げに来るまでの間,置き忘れた鍵を使ってV車を無断で乗り回していた。
後日,車を引き上げたVは上記事実に気づき,大阪府豊中警察署に相談した。
相談を受けた大阪府豊中警察署の警察官は,Aを窃盗罪の疑いで取り調べることにした。
Aは,窃盗事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~他人の車を勝手に乗り回すのは窃盗罪?~
他人の自動車を勝手に乗り回したくらいでは,刑事事件になるとまでは思わないのが通常の感覚かもしれません。
しかし,本件のようなケースにおいては窃盗罪が十分に成立し得るのです。
以下,まずは条文に沿って解説いたします。
刑法235条は,「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪」とすることを定めています。
この点,Aが勝手にVの車を乗り回す行為は,Vの車という「他人の財物」を,占有者であるVの意思に反してその占有をAに移転させるという「窃取」行為であることは明らかでしょう。
もっとも,上記の明文の要件を満たしただけでは窃盗罪は成立しないことに注意が必要です。
本件のようなケースにおいて問題となるのは,条文に書かれていない要件である「不法領得の意思」があるかどうかなのです。
窃盗罪のような財産犯においては,犯罪にあたる行為の認識(故意)の他に,判例上も,「①権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に②その経済的用法に従いこれを利用しまたは処分しようとする意思」が必要だとされています。
本件では②が認められることは比較的明らかですが,①の権利者排除意思が認められるかがポイントとなります。
この点Aは,後日Vが車を引き上げに来ることを認識しており,Vの車を自分のものにしようとしたわけではありませんし,VはA宅近くに自車を置いたままにしておりその利用可能性は高いとはいえません。
しかし,AがV車を数日乗り回せば,ガソリンを費消し,タイヤ等の部品も摩耗します。
また,自転車などと異なり,自動車は経済的にも価値が高いと考えられることから,Vの自動車を勝手に使用する行為にはVという権利者を排除する意思が認められ,(不可罰である使用窃盗にはならず)窃盗罪が成立する可能性が認められると考えられます。
~窃盗罪と弁護士による示談活動~
窃盗罪を定める刑法235条は,刑罰として「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処すことができる旨を規定しています。
本件で懲役刑が下されるとは考えにくいところですが,罰金でも懲役刑と同様に前科となることに注意が必要です。
特に本件のようなケースに,さらに交通法規違反などが絡む場合には事態は深刻化する可能性もあります。
まず,何よりも窃盗罪の弁護活動において重要なのが,被害者との示談を成立させることです。
被害弁償等による示談によっては,軽微な窃盗罪は十分に起訴猶予等の不起訴処分を得ることが可能です。
逮捕等を伴わない在宅捜査だからといって,事件を放置することは避けるべきであり,いち早く弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件で警察の取り調べ等を受けられた方は,年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に まずはお電話ください。
刑事事件専門の弁護士による無料相談など,スタッフが分かりやすくご説明差し上げます。
犯人性の否認
犯人性の否認
犯人性の否認について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
神奈川県秦野市にあるV宅において、深夜2時頃Vの所有するカメラが何者かによって窃取されるという事件が発生した。
Vの供述によると、事件の日、Vは友人であるAと自宅で深夜まで飲酒しており、酔いつぶれたVが朝目覚めると、Aは既にいなくなっており、カメラが無くなっていたとのことだった。
神奈川県秦野警察署は、事件から3日後に令状を取得してAの自宅を捜索したところ、A宅からVの所有していたものと同じ型番のカメラが発見されたことから、後日Aを窃盗罪の容疑で逮捕した。
Aは神奈川県秦野警察署の取調べに対し一貫して犯行を否認しており、「事件の日にV宅を出たのは次の日の仕事が早かったからだ。自宅にあったカメラは友人から貰ったものでV宅から盗んだものではない。カメラをくれた友人の名前はいいたくない」と供述している。
(上記の事例はフィクションです)
~犯人性について~
被疑者が自分の犯行を認めていない場合などには、当該事件おける被疑者が実際に犯行を行ったといえるかという問題が生じます。
このような当該事件の真犯人と被疑者の同一性のことを「犯人性」といい、この犯人性が認められなければ当然ですが被疑者が処罰されることはありません。
犯人性については、被害者や目撃者の供述などの被疑者の犯人性を直接認定し得る直接証拠から認定する場合と、指紋や盗品の所持などの犯人性を間接的に認定し得る間接証拠から認定する場合とがあります。
直接証拠については、それだけで犯人性を認定することが出来る強い証拠ですが、事件によっては直接証拠の存在しないものもあり、そのような場合には間接証拠から被疑者の犯人性を推認させる事実(間接事実)を認定していく必要があります。
上記の事例においては、Aは、VとV宅で深夜まで飲酒しており、そのままVが酔いつぶれて寝てしまっていたことから、Vのカメラを窃取することが容易かつ可能な状況にあったという事実も間接事実として機能することになるといえます。
