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盗品の無断借用で窃盗事件
盗品の無断借用で窃盗事件
A(20歳)はVと同じ東京都墨田区の寮に住む大学生で,Vの隣室に住んでいました。
AはVが友人Bから盗んできた一眼レフカメラを持っているのを知り,これを借りて旅行に出掛けようと考えました。
ある日,AはVの留守を狙い,無断でVの部屋に入って一眼レフカメラを持ち出し二泊三日の旅行に出掛けました。
旅行から帰ってきたAは一眼レフカメラをVの部屋に戻しておきましたが、後々、これが何か犯罪になるのではないかと不安に思い、弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです。)
(1)Aに成立が考えられる罪名
上記の事例において,Aには住居侵入罪(刑法130条前段),窃盗罪(刑法235条)の成立が考えられます。
(2)住居侵入罪
住居侵入罪は,「正当な理由がないのに,人の住居…に侵入し」た場合に成立します。
ここにいう「住居」とは,人の起臥寝食に使用される場所を指し,アパートの一部屋であっても当然住居に当たります。
そして,「侵入」とは,居住者の意思に反する立ち入りを言います。
Vの部屋は寮ですが,各部屋が区切られており,Vが起臥侵食に使用する場所と言えるため,「住居」にあたります。
そして,AはVの部屋に入っており,これはVの意思に反する立ち入りと考えられるため,「侵入し」たといえます。
したがって,Aに住居侵入罪が成立すると考えられます。
(3)窃盗罪
窃盗罪は,「他人の財物を」,不法領得の意思を持って,「窃取した」場合に成立します。
もっとも,刑法235条には不法領得の意思という文言は存在しません。
しかし,窃盗罪の行為態様は,外形的には窃盗罪よりも法定刑が軽い毀棄・隠匿罪と区別することは困難であるため,これらの犯罪と窃盗罪を区別するため,判例上,窃盗罪の成立には不法領得の意思が必要であるとされています。
そして,不法領得の意思の内容は,権利者を排除して,他人の物を自己の所有物としてふるまう意思(権利者排除意思)と,その物の経済的用法に従って利用処分する意思(利用処分意思)とされています。
また,「窃取」とは,占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し,目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。
(4)盗品も「他人の財物」にあたるか
上の事例では,Aが持ち出した一眼レフカメラはVが友人Bから盗んできたものであり,盗品です。
このような盗品も「他人の財物」に当たり,窃盗罪を構成するのでしょうか。
確かに,窃盗罪のような財産罪の保護法益が究極的には所有権にあることは否定できませんが,現代社会は財産関係が複雑化しており,誰がその物の所有者であるかを特定することは一般的に困難です。
そのため,占有それ自体をまず保護すべきであると考えて,盗品も「他人の財物」にあたると考えられます
(5)一時的に借用したに過ぎない場合,不法領得の意思があるか
上の事例でAは旅行に持っていくために一眼レフカメラをVの部屋から持ち出していますが,このように一時的に財物を持ち出したに過ぎない場合にも窃盗罪が成立するのでしょうか。
この点については,上記の不法領得の意思の有無によって判断すべきと考えられます。
Aは近場で短時間カメラを使用したわけではなく,二泊三日の旅行に持ち出していることから少なくとも3日間自己の支配に置いています。
そのため,権利者であるVの使用可能性を排除しているといえるため,権利者排除意思が認められます。
また,Aは一眼レフカメラを旅行先で写真撮影に使用しており,カメラ自体や備品もある程度損耗しているといえ、物の経済的用法に従い利用処分が認められることから,利用処分意思が認めらます。
よって,不法領得の意思が認められるため,Aには窃盗罪が成立すると思われます。
(6)刑事事件に強い弁護士に相談
刑事事件は事案に応じた迅速かつ適切な対応が大事です。
早い段階で刑事事件に強い弁護士をつけることで,示談交渉等により前科が付かない場合もあり得ます。
窃盗行為をして取調べを受けたという方や,ご家族が逮捕されたという方は,ぜひ刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件に強い弁護士が初回法律相談を無料で承っております。
無料法律相談のご予約は0120-631-881にて24時間受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
窃盗罪と微罪処分
窃盗罪と微罪処分
福岡県北九州市に住むAさんは,職場からの帰宅途中,駅から自宅まで歩いて帰るのが面倒くさくなり,無人の駐輪場に停めてあったVさん所有の自転車1台(時価:5000円相当)(Vさんが当日駅に停め,帰りに駅から乗るつもりで駐車した自転車で,鍵は付けていなかった)を無断で乗り去りました。
その4日後,Vさんからの被害届を受け捜査をしていた福岡県八幡東警察署の警察官が,Vさんの自転車がAさん宅に停めてあるのを見つけました。