~近接所持の法理について~
窃盗罪などの財産犯における犯人性を立証する方法として、近接所持の法理があります。
近接所持の法理とは、窃盗の犯行時点と近接した時点において盗品を所持していた者については、その物の入手経路について合理的な説明が出来ない限り、窃盗犯人であると認定することができるという法理をいいます。
これは、窃盗犯人以外の者が、犯行から近接した時点で盗品を取得することは通常考えられないという経験則から導かれる法理です。
上記の事例では、A宅からVの所有していたものと同じ型番のカメラが発見されています。
仮に名前や附属品や傷跡などから、発見されたカメラがV宅から盗まれたカメラと同じものであるといえれば、Aは盗品であるVのカメラを犯行のわずか3日後に所持していたことになります。
また、Aは「自宅にあったカメラは友人から貰ったものだ」と主張していますが、その友人の名前等の具体的な事情の説明をしていない以上、入手経路についての合理的な説明があったとはいえません。
そのため、Aについて盗品の近接時所持が成立しAの犯人性を基礎づける間接事実として機能することが考えられます。
こうした場合にどういった方針で主張をしていくのかは、刑事事件に詳しい弁護士のサポートを受けながら決めることが望ましいでしょう。
もっとも、仮にAがVのカメラを所持していたのが犯行から1ヶ月後であった場合、必ずしも犯行時点と盗品の所持時点が近接しているとはいえず、近接所持の法理の適用が難しくなります。
このような場合には、Aの弁護士としては、Aが盗品であるカメラを他人から譲り受けたという事実を主張してAの無罪を主張することも考えられます。
このように窃盗事件の弁護にあたっては、刑事事件に関する専門知識が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件に強い刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方のご家族は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
不当・違法な取調べへの対処
不当・違法な取調べへの対処
不当・違法な取調べへの対処について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、東京都立川市で起きた空き巣事件の被疑者として、警視庁立川警察署に逮捕されました。
しかし、Aさんとしては、弁護士が来るまで何も話したくないと考えており、黙秘を続けています。
警察官からは「黙秘を続けていると実刑は免れない」、「余罪で再逮捕は当然ある。しばらく出られないだろうが、ちゃんと話せば釈放も視野に入れる」などと告げられ、動揺しています。
また、取調室に入ってくる警察官があえてドアを強く閉めて大きな音を出すなど、威圧的な行動もみられるようです。
Aさんはどうしたらよいのでしょうか。
(フィクションです。)
~弁護士を依頼し、取調べに対処する~
刑事事件において、取調官が自白の獲得を急ぎ、恫喝的、威圧的な取調べを行うことがあります。
不当、違法な取調べの典型例としては、
・被疑者に対する物理的な暴行
・認めれば早く出られるなどと誘惑する
・黙秘するなら一生出られない、家族も逮捕することになるなどと告げる
といったものがあります。
このような取調べは、被疑者に対して大きな負担をかけることになります。
さらには、無実の罪について自白する供述調書にサインしたり、あるいは事実と異なる供述をしてしまうことによって、大変な不利益を被る可能性もあります。
このような不当な取調べを受けた場合、どうすればよいのでしょうか。
まずは弁護士に相談し、捜査機関に対して抗議を行ってもらうことが必要です。
取調官本人や、警察署、検察官に対して違法・不当な取調べを行わないよう抗議します。
直接口頭で抗議するだけでなく、書面を郵送して抗議を行う場合もあります。
抗議を行うことによって、違法・不当な取調べを抑制できることもあります。
その他の違法・不当な取調べへの対応方法として、勾留の場所を留置場から拘置所に移すよう申し立てることが挙げられます。
留置場が警察の施設であるのに対し、拘置所は法務省の施設であるため、捜査機関からは一定の距離を置くことができます。
また、取調べを録画・録音するよう求めることも考えられます。
~自白の任意性を争う~
被疑者が自白した場合、通常、その内容を記載した調書が作成されますが、やってもいない犯罪や、事実と異なる内容について書かれた調書が証拠とされることがあってはなりません。
刑事訴訟法第319条は、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない」としています。
「自白の任意性に疑いがある」とされた裁判例として、
・自白をすれば起訴猶予にする旨の検察官の発言を信じた被疑者が、起訴猶予になることを期待して自白した場合(最高裁昭和41年7月1日判決)
・共犯者は自白したという虚偽の情報を与えて自白させ、その自白を示して共犯者にも自白させた場合(最高裁大法廷昭和45年11月25日判決)
などがあります。
今回のケースにおいて、苛烈な取調べに対し、やむを得ず自白をしてしまった、という場合には、刑事訴訟法第319条により、自白調書の証拠能力を争い得る場合があります。
ただし、裁判所に「自白の任意性に疑いがある」と認めてもらうことは容易ではなく、一度作成されてしまった自白調書を覆すには、とても高いハードルを越えなければなりません。
苛烈な取調べが辛くて、意に反して自白してしまったが、裁判官はわかってくれるだろう、と安易に考えることは禁物です。
まずは不当・違法な取調べを止め、適正な取調べ環境が実現されるよう努めなければなりません。
弁護士は、適正な取調べがなされるよう尽力します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族に対する不当・違法な取調べでお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
万引きと弁護活動
万引きと弁護活動
万引きと弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
東京都港区に住むAさん(70歳)は、同市内のスーパーで食料品を買い物カートにかけていた手提げバックの中に入れ、レジで買い物かごの中に入れていた食料品のみを精算して店外へ出ました。
そうしたところ、Aさんは、Aさんの行動を一部終始見ていた保安員に「支払いがお済みでない商品がありますよね?」「事務所にきてもらえますか?」と言われました。
Aさんは、言われるがまま事務室へ行き、机上に万引きした食料品を出しました。
その約10分後、警視庁愛宕警察署の警察官が事務所に駆け付け、Aさんは警察官とともに警視庁愛宕警察署へ行き事情聴取を受けました。
Aさんは、窃盗罪の前科・前歴が多数あったことから、窃盗罪で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は逮捕の知らせに驚き、刑事事件専門の弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 万引き(窃盗)は立派な犯罪 ~
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
平成30年度版犯罪白書によれば、平成29年度に警察に認知された窃盗罪の事件数中、非侵入窃盗の割合は全体の53.9%(侵入窃盗は11.2%、乗り物窃盗は31.3%)で、そのうち
・万引き 16.5%
・車上・部品狙い 12.5%
・置引き 4.7%
・色情狙い 1.4%
・自動販売機狙い 1.3%
だったとのことでした。
刑法犯自体の認知件数、窃盗犯の認知件数自体は減少しているものの、窃盗犯の中でも「万引き」の認知件数は断トツで一番ということは認識しておくべきでしょう。
また、近年は、高齢者による窃盗の増加が顕著で、単に「物が欲しい」「お金がない」という動機のほか、「話し相手が欲しい」「孤独で辛い」など窃盗、万引きと直接つながらない動機で犯行に及んでいる高齢者がいることも特徴のようです。
~ 窃盗罪の弁護活動 ~
窃盗罪の弁護活動もおおむね他の罪における弁護活動と同様です。
= 早期釈放に向けて =
窃盗事件を起こし逮捕された場合、その後勾留された場合は、逮捕から起算して最大23日間も拘束されることになります。
その後、起訴された場合はさらに身柄拘束は継続します。
こうして身柄拘束が継続すると、身柄拘束による肉体的・精神的に追い込まれることのみならず、社会との関係が切断され、社会活動ができなくなって、事件後の社会復帰が困難となるなど社会的不利益を被るおそれも大きくなります。
こうした事態をできるだけ回避するためにも早期釈放が望まれます。
早期釈放のためには、できる限りはやく弁護士と接見することが必要です。
接見した弁護士は、身柄を拘束された方やその関係者からお話をお聴きし、それを書類にまとめて捜査機関や裁判所に提出するといった形で釈放を目指して活動することになります。
また、場合によっては検察官、裁判官と直接もしくは電話で面談することも考えられます。
= 不起訴に向けて =
刑事処分には大きく起訴と不起訴があります。
起訴されると刑事裁判を受ける必要があります。捜査の際に、捜査機関の呼び出しに応じたのと同様、裁判所からの召喚に応じなければなりません。
また、(正式な)刑事裁判では弁護士はあなたの味方になってくれますが、検察官はもちろん、場合によっては裁判官からも厳しい質問を受けることもあります。
刑事裁判で有罪とされれば、懲役刑、罰金刑を科されます。
裁判が確定すれば前科が付きます。
他方、不起訴処分となれば、こうした不利益を受けることはありません。
精神的にもぐっと楽になるでしょう。
窃盗罪で不起訴処分(起訴猶予)を受けるには、まず、何よりはじめに被害者に謝罪し、その上で示談交渉を行っていく必要があります。
そして、示談交渉の結果を刑事処分を決める検察官に提示して検察官の処分を待つしかありません(刑事処分を決めるのは検察官です)。
ただし、示談交渉は、交渉に慣れた弁護士に任せるのが無難です。
ご自身で行うにも、まず被害者とコンタクトをとることは難しいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
特殊詐欺における窃盗罪
特殊詐欺における窃盗罪
特殊詐欺における窃盗罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aは,福岡県筑後市において,特殊詐欺(振り込め詐欺)により,被害者がだまし取られたキャッシュカードを使用し,上記被害者の預金口座からATMより現金を複数回引き出していた。
特殊詐欺事件の被害を受けて捜査をしていた福岡県筑後警察署の警察官は,防犯カメラの映像などからAを窃盗罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,特殊詐欺事件や窃盗事件に強いと評判の刑事事件専門の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)