そこで,Aさんは,福岡県八幡東警察署において,Vさんの自転車を窃取した窃盗罪の件で事情を聴かれることになりました。
Vさんの自転車はすでにVさんに返却済みです。
Aさんとしては,Vさんに謝罪して示談したいと考えています。
(フィクションです)
~本件の弁護方針~
本件は自転車の時価が5000円で,しかも犯行から4日後には自転車が発見されたということですので,Vさんが自転車を使用する権利に対する侵害の程度もさほど大きいとはいえないでしょう。
よって,本件は,同じ窃盗罪の事件の中でも比較的軽微な事案といえます。
このように,窃盗を行ったことが明白で,かつ,事案が軽微な場合は,速やかに被害者の方にお詫び,謝罪をし,示談交渉を進めていくことが肝要でしょう。
そうすることで,微罪処分や不起訴処分などの有利な結果を獲得することに繋がりやすくなります。
~微罪処分とは~
微罪処分とは,警察が事件を検察庁を送致せず,被疑者への厳重注意,訓戒等で終了させる手続きのことをいいます。
本来,警察が立件した事件は警察→検察へと送致することが基本です(刑事訴訟法246条本文)。
刑事訴訟法246条
司法警察員は,犯罪の捜査をしたときは,この法律に特別の定がある場合を除いては,速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し,検察官が指定した事件については,この限りでない。
しかし,刑事訴訟法246条但書では,検察官が指定した事件については,この限りでない,つまり「送致しなくてもよい」とされており,これが微罪処分の根拠規定となっています。
~微罪処分のメリット~
微罪処分となれば,どんなメリットがあるのでしょうか?
=検察庁からの呼び出しを受けずに済む=
微罪処分となれば,事件が検察官の元に送致されませんから,検察庁から呼び出しを受けることはありません。
お勤めの方や学校に通われている方であれば,休みをとって出頭するという手間が省けます。
=刑事処分を受けないで済む=
検察庁に送致されないということは,刑事処分を受けることもありません。
一番不利な刑事処分は「起訴されること」ですが,微罪処分となれば,もちろん起訴されることはありません。
=裁判を受けないで済む=
起訴されることがないということは,裁判を受けなくて済むということを意味します。
正式裁判となれば,裁判所が指定した日に出廷しなければなりませんが,その手間が省けます。
=刑事処罰を受けなくて済む=
起訴され,有罪となり,その裁判が確定すれば刑事処罰を受けなくてはなりませんが,微罪処分となれば起訴されませんし,裁判を受ける必要もありませんから,刑事処罰を受けなくて済みます。
=前科が付かない=
裁判で言い渡された刑事処罰の判断が確定すれば前科となりますが,微罪処分となれば裁判を受ける必要はありませんから,前科が付くこともありません。
~微罪処分獲得するためには~
冒頭でもご説明いたしましたが,何より,被害者の方にお詫び,謝罪し,示談交渉を進めていくことが肝要です。
しかし,示談交渉を進めるにしても,被害者の住所,署名,連絡先等の個人情報を取得することからはじめなければなりませんが,被害者も警察も加害者に被害者の個人情報を教えることはありません。
そこで,示談交渉を弁護士に依頼する意義が出てきます。
弁護士であれば,被害者あるいは警察から許しを得て被害者の個人情報を取得できる可能性があります。
そして,被害者の連絡先等を取得することができれば示談交渉に入ることができます。
示談交渉では様々な約束事や示談金額など重要な事柄について決めなければなりません。
それには,弁護士の交渉力や知識・経験が必要でしょう。
また,弁護士に示談交渉を任せれば,示談成立後は示談書という適切な形で話し合いの結果をまとめてくれます。
内容や形式に誤りがあると,のちのちのトラブルにも発展しかねませんから,ここでもやはり弁護士の力が必要といえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
微罪処分を目指したいと考えている方,そもそも自分の起こしてしまった事件が微罪処分の対象となりえるのか聞きたいという方など,刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制でご案内しております。
(福岡県八幡東警察署の初回接見費用:41,540円)
コンビニの落とし物窃盗事件
コンビニの落とし物窃盗事件
Aさん(30代男性)は、京都府八幡市にあるコンビニで他人の財布が落ちているのを見つけて、これを自宅に持ち帰った。
Aさんは、財布中身の現金10万円ほどを自身で消費して、財布自体はゴミの日に廃棄処理した。
しかし、Aさんが財布を拾う行動はコンビニ店内の防犯カメラに映っていたらしく、後日Aさんは京都府八幡警察署の警察官より取調べの呼び出しを受けた。
Aさんは自分がどのような罪に問われるのが不安になり、警察に出頭する前に、刑事事件に強い弁護士に法律相談することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~占有離脱物横領罪と窃盗罪の違い~