~特殊詐欺と窃盗罪の関係~
本件Aは,いわゆる特殊詐欺(振り込め詐欺,現金受取型の詐欺などの総称)によって,だましとられたキャッシュカードを使い,被害者の口座から現金を引き出しています。
特殊詐欺事件において,こうした役割は「出し子」と呼ばれます。
まず一般の方が直感的に感じるのは,これは詐欺罪なのではないのかということではないでしょうか。
しかし,今回のAは窃盗罪で逮捕されており,詐欺罪では逮捕されていません。
これは,いかなる理由によるものなのでしょうか。
この点,刑法246条1項は「人を欺いて」「財物を交付させた者」を詐欺罪とする旨を定めており,「人」に対する行為にのみ詐欺罪の成立を認めています。
なぜならば,詐欺罪とは,人の意思に基づいて被害物が移転するという,交付罪であることに本質があるからです。
したがって,Aがキャッシュカードにより他人の口座から現金を引き出した行為自体は,振り込め詐欺の被害者の意思に基づく交付とはいえず,詐欺罪ではなく窃盗罪(刑法235条)に問疑されることになります。
刑法典は,「他人の財物を窃取した者」を窃盗罪とする規定を置いており,上記で見た詐欺罪の規定と異なり,客体を「人」に限っていません。
これは,窃盗罪が,詐欺罪とは反対に,被害者の意思に反する財物の移転を処罰する犯罪であり,被害者からの直接の交付を必要としないことによります。
したがって,ここでは,本来口座からの引出し権限を持たないAが,銀行の意思に反して現金を自らに移転させたということが問題となるため,窃盗罪の被害者は銀行だということになります。
そして,上記行為は銀行が設置したATMから「財物」たる現金を「窃取」したといえ,Aの行為には窃盗罪が成立することになります。
また,同銀行との関係では,AがATM設置店に入った行為自体が,建造物の管理者の意思に反する立ち入りとして,建造物侵入罪(130条前段)に当たり得ることにも注意が必要です。
もちろん,特殊詐欺に協力している認識を持ちながらこういった行為をしている場合には窃盗罪だけでなく詐欺罪も成立するため,今回の事例のAの認識次第では,今後詐欺罪での捜査や再逮捕も考えられます。
~出し子に対する弁護士の弁護活動~
この場合に,前提行為たる特殊詐欺(振り込め詐欺等)について,被疑者(本件A)の関与があるのかどうか等が,重要な事実なります。
前述したように,前提行為との共謀等が認められる場合には,窃盗罪のみならず詐欺罪(振り込め詐欺)の罪責も負う可能性があるからです。
起訴するかどうか,あるいはどのような罪で起訴するかどうかについては,基本的に検察官の裁量(起訴便宜主義・起訴独占主義)によるため,弁護士としては,被疑者の行為に対する処分をより軽くするために検察官に対する様々な働きかけを行っていくことが考えられます。
したがって,弁護士としては,Aは出し子として窃盗行為にのみ関与したにすぎないこと,あるいは詐欺に関与している場合には被害者との示談が成立していること等の事情があればそれを主張し,被疑者のための積極的な弁護活動を行っていくことなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,特殊詐欺のからむ窃盗事件を含む刑事事件を専門的に取り扱う法律事務所です。
近年,特殊詐欺事件は社会問題と化しており,刑事事件としても重要性を増しています。
また,次々と最高裁判例が出されている分野でもあり,最新の刑事事件に関する知識が不可欠です。
窃盗事件で逮捕された方のご家族等は,365日24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)に お問い合わせください。
専門のスタッフが,お客様のニーズに合わせたサービスをご案内いたしますので,まずはお気軽にお電話ください。
連続自動車窃盗事件を起こし逮捕
連続自動車窃盗事件を起こし逮捕
連続自動車窃盗事件を起こし逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、数人のメンバーで構成される、自動車窃盗集団のリーダー格です。
この自動車窃盗集団は、東京都西多摩郡の駐車場などに停められていた自動車を盗み出し、外国に売るなどして利益を得ていました。
ある日、Aさんの自宅に逮捕状を携えた警視庁青梅警察署の警察官が現れ、Aさんは窃盗罪の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんらの活動拠点にも捜索が入っています。
(フィクションです)
~自動車窃盗事件~
駐車場などに停められている自動車を盗むと、通常、窃盗罪の疑いをかけられると思います。
自動車を盗み出す動機として移動の用に供したかった、などのケースもありますが、Aさんのように、自動車窃盗を遂行するノウハウを整え、公にならないルートで自動車を売り、利益をあげる場合もあります。
高級車などのように、セキュリティが強固な自動車を盗み出すノウハウなども存在し、このような自動車窃盗集団は半ば職業的に窃盗を行っているケースも散見されます。。
このような自動車窃盗事件が管轄で起きると、警察も捜査を開始し、犯人グループの実態解明、犯人の検挙を目指して活動することになります。
ケースの場合は、警察が内偵を重ね、Aさんを逮捕できるだけの資料を集めて、Aさんの逮捕に至ったものと思われます。
~窃盗罪について~
窃盗罪とは、他人の占有する財物を窃取する犯罪であり、裁判で有罪が確定すると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
他人が駐車場に停めている自動車は明らかに「財物」にあたります。
そして、施錠されている自動車のカギを開け、盗み出す行為は「窃取」に該当すると思われます。
したがって、Aさんに窃盗罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~逮捕後どうなるか?~
自動車窃盗事件に限らず、逮捕された後は警察署に引致され、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。
釈放されず、留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
Aさんが連続自動車窃盗事件の被疑者であることを考慮すると、この段階で釈放される可能性は低いと思われます。
送致後は、検察官がAさんを取調べ、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めます。
Aさんの場合では、この段階においても上記と同様の理由で勾留請求がなされる可能性が高いと思われます。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
勾留請求が却下された場合は、釈放されます。
勾留決定がなされた後、やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留されます。
勾留期間の満期までに検察官はAさんを起訴するか、不起訴にするか、処分保留で釈放するかを決めることになります。
もっとも、余罪がある場合、起訴したり釈放したりした後にすぐに再逮捕することもあります。
~Aさんはどうするべきか?~
Aさんが連続自動車窃盗事件の被疑者であると考えられていること、グループで犯行を行っており共犯者が存在すること、疑われ得る余罪が多数あることから、再逮捕が繰り返し行われ、Aさんの身体拘束は長期化する見込みが十分にあります。
まずは、弁護士に依頼し、なるべく早期に留置場や拘置所の外に出られるよう活動するべきでしょう。
弁護士の行う身柄解放活動として、「勾留をさせない活動」、「勾留後、釈放を目指す活動」、「再逮捕を防ぐ活動」、「早期に捜査を終えて起訴させる活動」、「保釈の実現を目指す活動」などが挙げられます。
組織的な事件で捜査中の釈放はなかなか難しいと思われますが、粘り強く、留置場の外で弁護士に活動してもらうことが大切です。
また、被害者と示談を行うことも重要です。
捜査の過程で余罪が明らかになり、多数の窃盗の公訴事実で起訴されると、実刑判決を受ける可能性もありえます。
そのため、できるだけ被害者と示談し、より軽い量刑による判決の獲得を目指すことも重要です。
まずは、接見にやってきた弁護士のアドバイスを聞いて、事件解決の見通しを立てましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースの事件についてもご相談いただけます。
ご家族が連続自動車窃盗事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
京都市山科区で建造物侵入窃盗事件
京都市山科区で建造物侵入窃盗事件
京都市山科区の建造物侵入窃盗事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件】
Aさんは仲間2人と京都市山科区内にある店舗に侵入し,店内にあった金庫を盗みました。
Aさんらの行為はお店に設置された監視カメラに捉えられており,被害届を受けた京都府山科警察署が捜査を開始しました。
現在Aさんらは窃盗罪と建造物侵入罪の容疑で逮捕され取調べを受けています。
(フィクションです。)
【窃盗罪】
Aさんらは店舗内の金庫を盗み出しています。
ここで考えられるのが窃盗罪(刑法第235条)の適用です。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪の対象となる財物とは,有体物である動産のことを意味します。
この動産の金銭的ないし経済的価値の有無は問われません。
そして「窃取」とは,占有者の意思に反して財物に対するその占有を排除し,その財物を自己の占有下に移す行為であり,「占有」とは現実に物を支配している状態を意味します。
どのような場合に占有があると認められるかは一概には言えませんが,過去の裁判例では,海中に落した物(最決昭和32・1・24・刑集11巻1号270頁)やバス待合所に一時的に置き忘れたカメラ(最判昭和32・11・8刑集11巻12号3061頁)などで所有者が意識していたり置いた場所をすぐに思い出して取りに戻ったりした場合にはその占有が認められています。
逆に,広大な湖沼に逃げ出した鯉(最決昭和56・2・20刑集35巻1号15頁)や大規模スーパー内の6階で置き忘れたが被害者が思い出して10分後に取りに戻った財布(東京高判平成3・4・1判時1400号128頁)について,その占有を否定した裁判例があります。
以上の裁判例を見ると,裁判所はその物が意識して置いてあるように見えることを重視して占有の有無を認定しているといえます。
具体的には以下のようなものを基準としていると考えられます。
①場所
自宅や自己の管理する場所内か,一般に人がその物を意識して置く場所かなど
②物自体の特性
忘れやすい物か,高価な物か,大きいか等
今回のケースについて考えると,たとえ店舗が無人であっても,店舗が誰かの管理下にある状態である場合,店舗内の物は管理者の占有下にあると判断されることになると思われます。
よって,他人の占有下にある金庫を盗み出したAさんらの行為は窃盗罪に問われる可能性が非常に高いです。
【建造物侵入罪】
窃盗罪に加え,今回のAさんらについては建造物侵入罪に問われる可能性もあります。