落とし物を拾って、警察に届け出ずに自分の物にしてしまう犯罪行為をした場合に、「占有離脱物横領罪」あるいは「窃盗罪」のどちらかが成立する可能性があります。
「占有離脱物横領罪」は、他人の所有物が他人の手(占有)を離れた後に、これを自分の物にしてしまう罪であり、法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」とされています。
他方で、「窃盗罪」は、他人の所有物を他人の手(占有)から盗んで、自分の物にしてしまう罪であり、法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
法定刑としては「占有離脱物横領罪」よりも「窃盗罪」のほうが刑罰が重いため、どちらの罪が成立するかは、その後の刑事処罰の量刑判断に大きく影響します。
・刑法235条 (窃盗)
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
・刑法254条 (遺失物等横領)
「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」
落とし物を拾って自分の物にしてしまった事件においては、落とし物が所有者の手の内(占有)にあるといえるか、あるいは店舗の管理者の手の内(占有)にあるといえる場合には、他人の占有にある物を盗んだとして、「窃盗罪」が成立すると考えられます。
他方で、道端に落ちていた物を拾って自分の物にした場合には、「占有離脱物横領罪」が成立すると考えられます。
裁判所の判例によると、「刑法上の占有は人が物を実力的に支配する関係」であり、「必ずしも物の現実の所持又は監視を必要とするものではなく、物が支配力の及ぶ場所に存在すれば足りる」とされています。
「社会通念上、客観的にみて所有者の支配力が及んでいるとはいえるかどうか」によって、所有者または店舗の手の内(占有)にあるかどうかが判断されて、「窃盗罪」「占有離脱物横領罪」のどちらが成立するかが判断されることになります。
「所有者の支配力が及んでいるとはいえるかどうか」の判断に当たっては、落とし物のあった場所の性質や、落としてからどれくらいの時間が経っているかといった事情や、その場所に多くの人が出入りしているか、あるいは少人数しか利用しない場所であるかといった事情などが、考慮されるものと思われます。
今回の事例のようなコンビニ内での落とし物窃盗事件においては、財布の所有者の占有内や、あるいはコンビニ店舗の管理者の占有内に、落とし物が存在すると判断されて、これを盗んだとして「窃盗罪」が成立する可能性が考えられます。
コンビニの落とし物窃盗事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、まずは被害者との示談交渉を行うことで、被害届の取下げや被害者が加害者を許す形での示談成立を目指すことで、不起訴処分の獲得や刑罰軽減のための弁護活動を行います。
京都府八幡市のコンビニの落とし物窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
(京都府八幡警察署の初回接見費用:3万7,200円)
兵庫県尼崎市の電気窃盗事件
兵庫県尼崎市の電気窃盗事件
兵庫県尼崎市在住のAさん(大学3年生)は行きつけの飲食店Vのテーブル席でよく勉強していた。
その際,自身のスマートフォンをテーブル近くのコンセントを使って充電していた。
それに気づいた店長が,Aさんにコンセントを使うのは止めるように言った。
しかしAさんはその後も連日テーブル近くのコンセントを使用していたので,店長は兵庫県尼崎東警察署に被害届を提出した。
(フィクションです)
~窃盗罪~
窃盗罪は刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
ここでいう財物とは有体物を指しており,実体を持たない権利などは窃盗罪の対象とはなりません。
電気も有体物ではないのでこの規定の対象外になるように思われます。
しかし,刑法245条において「この章(第36章 窃盗及び強盗の罪)の罪については、電気は、財物とみなす。」と規定されているので,電気も窃盗罪の対象となります。
明治時代の旧刑法では物ではない電気の窃盗が想定されおらず,電力会社に電気代を支払わずに勝手に電力を使用する行為が窃盗罪となるか議論されていました。
1903年に大審院(現代の最高裁判所)は電気にも窃盗罪が成立すると判示しました。
その後,1907年に施行された現刑法では245条で明確に電気には窃盗罪が成立すると規定されました。
~可罰的違法性~
刑法には可罰的違法性という考え方があります。
これは違法な行為であっても,刑事上の処罰を科するに足りる程度の違法性がない場合には犯罪を構成しないという考え方です。
可罰的違法性に関する有名な判例に「一厘事件」と呼ばれる事件があります。
これは1909年に,農家が栽培していた葉煙草2グラムを喫煙したという事件です。
これに対し検事が煙草を大蔵省専売局に納入することを怠った葉煙草専売法違反として起訴しました。
なお,葉煙草2グラムは当時1厘の価値であり,1厘とは1円の千分の一で最低通貨単位で,現在の貨幣価値に換算して約20円程度かと思われます。
この事件に対し大審院が出した判決は「人類非行ハ零細ナルモノハ悪性ノ特ニ認ムベキモノナキ限リハ其人生ニ及ボス害悪極メテ僅少ナルヲ常態トスル所ナリ」として,違法な行為であったとしても実害がほとんどなく微細な所為であれば罪には問えないというものでした。
~現代の電気窃盗~
最近では携帯電話などのこまめな充電を要する携帯機器の急速な発展と普及に伴って,公共の場や店舗のコンセントを勝手に利用して充電をするということが多発しています。
イートインコーナーや,高速バスの座席などの利用者が自由に利用することを前提としている場合には盗電とはなりませんが,それら以外のコンセントを施設管理者の許可無く利用した場合は盗電となります。
こういった盗電事案は警察の段階で多くの場合は被害額が微小であるとして微罪処分とするケースも多いですが,場合によっては逮捕や書類送検されることもあります。
2010年には大阪で料金滞納で電気を止められていた男性が,アパートの共用コンセントから自室に電気を引き込んで,2円50銭相当の電気を盗んだとして,懲役1年,執行猶予3年の判決を言い渡されています。
また,2017年には和歌山県議が温泉の電源を無断使用しハイブリッドカーを充電したとして書類送検されています。
また,以前は窃盗罪は懲役刑しか規定がなく,被害額も微小なため,微罪処分であったり不起訴処分となっていたと思われますが,2006年の刑法改正で罰金刑が加えられたことにより窃盗罪として起訴される可能性は高くなっています。
しかし罰金であっても前科となってしまうので,弁護士が付けば微罪処分や不起訴処分となるように弁護活動をしていきます。
今回のケースではお店への謝罪文や少額とはいえ被害弁償などを申し出てます。
それによって被害届の取下げとなれば微罪処分や不起訴処分となる可能性は高くなります。
また,被害届が取下げとならない場合でも,警察の判断で微罪処分となる場合や検察官の判断で起訴猶予となる可能性は高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
電気に対する窃盗事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受付けております。
(兵庫県尼崎東警察署までの初回接見費用:37,000円)
大阪府豊能郡の盗品譲受事件
大阪府豊能郡の盗品譲受事件
~ケース~
大阪府豊能郡在住のAは古物商を営んでいる。
Aはよく廃棄物処理業者であるXからゴミとして出された物の中から商品になりそうなものを持ち込んでもらい買取をしていた。
ある日,Xから持ち込まれた物のうち明らかにゴミとは思えない物がいくつかあり,不審に思いXに本当にゴミだったのかと聞いたところXは「ゴミであった」と答えた。
しかし,商品の値段に対してXの希望買取価格が低かったため深く追求せずに買い取った。
後日Xは窃盗罪で逮捕され,Xが警察で盗品をAに売却したと供述したため,Aは盗品等有償譲受罪の疑いで大阪府豊能警察署に事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~盗品等有償譲受罪と故意~
今回のケースでAは盗品等有償譲受罪(刑法256条)の疑いで逮捕されています。
盗品等有償譲受罪とは,「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を有償で譲り受けた者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。」とされている犯罪です。
AはXが盗んだ物を買い取っていますので,盗品を有償で譲り受けたことになります。
しかし,刑法は故意がない場合には処罰されないと規定しています(刑法38条)。
今回のAは,盗品ではないと思いXから物品を購入したので,盗品等有償譲受罪の故意がないといえないのでしょうか。
過去の判例は,盗品等有償譲受罪の成立には盗品等であるとの認識が必要としており,その認識の程度としては未必の故意で足りるとしています(最判昭和23年3月16日刑集2巻3号227頁)。
未必の故意とは,犯罪的結果の発生自体は確実ではないが,それが発生することを表象しながらもそれが発生するならば発生しても構わないものとして認容している場合をいいます。
言い換えると,確定的に犯罪を行おうとするのではないが,結果的に犯罪行為になってもかまわないと思って犯行に及んだ場合に未必の故意があるとされます。
今回のケースでは,Aはゴミではないと怪しんでいたにも関わらず,利益が出ると思い深く追求せずに買取をしています。
つまり,ひょっとしたら盗品ではないかと思っていたにも関わらず,利益が出るのでそれでも構わないと考えて買取した=盗品等有償譲受罪の(未必の)故意があったと判断される可能性があるのです。
~盗品等有償譲受事件の弁護活動~
検察統計によると盗品等に関する罪(盗品等有償譲受を含む罪の総称です)の起訴率は年度によって異なりますが20%~40%程度となっています。