建造物侵入罪は住居侵入等罪として刑法第130条前段に規定されています。
刑法第130条
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し…た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
「人の看守する」とは,管理人や監視人がいたり,鍵がかけられているなど,現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。
また,「侵入」とは,住居権者またはその委任を受けた看守者等の意思(推定的意思を含む)に反して,住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠しての住居権者等の承諾を得た場合も,真意に基づく承諾ではないため建造物侵入罪の成立が認められています。
【建造物侵入窃盗事件の弁護活動】
まず,Aさんらは逮捕されてしまっているため,早期の身体拘束状態からの解放を目指すことが考えられます。
逮捕やそれに続く勾留は,逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあることが条件となっています。
なので,これらのおそれがないことを示すことで勾留状請求や延長を阻止することが期待できます。
また,窃盗事件の場合,被害者に対して盗品を返還したり損害を賠償することなどによって示談を成立させることで,不起訴処分や執行猶予の獲得を狙える場合が多くあります。
示談についても弁護士を介して行うことでより円滑に交渉を進めることが期待でき,依頼者様の希望に沿う結果を得られる可能性を高めることができます。
窃盗事件や建造物侵入事件の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が京都府山科警察署に逮捕されてお困りの方はお早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
神戸市垂水区の不動産侵奪事件
神戸市垂水区の不動産侵奪事件
神戸市垂水区の不動産侵奪事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件】
Aさんは神戸市垂水区に所在する,市が所有している開発予定の空き地に簡易住宅を建設し居住を開始しました。
この簡易住宅は角材同士を釘で接合し,ベニヤ板を外壁とし,トタン屋根を釘付けしたもので,柱となる角材と土地とは固定されていませんでした。
パトロール中の兵庫県垂水警察署の警察官が簡易住宅に入ろうとしていたAさんに対し職務質問をし,Aさんは事情聴取のため兵庫県垂水警察署に同行することになりました。
(フィクションです)
【不動産侵奪罪】
他人の物を盗むと窃盗罪(刑法第235条)となりますが,それが他人の不動産であった場合は不動産侵奪罪(刑法第235条の2)という犯罪になります。
刑法第235条の2
他人の不動産を侵奪した者は,10年以下の懲役に処する。
「他人の」というのは他人の占有が及んでいるということを意味します。
もう少し具体的には,他人の事実上の支配下にあることをいいます。
そして不動産侵奪罪の対象である「不動産」とは,土地と建物(民法第86条第1項)のことをいいます。
不動産侵奪罪は窃盗罪とその客体が異なるだけで,残りの成立要件は変わりません。
「侵奪」とは,窃盗罪における「窃取」と同じく他人の占有を排除して自己または第三者の占有を設定することをいいます。
この占有とはあくまで事実上の支配関係を意味しますので,例えば不動産登記を無断で行ったとしても,無断で登記をした人がその不動産を占有していなければ不動産侵奪罪にはあたりません。
ただし,登記名義を勝手に変更したことによって公正証書原本等不実記載罪(刑法第157条)などの罪に問われる可能性があります。
また,主観的要素として不法領得の意思が必要とされる点も窃盗罪と共通しています。
不法領得の意思とは,権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に利用しまたは処分する意思ないし目的をいいます。
それでは,どのような場合に不動産の侵奪があったとされるのでしょう。
裁判所は,侵奪行為に当たるかどうかは,具体的事案に応じて,不動産の種類,占有侵害の方法,態様,占有期間の長短,原状回復の難易,占有排除及び占有設定の意思の強弱,相手方に与えた損害の有無などを総合的に判断し,社会通念に従って決定すべきとしています。
客体となった不動産が現在利用されていた場合や,占有侵害の方法・態様が重かったり,占有期間が長期に及んでいたあるいは及ぶであろうことが当然に予想される場合,原状回復が困難であった場合,占有排除意思が強かった場合などは侵奪行為に当たるとされる可能性が高くなります。
今回の事件では,Aさんは市が所有している空き地に簡易住宅を建てています。
空き地であっても市の開発予定地であることから市の占有下にある土地であることがうかがわれます。
建てられた簡易住宅にAさんが居住を始めていることから,もし不動産侵奪罪の被疑事実で捜査や起訴をされてしまった場合は,市による土地利用を妨げる占有侵害は長期に及ぶことが予想されるほか,Aさんの占有設定意思は強いものと検察や裁判所に認定される可能性は十分に考えられます。
しかし,この簡易住宅は角材とベニヤ板およびトタン板のみを素材とするとても簡素なもので,土地に接合されていない点も含めて原状回復が容易であると主張できます。