この数字から考えると初犯である場合や,被害弁償などの犯行後の情状次第では不起訴となる可能性が十分にあります。
今回のケースで,Aは古物商を営んでいますので古物商法第20条「古物商が買い受け、又は交換した古物のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。」と規定されています。
そのため,AはXの窃盗による被害者から返還を請求された場合,商品を無償で返還する義務があり,仮にすでに売れてしまった場合には金銭で賠償しなければいけません。
この被害者への返還や金銭による賠償を真摯に行い,返還を請求されていない場合に自主的に被害者の方に返還するなどの事情があれば有利な情状として不起訴処分となる可能性は高くなります。
また,起訴されてしまったとしても,そういった事情が有利に働き,罰金刑や執行猶予付きの判決となる可能性が高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
盗品等を譲り受けてしまいお悩み・お困りの方はフルーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見サービス・無用法律相談のご予約を24時間お電話で受け付けております。
(大阪府豊能警察署までの初回接見費用:お電話にてお問い合わせください)
ゴルフのロストボールで窃盗事件
ゴルフのロストボールで窃盗事件
~ケース~
Aはゴルフが趣味であり,月に数回埼玉県加須市にゴルフにでかけていた。
ゴルフ場の売店では練習用としてロストボールの詰め合わせが販売されておりAも何度か購入していた。
しかし,Aはロストボールは誰のものでもないのだから商品として代金を支払わされることはおかしいと思うようになり,ラウンド中にロストボールと思われるゴルフボールを拾い,自分のキャリーバッグにしまうようになった。
落ちていたロストボールを自分のキャリーバッグにしまうところをキャディに注意されることがあったが,Aは気にせずにロストボールを持ち帰り続けていた。
ゴルフ場の支配人は埼玉県加須警察署に被害届を出し,Aは窃盗罪の疑いで埼玉県加須警察署で事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~ロストボールは誰の物か~
ゴルフ場のロストボールについてはプレイヤーがミスショットをしたまま立ち去り放置したものですからプレイヤーは所有権を放棄したものといえるでしょう。
そして誰の所有でもない物は一番最初に占有した人が所有権を取得します(民法239条)。
では,ロストボールとして放置されたゴルフボールは誰の物となるのでしょうか。
これについて裁判所は「無主物先占によるか権利の承継的な取得によるかは別として、いずれにせよゴルフ場側の所有に帰していた」と判断しています(最判昭和62年4月10日)。
つまり,林や池などを管理するゴルフ場がロストボールの占有を取得したか,プレイヤーからゴルフ場にロストボールを贈与しゴルフ場がこれに応じるというやりとりが暗黙の内にされていたかのいずれかによってロストボールの所有権はゴルフ場に移っていると認定したのです。
そのため,Aのロストボールを拾って持って帰る行為は窃盗罪にあたることになります。
~刑事事件~
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
一口に窃盗罪と言っても被害金額や犯行態様など事案ごとに大きく異なります。
例えば,宝石店に忍び込み,1000万円相当の宝石を盗んだという場合には重大な窃盗事件として起訴され刑事裁判を経て実刑判決が出る可能性が高いです。
一方,スーパーマーケットで1000円程度万引きしたという事案であればわざわざ刑事裁判にするまでもないと感じるのではないでしょうか。
窃盗事件の場合,とられる手続きとして,微罪処分,起訴猶予,略式手続き,正式裁判の4種類が考えられます。
微罪処分とは,警察は事件を原則検察官に送致しなければなりませんが,事件が軽微であり,被害者が処罰を望んでいないなどといった場合に事件を警察段階で終了させることいいます。
起訴猶予とは,事件が検察官に送致されたが,被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないと判断された場合に出される不起訴処分です。
略式手続きとは裁判を行わず簡易な方法による刑事裁判の手続をいいます。
簡易裁判所の管轄する事件で100万円以下の罰金または科料を科すことができる事件で略式手続きをとることに被疑者に異議がない場合にとられます。
略式手続きであれば刑事裁判を行うよりも短い時間で事件が終局します。
窃盗事件の正式裁判は前科がある,常習性が高い,被害金額が多額,犯行態様が悪質,窃盗事実を否認しているなどといった場合に取られることが多いでしょう。
今回のケースでは情状にもよりますが,正式裁判となる可能性は低いでしょう。
紹介した事例は,ウェットスーツを持ち込み,ゴルフ場内の池から1300個以上ロストボールを盗んだという事案であり,窃盗でないと主張していたので正式裁判となったのでしょう。
ゴルフ場と和解し被害届を取り下げてもらえれば微罪処分となる可能性もあります。
また被害届を取り下げてもらえなかった場合,ゴルフ場にロストボール代の弁償等をし示談を成立させられれば不起訴処分となる可能性が高まります。
仮に,ゴルフ場が示談に応じてくれなくても,弁護士はそういった情状を検察官に説明し,起訴猶予とするように働きかけていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗罪に問われてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
横浜市の事後強盗罪で不起訴
横浜市の事後強盗罪で不起訴
Aさんは、日頃の生活でストレスを感じ、ストレス解消の一環として万引きをしたいと思うようになりました。
そこで、Aさんは横浜市瀬谷区のスーパーマーケットを訪れ、カップラーメンやポテトチップスなど総額およそ1500円分の商品を万引きしました。
その後、Aさんが足早に店を後にしようとした際、警備員のVさんに「ちょっとすみません」と声を掛けられました。
突然のことで同様したAさんは、逮捕されるわけにはいかないとVさんを突き飛ばして逃走を図りました。
後日、Aさんは事後強盗罪の疑いで神奈川県瀬谷警察署に逮捕されたことから、接見に来た弁護士に不起訴にならないか尋ねました。
(フィクションです。)
【事後強盗罪について】
刑法
第238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
「強盗」という言葉を聞かれた多くの方は、コンビニなどで凶器を向けて「金を出せ」と言うような場面を想像するかと思います。
強盗罪というのは、暴行または脅迫により相手方をおよそ抵抗できない状態にし、その相手方から金銭などの財産を奪う罪です。
ですが、これとは別に事後強盗罪という罪が存在するのはご存知でしょうか。
事後強盗罪は、①盗んだ物の返還を防ぐ、②逮捕を免れる、③証拠を隠滅する、といういずれかの目的で、窃盗犯が暴行または脅迫を加えた場合に成立する可能性があります。
暴行・脅迫→窃盗ではなく、窃盗→(一定の目的での)暴行・脅迫となっている点で、通常の強盗罪とは大きな違いがあると言えます。
事後強盗罪も強盗として扱われる理由は、一連の行為に強盗罪と同等の危険性が認められるからだと考えられています。
冒頭に引用した刑法第238条を読むと、事後強盗罪は「強盗として論ずる」と記載されています。
その意味するところは、罪名を事後強盗罪とし、その他の扱いを強盗と同様にするということです。
ですので、事後強盗罪の法定刑も5年以上の有期懲役(上限20年)であり、なおかつ相手方が死傷すれば強盗致死傷罪に当たる余地があります。
【不起訴の実現を目指して】
ある刑事事件を裁判にかけるかどうかは、第一次的には犯罪の訴追を行う検察官の判断に委ねられています。
検察官は、被疑者の便宜、被害者や国民の感情、犯罪立証の難易、裁判所の負担などの様々な事情を考慮し、起訴するか不起訴にするか決定することになります。
不起訴の理由には様々なものがありますが、その中で最もよく見るものとして起訴猶予が挙げられます。
起訴猶予とは、たとえ裁判により有罪の立証が可能であっても、被疑者の便宜をはじめとする諸事情を考慮して起訴を見送ることを指します。
法務省の統計資料によると、平成29年になされた不起訴処分のうち、起訴猶予を理由とするものはおよそ9割に上ります。
先ほど説明したように、事後強盗罪は強盗罪と同等の罪として扱われます。
そのため、強盗罪がそうであるように、一般的に事後強盗罪も凶悪犯の一つであると言えます。
ですが、事後強盗罪であっても、その被害額や犯行態様によっては、被害者と示談を行うなどして不起訴を実現できる可能性は十分あります。
もし不起訴を目指した緻密な弁護活動を希望するのであれば、ぜひ弁護士への依頼をご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件のプロとして、不起訴の実現に向けた真摯な弁護活動を行います。
ご家族などが事後強盗罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料:初回無料
神奈川県瀬谷警察署までの初回接見費用:36,500円
【東京都立川市の万引き窃盗事件】示談交渉に強い弁護士に相談
【東京都立川市の万引き窃盗事件】示談交渉に強い弁護士に相談
~事案~
大学生のAさんは東京都立川市にあるスーパーで万引きをしました。
Aさんは従業員に通報されて東京都立川市を管轄する警視庁立川警察署に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
捜査の結果、Aさんは他にも何件も万引きをしていることが発覚しました。
Aさんの母は、Aさんの将来を考えて不起訴処分にしてほしいと考え、まずは示談交渉に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に初回接見依頼をしました。
(フィクションです。)