また,事案の概要からは明らかではありませんが,簡易住宅に利用された土地面積が狭ければそれも主張することでAさんの行為が不動産侵奪罪にいう侵奪といえるほどの強度がなく,また当罰性が低いと主張することもできそうです。
不動産侵奪罪の被疑者となってしまっても,被害者との示談を成立させることにより不起訴処分や執行猶予となる可能性を高めることができます。
刑事事件に強い弁護士に依頼することによって依頼者により有利な条件で示談を成立させることが期待できます。
否認される場合であっても,Aさんのケースのように侵奪の程度が低いことを主張するほか,不法領得の意思がないことを主張することによっても嫌疑不十分による不起訴や無罪判決を狙うことはできます。
被疑事実を認めるにせよ,否認するにせよ,早期から弁護活動を始めなければ依頼者の期待に応えた結果を得られる可能性は下がっていってしまいます。
不動産侵奪罪の被疑者となってしまった方,兵庫県垂水警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
営業秘密の書かれた書類を持ち出したら
営業秘密の書かれた書類を持ち出したら
営業秘密の書かれた書類の持ち出し事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、さいたま市大宮区にある、食品Xを主力商品とする食品販売会社Bに、営業部の社員として勤務している。
食品Xは、そのレシピが公開されておらず、レシピが書かれた書類は商品開発部において管理されていた。
Aさんは、B社の競業他社に勤める友人のCさんから「食品Xのレシピの書かれた書類を持ってきてくれたら300万円を渡す」といわれた。
Aさんは、食品Xのレシピが書かれた書類を管理する業務に従事していなかったが、近いうちにB社を退職しようと考えていたことから、Cさんの要求に応じることにした。
Aさんは終業後の深夜に、食品Xのレシピが書かれた書類が保管されている商品開発部内の部屋に侵入し、同レシピを自らのカバンの中に入れて持ち去った。
その後、Aさんは、持ち去ったレシピをCさんに渡し、報酬として300万円を受け取った。
後日、B社から被害の申告を受けた埼玉県大宮警察署は、捜査の末Aさんを逮捕した。
(上記の事例はフィクションです)
今回のAさんは営業秘密の書かれた書類を持ち出し逮捕されていますが、これはいったいどういう犯罪になり得る行為なのでしょうか。
以下で検討していきましょう。
~業務上横領罪~
(業務上横領)
刑法第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
Aさんは、食品販売会社Bに営業部の社員にもかかわらず、B社の競業他社に勤めるCさんに対し、B社の営業秘密である食品Xのレシピを渡していることから、業務上横領罪の成立が考えられます。
業務上横領罪における「業務上」とは、社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う業務のうち他人の物を保管することを内容とするものをいいます。
具体的に業務上横領罪が成立する例としては、会社から保管を命じられていたお金を社員が使い込んだ場合などが挙げられます。
上記の事例において、Aさんは食品Xを主力商品とするB社に勤務していますが、AさんはあくまでB社の営業部の社員であり、食品Xのレシピが書かれた書類は商品開発部において管理されています。
そのため、食品XのレシピについてAさんはB社から保管を命じられる立場にある訳ではなく、Aさんは食品Xのレシピの書かれた書類を「業務上」保管していたと評価することはできません。
また、業務上横領罪における「自己の占有」については、被害者との委託信任関係に基づく事実上又は法律上の占有をいうと考えられています。
上記の通りAさんはB社から食品Xのレシピの保管を命じられる立場に無かった以上、Aさんは、同レシピをB社との委託信任関係に基づいて占有していたとはいえず、同レシピについての「自己の占有」は認められません。
したがって、Aさんの上記行為について単純横領罪(刑法252条1項、法定刑は5年以下の懲役)が成立することもないといえます。
~窃盗罪~
(窃盗)
刑法第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
上記の通り、Aさんには食品Xのレシピの書かれた書類についての占有が認められないことから、Aさんが同レシピを持ち去った行為について窃盗罪の成立が考えられます。
食品XがB社の主力商品であり、そのレシピが他社に公開されていないことを踏まえると、食品Xのレシピの書かれた書類は財産的価値を有する書類であるといえ、「他人の財物」にあたります。
窃盗罪における「窃取」とは、占有者の意思に反して、自己又は第三者に財物の占有を移転させることをいいます。
上記の事例において、食品Xのレシピの書かれた書類を占有しているのは、B社の商品開発部の社員又はB社自身ということになります。
Aさんが同レシピを持ち去った行為は、商品開発部やB社の意思に反して、同レシピの占有を自己に移す行為といえることから「窃取」にあたります。
よって、上記事例におけるAさんの行為については、窃盗罪が成立することになるといえます。
~不正競争防止法違反の罪~
「不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいう。次号において同じ。)又は管理侵害行為(財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)第2条第4項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の営業秘密保有者の管理を害する行為をいう。次号において同じ。)により、営業秘密を取得した者」は不正競争防止法21条1項1号違反となり、10年以下の懲役または200万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