~窃盗罪~
Aさんがしたような万引きは、刑法上の窃盗罪に当たる犯罪です。
窃盗罪はその刑として10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が定められています。
窃盗罪の量刑は被害の程度や被害件数を基準に判断がなされます。
一般に、スーパーの万引きで被害金額が軽微である場合、罰金刑で処理されると考えられます。
~示談成立の重要性~
しかし、今回のAさんのように他にも何件も万引きを繰り返していて被害額も高額になっているような場合や、万引きの前科前歴があるような場合については、正式に起訴され、ドラマやニュースで見るような法廷に立ち、正式な裁判を受けることになる可能性も高まります。
そして、有罪判決を受ければ、実刑判決のような厳しい刑事処分が下される可能性もあります。
実刑判決が下されると刑務所に収監され、一定期間社会をは切り離されて生活することになりますから、社会復帰が困難になってしまうケースもあります。
一方、不起訴処分となれば、そもそも刑罰を受けることはなくなりますから、前科がつくことはなく、早急な社会復帰も可能となります。
不起訴処分を目指すにあたって重要になってくる事情の1つが、被害者との間で示談が成立しているかどうかということです。
Aさんの場合、これまでの万引きの被害者との間で示談を成立させることで不起訴処分が下される可能性が高くなります。
示談交渉に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は加害者と被害者の間に立ち、粘り強く示談交渉を行います。
そして、専門知識のある弁護士だからこそ、両者の納得いく適切な示談が成立するように最善の努力を尽くします。
東京都八王子市の万引き窃盗事件で不起訴処分を目指している方、そのご家族の方は、是非示談交渉に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
(東京都目黒区)窃盗罪と横領罪
(東京都目黒区)窃盗罪と横領罪
(1)事例
東京都目黒区にあるコンビニのアルバイト店員Aは,勤務中の深夜2時ごろ,レジから現金30万円を抜き取った。
後日,店長Ⅴがレジの金銭が合わないことに気づき,監視カメラを調査したところ,Aがレジから金銭を抜き取るところが映っていたため,Aによる犯行であることが発覚した。
Ⅴが警察に通報し,Aは警視庁目黒警察署にて取調べを受けた。
なお,事件当夜,Aは一人勤務であり店長も店には不在であった。
(フィクションです。)
(2)窃盗罪
まず,Aに成立する犯罪として,窃盗罪が考えられます。
まず,窃盗とは他人の財物を「窃取」することをいいます。
そして,「窃取」とは,他人の占有する財物を,占有者の意思に反して,自己又は第三者の占有に移転させることです。
なお,窃盗罪の罰則は刑法235条に規定されており,「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
(3)横領罪
次にこうした事例でイメージされやすい犯罪である横領罪について見てみましょう。
横領とは,他人からの委託に基づいて他人の物を占有している者がその物を委託の趣旨に背いて自己の物として利用処分することをいいます。
そして,横領罪には単純横領罪,業務上横領罪,遺失物横領罪の3類型が存在します。
業務上横領罪は,「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合に成立し,遺失物横領罪は「遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した」場合に成立します。
なお,単純横領罪の罰則は「5年以下の懲役」,業務上横領罪は「10年以下の懲役」,遺失物横領罪は「1年以下の懲役若しくは10万円以下の罰金又は科料」とされています。
(4)窃盗罪と業務上横領罪
今回の事例についてみると,Aは店長Ⅴが保管するレジ内の現金30万円を勝手に自分の占有下に移転させているため,窃盗罪の成立が考えられます。
しかし,Aがコンビニ店員であることからすれば,Aは店長から夜勤を任されており,レジの管理についても委託されていると考えて,業務上横領罪が成立するのではないかとも思えます。
では,今回の場合,窃盗罪と業務上横領罪,どちらが成立すると考えればよいのでしょうか。
窃盗罪と横領罪の決定的な違いは対象となる財物に対し,占有があるか否かです。
なぜなら,窃盗罪は他人の占有を侵害する犯罪であるのに対し,横領罪は他人の占有を侵害する犯罪ではないからです。
つまり,今回の事例でいえば,レジ内の現金30万円に対し,アルバイト店員Aに占有がない場合には窃盗罪,占有がある場合には業務上横領罪が成立することになります。
(5)窃盗罪と業務上横領罪の区別
では,Aに現金30万円に対する占有があるか否かについてどのように判断すればよいでしょうか。
判例上,雇用関係等に基づき上下関係がある場合,下位者が財物を握持していても,上位者が占有者であり,下位者は占有補助者に過ぎないとされています。
つまり,今回の事例でいえば,店長Ⅴとアルバイト店員Aの場合,仮にAが夜間の一人勤務中で店の現金などを管理していたとしても,AはⅤの占有補助者に過ぎず,占有自体は店長Ⅴにあるため,Aに窃盗罪が成立することになります。
一方で,支店の支配人(支店長)のように,使用主(会社)との間に高度の信頼関係が存在し,ある程度の処分権が委ねられている場合には業務上横領罪が成立することがあります。
刑事事件は早期解決が大事です。
早い段階で刑事事件に強い弁護士をつけることで,示談等により前科がつかない場合もあります。
窃盗事件で取調べを受けた,ご家族が逮捕されたという方は,ぜひ窃盗事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
窃盗事件に強い弁護士が初回法律相談を無料で承っております。
無料法律相談のご予約は0120-631-881にて24時間受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
福岡市東区の自販機荒らし
福岡市東区の自販機荒らし
福岡市東区在住のAは,自販機の鍵をバール等でこじ開け,自販機の中にある売上金を盗むといういわゆる「自販機荒らし」の常習犯であった。
ある日の深夜,自販機荒らしをしていたところ,パトロール中の福岡県東警察署の警察官に発見され,窃盗罪の疑いで現行犯逮捕された。
自販機付近に設置されている防犯カメラの映像等からAには同じような手口での余罪が数十件あることが判明した。
逮捕の知らせを受けたAの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に弁護を依頼した。
(フィクションです)
今回のケースは鍵を壊して自販機の中にある売上金を盗むという典型的な自販機荒らしです。
自販機荒らしを行ったAにはどのような罪が成立するのでしょうか。
まず,Aは自販機の中の売上金を盗んでいるので,窃盗罪が成立します。
また,Aは犯行の為に自販機の鍵を壊していると思われますので器物損壊罪も成立するでしょう。
法定刑はそれぞれ窃盗罪が10年以下の懲役または50万円以下の罰金,器物損壊罪が3年以下の懲役または30万円以下の罰金または科料となっています。
今回のケースでは,器物損壊行為は窃盗行為を行うための手段となっています。
このように一つの犯罪を行なう為に、別の犯罪を利用している場合,それらは牽連犯と呼ばれ,最も重い刑罰で処罰されることになります。
例えば空き巣の場合,住居侵入行為は窃盗行為の手段となっていますので住居侵入罪と窃盗罪は牽連犯となり,法定刑の重い窃盗罪で処罰されます。
今回のケースでは器物損壊行為は窃盗行為を行うための手段でありますから,牽連犯の関係となり刑罰の最も重い窃盗罪で処罰されることになります。
また,今回のケースではAによる同じ手口の他の自販機荒らしが数十件あり,これらは別々の犯罪です。
このような別々の犯罪(事件)の場合は併合罪と呼ばれ,刑罰が加算されてしまいます。
併合罪の場合,刑罰は単純に足し算で加算されますが,日本の場合には懲役の上限が最も重い罪の1.5倍まで,罰金の上限はそれぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下と定められています。
そのため,今回のケースでは窃盗罪の併合罪となり,最も重い判決で15年以下の懲役となります。
よくテレビ等でアメリカで懲役500年といった判決を目にしますが,アメリカの場合は上限規定がなく全て足し算されるのでこういった判決が出されます。
窃盗罪で現行犯逮捕されれば,勾留請求され勾留されてしまう可能性があります。
勾留は原則10日間ですが,必要に応じて10日間の延長が認められ,最長で20日間勾留されてしまいます。
依頼を受けた弁護士はまず,勾留請求・決定がされないように弁護活動をすることが考えられます。
そして,事件が検察官に送致された後は事件が起訴されないように,不起訴処分を目指して弁護活動をしていくことも考えられます。
窃盗罪の場合,事件が1件だけであれば被害金額や被害弁償の状況などによって不起訴処分となる場合も多いですが,今回のケースのように余罪が多数ある場合,残念ながら起訴されてしまう可能性も高くなっていきます。
起訴されてしまった場合には刑事裁判を受けることになります。
窃盗事件の場合,初犯であれば罰金刑であったり,執行猶予がつくことが多いです。
ただし,今回のような余罪が多くある場合には初犯であっても執行猶予が付かず,実刑となってしまうこともあります。
しかし,弁護士による適切な弁護活動によって,余罪が多数ある窃盗事件であっても執行猶予付きの判決を勝ち取ることは不可能ではありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗事件などの刑事事件の経験豊富な弁護士が多数所属しています。
窃盗事件を起こしてしまいお困りの方,ご家族が窃盗事件を起こしてしまった場合には0120-631-881までお電話ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(福岡県東警察署までの初回接見費用:36,000円)