食品XのレシピはBの主力商品でレシピも公開されていないことから「営業秘密」にあたるといえます。
AさんはCさんに報酬300万円を提示して食品Xのレシピを要求してきたCさんに渡す目的で食品Xのレシピが書かれた書類を持ち去っていますから、不正の利益を得る目的で管理侵害行為により営業秘密を取得したといえます。
よって、Aさんには不正競争防止法違反も成立することになりそうです。
会社の秘密のレシピを売って報酬を得るという点で、不正の利益を得る目的で営業秘密を取得した面が強いこと、罰金額が大きいうえに懲役刑とともに科される可能性があり刑罰が重いことから、Aさんは不正競争防止法違反により処罰されるでしょう。
このように、営業秘密の書かれた書類を持ち出す行為には、業務上横領罪や窃盗罪、さらには不正競争防止法違反が成立する可能性があり、会社との示談交渉のためにも出来る限り早期に弁護士を選任することが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
まずはご予約からフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
コンビニを渡り歩いて常習累犯窃盗罪
コンビニを渡り歩いて常習累犯窃盗罪
コンビニを渡り歩いての常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
住所不定・無職のAさんはお金に困っており、コンビニの面接を受け採用されるや、コンビニの売上金を盗んで逃走するという生活を繰り返し、16都府県、29店舗のコンビニ店から合計1000万円以上の売り上げ金を盗みました。
そして、Aさんはこれまでと同じように、今度は神奈川県川崎市内のコンビニに面接に行ったところ、「犯人とよく似た人物が面接に来ている」との通報を受けた神奈川県中原警察署の警察官により職務質問にあい、その後常習累犯窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 常習累犯窃盗罪とは ~
常習累犯窃盗罪は窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。
~ 常習累犯窃盗罪の要件 ~
法律3条の規定は以下のとおりです(ひらがな部分は実際はカタカナです)。
常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る
この規定を分解すると、
1 前条に掲げたる刑法各条の罪(刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗))の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
2 1記載の犯罪を常習として犯したこと
3 1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
4 3が、行為前の10年以内に3回以上あること
となります。
常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。
~ 「常習」とは ~
常習累犯窃盗罪では、常習性の認定がポイントとなります。
この点、上記2の「常習として」とは、反復して特定の行為を行う習癖をいいます。
常習性の有無について、裁判所は、行為者の前科・前歴はもちろん、性格、素行、犯行の動機、手口、態様、回数などを総合的に検討し、機会があれば,抑制力を働かせることなく安易に反復して窃盗を行ってしまう習癖があるといえるかどうかを基準に常習性を認定しているものと思われます。
したがって、「常習性」の認定は前科のみで判断されるわけではありません。
過去の窃盗前科の犯行態様が、ドライバーを使って古いアパートの錠を外して侵入し現金を盗んだ、という人が、本件で、スーパーマーケットの缶詰2個を万引きしたという事案で、裁判所(東京高裁:平成5年11月30日)は、「動機・態様を著しく異にしており、本件が窃盗の習癖の発現としてなされたものであるとは認められない」として常習性を否定しています。
~ 執行猶予の可能性も? ~
常習累犯窃盗罪の法定刑は3年以上の有期懲役ですから、執行猶予付き判決を受けることは極めて厳しいといえます(執行猶予付き判決を受ける要件の一つとして「3年以下の懲役又は禁錮」の言い渡しを受けることが必要です)。
また、事例のように被害額が1000万円を超える場合はなおされら厳しいといっても過言ではないでしょう。
しかし、被害額が少ない事案であっても常習累犯窃盗罪として起訴される場合があり、そうした場合は、執行猶予付き判決を獲得できる可能性も十分残されているといっていいでしょう。
法律上の減軽事由(刑法66条等)に当たる事情がある場合は、法定刑が減軽され、執行猶予付きの判決を獲得できるハードルを低めることはできます。
お困りの方は弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
常習累犯窃盗事件などの刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
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